2017.06.12 

学生広報スタッフblog vol.225~看護医療学科「離島・へき地医療体験実習」レポート!

生広報スタッフ、看護医療学科4回生の當摩です。4回生の必修科目である「離島・へき地医療体験実習」に行ってきましたのでレポートしたいと思います!
この実習は、既存の資料のみでは知り得ない住民の生活、健康課題の背景や健康生活への工夫など、住民との積極的な交流を通して、地域で「生活する人々」の健康問題を統合的に捉え、また生活の質(QOL)の向上をめざした看護活動を展開する能力を養うとともに看護の役割を理解することを目的に行うものです。
 
4月10日(月)~5月11日(木)
まずは学内で事前学習をしました!文献や自治体のホームページ等から実習地がどんなところなのかを調べ、地形や人口、そこからの健康課題は何か、実際に現地ではどのような活動を行い、どんな情報を得たいかといった具体的な行動計画を学生同士で話し合い、まとめました。
5月16日(火)~18日(木)
奈良県内5か所(宇陀市・川上村・五條・野迫川村・山添村)の実習地に分かれて現地実習を行いました!私は、この実習で奈良県の東北端の大和高原と呼ばれる一角にある「山添村」に行ってきました!今回の実習では、村民の生活と健康の関係を考え、島民の顔が見える看護を理解することができたと思います。
私達はまず、村の保健福祉センターで村の概要について説明をしていただきました。さらに、村に3つある診療所のうち2つを兼任している医師と看護師から、村の医療についての説明もしていただきました。また、実際に診療所に受診されている方々にもお話を聞くことが出来ました!!
 
【左】保健福祉センターで説明を聞く様子 【右】医師と看護師の方からの説明
 
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医師が少なく、医療体制は大変なところもありますが、医師は村民が少しでも長く地域で生活できるように工夫されていることを学びました。また、村民の方々も医師のことをとても信頼しておられ、関係性が深く一人ひとりと向き合った医療がされていると分かりました!
 
【左】診療所の入り口 【右】診療所の待合室
 
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さらに、自分たちで三ケ谷地区の道を実際に歩き、坂が多いことでの移動の大変さも実感しました。
 
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村の地形や、それに伴う大変さや医療を学んだうえで、村民の健康状態を知るために骨密度測定会を行いました!
 
【左】骨密度測定 【右】測定後に説明する様子
 
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測定後は、数値について村民に説明させていただいき、村民の普段の食事傾向や運動習慣をインタビューすることで、山添村での生活と骨の健康状態との関係性について考えることが出来ました。また、茶話会を行いながら親交を深めました。村民の方々に、村の事や村での生活についてたくさん教えていただきました。とても楽しい時間を持つことができました!
 
また、山添村で活躍する“コミュニティナース”という方のお話も聞くことが出来ました。
コミュニティナースとは、病気なのかどうかは関係なく、地域で生活する人を対象としています。地区踏査などを行い、日常的に住民と接する機会を作ることで、普段から健康意識を高めるアプローチや病気の早期発見、医療や福祉・行政機関への橋渡しなどを行っている方です。
お話を聞き、地域で情報を収集するうえでのスキルや、より収集したい情報を知ることで、地域を知り地域に合わせた看護とは何かについても考えることが出来ました!
 
【左】コミュニティナースのお話を聞く様子 【右】大和高原民俗資料館
 
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また、旧豊央小学校内にある大和高原民俗資料館を訪れました。そこは文化活動を通じて、山添村の歴史を受け継いでいくために「大和高原文化の会」を発足させ、その会を中心に展示を行っています。展示物は手作りや住民が持ち寄っているものです。そこで私たちは、村民の方々に案内していただき、山添村の歴史や文化を知ることが出来ました!
 
 
また、学生は3つのチームに分かれ、村のことをもっと知るために行動しました!母子チームは、村の保育園・小学校・中学校に訪問しました。そこで、少子化ではあるものの、山添村の村民の方は子どもの教育や安全に対する思いが強いため、ICTの充実,トイレの改修,空調設備の充実といった環境が整っていることを知りました。
成人グループは、村の直売所である「花香房」と、人口の維持や村の活性化に生かせるような取り組みをしている「かすががーでん」へ行き、産業の見学や、そこで働く方々の健康や生活についてインタビューを行いました。そこで、無理な姿勢や重い荷物を持つことでの疾患や、機械を使用することによる怪我といった、産業と疾患の関係性を知ることが出来ました。しかし、日々の暮らしに自然や伝統が溶け込んでいるので、村の自然や文化が残っている場所を大切にし 受け継ぐことが大切だと学ぶことができました!
 
【左】花香房の様子 【右】かすががーでんでの茶摘み体験の様子
 
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高齢者グループでは、北野地区の公民館周辺を実際に歩き、観察を行いました。また、高齢者サロンでいきいき百歳体操を実施し、その後に参加者の交通手段や健康についての意識調査を行いました。
そこで、村内でも地区によって地形が違い、土地の利用方法も違うと知りました。
また、いきいき百歳体操を始めてから、体力と筋力の向上を実感できたという利用者の声もあり、サロン活動の効果が見られていることを知りました。住民がこのようなサロン活動などを継続できるよう、保健福祉の公的機関が支援する役割を担っていることを学びました。
 
▼地区にある重要文化財の神社
 
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実習終了後
現地での実習後、冬木ホールで“離島・へき地医療体験実習 実践報告会”を行いました。
 
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各実習地域に分かれて行った実習内容を、報告し合いました。実習地域により、人口や高齢化率、地形と様々な違いがありました。どの実習地域も、へき地であることのデメリットがありました。しかし、今回の実習では、へき地であることでのデメリットだけではなく、都市部が近いことや通学バスを運行していることなど“地域の強み”を見ることが大切だと学びました。
また、急な山道の場所で生活されていても、生まれてからずっとその場所で暮らしている方のお話より、自分の生活したい場所で生きることの意味を考えさせられました。
こういったように、私達は今回実習を通して、骨密度測定会に来られた方や診療所の受診者の方、また産業での働いている方といった、様々な方から話を聞くことができました。
その中で、その方々はそれぞれ違った生活をし、違ったニーズを持っているということを知りました。
そしてそのニーズを知り、生活する一人ひとりに合った看護を考えるためには、その方や家族の情報だけでなく、文化的習慣や価値観、普段の地域での生活を知る必要があると学びました。
 
地域を構成するのはそこで生活する人々であり、地域を知るということはそこで生活する人々を理解することであると考えました。そして、人々が地域で長く暮らすためには地域全体で一人ひとりを支援する必要があることがわかりました。
今後、看護者として対象となる人の生活や価値観を大切にしながら、関係者と連携し継続して予防の視点も持ち支援していく必要性を考えることができました。たくさんのことを、楽しく学べた実習となりました!機会があれば、是非また行きたいです。
 
村民の方々や診療所の方々、先生方、本当にありがとうございました!!
 

健康科学部 看護医療学科4回生 當摩宥佳

 
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