2012.09.05 

台風被害から1年~十津川村・野迫川村での堀内ゼミ合宿!

9月に入りました。看護医療学科の卒業論文提出期限は今月末の28日(金)です。堀内ゼミでは,「災害看護」や「国際看護」など統合看護学領域のテーマに取り組んでいますが,今年は2人の学生が災害看護に関係するテーマで研究を進めています。2012年7月31日(火)から8月1日(水),1泊2日で実施したゼミ合宿では,ちょうど1年前の台風12号で大きな被害を受けた十津川村と野迫川村を訪ね,当時の状況や現在の復興に向けた取り組み,仮設住宅での生活が続く住民の方々の思いなどを伺いました。
休憩をしながら3時間ほどで十津川村に到着,まずは腹ごしらえ,谷瀬の吊り橋をバックにランチを取ったおしゃれなカフェで記念撮影。
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吊り橋はもちろん渡りました。一度に渡ることが出来る人数は20人です。
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谷瀬の吊り橋を渡った上野地地域に仮設住宅が3棟あります。奈良県の木材をふんだんに使った温かみはあるものの,1年が経過した今も自宅へ戻ることができない方々の心を癒すのは難しいと思いました。
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スロープや手すりもついていました。
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宿泊は十津川温泉の田花館十津川村観光協会会長で,地元消防団のメンバーでもある宿のご主人から,発災時の様子と復興の道のりについてお話をお聞きしました。たくさんの資料をご準備くださっていました。
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これで就寝!というわけにはいきません。ゼミ合宿です。ハイ,皆さんパソコンを開いて!!! オニ指導教員の論文指導は,夜中まで続きました(笑)
小雨の中,ご夫婦で見送ってくださいました。田花館は創業明治42年の老舗,厳選100%かけ流し温泉は,夜中まで論文に向かった(向かわされた?)疲れを癒しました。料理も美味しいです。温泉コーヒーのサービスもあります。ぜひ皆さんも訪ねてください。
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次は十津川村役場へ。まだ台風12号災害相談窓口もあります。
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1週間前の大雨で起きた小さな崩落が。しかし,対応は素早く砂嚢が積まれ,交通に問題はありません。
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世界遺産の玉置神社で看護師国家試験の合格祈願???
「大雨の中本殿まで頑張って参りました。どうぞよろしくお願いします!」
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翌日は、和歌山との県境にある野迫川村を訪問しました。保健師の俊成さんはこの村のたったひとりの保健師さん,集落の訪問も介護認定もなんでもこなすスーパー保健師さんです。今回の災害で建設された仮設住宅にお住まいの皆さんの健康管理も丁寧に行われています。役場の前で俊成保健師さんと。
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発災時の活動の実際をご講義頂いた後,住民課の増谷課長様と一緒に立ち入り制限の続く北股地区へご案内くださいました。
写真は発災時の状況について説明してくださる増谷課長様。警戒で廻っておられたおまわりさんにもお話を聞くことが出来ました。
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北股地区をお向かいの熊野古道から見た景色。
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北股地区の方々が村ごと避難所である仮設住宅に移り住んでいる様子も、視察させて頂きました。
冬は積雪も多く,トタン板を使った寒さ対策,雨風予防の壁を設置。窓も二重サッシ。
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単身者用の部屋と家族用の部屋は交互になっており,住民同士で見守りが出来るよう工夫されています。また、物干し台が追加で設置されていました。
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家具を入れるスペースがないため、コーナーを使って洋服かけを作成。
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お仏壇もドアの上の壁に棚を付けて。
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災害から1年,生活再建に不安を感じながらも明るく前向きに頑張っておられ,私たちの方が励まされました。
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災害に強い地域づくりや災害医療に貢献できる看護人材を目指します。今回のゼミ合宿でお世話になった皆さま,ありがとうございました!

看護医療学科 准教授 堀内美由紀

【ゼミ生のコメント】

野迫川村の仮設住宅へ視察に行った際、民宿を経営されていたお母さんに話を聞かせて頂きました。会話のなかで印象的だったのが、
「自分たちの家は警戒区域で、もし家に戻れても湿気やカビなどでもう住むことはできないだろうけど、福島の原発による警戒区域で家に戻れない人たちは、住めるのに戻れない歯がゆさがあるはず。自分たちは、よくしてもらっているし、幸せだと思う。だから東北の人には頑張ってもらいたい。」とおっしゃっていたことです。
自らも被災し、大好きだった民宿の経営ができないでいる状況下で、そんな風に東北のことを思える人の温かさを感じました。

看護医療学科4回生 奥村 紗和子

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