2015.10.01 

日本老年看護学会 2015年度生涯学習支援研修 基礎編(関西)が、畿央大学で開催されました。

9月27日(日)に日本老年看護学会による2015年度 生涯学習支援研修 基礎編(関西)が畿央大学L101講義室にて、開催されました。今までで最高の122名の参加があり、13:00~16:15の予定が延長となり、17:00近くなっても講師への質問が終わらず列をなすなど、熱気と興奮と意欲にあふれた講演会でした。
 
日本老年看護学会は、老年者への看護とその問題点を整理し、老年看護学としてのいっそうの理論的発展に向けて努力するとともに、老年看護専門職の育成に尽力していく組織として、1995年に設立された学会であり、老年看護に携わる実践者および老年看護学の教育者が、基礎的、実践的および応用的な知識とスキルを獲得することを目的とする生涯学習支援研修を毎年、実施されています。(日本老年看護学会HPより)
 
【プログラムⅠ】
「認知症高齢者の基礎知識とアセスメント」       講師:西 千亜紀氏(秋津鴻池病院 認知症看護認定看護師)
西先生のお話では、認知症の症状と要因・誘因や主な4病型の特徴と症状とその対処法についてわかりやすく説明され、新たに理解を深めることができました。そして、認知症医療の鍵は看護師が握っており、どれだけ高齢者の特徴と認知症の病態を理解しアボケイトとしての役割を担うかということが大切であると話されていました。またスタッフの教育も大切で、スタッフにストレスが出ないように必要時には支援をすることも必要であると述べておられました。
 
【ブログラムⅡ】
「急性期病院の認知症高齢者に対するケアの倫理と実際」 講師:柴田明日香氏(市立豊中病院 老年看護専門看護師)
柴田先生のお話では、急性期病院が患者の在院日数が短縮される中で、「患者が最後の時まで自分らしく過ごせるように支援する」ことが、看護師の役割であると話されました。急性期病院に入院した認知症高齢者の尊厳を支えるケアについて、また、認知症高齢者の入院で起こりやすい、せん妄について意識して関わることが必要であると事例を交えながら話をされました。薬にばかり頼るのではなく、個別のアセスメントと看護をすることが、患者のせん妄を予防したり、早期に治るのだということがその実践報告からうかがえました。
 
2013年に全人口に占める65歳以上の高齢者の割合が25.1%となったわが国では、認知症高齢者数も増加しており、予防対策も必要ですが医療現場での看護師のかかわりは、認知症高齢者の生活と尊厳にかかわる重要な問題です。それだけに日々の看護で、よりよいかかわりをしたいと考える看護師が多いことが、今日の参加者の多さににつながっているのだと改めて感じました。また、奈良県の本学で研修会が催されたことも意義あることだと感じ、畿央大学看護医療学科の老年看護学の山崎尚美教授を始めとする教員6名が運営協力員として参加させていただきました。
 
1
 

看護医療学科 講師 南部登志江

 
【※語句説明】
せん妄・・・軽度ないし中等度の意識混濁に幻覚が加わり、不安や興奮をともなっている状態。高齢者はせん妄を起こしやすい病気が多いことや薬の影響、入院や治療など環境変化による影響を受けやすく、せん妄を起こしやすい。
アボケイト・・・本来個々人が持つ権利を何らかの理由で行使できない状況にある人に変わり、その権利を代弁・擁護し、権利実現を支援すること。

この記事をシェアする