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緩和ケア病棟を見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」

2018年6月6日(水)

看護医療学科3年生の履修科目である「終末期ケア論」では、毎年磯城郡田原本町宮古にある国保中央病院に併設される「緩和ケアホーム飛鳥」をたずねて見学実習を行っています。

今年も見学希望者15名と担当教員が飛鳥をたずねて施設内の見学や、看護師長からホスピスケアの実際についてお話をうかがいました。今回は多くの学びがあった見学実習の様子をレポートします。

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習1-1

▲「緩和ケアホーム飛鳥」の覚野看護師長から施設案内や丁寧な説明をいただきました

 

平成30年6月2日(土)見学当日は、朝からさわやかな空模様でした。国保中央病院の周囲には田畑が広がり緑も多く豊かな自然が感じられますが、見学した飛鳥の庭園からの景色は本当に美しく心癒されるものでした。学生たちは、「庭園や屋上の景色や眺めも素晴らしいですが、何よりも施設内の廊下やお部屋がとてもきれいでゆったりしているので、終末期の患者さんや家族は心穏やかになれると思います」と感想を述べていました。

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習2-1

▲飛鳥の庭園はボランティアさんたちの協力のもといつもきれいです

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習3-1

▲飛鳥の屋上庭園からは夏空を彩る大和郡山の花火が見えるといいます

 

国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥は平成17年5月に奈良県で初めての緩和ケア病棟として開設されました。それまで奈良県は岩手県と並んで県内にホスピス・緩和ケア病棟が存在しない県であったため、多くの県民にとって待望の開設となりました。それから13年が経ち、緩和ケアホーム飛鳥は医師や看護師を中心としたチーム医療のもと、積極的な治療に対して反応しなくなった末期がんの患者さんへの身体的・精神的ケアやその家族のケアにおいて奈良県の中核を担っています。ここでは、次のような基本理念のもとにケアを提供しています。

 

・あなたの人格のすべてを受け入れます

・あなたの思いや考えを大切にします

・あなたの生活を尊重します

・あなたの苦痛、その他の不快な症状を緩和します

・ご家族に対して心の安らぎが得られるよう支援いたします

 

基本理念の中で示されている、苦痛や不快な症状の緩和に必要な医療の中心が薬物療法です。緩和ケアを受ける患者の多くは痛み軽減の目的でオピオイド鎮痛薬といわれる「医療用麻薬」の処方を受けます。これらは、他の薬剤とは違って鍵のついた場所で厳重に保管する必要があることについて説明を受けた学生は、日ごろから痛みを我慢させない、安全で確実な痛みのコントロールを実現するために、現場の看護師が実践しているケアについて考えることができました。

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習4-1

▲厳重に鍵のかかる金庫に保管された薬剤についての説明を受ける様子

 

また、患者さんの生活を尊重することやご家族が心の安らぎを得ることができるよう配慮された病室や家族とともに過ごすこともできるように造られた家族室を案内してくださった覚野看護師長から「まだ幼い子供さんを残して旅立たれた患者さんは、かなり体がつらくなったときに、この家族室で酸素吸入をしながらお子さんと過ごされました。お子さんたちは、お母さんが居なくなることはわからなかったかもしれないけれど、そのときにお母さんがしんどくてつらいことはわかっていたのでしょう。母として子供と過ごされた患者さんは体がつらくても満足されたようです」というエピソードを聞かせてもらった学生は、それぞれがその状況を思い浮かべて心をうたれたようでした。

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習5-1

▲病室はすべて個室で大きな窓からみえる自然が心地よい空間です

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習6-1

▲家族室には患者さんが家族と過ごせるように酸素吸入の配管が供えられています

 

施設内を見学した後は、年に一度開催されている遺族会で上映される映像を見せていただきました。ホスピス・緩和ケアにおいて「遺族ケア」は大切なプログラムであり、患者さんが旅立たれたあとの喪失感や悲しみを理解し、家族がまた自分の新しい生活にむけて進んでいくことを支援するための取り組みとなっています。その映像を見ると私たち教員も毎回目頭があつくなります。

覚野看護師長からは「ご家族が旅立たれてすぐには、まだ気持ちの整理がつかなくて参加できない遺族も多くおられます。3年が経ってやっと来ることができた方ややっぱりつらくて今年は行けない、という方もおられます。しかし、参加されたご遺族は患者さんとの想い出の写真を懐かしみ、当時担当していた看護師と語り合うことで落ち着かれる方も多くおられます」とのお話がありました。一般の急性期病棟では、経験できない遺族との関わりを聞いた学生は「私は、患者や家族の悲しみの体験に自分自身が影響を受けやすいので、涙がこぼれてしまうかもしれません」と感情を口にしていました。それに対して覚野看護師長からは「その気持ちを変わらず持ち続けることは大切なことです。いつもいつも、患者さんや家族に共感して泣いてばかりいることは困るけれど、私たちも自分の気持ちに素直に涙することがあってもよいのです」との言葉をいただきました。

見学実習を終えた学生は終末期にある対象や家族と自身の向き合い方について新たな学びを得たようでした。

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習7-1

▲質問も出て看護師長からのアドバイスもいただきました

 

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」見学実習8-1

▲飛鳥ホールで緩和ケア病棟での看護についての講義を受講

 

わが国の、緩和ケア病棟入院料届け出受理施設(認可されたホスピス・緩和ケア病棟)数は394施設、病床数は8068床となっています(2017年)。一方がんで死亡する人の総数は年間370,000人を超えていることから、私たち看護師は、一般病床や在宅でも終末期がん患者のケアを担っていかなければなりません。学生のみなさんが社会に出たとき、今回の見学実習での学びや自身の心に響いたことを忘れずに対象と向き合ってくれることを願っています。

 

最後になりましたが、お忙しい中、貴重な学びの機会を下さった覚野看護師長様はじめ看護部の皆様に感謝いたします。

 

看護医療学科 終末期ケア論担当 對中百合・大友絵利香

 

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【所属カテゴリ】畿央の学びと研究看護医療学科

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