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がんから学ぶ「生」と「死」~看護医療学科「終末期ケア論」レポート

2018年4月23日(月)

平成30年4月20日(金)、看護医療学科3年次配当「終末期ケア論」で外部講師をお招きしました。この授業は選択必修科目のひとつで、誰にでも訪れる「死」について考え、終末期の対象が抱く多くの苦悩を理解し、適切な症状マネジメントができる看護師をめざして、今年度も90名が受講しています。

 

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第2回の授業となった4月20日(金)には、自らもがんと診断され苦しい治療を乗り越えて現在は奥様と二人、大宇陀グループホームラガールで静かに余生を過ごされている上西昭様に講義をしていただきました。

 

終末期ケア論 看護医療学科2-1

 

上西様は、教育者として長年活躍され、社会福祉などにも幅広く従事された経験をお持ちです。また、僧侶として、多くの命と向き合われただけでなく、死を前にして誰しもが抱く心の苦悩をケアされていました。そのようなご経験から、ご自身の病気や苦痛の体験さえも非常に達観された考えで受け止めておられます。

 

講義の中では、自身が幼少のころ、戦争を経験されたことから得た教訓や、病気で腕を切断した画家の友人から「これだけの腕が残って喜ばなければ・・」という言葉を聞いたときの気持ちを学生に伝えてくださいました。そのことに対して多くの学生が「失ったものを悲しむのではなく、今あるものに感謝し喜ぶことが大切だと考えて、自分たちも過ごしていきたい」と共感していました。

そして、ご自身が体調不良を自覚して複数の医療機関を受診した結果、肺がんと診断されたときの経験をもとに「がんは高齢者のみならず、若年の人も罹患する病気なので、体調不良がなくとも健康診断を受けて早期発見に努めてほしい」という啓発の言葉もいただきました。

肺がん治療中に同じように励ましあって治療を受けていた患者さんが亡くなられた経験の中で「私よりもはるかに若い方が先に逝かれた。年齢が若い方ががんの進行は早いので、若い方も十分に自身の健康を気遣ってほしい。」という気持ちを伝えてくださいました。

 

終末期ケア論 看護医療学科3-1

 

加えて、自身が経験した疾病体験や患者体験から

「苦しい人には、上下関係のない人としての向き合いや寄り添いが一番の支えになる。心から耳を傾ける。他事に関心を向けず、手を握らんばかりに気持ちを聴くことが大切です。また≪寄り添い≫とは、患者と同じ方向を向いて歩んでいくことです。」

と、看護を志す学生が忘れてはならないケアの礎となる言葉をいただきました。

 

最後に、ご自身が保護司として寄り添った身寄りのない方が、ご遺体を献体にささげられたときに「まだ、温かい今にも息を吹き返しそうな遺体を抱えて献体のお手伝いをしたことがきっかけで、自らも夫婦で献体する意思決定をしました」と話されました。この授業では、脳死判定や意思決定についても大きなテーマとしており、学生自身も命や死を深く考えるきっかけとなりました。

 

終末期ケア論 看護医療学科4-1

 

体調が万全ではない中、早朝より1時間以上かけて大学に出向いてくださった上西様でしたが、約45分間の講義のあとも学生が看護師として持ち続けるべき志をご自分の言葉で丁寧に伝えられました。

学生からは「今日のお話を聴いて、寄り添いや今あるものを喜ぶことの大切さを学びました。後期からの臨床実習を前に、いまは毎日大変ですが患者さんに寄り添い、心で仕事ができる看護師になれるよう頑張ります」とお礼の気持ちを述べました。

 

終末期ケア論 看護医療学科5-1

 

これから、高齢化がますます進み、多死社会を迎えるという背景のなかで看護師になる学生には、「人間の死に接近できる死生観」を養ってほしいと考えています。「その人らしく生を全うする過程を承認し支えられる看護師、終末期の患者さんから頼りにされる看護師」となってくれる人財が畿央大学の出身者から多く生まれることを願って、今後も創意工夫を凝らした授業を展開していきたいと考えています。

私たちも上西様から教えられた「仕事は心でするものです」という言葉を胸に、学生と寄り添っていきたいと思いました。

 

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上西様、ほんとうにありがとうございました。また、ご多忙な中、授業に来てくださった学科主任の山崎先生にお礼申します。

 

                      看護医療学科教員 對中百合、大友絵利香

 

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【所属カテゴリ】畿央の学びと研究看護医療学科

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