2017年7月20日の記事

2017.07.20

日本における感染症対策ーハンセン病の歴史ーを学ぶ~看護医療学科

2017年7月17日(月)、第14回目の授業となる2年次配当「地域看護学概論」と4年次配当「健康学持論(保健師選択科目)」で岡山県瀬戸内市にある国立療養所長島愛生園歴史館から学芸員の田村朋久様を講師にお招きし、合同講義をしていただきました。     日本における感染症対策―ハンセン病の歴史― 地域看護学概論は、看護活動の場の一つである「地域」を生活の基盤として捉え、地域で生活する人々の健康特性・健康課題を認識し、健康レベルに対応した看護活動について学ぶ科目です。個人に対する看護だけでなく、個人の集合体であるコミュニティー(地域・学校・産業・国際保健)における看護の理論や健康政策・法律など健康支援システムにについて学習します。また医療従事者として、人間の尊厳や生命への畏敬について理解し、人の痛みや健康への願いを汲み取ることができる感性を養うことをめざしています。また、ハンセン病の学習については、2015年から4年生の保健師選択科目「健康学特論」で取り入れましたが、看護者を目指す学生に正しい知識と現状を理解してもらいたいと、2016年からは全員が履修する地域看護学概論の授業に組み込んでいます。   田村様には、3年前から本学での講演や講義をお願いしています。授業の前に事前学習として、学生のハンセン病に対する学習経験や、ハンセン病に対するイメージを書いてもらい、また疾患について調べてもらいました。 小中高および大学での人権教育や他の授業で、アニメーション映画の「もののけ姫」で全身に包帯を巻いた人々が、ハンセン病の人々であると聞いた学生が1割ほどで、発病することで療養所に隔離収容されてきたことは理解できていました。 講義では、パンフレットを2種類提供していただき、ハンセン病の歴史から、療養所および島内での人々の生活をわかりやすく説明していただきました。そして島内で60年生活された方が、住み慣れた我が家を追われるようにして療養所に来たこと、療養所では別名を名乗り、ご両親の死去さえ連絡されない状況での思いをとつとつと語られる姿を映像にした貴重な動画をみせていただきました。語られた方がすでに亡くなられた方であるとの話を聞いて、学生も真剣に観ていました。     授業後の感想では、想像していたよりも過酷な状況に置かれていたこと、そして、病気そのものは治っていても、後遺症を抱えながら生活されていることが理解できたことや、無知や無関心による差別を無くしていくことの大切さを考えることができたという記述が多くありました。 4年生の保健師資格取得をめざす19名と看護医療学科の希望学生5名の計24名は、19日に長島愛生園を訪問し、実際に国立療養所の職員の方や、島内で生活されている方のお話と聴き、さらに学習を深めていきます。                看護医療学科教授 松本泉美 【関連記事】 ハンセン病療養所長島愛生園を見学~看護医療学科