2016年6月1日の記事

2016.06.01

奈良県認知症ケア専門士会総会・第5回研修会を開催!~看護医療学科教員レポート

5月29日(日)奈良県認知症ケア専門士会総会および第5回研修会が畿央大学L302、L303講義室にて開催され、計44名が参加されました。     研修会1部は武田以知郎先生(明日香村国民健康保険診療所所長)をお招きして、『地域包括ケアシステムにもとづく認知症ケアのあり方-認知症ケアの話題-』をテーマにご講演頂きました。   最初は「ふたり一組になって握手と笑顔で挨拶をしてください」と武田先生からお願いがあり、握手と笑顔で参加者同士が打ち解けて講演がスタート。認知症の基礎を簡単に復習したあとは、今日のメインテーマである「認知症をよく理解するための9大法則」として、今話題の地域包括ケアの例や奈良県内の認知症カフェについて、政策を中心に最新の知見の報告をしていただきました。また、認知症ケアの薬物療法、非薬物療法についてもユマニチュード®やバリデーションなどの実際も紹介されていました。一方的な講演ではなく随時ペアワークを取り入れ日常ケアをしている認知症を持つ方の様子を思い出したり、ロールプレイでケア提供者の役を演じ、普段の自分のケアを振り返ったりの楽しく和やかな講演会でした。   ※ユマニチュード®:体育学を専攻する二人のフランス人、Yves Gineste (イブ・ジネスト)とRosette Marescotti (ロゼット・マレスコッティ)によって作り上げられた35年の歴史を持つ、知覚・感情・言語による包括的なコミュニケーションに基づいたケア技法(ジネスト・マレスコッティ研究所 日本支部HPより) ※バリデーション:アルツハイマー型認知症および類似の認知症の高齢者とコミュニケーションを行うための方法の一つ。認知症の高齢者に対して、尊敬と共感をもって関わることを基本とし、お年寄りの尊厳を回復し、引きこもりに陥らないように援助するコミュニケーション法。(公認日本バリデーション協会HPより)     最後には、某寿司屋さんのコマーシャルをYoutubeで流し、模範的な認知症ケアのあり方を涙ながらに学びました。「今日の講演を聴いて明日からどうしていこうかペアで話してください」と締めくくりの課題を出されあと、武田先生の「握手で終わりましょう」の声で参加者同士、感謝の握手をして1部を終了しました。   2部は奈良県認知症ケア専門士会恒例の「専門士カフェ」です。今回は『ワールド・カフェ』・『他花受粉』を取り入れ、4人ずつのグループがお茶やお菓子を楽しみながら、ラウンド毎にメンバーが入れ替わりました。『認知症ケア専門士として今できそうなこと』をメインテーマに活発な意見交換が行われました。主な内容は認知症を持つ方ご本人に今できそうなこと、そのご家族に今できそうなことについてでした。最後は進行役の「明日からできることにすこしでも取り組みましょう」の言葉で2部も終了しました。     終了後も参加者同士の意見交換や名刺交換などが続き参加者の認知症ケアへの意識の高さを感じた研修会でした。   看護医療学科 講師 寺田 美和子

2016.06.01

第51回日本理学療法学術大会で20演題の発表、最優秀論文賞も受賞!~ニューロリハビリテーション研究センター

ニューロリハビリテーション研究センター特任助教の大住倫弘先生と私(信迫悟志)が、第51回日本理学療法学術大会に参加・発表してきました。その他、理学療法学科と健康科学研究科に所属する多くの先生方が参加・発表されました。 今学術大会より12分科学会・5部門に分かれて行われるようになり、非常に多岐に渡る内容で全ての講演・演題を把握できませんし、私が見て・聞いたものに限り報告させて頂きます。   神経理学療法学会の「運動制御と身体認知を支える脳内身体表現の神経基盤」と題した内藤栄一先生のご講演では、腱振動錯覚の神経基盤としての反対側一次運動   野と右半球前頭-頭頂ネットワークに関するお話がなされました。腱振動錯覚は、運動を行わずして、反対側一次運動野を活動させることが可能であり、運動療法が行えない麻痺や固定肢の回復に有用である可能性を指摘されました。 実際、本研究室博士課程の今井亮太さんは、この腱振動錯覚を利用した橈骨遠位端骨折術後急性疼痛に対する介入効果を調査しており、理学療法学に掲載されたその論文「橈骨遠位端骨折術後患者に対する腱振動刺激による運動錯覚が急性疼痛に与える効果 : 手術後翌日からの早期介入  」が、本学会において、最優秀論文賞として表彰されました。このような内容が、日本の理学療法界において最も権威ある学術誌で認められたことは、本学のニューロリハビリテーション研究を推し進めていくうえで、非常に大きな勇気と力になるものと感じます。     私は、小児理学療法学会と神経理学療法学会で2つの演題を発表させて頂きました。小児理学療法学会の方では、理学療法にはあまり馴染みのない模倣抑制や視点取得といった内容を含んだものでしたが、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を使用していることもあり、多くの方にご意見を頂くことができました。私が楽しみにしていた小児理学療法学会で行われた「教育現場と理学療法士」のシンポジウムでは、羽田空港で発生した事故の影響で、ご講演者がお一人登壇できなくなってしまいましたが、特別支援学校における支援の在り方について非常に考えさせられる時間となりました。一方で、この分野は科学的追及が困難な部分がある領域かと思われますが、私の研究分野でもあり、障害を抱えた子どもたちに価値ある研究を行わなくてはならないと思いを強くいたしました。     またもう一つの演題発表であった神経理学療法学会の方では、映像遅延装置システムを用いた視覚フィードバック遅延検出課題を用いた基礎研究であり、これまた理学療法にはあまり馴染みのないものでしたが、幾つかの的確な指摘を頂くこともでき、大変勉強になりました。この神経理学療法学会や日本支援工学理学療法学会では、tDCSや経頭蓋磁気刺激(TMS)などのニューロモデュレーション技術を使用した臨床研究やロボティクス技術を使用した臨床研究が数多く報告されるようになり、ニューロリハビリテーション技術は理学療法の一手段として定着しつつあるのを感じました。 私が拝聴した研究発表はいずれも高い精度で行われており、理学療法研究が非常に進歩しているのを強く感じました。その中でも、個人的に非常に面白く、今後が楽しみに感じたのは、本学理学療法学科の前岡浩准教授の研究報告でした。独創的で、これを臨床研究として活かすためには、どのようにしたら良いか、色々と思いを巡らされる内容でした。 その他、本研究室からは約20演題の発表がありましたが、皆さんそれぞれ良いディスカッションができたようで、次の研究へのモチベーションが高まったようです。     最後に本学会においても、森岡周教授の著書『リハビリテーションのための脳・神経科学入門 改訂第2版』が、売り上げ1位だったようです(ちなみに私も分担執筆させて頂いた阿部浩明先生編集の『高次脳機能障害に対する理学療法』は、3位だったようです)。先述したように、この日本理学療法学術大会においても、ニューロリハビリテーション技術に関する研究報告が非常に多くなってきましたが、その流れは森岡教授が10年前に著された第1版から始まったと考えると、敬服いたします。   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 特任助教 信迫悟志

2016.06.01

御所市連携コミュニティカフェ開催レポートvol.45~御所市連携コミュニティカフェは、大学主体から住民主体の取り組みへ!

2014年8月に御所市と畿央大学との地域連携でスタートした「金曜日カフェ~つどい~」(御所市連携コミュニティカフェの新名称)は、今年度で3期目となりました。また、今期からは退職された人間環境デザイン学科齋藤ゼミに代わって、同学科清水ゼミへと引き継がれています。 2014年の発足当初は、大学からの依頼によりイベントのボランティア講師を募っていましたが、現在では、様々な技能をお持ちの地域住民の方々から、講師の立候補をいただいており、今年度の午前の部の講師担当は、ほとんど埋まってしまうほど人気のコミュニティカフェに成長しています。     また、2015年2月からは、御所市と学生スタッフがこれまで培ってきた運営ノウハウを生かして、地域住民の方々にもボランティアスタッフとして加わっていただき、コミュニティカフェ当日の運営を行っていただいています。このように、今後は、コミュニティカフェ当日の運営を学生主体からボランティアスタッフ主体へと移行していき、大学は事業全体の運営を裏方としてサポートしていきます。 先日、御所市の担当者の方々も交えながら、清水ゼミの学生との交流会と、第一回目のボランティアスタッフ会議を実施しました。ボランティアスタッフの皆さんからは、「『金曜日カフェ~つどい~』ができてから、それまで引きこもりがちだった生活から、金曜日は必ず出向く生活に変わり、みんなに会うのが楽しみになった」というお声や、「毎回来てくれる大学生は、孫のような存在」、「今後もみんなで力を合わせて継続していきたい」といった、お声をいただきました。また、学生スタッフからボランティアスタッフ主体の運営に代わったことにより生じた、スタッフ同士の情報共有不足の問題点などを検討し、ボランティアスタッフ主体の運営に沿ったルール作りについて話し合いました。 後日、参加した学生からは、「2年前の発足時に参加しましたが、1年ぶりに来てみると、一般の参加者だった方々がボランティアスタッフとして主体的に運営していらっしゃることに驚きました。」という意見や、「ボランティアスタッフの皆さんが、若い世代と接することを楽しまれていると感じ、自分たちも裏方として多世代交流の企画や運営サポートに取り組みたいとおもいます。」という意見が見られました。 今後は、引き続き2ヶ月に1回程度の割合でボランティアスタッフ会議を行い、運営方法の改善や大学の参加のあり方、多世代交流の方法などを検討していきたいと思います。 人間環境デザイン学科 助教 清水裕子