2019.07.26 

外部講師による摂食嚥下機能の講義・演習、臨地実習の準備~看護医療学科

老年看護学援助論Ⅱの授業では、看護医療分野に関する高い専門性と臨地に役立つ実践力を修得することを目標の一つに掲げ、さまざまな講義・演習の取り組みや、外部講師をお招きして教育の質の向上に努めています。今回は、外部講師の授業の様子や、実習施設の方を招いたミニシンポジウムの様子を紹介します。
 
< 7月11日(木)・18日(木)生活援助技術演習 >
老年看護学援助論Ⅱの生活援助技術演習では、2019年7月11日(木),7月18日(木)の2回にわたり、摂食・嚥下障害看護認定看護師の伊藤美和先生を講師に迎え、「高齢者の摂食嚥下障害看護」「経管栄養について」の講義や演習を行いました。
伊藤先生は、愛知県の特別養護老人ホーム 清州の里の看護主任として働いておられるので、講義では、施設で生活する高齢者の様子を紹介しながら、口腔ケアや食事の際の観察点、ケアのポイントや注意点などをわかりやすく説明してくださいました。また、摂食嚥下機能を評価する検査として、反復唾液嚥下テストや水飲みテストも実際に行いました。
反復唾液嚥下テストは30秒間に何回嚥下できるかを観察する簡単なテストですが、観察ポイントを知っておくことで臨地実習に行った際には、患者さんの食事の様子から嚥下機能を観察することができると思いました。
 
摂食嚥下機能の講義・演習、臨地実習1-1
▲講義の様子
 
また、認知機能の低下した高齢者が食事介助を受ける模擬体験や、複数の飲み物にとろみをつけ、味や匂い・舌触り・のどの感触などを体験する演習も行いました。
トロミ剤の濃度や種類によって飲み物がどのように変化し、味や匂いがどうなるのかを体験することで臨地実習に行った際には、患者の状態に合った嚥下調整食を提供することができると考えます。
飲み物の中でも味噌汁や牛乳などではとろみがつきにくく、とろみがつくまでに時間がかかります。このことを知らずに臨地実習で実践をすると、トロミ剤を入れすぎてしまい、飲めない状態になってしまいます。後期から臨地実習に行く3回生達は、熱心に講師の話に耳を傾け、互いに意見を出し合って演習での学びを深めていました。
 
摂食嚥下機能の講義・演習、臨地実習2-1
▲市販の嚥下調整食の試食
 
摂食嚥下機能の講義・演習、臨地実習3-1
▲トロミ剤の濃度の違いによる食感の比較体験
 
今回の演習には、老年看護学実習の実習施設から実習指導のあり方の共有を目的に師長や臨床指導者も参加され、学生がどのようなことを学んで臨地実習に臨んでいるのかを見学されていました。師長や臨床指導者も学生と共に演習に加わり、実際の臨床現場ではどのように使用しているかなどのアドバイスも頂きながら演習を進めることができました。
 
摂食嚥下機能の講義・演習、臨地実習4-1
▲実習病院の師長や臨床指導者と共に演習を行っている場面
 
以下、演習に参加した学生のコメントです。
 
外部講師の方に来ていただき、演習形式の講義をしていただきました。普段の授業では学ぶことのできないことを、実際に現場で働いている人の話を聞いて学ぶことができました。
授業を通して、援助者の少しの工夫で高齢者の誤嚥性肺炎を予防することができるとわかりました。また、声かけや口に運ぶタイミングを工夫することで、より安全に食事の楽しみを感じてもらうことができるとわかりました。
これから始まる領域の実習で活かしたいと思いました。

看護医療学科3回生 滝尾愛

 
あと少しで領域実習が開始となります。老年看護学に関する多くの知識と技術を活用し、高齢者における看護のあり方を追求してほしいと願います。
(写真は撮影許可を得て使用しております。)

看護医療学科 助手 島岡昌代

 

 
<7月18日(木)ミニシンポジウム>
2019年7月18日(木)ミニシンポジウムが開催されました。対象は看護医療学科3回生です。3回生の学生さんは8月より臨地実習が始まります。その実習病院・施設の看護部長さんに来ていただき、病院・施設の紹介、特色、目指している看護などについて説明をしていただきました。お越しいただいたのは西大和リハビリテーション病院の大久保由美子看護部長、平成記念病院の伊東厚子統括部長です。
 
摂食嚥下機能の講義・演習、臨地実習5-1
 
それぞれの病院・施設では、対象者の意思や人格を尊重しその人らしく生活が送れるようまた、社会・家庭に帰ることを目指されており、細やかな配慮が出来る看護を提供できるような人材の育成に力を入れておられます。
看護学生に対しても、学生からの育成が必要であり、その責任があるとおっしゃっておられました。学生にとってはとても心強いお言葉であり、実習での学びが看護実践、臨地の知だけでなく、人としての成長もできることになるのだと確信しました。また学生が実習を安心して行える環境であることも伝わりました。病院実習は3週間になりますが、その期間に対象の「その人らしさ」を理解しどのような看護を提供できるか楽しみですね。今までの机上での学びを実習で活かし、看護につなげてくださいね。
 
摂食嚥下機能の講義・演習、臨地実習6-1
 
施設の看護師の役割についても説明して頂き、病院での役割との違いを理解できたと思います。特に入居者の方にとっては最後の住居となります。健康に安心して生活し、自分らしく暮らしていける環境が必要です。また看取りの場にもなることから医療、看護、介護の力を統合し連携していく必要があります。その中で看護師の役割はその調節役を担い、日常生活の援助だけでなく医療処置、健康管理、家族との関わりなどを介護職員と連携しながら行っていることが理解できました。その為にはそれぞれ入居者の方を観察する眼を養う必要があることを教えて頂きました。
3回生の学生も熱心に聴講していました。8月より実習する病院・施設のイメージがついて実習への意気込みが伝わってきました。どのような学びが得られるか楽しみですね。その為にもしっかり準備を行い、目標を持って実習に望んでほしいと思いました。
最後に伊東敦子統括部長はミニシンポジウムで畿央大学に来られた時に、看護棟へ案内した学生の対応をとても褒めてくださいました。その時の対応が細やかな配慮であるとおっしゃっておられました。この大学生活のなかで細やかな配慮が身に付き成長されていることにとても感銘されていました。
 

看護医療学科 助手 杉本多加子

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