2013年8月20日の記事

2013.08.20

白浜夏合宿リポート~人間環境デザイン学科 加藤ゼミ

人間環境デザイン学科の加藤です。私が12年前に設計した白浜にある別荘(もちろん私のものではない)のメンテナンスチェックを兼ねて、加藤ゼミ生4名と1泊2日(8/7~8)のゼミ合宿に行ってきました。天候にも恵まれ、快適な小旅行となりましたので、報告させていただきます。   私の授業「インテリアデザイン」で、開口部・素材・家具等の話をするのですが、この別荘を題材として説明したことも多く、学生が実際の竣工現場をみることの必要性を感じていました。今回、施主のご厚意でこのような研修が実現したのですが、もう二度とない最初で最後のチャンスであったのかもしれません。   別荘は白浜の海がパノラマで見渡せる絶好のスポットにあります。     ころげそうな急勾配敷地に建っているため「ころげ荘」と命名されました。建築家吉村順三の名作「小さな森の家」をお手本にしてローコストながら一生懸命にデザインした思い入れの強い作品です。       12年も経過しますと、ところどころにほころびが出てくるものです。大事なのは愛情をもってメンテナンスをすることです。1300年前の法隆寺が今でも美しさを保っているのは、実はメンテナンスの賜物なのです。ゼミ生もメンテナンスの重要性を肌で理解したのではないでしょうか?夜は遅くまで建築のこと、インテリアのこと、デザインのこと、その他モロモロのこと?を皆で語り合いました。 2日目は豪華ホテル川久・ロビーの見学(永田祐三設計)、なかへち美術館、熊野古道散策などしっかり研修をしてきました。やるときはやるのです! あー、楽しかった。皆さんお疲れさまでした!         瀧井朋子(プロジェクトゼミ3回生)  ※プロジェクトゼミ…2・3回生合同のゼミ ●ホテル川久 建築のテーマは「別天地」、世界各地から材料と職人を集めて建てられました。     その総工費は300億円もしたそうです。ロビーに並ぶ26本の柱は、ヨーロッパの古典技術である石膏マーブルという技法が使われていて、柱1本でなんと1億円。民家やお店などの普通の街並みを通り抜けると突如現れ、その建築の迫力に息をのみました。 とてつもない異彩を放っており、本当に足を踏み入れていいのかと少し不安になるほどです。 中に入ると独特の空気が漂う空間で、昔のヨーロッパにタイムスリップしたような感覚になりました。壁や天井は細かいところまで装飾が工夫されていて、とても興味深かったです。     神垣友里奈(プロゼミ3回生) ●熊野古道なかへち美術館 建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞に2010年、日本人として4人目の受賞という快挙を成し遂げた妹島和代(せじまかずよ)氏と西沢立衛(にしざわりゅうえ)氏。世界から注目されている2人の共同設計作が、このなかへち美術館です。     初めて彼らの建築を見て素直に凄いなと思いました。 ガラス張りの四角い建物の中に、また四角い建築が入れ子のようになっていて、休憩室に配置された家具もチャーミングで感激しました。 自然光が室内に差し込んできて、とても気持ちよく、ここでもっとのんびりしたいなと思うような美術館でした。今回、実際に見ることができ本当にいい勉強になりました。   高橋大亮(卒ゼミ4回生) ●ころげ荘 外観は黒っぽく落ち着いた雰囲気だったのですが、一歩室内に入って驚きました。     大きな開口部から海と山が一望でき、宙に浮いたようなウッドデッキに出ると白浜の自然が身体に直接感じられるのです。 内装は無垢の木材と白を基調とした爽やかなインテリアでした。 築12年ということで壁や鍵などは若干傷んでおり修繕が必要でしたが、想像していたより遥かに綺麗で施主の方がこの建築を大切にしていることが伝わってきました。 デッキから見た夕陽は今でも瞼に焼き付いています。     私事ですが、滞在中に受験していた設計事務所から連絡があり、内定をいただきました。私にとって一生忘れることのできないゼミ合宿になりました。       北林将馬(卒ゼミ4回生) ●熊野古道 現在、私は奈良商工会様からの依頼で産学連携・避難タワーのデザインに取り組んでおります。 そのネーミングも提案させていただき「森のクマゲラ」という名前にほぼ決定しました。 クマゲラというのは鳥の名で森の守り神とも言われています。避難タワーは人々を守るタワーであり、さらに避難タワーのカタチも森をイメージしたデザインのためピッタリと思いネーミングしました。 今回、和歌山で合宿ということもあり、熊野古道や海岸を視察しておきたく合宿に参加しました。 実際に海などを見て「やってやろう!」という気持ちが高まってきました。 大きなプロジェクトでプレッシャーはありますが、自分らしく気負わずにやっていこうと思っています。