2012年5月30日の記事

2012.05.30

スペインの国際大会で、本学教員が日本の英語教育について発表しました

本学現代教育学科ランディ・ムース先生がスペインの国際大会で日本の小学校における英語教育について発表しました。現地での様子を寄稿頂いたのでご紹介します!   2012年5月10・11日、スペインのバルセロナのUniversidad Autonoma de Barcelona で開催された「2012 TRICLIL」という国際大会に参加しました。 合わせて300人ほどの参加があり、それぞれの参加者は“小学校における外国語活動”に関する様々な発表を行いました。 特に注目を浴びたのは、現在ヨーロッパで盛んになっているCLIL(Content and Language Integrated Learning/内容言語統合法)です。CLILとは、外国語を独立科目として教えるのではなく、外国語で他の科目(たとえば理科や社会など)を教えるアプローチのことです。 CLILの世界でよく知られた研究者であるCambridge UniversityのNeil Mercer教授が、小学校での外国語活動、特に英語教育の最新の研究結果を発表しました。 また、このTRICLIL 国際大会で畿央大学のRandy Muthと、阪南大学のMartin Parsons が、共同研究の成果を発表しました(日本の教育事情についての発表は、私たち二人のみです)。 この発表では、日本の教育制度にヨーロッパのCLILの学習法を導入の必要性とともに、そのまま導入するのではなく、日本の独自の文化要素に適合させることが不可欠であることを主張しました。 この20年間、日本の英語教育の改善に向けて様々な教育の法改正等が行われたものの、まだ日本のTOEIC IBT平均点は世界各国と比較して「最も低い国の一つである」という悲しい現状があります。 一方、ヨーロッパではこの10年間で各国にCLILが導入されて大きな成果が出ています。日本においてもCLIL法を導入した学校がいくつかみられますが、まだまだ全国的には浸透はしていません。 この大会で各国から来た英語の先生方と交流する機会に恵まれました。その事を通して感じたのは、「ヨーロッパの教育者は国の財産である子供達の英語力を高めるため、積極的に新しい教育法を取り入れる高い意識がある」ということです。 日本では23年度より小学校で英語が必須となりましたが、現在の受験の為のみの英語教育を見直すきっかけになればよいと思いました。 CLILの日本への導入の可能性を今後も検討・研究しながら、本学の授業の中でCLILを活用して自然な形で英語力を身につけられるような環境を将来的に作っていきたいと思います。 教育学部現代教育学科 Randy Muth