健康科学部 2023年度版
更新日:2024/02/26
科目コード 科目区分 科目分類 配当回生
471200
専門基礎科目
社会のしくみと健康
1回生 前期
授業コード 科目名 単位
471201
生活科学論
2
代表担当者名
庄 健二
科目内容
〔授業の到達目標〕
抗生物質等の医薬品の開発によって、すべての感染症は完全に制圧することができたという思い上がりが、我々、人類にあったと思い知らされたのが、「新型コロナウイルス感染症」のパンデミックであった。ただし、このコロナ感染症により、疾病のゲノム解析やワクチンの開発が急速に進展し、科学的知見及び医学的エビデンス(証拠)等が蓄積されるようになった。
(1)そこで、まず、「新型コロナウイルス感染症」に関する科学的知見及び医学的エビデンスを理解できる。
(2)次に、コロナ以外の主な感染症の科学的知見及び医学的エビデンスも理解できる。
(3)最後に、学修した科学的知見及び医学的エビデンス等に基づき、医療現場に出たときには、患者への説明力や説得力、さらには患者のQOL(生活の質)向上に寄与できる知識と見識を養うことができる。

〔授業科目内容の概要〕
われわれの社会生活に大きな脅威となった「新型コロナウイルス感染症」によって、特に、遺伝子ゲノムレベルの感染症の研究が急速に進展し、科学的知見及び医学的エビデンス(証拠)等が、医学系書籍や学会誌、厚生労働省等のホームページに掲載されるようになっている。
(1)そこで、まず、この「新型コロナウイルス感染症」に関する科学的知見及び医学的エビデンスを「発症機序」や「症状」「予防・治療方法」「後遺症」に分別し、分かりやすくまとめて相互理解を深める。
(2)次に、過去にパンデミック(感染爆発)を起こした、主な感染症の科学的知見及び医学的エビデンスも、同様に分かりやすくまとめて相互理解を深める。
(3)また、講義する感染症学の関連分野としては、①パンデミックの歴史 ②疫学 ③進化医学 ④遺伝子学 ⑤微生物学 ⑥免疫学 ⑦血管外科学・静脈学 ⑧生活習慣病学 ⑨人獣共通感染症の基礎を学ぶ。
(4)特に、学修した感染症学の科学的知見及び医学的エビデンス等に基づき、医療現場に出たときには、患者に対する説明力や説得力のみならず、患者のQOL向上及び専門看護師としての看護力強化にも寄与できる知識と見識を養う。

〔授業計画〕
第1回 オリエンテーション(コロナ禍における生活科学論を学ぶ意義)4/14
第2回 生活の中の感染症の脅威(多様な感染経路:飛沫・接触・飛沫核・経口・ベクター感染等)4/21
第3回 「コロナ感染症」の基礎知識(飛沫感染、クラスター発生、味覚・嗅覚障害、両肺の重篤な肺炎)4/28
第4回 主な感染症の発症機序① (SARS、MERS、結核、エボラ出血熱、スペイン風邪等)5/12
第5回 主な感染症の発症機序② (鳥インフルエンザ、O-157、ノロウイルス、デング熱等)5/19
第6回 感染症パンデミックの歴史(古代・中世、人類の歴史は感染症との闘いの連続)5/26
第7回 感染症パンデミックの歴史(近代・現代、感染症が歴史を動かした)6/2
第8回 疫学(エンデミック、エピデミック、パンデミック、集団免疫、ポートフォリオ分析)6/9
第9回 進化医学(多細胞生物発生と生命進化に寄与したウイルス、突然変異、ゲノム解析)6/16
第10回 遺伝子学(バイオテクノロジー、遺伝子工学、遺伝子組み換え:クリスパー・キャス9)6/23
第11回 微生物学(皮膚常在菌、腸内細菌・フローラ、口腔内細菌、細菌の発育曲線)6/30
第12回 免疫学(「コロナ感染症」重篤化の原因:サイトカインストーム)7/7
第13回 血管外科学・静脈学(「コロナ感染症」重篤化の原因:血栓塞栓症、弾性ストッキング)7/14
第14回 生活習慣病学(「コロナ感染症」重篤化の原因:基礎疾患・生活習慣病)7/21
第15回 人獣共通感染症・動物由来感染症(「コロナ感染症」原因動物:コウモリ)7/28

〔授業外学修の指示〕
生活科学分野は広範囲にわたるので、各授業で配布した資料を基に、選択した項目についての調査研究を行い、感染症や生活習慣病等への理解を深めてミニレポート課題の作成に備えてください。

〔使用教材〕
講義資料をCEASにアップする。教科書は使用しない。

〔参考図書〕
①『もっとよくわかる! 感染症 病原因子と発症のメカニズム』 阿部章夫、羊土社、2014年、(ISBN978-4758122023)
②『知っておくべき感染症33』 今村顕史(監修)、西東社、2015年、(ISBN978-4791623624)
③『感染症 広がり方と防ぎ方 増補版』 井上栄、中央公論新社、2020年、(ISBN978-4121918772)
④『ウイルス・細菌の図鑑 感染症がよくわかる重要微生物ガイド』 北里英郎・原和矢・中村正樹、技術評論社、2016年、(ISBN978-4774177168)
⑤『感染症大全 病理医だけが知っているウイルス・細菌・寄生虫のはなし』 堤寛、飛鳥新社、2020年、(ISBN978-4864107570)
⑥『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 武村政春、講談社、2017年、(ISBN978-4065020104)
⑦『人獣共通感染症』 神山恒夫、地人書館、2004年、(ISBN978-4805207451)
⑧『もっとよくわかる! 免疫学』 河本宏、羊土社、2011年、(ISBN978-4758122009)
⑨『京大 おどろきのウイルス学講義』 宮沢孝幸、PHP研究所、2021年、(ISBN978-4569849348)
⑩『新はじめよう! フットケア』 庄健二他、日本看護協会出版会、2022年、(ISBN978-4818025233)


〔成績評価の方法・基準〕
ミニレポート課題の評価100%(講義ごとにミニレポート課題を提示するので、作成提出する。提出されたミニレポート課題の内容を評価して成績を評定)

〔学生へのメッセージ〕
生活科学及びその周辺領域においても最新の科学的知見や医学的エビデンスが蓄積している。こうした成果に基づき医学的かつ論理的・数量的・定量的思考を身に付け、感染症の発症機序等も理解して、医療現場へ出た際には患者への指導に役立ててほしい。
なお、この講義は、医学関連分野における医学部学生の1回生レベルの基礎内容に匹敵するので、講義資料を復習してよく理解してほしい。

〔教員の実務経験〕
靴下メーカーの研究所にて、医学系の大学との共同研究を行った経験を活かし、医学研究者(大学教員や医師等)から直接教えていただいた知識や知見も参考にして講義内容を構成している。
履修に関して留意すること
〔科目分類番号〕SMP1421

〔関連するディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)〕
(3)豊かな教養と幅広い視点を持っている。(知をみがく/知識・理解)
(4)看護医療分野に関する高い専門性と臨地に役立つ実践力を修得している。(知をみがく/知識・理解)
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