2010.07.23 

アメリカにおける障害児教育についての特別講義が行われました。

7月14日に教育学部の授業「臨床心理学概論」内での公開授業として、カリフォルニアのシリコンバレーに在住し、スペクトラムビジョンズ社のCEOである久保由美さんによる特別講義が行われました。
 
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1989年に渡米した久保さんは、その後生まれた息子である渡君が1歳の時に重度の自閉症と診断された後、様々な療育を行ってきました。
その経験を活かして、2008年をスペクトラムビジョンズを起業、専門家と共同して開発されたiPhoneアプリ「Voice 4 U」は自閉症児の会話補助用具として世界中(7月現在でなんと21カ国!)の方々に利用されています。
 
 
 
 
 
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特別講義では、渡君やアメリカの大学で舞台芸術を学んでいるお姉さんの香穂さんも登場。
 
渡君による日本語と英語のスピーチが披露されました(診断された当初は話すことは期待できないと医師に言われていたそうです)。
 
 
 
 
久保さんからは「アメリカにおける障害児教育の例」と題して、実際の学校の様子を収めたビデオを見ながら、最近日本でも普及しつつあるIEP(個別指導計画)の実践例や子どもの成長を数量的に評価する手法などを紹介されました。渡君の場合は、担任やスピーチセラピストだけでなく、保護者、さらには掃除のスタッフまで、彼に関わる全ての人が実際に評価者として関わり、その成長を支えてきたのだそうです。また教える側の都合をただ押しつけるのではなく、子どもの特性やニーズに沿ってプログラムを組み立てていくことの大事さも伝わる授業でした。
 

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授業終了後も多くの学生が久保さんの周りに集まって質問攻めが続きました。受講生の多くは1回生ながら、将来の現場での特別支援教育のあり方について熱心に考えており、まさに生の良い経験になったようです。また久保さんの人となりや渡君の成長にとても感激したという声もありました。
 
発達障害は変化や成長を認めることが一見難しいと思われがちです。しかし適切な教育によって、それだけ成長できるということを理解することは、本人や保護者だけでなく、教師を目指す学生にとっても、大事な”見通し”につながります。久保さん、渡君、貴重な機会をどうもありがとうございました!

教育学部 良原 誠崇

 

久保由美さんのブログ「自閉症児 渡の宝箱」  http://d.hatena.ne.jp/kuboyumi/
 

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