2018.05.30 

「エンゼルメイク」の演習を実施!~看護医療学科「終末期ケア論」

看護医療学科3年次に選択科目として開講している「終末期ケア論」ですが、今年も83名履修登録がありました。この授業では、外部からがん末期を生きる患者さんを迎えての講義やホスピス見学など、多彩な内容を盛り込んで多死社会を迎えるなかで「死にゆく対象の理解」を深め、適切な援助技術を理解することをめざしています。
 
終末期ケア論 看護医療学科1-1
 
今回は、臨死期の看護技術の一つである、エンゼルメイク(逝去時に身体や頭髪をきれいに整え、故人の生前の表情や血色に近いメイクを施し、「旅立ちにむけた整え」を行うことについてレポートします。
 
平成30年5月25日(金)の授業では、闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージや汚れを除去し血色の良いお顔になっていただくためのエンゼルメイクを演習しました。
 
▼しわを伸ばし、表情が柔らかくなるようにマッサージする様子
fsdgsf1
 
この授業は、8名の男子学生も履修してくれていますが、女子と違って普段メイクをしない分マッサージや化粧に不慣れなようでした。しかし、丁寧なマッサージの様子から亡くなられた方の最期に関わる看護師の役割について、深く考えてくれていることがうかがえました。
 
▼ファンデーションで顔色を整え、眉を描く様子
ss1
 
使用しているモデル人形は、すべて同じ顔をしていますが、グループ毎に特徴のあるメイクを施し、眉が凛々しいものやナチュラルで血色のよいもの、穏やかで安らかな表情のものなど、みんな違った顔が出来上がってきました。
中には「私の顔とよく似ているでしょ」と人形のメイクも現在風に仕上がったグループもありました。
 
▼ご遺体を想定した人形へのメイクは自身の化粧とは違い難しい・・・
終末期ケア論 看護医療学科4-1
 
グループで協力して、メイクを仕上げ旅立ちの準備を整えた学生たちは
「逝去されたあとの化粧というと、とても難しい」
「ご遺族がどのような表情を希望されるのかを伺ってメイクしたい」
「元気なころを思い出していただけるような血色を実現できた」
「耳たぶに少し赤味をいれることで数段見栄えが良くなった」
「ご遺族が希望されれば、一緒にメイクしていただきたい」
「最期のときに関わらせていただくので、敬意をもって丁寧なケアを心がけたい」

など、演習後にそれぞれの感想を述べていました。

 
わが国では、核家族化や8割を超える人が病院で死亡しているという社会背景があり、若者が近親者の死を看取る機会も少なくなっていますが、学生はこの授業を通して
いつも祖父が亡くなったときのことを思い出して、そこでの経験と授業内容を重ねて考えています」
「家族として臨終のときに看護師にしてもらったことで嬉しかったことを自分もして差し上げたい」
「祖母を看取ったとき、授業で習った臨死期に出現する症状が出ていた」
「最期のときに、この看護師さんに関わってもらえてよかったと家族に思ってもらえるケアをしたい」

と自身が経験したこと、授業で得た学びを紡ぎながら死生観や看護観を構築してくれています。

 
 「最期の数時間に起こったことは、残された者の記憶に留まりつづける」
といわれているように、お別れの時に穏やかな表情で送ることは、遺族ケアの第一段階であることを学生と共有できた貴重な演習となりました。
 

看護医療学科講師 大友絵利香

 
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