2015.10.19 

「ハンセン病療養所訪問学習を通しての学び」報告会を開催しました。~看護医療学科

第13回畿央祭ウェルカムキャンパス 看護医療学科企画
「ハンセン病療養所訪問学習を通しての学び」報告会

-あなたにも知ってほしい ハンセン病とともに生きる人々のことー

 
10月17日(土)畿央祭・ウェルカムキャンパスにおいて、看護医療学科4回生のプロジェクトメンバー9名による『ハンセン病療養所訪問学習での学びの報告会』を開催しました。この企画は、8月25・26日に岡山県の長島愛生園と邑久光明園を訪問した「健康学特論」履修生29名の中からプロジェクトメンバー9名を選出し、「健康学特論」でのグループ発表の内容をさらに再編・統合し、自分たちの事前学習のときに感じていたことと現地での見聞を通して感じ、考えたことを中心に「見学学習に参加する人たちに知ってほしいこと・伝えたいこと」を報告しました。
 
プロジェクトメンバー9名のうち、6名の学生は保健師課程の臨地実習中であり、他の学生も国家試験の勉強をしなければならない中、リーダーの岸君を中心に発表内容を検討し、パワーポイントの作成、発表練習に励みました。また当日の配布資料として、奈良県中和保健所より奈良県作成のハンセン病パンフレットをご提供いただきました。
 
プログラムは第1部として長島愛生園歴史館学芸員の田村朋久氏を招いての講演、第2部として学生の学びの報告の後、参加者全体での意見交換を行いました。
 

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講演では、田村氏から、ハンセン病に対する国の対策の歴史や療養所での生活など貴重な資料や写真を提示して、わかりやすく講演していただきました。
続いての学生の学びの報告では、ハンセン病における隔離対策や断種、国内外での差別、医療と看護などについて人権の観点から、事実だけでなく自分たちで見て聞いて感じたことや考えたことを中心に報告しました。主な内容は、療養所での生活は厳しく、疾病の治療に専念する実態ではなく、自分たちで住居を建て、食料を自給自足し、逃走や反抗的な態度をとれば、監禁室に監禁され、自殺する人や栄養失調等により死亡した人の遺体を患者自ら火葬しなければならないなど、想像を絶する状況の中でも、祭りや芝居、文学など“人らしく”生きるための楽しみや希望を持ち続けていたことを報告しました。
 
元患者の自治会長さんの語りを聞いての学びでは、療養所での過酷な生活のほか、里帰り事業で奈良まで行っても家には帰らないでほしいとの家族の申し出に実家に帰ることができず、母親の死も第三者から聞いたことなどの体験や「人間が人間をしばってきた歴史を残したい」と国の補償を求める活動を始めたときに療養所内外で迷惑だと反発されたことなど、学生なりに自治会長さんの思いを理解したことを報告しました。自治会長さんが奈良県出身ということで、偶然の一致ともいえる何かのご縁を感じたものです。
 
参加者は延べ28名で期待していたよりも少なかったのですが、参加してくださった方は、非常に熱心に聞いてくださいました。意見交換では、それぞれの発表を聞いての感想や思いを述べていただき、学生の発表を通して、今まで知らなかったことがわかりやすく報告されていて、よく理解できたこと、自分自身もぜひ長島愛生園に行ってみたいと感じたことなどの感想がありました。特に本学の看護学生においては、看護学のカリキュラムの中でハンセン病について学習することは、保健師課程を選択の学生のみで、「病名は知っていたけれど、今日聞いたことは知っておく必要があると感じた」とアンケートに綴られており、保健師課程選択学生以外にも学習する機会を設ける必要性を感じました。
 

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田村氏からは、見学後に一般の方に向けての報告会が開催されることは少ないので、非常に意義があることと、学生の報告に対する真摯な姿勢が感じられ、ぜひ看護者となってもその思いを持ち続けてほしいとの嬉しいエールをいただきました。
企画者として、厳しい時間調整の中、最後までやり通した9名のプロジェクトメンバーの頑張りを称えたいと思います。
 

畿央祭ウェルカムキャンパス企画担当
看護医療学科教授 松本泉美

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