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KAGUYAの検索結果

KAGUYAの検索結果

2024.01.10

高齢者では「気持ちの年齢」が実年齢を超える場合、生活機能の低下と要介護リスクを増加させる可能性 :KAGUYAプロジェクト高齢者縦断調査より〜理学療法学科

個人の健康状態や将来の疾病リスクを反映する代理指標として主観的年齢(気持ちの年齢)が注目されており、将来の健康状態を評価するための生物心理社会的マーカー(Biopsychosocial Marker)として広く研究されています。主観的年齢や老化感(Self-perceptions of Aging)と疾患の発生との関係を調べた研究では、主観的年齢が高く、よりネガティブな老化感を有する者は、心臓疾患および脳卒中の発生リスクが高いことが示されており(Stephanら, 2021)、また死亡リスクとの関係を調べた縦断研究では、主観的年齢が高い人は、低い人よりも死亡率が高いことが報告されています(Ripponら, 2015)。 理学療法学科の高取克彦 教授、松本大輔 准教授らは、KAGUYAプロジェクト高齢者縦断調査にて奈良県A町在住の高齢者を対象に主観的年齢と高次生活機能(買い物、公共交通機関の利用などレベルの高い生活機能)および新規要介護認定の発生との関係を明らかにするために3年間の追跡調査を実施しました。結果として、地域在住の一般高齢者において主観的な年齢が実年齢を超える者は、将来の高次生活機能を低下させ、要介護リスクを増加させる可能性があることが分かりました。この研究内容は日本老年医学会雑誌に掲載されました。 研究概要 奈良県A町の地域在住高齢者を対象に郵送式調査を行い、3年間追跡調査が可能であった2,323名を分析対象としました。主観的年齢の評価は「気持ちの年齢についてお答えください」という問いに対して「年相応」「実際の年齢より若い」「実際の年齢より上である」の選択肢を設定しました。その他の評価には、高次生活機能(老研式活動能力指標および JST 版活動能力指標)、運動定着(週1回以上の運動実施)などを聴取し、追跡調査時にはこれらに加え、対象者の新規要介護認定の発生状況についても調査しました。 その結果、調査開始時において「実際の年齢より上」と感じている者は高次生活機能、一般性自己効力感(物事をやり遂げる自信)が有意に低く、他群に比較して運動が習慣化している者が少ない結果となりました。 また追跡調査時に「実際の年齢より上である」と感じている者は他群に比較して新規要介護発生が多く、反対に「実際の年齢より若い」と感じている者では少ないことが分かりました。さらに新規要介護認定を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果で は、他の関連因子を調整しても「実際の年齢より上」と感じることが独立したリスク因子であることが明らかとなりました(OR=3.33,95%CI: 1.02~10.94,p<0.05)。 本研究のポイント ■地域高齢者の大規模コホートを3年間の前向きに調査し、調査開始時の主観的年齢と追跡調査時の高次生活機能および新規要介護認定との関係性を明らかにした。 ■調査開始時において「実際の年齢より上」と感じている者は 高次生活機能、一般性自己効力感が有意に低く、他群に比較して運動が習慣化している者が少なかった。 ■ 追跡調査時に「実際の年齢より上である」と感じている者は他群に比較して新規要介護発生が多く、反対に「実際の年齢より若い」と感じている者では少なかった。(図1) 図1: 主観的年齢と高次生活機能との関係   ■年齢・性別など関連因子を調整しても「実際の年齢より上」と感じることが要介護状態発生の独立したリスク因子であることが明らかとなりました。(図2) 図2:主観的年齢と新規要介護発生リスクとの関係   本研究の意義 本研究は本邦で初めて地域高齢者の主観的年齢と新規要介護発生との関係を縦断的に調査したものになります。欧米での研究においては要介護認定という指標が存在しないため、日本における介護予防的な視点とはやや異なります。したがって日本人の高齢者を対象とした本研究の結果は、主観的年齢を評価することの重要性と、新たな心理社会的アプローチを考える上での一助になるものと考えられます。 論文情報 高取克彦,松本大輔・他:地域在住高齢者における主観的年齢と高次生活機能および新規要介護認定との関係-KAGUYAプロジェクト高齢者縦断調査より-. 日本老年医学会雑誌60巻4号(2023:10) 問合せ先 畿央大学健康科学部理学療法学科 教授 高取 克彦 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: k.takatori@kio.ac.jp 地域リハビリテーション研究室ホームページ

2023.06.23

第12回IAGGアジア/オセアニア国際老年学会議および第65回日本老年医学会学術集会で教員、大学院生らが発表!〜理学療法学科・健康科学研究科

今回、第12回IAGGアジア/オセアニア国際老年学会議と第65回日本老年医学会学術集会が同会場で約1週間(IAGG:2023年6月12日〜14日、第65回日本老年医学会:2023年6月16日〜18日)にわたって行われました。コロナ禍以前の状態に戻った完全対面式での開催です。 畿央大学地域リハビリテーション研究室からは、IAGGアジア/オセアニア国際老年学会議で高取 克彦先生がポスター発表を行い、第65回日本老年医学会学術集会では、私、山坂 宏太(客員研究員、神戸医療福祉専門学校三田校)、高取先生、山本 泰忠先生(博士後期課程2年、宝塚リハビリテーション病院)の3名が口述発表を行いました。 両学会とも昨年に引き続き、高齢者の「主観的幸福感:subjective well-being」「レジリエンス: resilience(困難をしなやかに乗り越える回復力、適応力)」という用語がトレンドであると実感した他、前回より「AI」を含むテーマが多く発表されていた印象を受けました。急速な時代の流れを感じます。 第12回IAGGアジア/オセアニア国際老年学会議   理学療法学科/健康科学研究科 高取 克彦 テーマは「Bidirectional relationships between subjective age and higher-level life functions in community-dwelling older adults: A 3-year prospective study of the KAGUYA project(地域在住高齢者の主観的年齢と高次生活機能の双方向の関連性について-KAGUYAプロジェクトの3年間の前向き研究)」です。     本研究は、主観的年齢と高次生活機能との双方向の関連性を交差遅延効果モデルと同時効果モデルを用いて検討したものです。手段的日常生活活動(IADL)よりも高いレベルの生活機能(新しい機器を扱う能力や自ら地域活動に参加し役割を果たす能力など)と主観的に感じる若さとの関係性を前向きに調査したもので、今回の結果から「気持ちの年齢が若さは高次生活機能の向上を導き、生活機能が高いことは気持ちを若返らせるという双方向性の関係」が報告されました。 第65回日本老年医学会学術集会   大学院健康科学研究科 博士後期課程2年 山本 泰忠 山本先生は「地域在住高齢者における身体活動量と社会参加数の関連を調整する中心性について」というテーマでご発表されました!     ▼山本先生の口述発表の様子     本研究は、地域在住高齢者が通われる集いの場のグループの中からリーダー的存在の高齢者(オピニオンリーダー)をソーシャルネットワーク解析という手法により特定し、中心性(個人のリーダーシップ:あるグループ内で支持を集める度合い)が、身体活動量と社会参加数との関連に対して、どのように影響するのかについて検証したものとなっております。その結果、中心性は身体活動量と社会参加数との関連を弱めることが明らかとなり、個人のリーダーシップの強さは社会参加が少なくても身体活動量を保てることを意味することが報告されました。本研究の内容を踏まえると、地域でご活躍される各職種の方々は、グループ内でリーダー的存在の育成をしていくことで、参加者の身体活動や社会参加を増やしていくことにもつながるかもしれません! 今後も山本先生の地域に根差した研究活動を応援しております!   ▼参加時の写真:山本 泰忠先生(左)と私(山坂 宏太)     理学療法学科/健康科学研究科 高取克彦 そして、高取先生は「地域在住高齢者における subjective age と新規要介護発生との関係―KAGUYA プロジェクト縦断調査―」というテーマでご発表されました!   本研究は、昨年の同学会発表内容に生存曲線分析、Cox比例ハザード解析を加えて、主観的年齢と新規要介護状態の発生との因果関係に迫るデータを示したものになります。結果として、「実年齢より上」に感じる高齢者は、自身で感じる年齢が「年相応」や「実年齢より若い」と感じた高齢者と比較して新規要介護発生のリスクが高まることを示しました。 二度見してしまうような目を引くテーマで、またとても興味深い結果で驚きました!     客員研究員/神戸医療福祉専門学校三田校 山坂 宏太 私の発表は「地域在住要介護高齢者の sedentary に与える座位姿勢関連要因の影響について」というテーマで発表させていただきました。     本研究は、要介護高齢者の座位姿勢から得た骨盤傾斜角度が身体活動や座りがちな生活を意味するsedentaryに影響するかどうかを検討したものです。     本研究の結果は、座位姿勢が不良者(骨盤後傾している者)は、身体活動時間が減少し、sedentaryが増加する可能性があることを示しました。本研究は残念ながら対象者数が不十分であったことから明白にできなかったところはありますが、本研究を通じて研究の流れや注意点などを理解することができました。また今回のように学科発表まで行うことができました! ここまでご指導いただいた高取先生をはじめ、地域リハビリテーション研究室の先生方に深く感謝申し上げます。   今回の学会はIAGGと日本老年医学会と連続して行われましたが、老年症候群を取り上げたテーマは現在も多く、さらに超高齢社会である本邦や高齢者人口の増加が推計されている各国では重要なテーマとなっています。 今後も超高齢社会における有意義な研究を継続し、学会、学術誌などを通じて広くアウトプットして行きたいと思います!   令和4年度畿央大学健康科学研究科修士課程修了生 客員研究員 神戸医療福祉専門学校三田校 山坂宏太 お問い合わせ先 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 教授 高取 克彦 k.takatori@kio.ac.jp 地域リハビリテーション研究室ホームページ   【関連記事】 後期高齢者のフレイルはそのステージにより改善・悪化因子が異なる可能性~運動系社会参加活動の増加は前フレイルから健常への移行に寄与  「令和4年度地域リハビリテーション活動支援事業」成果報告とミーティングを開催!!〜地域リハビリテーション研究室+TASK卒業生チーム 修了生が学術大会長賞に!第9回日本予防理学療法学会学術大会・第9回地域理学療法学術大会参加レポート~健康科学研究科 第64回日本老年医学会学術集会で教員が発表!~健康科学研究科

2023.01.24

令和5年度 在外研究員 研究計画説明会を開催しました。

教育研究水準の向上および国際交流の進展に資するため、学術の研究・調査等のため外国に在外研究員を派遣する制度があります。令和5年度の在外研究員には理学療法学科 松本 大輔准教授が選ばれ、2023(令和5)年4月1日から2024(令和6)年3月31日までの期間、フランス南西部トゥールーズにあるInstitute of Aging, Gérontôpole, Toulouse University Hospitalで研究活動を行われます。これに先立ち、2023年1月19日(木)に在外研究説明会を開催し、教職員24名が参加しました。     研究課題名:Association and interaction between intrinsic capacity and environment factors for functional ability decline 受入研究者:Prof. Philipe de Souto Barreto, Prof. Bruno Vellas 在外研究機関:Institute of Aging, Gérontôpole, Toulouse University Hospital(フランス)       松本先生は、高齢者の介護予防・ヘルスプロモーションに向けた関連要因および地域格差の検討、身体活動およびフレイルに関する行動遺伝学的研究等を専門とした研究をしておられます。チーム医療ふれあい実習、海外インターンシップ等の担当授業のほか、本学が広陵町と連携した「広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクト」の取り組みや健康支援学生チーム「TASK」の活動支援などを通じて地域での介護予防や健康増進に力を入れてこられました。   世界的に高齢化が進み、ヘルシーエイジングに向けた取り組みが重要になってきています。WHO(世界保健機関)では、高齢者の内在的能力の低下を管理するための地域レベルでの介入ガイドラインとして高齢者のための統合ケア(ICOPE)を推奨しています。       受入機関であるToulouse University Hospitalは、WHO Collaborating Centre for Frailty,Clinical & Geroscience Research, and Geriatric Training であり、WHO ICOPEの実装パイロット研究を進めている機関でもあります。松本先生は国際論文も多数執筆しておられる世界的権威Bruno教授、Philipe教授の下で、ブラジルや台湾、メキシコ、スペインからの研究者と一緒に研究されます。     ▼Bruno教授(中央)、Philipe教授(左)   松本先生の研究計画はWHOが提唱する内在的能力の6つのドメインと物理的環境要因とその相互作用や、機能的能力およびウェルビーイングとの関連性などについて検討することとしています。     松本先生には、専門とする高齢者の介護予防・ヘルスプロモーションの専門知識と本学で近隣地域と連携して取り組んでこられた豊富な経験を国際的な場で活かし、日本国内では経験できないような発展的な研究を進めていただくことを期待しています。   【関連記事】 平成29年度在外研究報告会を開催しました。  平成29年度 在外研究説明会を開催しました。 平成28年度 在外研究説明会を開催しました。 畿央大学開学10周年記念プロジェクト研究中間報告会及び在外研究報告会を開催しました。

2022.12.14

修了生が学術大会長賞に!第9回日本予防理学療法学会学術大会・第9回地域理学療法学術大会参加レポート~健康科学研究科

2022年11月19(土)〜20日(日)に第9回日本予防理学療法学会学術大会、12月3日(金)~4日(日)にかけて第9回日本地域理学療法学術大会が開催されました。昨年に引き続き、コロナウイルス感染症の影響により、シンポジウム、特別講演などは現地からのライブ配信、一般演題は事前に録画した発表資料を登録するという形で行われました。   畿央大学地域リハビリテーション研究室からは、第9回日本予防理学療法学会学術大会では一般演題として高取克彦教授(畿央大学健康科学研究科)が発表されました。 また、第9回日本地域理学療法学術大会では客員研究員の仲村渠亮先生(修士課程修了/淀川キリスト教病院)、私 山本泰忠(博士後期課程1年/宝塚リハビリテーション病院)、武田広道助教(博士後期課程修了/京都橘大学)が一般演題(セレクション演題を含む)として発表し、松本大輔准教授(畿央大学)がシンポジストとして発表されました。 特に武田広道先生の発表演題は本学術大会にて学術大会長賞を受賞されました。         <高取克彦> 「地域高齢者におけるsubjective ageと運動定着および新規要介護発生との関係〜KAGUYAプロジェクト〜」 本研究は高齢者の主観的年齢(subjective age)を評価し、3年後の新規要介護認定発生との関係を調べたもので、主観的年齢が若いと感じる高齢者は、そうでない者と比較して、週一回以上の運動定着率が高く、要介護発生が少ないことを明らかにしたものです。         学術大会長賞受賞演題 <武田広道> 「要支援・要介護高齢者のアパシーが在宅運動プログラムのアドヒアランスに及ぼす影響」   本研究は要支援・要介護高齢者を対象にアパシー(やる気がなくなったり無気力になること)が運動継続性に及ぼす影響を検討したものです。その結果、ベースライン時にアパシーのある高齢者は在宅運動プログラムの実施頻度が少ないことが明らかになりました。在宅運動を処方する際は、心理面にも着目して行動変容介入をする必要があると考えられます。     <松本大輔> 「知っておきたい 地域理学療法(学)のエビデンス」     松本先生は地域理学療法ガイドラインの作成に関わられており、その中で訪問理学療法のエビデンスについて紹介されておりました。わが国のエビデンス構築に向けて、まずはガイドラインを知ること、丁寧な評価と介入を記録すること、研究スキルを磨くことを強調されておりました。地域理学療法では、研究を行う上で困難なハードルがいくつかあると思いますが、学術大会を通じて私たちの共通認識を再確認させていただくことができました。     <仲村渠亮> 「転倒により大腿骨近位部骨折を呈した地域在住高齢者の家屋種類と骨密度に着目した比較分析」     本研究は大腿骨近位部骨折を呈した地域在住高齢者を対象に家屋種類と骨密度の関係性を検討したものです。その結果、市営住宅在住高齢者のみ骨密度に関係なく、年齢が低い時期に転倒による骨折が多いことが明らかになりました。転倒予防を検討する際には家屋環境などの外的要因に着目する必要があると考えられます。     <山本泰忠> 「地域在住高齢者の通いの場におけるオピニオンリーダーの存在と参加者の身体的健康度との関連について」   本研究は地域在住高齢者を対象にオピニオンリーダーが身体的フレイルに及ぼす影響を検討したものです。その結果オピニオンリーダーがいる通いの場グループでは身体的フレイルに該当する高齢者が多いことが明らかとなりました。本研究において、オピニオンリーダーのいるグループでは、そうでないグループと比較し女性が多いことや居住年数が高いことも明らかとなりました。オピニオンリーダーのいるグループでは、地域のより虚弱で介入が必要な高齢者を通いの場へ参加を促しているという可能性が考えられました。     第9回地域理学療法学術大会は「社会課題解決のための地域理学療法実践と技術の発展」というテーマで開催されました。同学術大会では年々演題のテーマが集約されつつある印象を持っており、臨床現場での課題が共通認識として捉えられてきている印象を持ちました。そして、高取研究室の修了生である武田広道先生(京都橘大学)が学術大会長賞を受賞されました。改めまして、おめでとうございました!私もより一層研究活動に取り組んで参りたいと思います。学術大会に引き続き参加し、偏った知識、考えにならないように情報をアップデート&発信していきたいと思います。   畿央大学大学院博士後期課程 山本泰忠 畿央大学 地域リハビリテーション研究室HP     【関連記事】 令和4年度 広陵町・香芝市・畿央大学 介護予防リーダー養成講座を開催しました~理学療法学科 生駒市の地域リハビリテーション活動支援事業に向けて卒業生が集結!~地域リハビリテーション研究室with TASK 第64回日本老年医学会学術集会で教員が発表!~健康科学研究科 香芝市政施行30周年記念事業の一環として本学教員監修の「フレイル予防体操」がリリースされました〜理学療法学科 第8回日本予防理学療法学会学術大会で大学院生と客員研究員が発表!~健康科学研究科 第63回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員が発表!~理学療法学科・健康科学研究科  

2022.10.21

令和4年度 広陵町・香芝市・畿央大学 介護予防リーダー養成講座を開催しました~理学療法学科

地域における住民主体の介護予防を支え活躍する「介護予防リーダー:KEEP」の養成講座が2022年9月5日(月)から10月17日(月)にかけて実施されました。   畿央大学からは理学療法学科の私(高取)と松本准教授が講師として参加し、受講者の方々へ「高齢者の心と体」「高齢者に対する運動の基礎」をテーマに講義と実技を実施しました。   この官学連携の取り組みは畿央大学✕広陵町「KAGUYAプロジェクト」(畿央大学と地元広陵町が協働して健康づくり、まちづくりを進める取り組み)の期間を含み9年目を迎え、現在も多くの方々が地域の「通いの場」において運動指導、レクレーションによる交流を軸に活躍しておられます。     ▼KEEPは「Koryo/Kashiba Elderly Encouragement Project」の略称です     現在、国が進める地域包括ケアシステムにおける介護予防では「自助:セルフケア」「互助:助け合い」を活かした住民主体の取り組みが中心となっており、KEEPさんの活躍は多くの地域から注目を集めています。2015年には「奈良介護大賞」にも選出されました。   現在の養成カリキュラムでは講義の一部をKEEPさん自身が担うこともあり、新たな担い手の育成にも活躍されています。   ▼広陵町長、香芝市長から認定書を授与される受講者の方々         KEEPの活動は新規要介護認定率の低下にも寄与していると考えられており、今後も継続して養成講座は開催される予定です。広陵町では来年度10周年を迎えることから、協力してイベント的な取り組みで、さらに地域を盛り上げることができないか考えていければと期待しています。   今回、新たに加わった方々のご活躍を期待し、これからもリハビリテーション専門職として関わらせていただきたいと思います。また研究を通じて、住民主体の介護予防の効果に関する検証も進めていきます!   理学療法学科 高取克彦 地域リハビリテーション研究室ホームページ   【関連記事】   広陵町連携 介護予防リーダー養成講座の取り組みが「奈良介護大賞2015」に選ばれました。 介護予防リーダー養成講座3期生のフォローアップ講座を開催しました~広陵町×畿央大学「KAGUYAプロジェクト」 TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.67~「広陵町・香芝市介護予防リーダー養成講座」の健康チェックに協力! 近隣のウォーカビリティが低い地域の女性は社会参加が少ないことを明らかに~広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクトでの2750名の調査結果から 香芝市市政施行30周年記念事業の一環として本学教員監修の「フレイル予防体操」がリリースされました〜理学療法学科 ヘルスプロモーションセンター 

2022.03.07

ヘルスプロモーションセンター

センター長あいさつ さまざまな取り組みで地域の健康をサポート。 ヘルスプロモーションとは、WHO(世界保健機関)が1986年のオタワ憲章において提唱したもので、「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義されています。すべての人々が自分自身の健康を管理し、QOL(Quality of Life)の向上をめざして幸せな生活を送ることを目標にしたものです。 ヘルスプロモーションセンターは、このヘルスプロモーションの考えかたに基づき、自らの健康をコントロールし改善することや、健康長寿をめざした環境づくりへの協力および支援をもって、本学の教育研究および地域貢献に寄与することを目的としています。本学の健康科学部理学療法学科、看護医療学科、健康栄養学科においては理学療法士、看護師、管理栄養士など人の身体や健康管理に直接携わる人材を育成し、また人間環境デザイン学科では健康に暮らすための環境づくりを、教育学部では健康教育を指導できる人材を育成しています。学生たちは自分の健康管理を学ぶだけでなく、地域の人々へのサポートができるように地域とのかかわりの中で学んだ知識・技術を磨いています。また教員は、地域の健康をサポートする研究やプロジェクトを支援しています。このように畿央大学としてはこれまでもヘルスプロモーションの活動を行なってきたわけですが、それを組織的に進めていくのがヘルスプロモーションセンターです。地域の健康をサポートするセンターとして、地域の方たちの頼れるセンターになることをめざしたいと考えています。 センター長 理学療法学科 教授 高取 克彦 ヘルスプロモーションセンターの主な取り組み 各部門を中心に、ヘルスプロモーションを推進する各事業に取り組んでいます。 健康チェック部門 畿央祭(学園祭)と同時開催される「ウェルカムキャンパス」では、地域の方の健康チェックをし、経年変化の結果を示してご自身の健康を考えていただく取り組みをしています。 TASK(健康支援学生チーム)部門 全学の学生によるサポートチームTASKを結成し、学生たちが自ら勉強会を実施し、知識と技術を学びながら、自ら地域の健康サポートを考えることを支援しています。TASK活動レポートは、大学公式ブログでご覧になれます。 広陵町連携事業部門 広陵町主催の教室での運動指導・栄養指導や、介護予防リーダーの育成に貢献します。 広陵町連携 介護予防リーダー養成講座の取り組みが「奈良介護大賞2015」に選ばれました。 研究部門 平成27年度文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択され、広陵町での地域密着型研究プロジェクトを進めました。平成31年度まで5年間にわたり、住民のヘルスケアデータを一つにまとめるデータベースを構築し、地域住民リーダーや学生を養成して地域でさまざまな活動を実践することがいかに住民の健康増進や介護・認知症予防につながるかを研究しました。 ▼広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクト(クリックするとPDFが開きます) 平成27年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に本学が採用されました。 広陵町×畿央大学「KAGUYAプロジェクト」の記者会見を行いました。

2022.03.07

競争的研究費

科学研究費助成事業 科学研究費助成事業(通称:科研費)は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」を格段に発展させる独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。 国内においては最大の研究支援であり、大学の研究力を表す指標の一つと言えます。 令和5年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 令和4年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 令和3年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 令和2年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 令和元年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 平成30年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 平成29年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 平成28年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 平成27年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 平成26年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 平成25年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金交付一覧 文部科学省 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業は、私立大学が行う最先端の研究または地域に根差した研究プロジェクトの「研究基盤形成」に対して、研究施設や施設設備費を含めた研究費を重点的かつ総合的に補助を行うことで国内の科学技術進展をはかる助成事業です。平成27年度、本学の地域密着型研究プロジェクト「ソーシャル・キャピタル創出とヘルスケアデータ一元化による地域包括ケアシステム研究拠点の形成」が奈良県の私立大学として初めて採択され、地元広陵町との連携協力のもと「広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクト」として研究を実施しました。 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクト)研究成果報告書 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクト)紹介リーフレット 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(内部リンク)

2022.02.14

近隣のウォーカビリティが低い地域の女性は社会参加が少ないことを明らかに~広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクトでの2750名の調査結果から

徒歩で出かけられる先が少ない地域の女性は社会参加が少ない 地域在住高齢者における近隣のウォーカビリティと社会参加との関連性:KAGUYAプロジェクトの横断研究から~理学療法学科・看護医療学科・ヘルスプロモーションセンター   わが国において、健康日本21(第2次)では、健康寿命の延伸に加え、健康格差*の縮小も目標として掲げられています。健康寿命の延伸とは、つまり要介護状態にならないように予防することで、今までに要介護状態になるリスクに関連する要因についての研究は多く行われてきました。一方、健康格差について、都市部・農村部での比較や都道府県・市町村間での結果は示されてきましたが、格差の縮小のためには、それぞれの市町村内のより小地域での検討が必要であると考えられます。また、介護予防には社会参加が重要になり、近年、社会参加と近隣のウォーカビリティ**との関連が指摘されているものの、市町村内での地域差を検討したものは少ないのが現状です。 本学理学療法学科の松本大輔 准教授、高取克彦 教授、看護医療学科の山崎尚美 教授、文鐘聲 准教授らは、地域在住高齢者を対象にした調査を行い、女性においてWalkScore®を用いた近隣ウォーカビリティが社会参加と関連することを明らかにし、Geriatrics & Gerontology International誌(IF:2.730)に発表しました。   *健康格差:地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差 **ウォーカビリティ:簡単に言うと、歩きやすさ。単に歩道が整備されていることを指すだけでなく,その地域で歩いて買い物ができるなどの日常生活の過ごしやすさやウォーキングなど健康行動を促進されることも含まれる。   研究概要 A町在住の高齢者2,750名を調査し、WalkScore®***を用いた近隣のウォーカビリティと社会参加の関連について検討しました。また、性別でその関連に違いがあるかを分析しました。   ***WalkScore®(WS):住所を入力すると,Google マップ上で近隣の施設(商業施設・公園・学校など)までの距離をもとに,徒歩でアクセスできる度合いを100点満点で評価する。50点未満では、徒歩30分圏内に出かける先が少なく、車が必要になる地域とされる。   本研究のポイント 高齢者に対する調査によって、年齢、社会経済状況や疾患、日常生活機能を調整しても、近隣のウォーカビリティが低いとスポーツ、趣味などの社会参加は、男性では有意差は認められないものの、女性で約20%有意に低いことが明らかとなりました。   図1 ウォーカビリティ高い地域と低い地域での社会参加割合の比較 男女とも、ウォーカビリティが低い地域に住んでいる方は高い地域に比べ、社会参加者の割合が有意に少ない(図1)。   図2 性別ごとの社会参加とウォーカビリティが低い地域との関連(有病割合比) 関連する要因として年齢、社会経済状況や疾患、日常生活機能を調整しても、スポーツ、趣味などの社会参加は、男性では有意差は認められないものの、女性で約20%有意に低いことが明らかとなりました。(図2)。   本研究の意義および今後の展開 本研究は高齢者の社会参加と近隣のウォーカビリティの関連を小地域で示した数少ない研究です。ウォーカビリティが低い地域に住んでいる女性は社会参加が少ないということが明らかになりました。このような地域に特化した社会参加への支援を含むまちづくりが必要であると考えられます。今後はより地域施策に還元できるような研究に発展させていきたいと思います。   謝辞 研究にご協力いただきました住民の皆様,役場の方々に感謝申し上げます。 この事業は、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成27 年度~平成31 年度)「ソーシャル・キャピタル創出とヘルスケアデータ一元化による地域包括ケアシステム研究拠点の形成」の助成を受けて実施されました。   論文情報 Matsumoto, D, Takatori, K, Miyata, A, et al. Association between neighborhood walkability and social participation in community-dwelling older adults in Japan: A cross-sectional analysis of the keeping active across generations uniting the youth and the aged study. Geriatr. Gerontol. Int. 2022; 1– 10.    第63回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員が発表!~理学療法学科・健康科学研究科 雑誌「老年内科」で本学と生駒市・広陵町とのコホート研究が紹介されました~理学療法学科   問い合わせ先 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 准教授 松本大輔 d.matsumoto@kio.ac.jp

2021.11.10

雑誌「老年内科」で本学と生駒市・広陵町とのコホート研究が紹介されました~理学療法学科

雑誌「老年内科」10月号にて「日本における高齢者コホート研究の成果と現状」が特集されました。コホート研究は共通の特性を持つ集団を追跡し、その集団からどのような疾病が発生し、また健康状態が変化したかなどを観察して、各種要因との関連を明らかにしようとする研究です。 その中で、奈良県コホートスタディとして生駒市で実施中の後期高齢者コホート研究の成果と広陵町と本学の共同プロジェクトであるKAGUYAプロジェクト(文部科学省 私立大学研究基盤形成事業:研究代表 文鐘聲)が紹介されました。     本特集では日本を代表する高齢者コホート研究であるNILS-LSAやJAGES、柏スタディなどが紹介されており、多くが関東圏の研究で占められています。国立の研究センターや大学、また医科大学を中心とした研究成果が並ぶ中で、関西圏かつ理学療法学科の教員による研究が紹介されていることは、ある意味異色と言えます。   本学で行われた研究はコホートの規模やデータ追跡期間、データ解析手法などにおいては他のビッグデータ研究には及びませんが、フレイル高齢者のステージ変化と関連要因1)、主観的年齢と健康度2)、より小地域別に着目した地域診断研究3)、高齢者の孤食問題4)など、独自の視点がオリジナリティを発揮しているものとなっています。   今後も、理学療法士の目線を活かしつつ地域高齢者の健康寿命の延伸,フレイル予防,地域包括ケアシステムの深化に有用な成果を出していきたいと考えています。是非ご一読頂ければと思います。   理学療法学科 教授 高取克彦   【関連リンク】 地域在住後期高齢者における新規要介護発生の地域内格差:4年間の前向きコホート研究 ~理学療法学科 平成30年度「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」修了式を行いました。 「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」を開講しました。 「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」説明会が開催されました。 KAGUYAプロジェクト紹介リーフレット 広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクトfacebookページ 畿央大学ヘルスプロモーションセンター

2021.06.28

第63回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員が発表!~理学療法学科・健康科学研究科

2021年6月11日(金)~27日(日)にかけて第63回日本老年医学会学術集会がweb開催されました。昨年に引き続き、コロナウイルス感染症の影響により、シンポジウム、特別講演などは現地からのライブ配信、一般演題は事前に録画した発表資料を登録するという形で行われました。 畿央大学からは一般演題で、高取研究室の武田広道さん(博士後期課程3年)と私(松本)が発表を行いました。     <健康科学研究科 武田広道> 「要支援・要介護高齢者の身体活動量と身体機能・精神心理機能の関係」     本研究は、通所介護事業所を利用している要支援・要介護高齢者を対象に、身体活動量と身体機能、精神心理機能の関連について検討したものです。その結果、歩行速度とアパシー(意欲や、やる気の著しい低下)が身体活動量と関連していることが明らかになりました。良好な身体活動量を得るためには、身体機能、精神心理機能の両面に着目して関わる必要があると考えられます。     <理学療法学科 松本大輔> 「地域在住高齢者におけるWalkabilityと身体活動・社会参加との関連性:KAGUYAプロジェクト」     広陵町と共同で行われたKAGUYAプロジェクトの一環で行われた地域在住高齢者を対象とした調査結果から、社会参加・身体活動とWalkability(歩きやすさ)の関連を分析しました。その結果、Walkabilityの違いによる健康格差が存在し、特に、Walkabilityが低い地域(徒歩圏内に出かけるところが少ない)に住んでいる女性は社会参加や身体活動が少ないということが明らかになりました。Walkabilityが低い地域に特化した社会参加・身体活動への支援を含むまちづくりが必要であると考えられます。   本学会は「高齢化最先進国の医療の在り方―老年医学からの超高齢社会への提言―」というテーマで開催されました。例年の対面型では興味のある講演や演題が同じ時間帯で視聴できず、残念な思いをしていましたが、今回はオンデマンド配信があり、今までよりも多く視聴することができました。内容は昨年同様、フレイル、サルコペニアに関連するものが中心でしたが、今年はやはりコロナ禍での高齢者対策などの企画セッションも複数見られました。   このコロナ禍で、高齢者の方への体力測定を伴う対面式の調査がほとんどできておりませんが、他のグループでは電話やオンラインなどでフォローされているのが印象的でした。   老年医学会は理学療法の関連学会よりも歴史があり、多職種の方々が参加されています。学会に引き続き参加し、偏った知識、考えにならないように情報をアップデートしていきたいと思います。   理学療法学科 准教授 松本大輔   【関連記事】 第62回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員2名が発表!~健康科学研究科 第30回日本老年学会・第59回日本老年医学会の合同総会でプロジェクト研究の成果を発表!~健康科学研究所

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