2018.07.18 

「急性期看護学援助論Ⅱ」患者モデルを想定した援助法~看護医療学科

看護医療学科3回生前期配当科目『急性期看護学援助論Ⅱ』では、学生たちが臨地実習に向けて多くの学びを得てきました。これまで、実習先の病院で受け持つ機会が多い疾患を対象に、8つの事例を用いた看護過程の展開を続けてきました。グループワークの時間が多く、授業外の時間も課題と向き合いながらメンバーが協力し合って、看護の方向性を見出しています。6月末から7月にかけては、これまで努力してきた学習内容を発表し、全員で共有する主旨の授業を行っています。
この授業の学習目標は、「術後看護の基本技術が修得できること」「手術を受けた患者の個別性を考慮した計画立案と実施ができること」で、この日の演習では、学生が術後の患者の状態を創り、その状態に応じた全身清拭を計画するという内容でした。
 
▼左乳房切除を受けた患者の術後の状態を想定した患者創り
急性期看護学援助論術後1-1
 
▼頭部の手術を受けた患者創りに真剣な表情急性期看護学援助論術後2-1
 
授業では、後期から始まる臨地実習を見据えて、受け持ち患者さんをイメージしたうえで、手術を受けた患者さんが順調な回復過程を辿るために必要なケアの手段を考えることを目指しています。4月からグループワークを続けてきたメンバーが力を合わせて、自分たちの患者さんについて紹介していきます。
学生は、患者役と看護師役を演じてシミュレーションをしますが、即席で設けた「ランウェイ」に登場しモデルのように振舞います。全身麻酔で手術を受けた直後の患者さんには、複数の血管から点滴がされ、手術部位にドレーンとよばれる「排液用の管」が挿入されています。また、膀胱内にカテーテルが留置された状態で排尿の管理がなされます。
このように、患者役の学生も実際にドレーンや点滴を入れているかのように、患者モデルを創りあげました。
 
▼胃切除術を受けた患者役を演じるグループ
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若くて健康な学生たちですが、実際に手術後の患者さんが装着されているものを身につけて看護師の手を借りながら、高さ約45㎝の「ランウェイ」に上がろうとすると、座った姿勢から立ち上がるまでに相当の苦労をしていました。この体験から、手術後の患者さんは痛みがあり、自由に動けない状態であるため、一つの動作をするにも大変な苦痛を伴っていることが理解できたようです。
演習の中では、ドレーンから出てくる排液の色も、実際の手術後に近い色合いになっています。これは、学生がドレーン挿入部位と挿入目的を正しく理解するためにも大切ですが、実習が始まったときに、手術後の患者さんが挿入しているドレーン排液の異常を早期発見するためでもあります。
 
▼膝関節の手術を受けた患者に包帯をまく様子
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▼人工膝関節置換術を受けた患者を紹介する様子急性期看護学援助論術後5-1
 
膝関節に人工関節を置換した事例では、一般にも広く知られているエコノミークラス症候群(下肢に形成された静脈血栓が肺に移動して肺梗塞を引き起こす症状)を予防する目的で、下腿に包帯を巻きます。学生は、包帯法についてすでに学んでいますが、膝に大きな手術創があり痛みを伴っている状態の患者さんへの包帯巻きは、簡単ではないようでした。
 
このような状態の患者さんに、全身清拭をするための計画を立て、患者さんに手術後の回復を助ける援助を経験しましたが、痛みを増強させずに体を動かす方法や点滴が入っている腕からどのように病衣を脱がせるのかなど試行錯誤を重ねているようでした。
 
9月になると「急性期看護学実習」が始まり、手術を受ける患者さんを実際にケアすることになります。手術を受けるということは、身体的な侵襲だけにとどまらず精神的な不安や仕事に支障をきたす、家事ができないなど社会的な問題も発生します。そのような対象を全人的に捉え少しでもお役に立てること、また、手術後の回復過程を促進するための看護について実践の場で学びを深めてくれることを教員一同願っています。
 
3回生の皆さん、暑さにめげず、実習めざして頑張りましょう!
 

看護医療学科教員(急性期看護学) 林田麗・大友絵利香・加藤由加・菊谷美代子

 
 
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