2015年12月17日の記事

2015.12.17

平成27年度 臨地実習指導者研修会を開催しました~看護医療学科

2015(平成27)年12月12日(土)午後よりP302講義室において、看護医療学科「臨地実習指導者研修会」を行ないました。 この研修会は、看護医療学科の臨地実習指導者および本学教員が学生の看護実践能力の向上に向けて協働し、効果的な実習指導を行うことを目的として、また日頃の学生指導を振り返るとともに相互の交流と親睦を深める機会として年1回開催しており、今回で4回目となります。 当日は暖冬の影響か、12月にしては暖かい日となりましたが、各施設・病院から41名の臨地実習指導者の方々にご参加いただきました。 第1部は、大阪府看護協会理事・看護師職能委員会Ⅱ委員長 社会医療法人美杉会佐藤病院理事・看護部長 認定看護管理者の髙須久美子先生に、「“いまどきの新人看護師”の特徴について -特に早期離職の問題に焦点をあてて-」というタイトルでご講演をいただきました。     先生のご講演から、内容をかいつまんでご紹介したいと思います。 新人看護師は、専門的な知識・技術が不足しており、医療事故を起こさないか不安であると悩んでいます。また、その不安が離職の理由にもなっているようです。新人看護師の離職・退職理由として、よく挙げられるのが「人手不足で新人なのに頼れる先輩がいない」、「仕事の覚えが悪く、周りに迷惑ばかりかけてしまう」というもので、人間関係のストレスや業務に体や心がついていけないことが多いようです。また、新人看護師にせよ看護学生にせよ、指導者や教員とは年代が異なることが多く、褒められて育ったなど、若い世代の特徴を汲むことが大事です。また、悩みを抱えている新人看護師に対し、指導の方法もそうですが、例えば、一人でご飯を食べている、食欲がないなどの「サインを見逃さない」ことが重要です。 効果的なコミュニケーションのためには、相手を理解し、相手が受止めやすい形で伝えたいことを伝えることが必要です。そのときに有効な手段の一つが「リフレーミング」です。半分の水が入ったコップを「もう半分しかない」と捉えるか「まだ半分ある」と捉えるか、人によって価値観という枠組み(フレーム)が異なります。そのフレームを別の視点から見るようにするのがリフレーミングです。リフレーミングを行うと、人間関係も好循環のスパイラルを生むのではないかと思います。     非常に素晴らしいご講演でした。先生のご講演を伺いながら、「臨地実習の現場(新人看護師)」も「大学の現場(学生)」もやはり共通した問題を抱えていると感じることができました。 第2部では、「早期離職の問題と基礎教育の在り方について」というテーマで、指導者のみなさまと教員の混合編成により9つのグループに分かれ、白熱したディスカッションを行いました。その後、各グループより発表を行いました。     各グループの『若い看護師・看護学生を育てるには、どうすればよいか』の発表の要点は次のような内容でした。 ・「現状を理解し、すべてを受け入れる心を持つ」 ・「見守り続ける・認める・評価する。ささないな一言をかける。先輩ナース(教員)が行っているコミュニケーション+看護を実際に見せる」 ・「新人看護師(学生)の特徴を理解し、先輩ナース(教員)がフォローしながら成長させる」 ・「達成感を得る、誰が聞いてもわかるようにする、適材適所、自身の看護を見つめなおす」 ・「次世代を担う人材を育てる気持ちで、学生時代に受け持った患者さんのようにスムーズにいかないこともある、そのギャップがわかるように育てていく」 ・「新人ナース(学生)も人間だ!頭ごなしに怒らない」 ・「達観-仏の心、抱え込まない」 ・「看護の素晴らしさを体験。学生の個性を引き出す」 ・「教えることは学ぶこと」     最後に、第1部にて講演いただいた髙須久美子先生、本学看護医療学科長の河野由美教授から講評をいただきました。   どれも納得のいく「なるほど!」と思えるようなことで、非常に貴重な示唆を得ることができました。しかしながら実際におこなっていくには少し工夫が必要なこともあります。1部、2部両方を通じて、臨地実習指導者も教員も同じ課題を抱え、かつ「同じ思い」を共有しながら前進していける関係であることがわかり、本研修会を催して本当によかったと思います。また研修会のアンケートからも、このような場を設けることの意義をご記入いただいたものもあり、実りの多い研修会でありました。 今後も臨床側、大学側が「同じ思い」で進みつつ、学生に還元できるよう努力を重ねていきたいと思います。   看護医療学科 准教授 文 鐘聲