2016.08.29
看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.5
看護医療学科では今年度から初めて海外インターンシップを行うことになりました。今年はオーストラリア ヴィクトリア州 メルボルンで実施されることになり、8月20日(土)から28日(日)の日程で、2回生5名、4回生3名の計8名が参加しています。ラ・トローブ大学、高齢者施設や認知症ケアに関する研修センター、緩和ケア病棟を訪問し、オーストラリアの文化や歴史、その中で築かれてきた保健・医療・福祉制度について学びます。
現地リポート5:8月26日(金)
今日は、アルツハイマー病協会ビクトリアでVDT(Virtual Dementia Training)で「バーチャルに認知症の世界を体験」し、その後の講義ではそのシーンを振り返りながら、認知症とはどのような病気か、認知症の方々にどのように接するべきかについて理解を深めました。
アルツハイマー病ビクトリアは、認知症の正しい知識を、一般の人、専門家、家族などに教育する施設です。最初に、私たちそれぞれに単語と絵が書かれたカードが1枚ずつ渡され、特別な環境を作った別の部屋で全員のカードに書かれた物(単語)を覚えるという体験をしました。部屋は赤いライトでうす暗く、スクリーンにはメルボルンの町の動画が映っており、tramや車の音、人の話している音などの騒音が大きく、その部屋で制限ある時間内に(実際には「少し時間を差し上げます」という説明でしたが「早く覚えなければ」という焦りがうまれプレッシャーになっていたと後で振り返りました)10枚のカードすべてを記憶するのはとても大変でした。10人中6人しか10個全ての単語を覚えていませんでした。この部屋は「認知症を患っている方々の世界」を表現しているとの説明でした。この体験から認知症の方々はコミュニケーションが困難な状況におかれていること、普段の生活の中で不安やプレッシャーを感じているかもしれないということを学びました。
その後、認知症の人から見える生活をスクリーンで見ました。床に模様があると虫がいるように見えたり、バスマットの色が黒だと穴があるように見えたり、認知症の人には日常の生活がどのように見えているのかを体験することができました。息子が認知症の母親に対して「早くして」などプレッシャーを与えている場面を見て、家族が認知症を理解できるように情報を提供し、認知症の人とコミュニケーションをとることが大切であることを学びました。また、認知症の人ができることを増やすために、例えばシャワールームなど目的の場所に行くのが難しい場合にはドアに絵を貼っておくなど環境の調整をすることで認知症の人にとって良い環境が作れることが分かりました。その後、もう一度単語が書かれた紙を一人ずつ渡されました。今度は暗記ではなくメモをとることを許可されました。同じ部屋ですが緑のライトで落ち着いた音楽がかかっており、スクリーンには自然の風景が映っていました。一回目のようなプレッシャーがなく、全員すべての単語を覚えることができました。このことから緑や自然などの環境でリラックスし、プレッシャーを感じないような落ち着いた環境が認知症の方には必要であることが分かりました。
▲モーニングティ、いろんな種類のパンとフルーツがありとても豪華でした。
午後からは講義を受けました。まず、健康な脳と認知症の人の脳を比べ、認知症の人の脳について、どこが委縮し、そこから何をするのが苦手なのかを学びました。その中でも、特に海馬が一番委縮し、短期記憶が難しくなることや、認知症には①アルツハイマー型認知症②血管性認知症③前頭側頭型認知症④レビー小体型認知症などの多くの種類があり、それぞれの特徴を学びました。また、認知症の人へのサポートの仕方を教わり、どうやってアクティブにし、QOL(生活の質)を高めるかが重要で(社交的な認知症の人は、進行が遅くなるというデータがある)、そのために、①Know the person ②Choice and decision making ③Strengths and abilities ④Communication ⑤Environment ⑥Purposeful engagementなど、家族、本人とコミュニケーションをとり、写真、アルバムなどを見て、その人自身の興味、趣味、生活背景、できるADL(日常生活動作)をよく知り、理解し、その人に合ったアクティビティを見つけ支援することが大切であると分かりました。また、認知症の人の多くは人のやっていることの真似をすることはできるため、一つの動作が困難でも隣でやっている姿を見せたり、写真を貼ったりすることでできることが増えるということを学びました。ほかの人が手伝うよりも本人が行うことでアクティビティの引き金になり、できることが増えることで認知症の方の自信にもなることを学びました。また、講義では認知症の方に対してどのようなコミュニケーションの取り方が正しいのか話していて、認知症の方にはクローズドクエスチョンを使うなど、質問に選択肢を与えることで答えやすくすること、認知症の方の視界に入ってコミュニケーションをとることで良いコミュニケーションがとれるということを知ることができました。
▲講義が終わり、アルツハイマー病協会ビクトリアでのプログラムを設定してくださったClaire Emmanuelさんと講師のAndrew Italiaさんと記念撮影
帰りはトラムでホテルを目指しました。皆で反対方向に向かってしまうなどハプニングがありながらも、今日も無事にホテルに戻り講義の振り返りショートカンファレンスを行いました。すべてのプログラムが終了!ということで、先生、生徒全員で中華料理のディナーです!多くの人で賑わっていて、本格中華でとても美味しかったです。
その後、ホテルへ帰る途中、綿あめなど食べている人を見かけ、お祭りを近くでやっているのですかとホテルマンに英語で尋ねるとYes!fashion festival!と言われ、探してみると、ネイル、ヘアセット、メイクアップ、綿あめなど無料でスタイリングしてくれる通りがあり、若い女性たちが長蛇の列をつくっていました。綺麗な人が多く、また街中に設置されたバスケットエリアなどがあり、とても活気がありました。
今まで勉強して学びを深めてきましたが、明日はLa Trobe大学の生徒に案内してもらいながら、一日観光をしてきます。
看護医療学科2回生 高田咲貴 種山美里
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