2012年12月20日の記事

2012.12.20

高野先生(健康栄養学科)のタイ国際解剖学会レポート!

タイのチェンマイ大学医学部解剖学教室主任パスク教授のもと12月6日から8日まで開催された2nd International Anatomocal Sciences and Cell Biology Conferenceに参加し、演題「A cell biological explore of the components in wood essential oils with the anti-oxidant ability」によるポスターセッションでの研究発表を行いました。会場はチェンマイ大学のすぐ近くのタイグランドビューホテルとコンベンションセンターでした。チェンマイ大学はタイ国内ベスト2の大学で、医学部入学定員も毎年1000人ぐらいあり、とてつもなく大きな規模のキャンパスで、日本では想像もつかない広大な敷地を有していました。 この国際学会開催期間中には神経科学分野8題、癌細胞学分野8題、幹細胞ならびに組織工学分野4題、細胞生物・組織学分野3題、生物画像解析分野4題、臨床解剖学分野4題、発生学ならびに生殖分野4題、解剖教育分野6題等のシンポジュウム、またミニシンポジュウムとしてITならびにマルチメディアを利用した解剖学の教授方法など幅の広い多彩な内容が盛り込まれ、発表がなされていました。 また口演やポスタープレゼンテーションによる一般演題200題を越える発表がなされ、参加者数は500名前後でした。本発表に際し、本研究ポスターの議論に参加してくれた参加者の中でもカナダのMaGill大学のC.J. Barret等はポスター内容に非常に興味を抱いてくれ、長時間のディスカッションに参加してくれました。特に乳がんへの機能性精油成分の予防および治療応用の可能性についてならびに日本とカナダそれぞれの国内の森林を構成する樹木からの精油成分の相違点や機能性を有する化学構造等の特性について彼らと議論し、意見交換することができました。 本学会でも強く感じたのは各国の独自の民衆一般治療として行われてきた機能性植物成分、特に非栄養素としての成分のヒトへの利用を科学的に解明し、疾患の予防および治療に結びつけるテーマが増えていることです。香辛料である黄色の色素野クルクミンの神経損傷後の神経損傷や再生への影響、植物機能性成分による皮膚炎症への効果、抗酸化作用、ウイルス感染幹細胞のアポトーシスに及ぼす影響等の発表などは今後の研究への参考となりました。 本研究発表を行うにあたり、本学の海外研究旅費助成を受けましたことに感謝しますと共に、得られた知見は今後の研究発展に活かしたいと考えます。 追記:タイ北部の12月の気候は乾期でベストシーズンと聞いていましたが、外気温は32度前後で、上空に勢力を張っていた寒気のある日本との気温差が20度もあり体の順化が気になりました。また現地ではケーブルテレビによりNHK番組が見られ、異国で居て異国でない感覚に見まわれました。                        健康栄養学科 教授 高野康夫