2013.02.15 

教職員対象の人権教育推進委員会研修会が開催されました。

いじめ問題について学び、考えを深めました!

2013年2月14日(木)、畿央大学KB03講義室において、人権教育推進委員会主催の研修会が行われました。講師に和歌山大学教育学部教授で、大津いじめ問題第三者委員会委員をされている松浦善満先生をお招きし、「いじめの構造と本質-大津いじめ事件から考える-」というテーマで講演していただきました。
 
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1994年11月、愛知県西尾市で中2男子の大河内清輝君がいじめを苦に自殺するという事件がありました。死後遺書が見つかり、その悲惨ないじめの事実が社会に衝撃を与えたのを覚えておられるでしょうか。
彼の遺書の全文を資料として講演は進みました。数名の本学教職員が順に読み上げていき、いじめの始まりから、複数回、数万円ずつのお金を取り上げられたこと、川へ連れていかれ、溺れさせられて死の恐怖を感じたこと、友達として家に遊びにきてお金をとったり、母親のネックレスを盗んでいたことなどが書かれていました。こんなにひどい事をされているのに、友達は悪くない、お金を素直に渡してしまう自分が悪いのだと彼は遺書に残していました。いじめのだんだんエスカレートする様子がよくわかります。これを読んでいた教職員の中には、涙ぐむ姿も見られました。多くの人が衝撃を受けました。
日本のいじめの特徴としては、①一見仲良しグループに見えても、その中でいじめが発生し、ふざけかいじめかわかりにくい。②いじめの加害者・被害者だけでなく、観衆(直接手は出さないがはやし立てる)、傍観者(見て見ぬふり)、仲裁者(いじめをやめさせようとする)がいること。③被害者に烙印がつけられる。(バイキン・グズなどのマイナスイメージのあだ名)④加害者と被害者との逆転が見られる。(加害者も過去にはいじめられていた経験者だったりする)⑤いじめの仲裁力が消失し、加害行為がエスカレートする。⑥いじめの犯罪化。⑦サイバーいじめの増加。(匿名でネットでの中傷など)⑧保護者の学校批判と和解が困難となる。と教えていただきました。
 
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欧米でのいじめ対策指導は、日本の教師主導と違って、子ども主導だそうです。松浦先生の取り組みもご紹介いただきました。「ピア・サポート(仲間を助けるの意)授業」を和歌山大学の学生さんと作って、実際の中学校で授業を行っておられます。その授業では、生徒に良い話の聴き方、悪い話の聴き方を体験させ、どう聴いたら相手に気持ち良く話してもらえるのかを生徒自ら気づかせ、聴く力を伸ばすということに取り組んでおられました。
相手の話を聴くというのは、人間関係を築くための基礎となるものです。聴く力を伸ばせば、その相手に悩み相談もしやすくなります。いろいろ話ができるということは、人間関係も深くなります。いじめが発生しても、深い人間関係の中で生まれた仲裁能力が上手く働き、早期の段階でいじめの芽を摘み取ることにつながるのではないでしょうか。まさに子ども主導の解決方法です。教師だけの力では限界があります。教師、生徒同士が一緒になって、いじめ問題に取り組んでいくことが大切だと感じる研修会でした。

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