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2017年の重要なお知らせ一覧

2017.11.06

平成29年度の科研費採択件数、私立大学で全国8位に(学生数5,000人未満)

学生数5,000人未満の私立大学で採択件数が全国8位(関西1位)にランクイン     文部科学省から科学研究費助成事業(通称「科研費」)の配分結果が公表されました。本学における平成29年度科研費は、新規応募件数49件に対し、新規採択件数20件(新規採択率40.8%)という結果でした。現在継続中の研究課題とあわせて、平成29年度は本学から49件の研究課題が採択されています。在籍者数1)5,000人未満の私立大学2)では全国8位(5,000人以上の大学を含めると全国56位)、関西私立大学で1位(平成28年度に引き続き2年連続)に位置しています。 1) 大学の在籍者数は私立大学協会「大学ポートレート」各大学 学生情報>在籍者数2017年より抜粋 2) 医歯薬学部附属病院をもつ大学を除く 【科研費について】科学研究費助成事業は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、あらゆる「学術研究」を格段に発展させる独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。科研費は国の最大の研究支援であり、大学の研究力を表す指標の一つと言えます。 また、新規応募件数40件以上の大学で、新規採択率40.8%は全国6位、私立大学では全国1位でした。科研費採択結果は本学の研究力の高さを客観的に示しており、高い研究力に裏付けられた質の高い教育が提供されている証明の一つと言えます。 全国私立大学 科研費採択件数ランキング ※医歯薬学部附属病院のある大学を除く 全国56位/在籍者数5,000人未満の私立大学で全国8位 ※黄色マーカーは在籍者数5,000人未満の大学   応募件数40件以上での科研費新規採択率 ※新規採択件数÷新規応募件数  全国6位/私立大学では全国1位   科研費関連の過去記事およびランキング記事 平成29年度科研費交付内定、採択率は50%に 科研費採択件数、学生数5,000人以下の私立大学で関西1位に(平成28年度) 就職率関西4位~AERAムック「就職力で選ぶ大学2018」

2017.11.02

軽く身体に触れることでもたらされる無意識的な二者間姿勢協調と社会的関係性の関係を解明~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

介護者やリハビリテーション専門家がバランス能力の低下した対象者の身体に触れ、 姿勢や動作を介助することの社会心理学的意義を明らかに   ヒトが静かに立っている時は、一見動いていないように見えて、実は狭い範囲で揺れながら安定しています。この揺らぎは、相手の身体に軽く触れるだけで互いに同調するという現象が報告されており、”二者間姿勢協調”と呼ばれています。畿央大学大学院健康科学研究科の石垣智也らは、この二者間姿勢協調が「仲の良さ」に影響されているのではないかという仮説を立てて検証しました。参加者は知人や友人、親友など、既に顔見知りにある同性ペアであり、それぞれパートナーへの仲の良さを心理アンケートにて評価しました。立っている時の身体の揺らぎは、重心動揺計を用いて「相手に軽く触れた状態(ライトタッチ)」で計測しました。その結果、ペアになっている2人の仲が良ければ良いほどお互いの身体の揺らぎが似てくるという結果が得られました。 つまり、“二者間姿勢協調”は二者間の良好な親密性と関係していることが明らかになりました。本研究結果は、ヒトとヒトの姿勢協調のメカニズムにおける社会心理学的側面を明らかにしたもので、介護者やリハビリテーション専門家がバランス機能の悪い患者さんの身体に触れることの社会心理学的意義を明らかにしたものとなります。 この研究成果は、Frontiers in Psychology誌(Association between Unintentional Interpersonal Postural Coordination Produced by Interpersonal Light Touch and the Intensity of Social Relationship)に掲載されています。 研究概要 手をつないで歩く、ペアでのダンス、そして介護やリハビリテーション場面における動作介助など、身体接触を介して二者の姿勢や運動が影響し合うことがあります。この際、身体接触から加えられる情報は、接触による力学的要因と感覚的要因に分けられます。加えられる力による姿勢や運動への影響は明らかなことですが、本研究では、後者の感覚的要因、つまり身体接触により生じる触覚情報の影響に着目しています。ヒトの安静立位は一見すると安定しており、運動は生じていないようにみえますが、実際には狭い範囲で常に姿勢は揺ぎながら安定しています。この際、二者が互いに軽い身体接触を行うと、両者の姿勢の揺らぎが無意識的に類似すること(二者間姿勢協調)が知られています。これは、姿勢を制御するために用いている感覚情報に、パートナーの姿勢の揺らぎを反映した触覚情報が取り入れられるために生じると考えられています。一方、社会心理学的な知見によると、運動の二者間協調(模倣や身体同調などとも呼ばれています)は両者の社会心理学的な関係の良さを反映するとともに、良好な関係を形成する“社会的接着剤”として機能していることが知られています。しかし、これまでの研究では、立位姿勢の揺らぎという複雑で無意識的な運動の二者間協調に対して、社会的な関係の良さが影響しているかは明らかになっていませんでした。そこで研究グループは、身体接触による触覚情報から生じる無意識的な二者間姿勢協調と、相互作用する二者の社会的関係性との関係を検討しました。 実験では、既存の社会的関係(知人、友人または親友)にある同性ペアを対象に、それぞれパートナーへの関係性(親密度)を評価しました。その後、閉眼安静立位姿勢にて身体接触を行わない条件(非接触条件)と、接触による力学的影響を最小化するライトタッチという方法(約102g未満の接触力)で軽い身体接触を行う条件(接触条件)の姿勢の揺らぎを二者同時測定し、姿勢の揺らぎの類似性とペアの親密度との関係を分析しました。結果、対象者の自覚なしで接触条件では非接触条件に比べて高い揺らぎの類似性を認め、接触条件で無意識的な二者間姿勢協調を生じていることが確認されました。さらに、この姿勢協調の程度とペアの親密度との関係を分析したところ、左右方向(パートナーが立っている側)における姿勢協調の程度と親密度においては正の関係(親密度が高いほど姿勢の揺らぎが類似する)を示したのに対し、前後方向では負の関係(親密度が低いほど姿勢の揺らぎが類似する)を示しました。 つまり、身体接触による触覚情報から生じる無意識的な二者間姿勢協調は、相互作用する二者の社会的な関係性(親密度)と関係していることが明らかとなりました。 本研究のポイント 軽く身体に触れることで示される無意識的な姿勢の揺らぎの類似性は、相互作用する二者の親密度と関係することを明らかにしました。 研究内容 本研究では、身体接触による触覚情報から生じる無意識的な二者間姿勢協調と、相互作用する二者の社会的な関係性との関係を検討しました。実験は、既存の社会的関係(知人、友人または親友)にある同性ペアを対象に行い、はじめに、それぞれ別室でパートナーとの関係性を問う複数の心理アンケート行い、その結果をもとにパートナーへの親密度を評価しました。その後、安静立位姿勢にて軽い身体接触を行う条件(非接触条件)と、接触による力学的影響を最小化するライトタッチという方法(約102g未満の接触力)で軽い身体接触を行う条件(接触条件)(図1)の姿勢の揺らぎを二者同時測定し、測定後に「相手と自分の姿勢の揺らぎが似ていると感じたか」という問いに対する内省を得ました。 【図1 実験条件】安静閉眼立位でパートナーの側方に位置し、示指でパートナーの示指に軽く接触を行います。※軽く接触する程度はライトタッチ(約102g未満の接触力)の設定で行われています。     結果、対象者の自覚なしに接触条件では非接触条件に比べて高い揺らぎの類似性を認め(図2)、接触条件で無意識的な二者間姿勢協調を生じていることが確認されました。      【図2 姿勢の揺らぎの類似性】左右方向・前後方向の揺らぎともに、接触条件では非接触条件に比べて高い揺らぎの類似性を認めています   さらに、この二者間姿勢協調の程度とペアの親密度との関係を、階層線形モデリングという個人とペアのデータ構造を扱う統計手法で分析したところ、左右方向(パートナーが立っている側)における姿勢協調の程度とペアの親密度は正の関係(両者が親密と感じているほど強く協調する)を示し、前後方向では負の関係(両者が親密と感じているほど協調は弱い)を示しました(図3)(図4)。   【図3 接触条件における二者間姿勢協調と親密度との関係】ダイヤが個々の値、丸がペアでの値を示します。いずれの値も左右方向における二者間姿勢協調の程度と親密度において正の関係を示しており、前後方向では負の関係が示されていることを確認できます     【図4 階層線形モデリングの結果】左右・前後ともに接触条件の揺らぎの類似性が、それぞれペアの親密度に対して正の関係、負の関係を示す要因であることを示しています。   この研究結果に対して研究グループは、良好な親密度は、姿勢制御のために用いられる感覚情報として、パートナーの揺らぎを反映した触覚情報を自身の揺らぎの情報よりも優先的に取り入れるように作用するため、二者間姿勢協調と親密度に関係が示されたと考察しています(図5)。また、揺らぎの方向で関係が異なったことについては、側方に二者が近接して位置された立位条件で実験が行われており、左右方向において強くパーソナルスペースに侵入する設定になっていたことが要因ではないかと考察しています。     【図5 本研究結果のモデル図】ペアの親密度がお互いのパートナーからの情報を取り込む程度を調整することを示しており、ペアの親密度が良好であれば合成された情報の多くに、パートナーの姿勢の揺らぎを反映した情報(自身の情報は相対的に減少)が含まれることを意味しています。 本研究の意義および今後の展開 本研究成果は、触覚情報を用いたヒトとヒトの姿勢運動制御の相互作用を理解する基礎的知見のひとつになるものと期待されます。また、この基礎的知見は、介護者やリハビリテーション専門家がバランス能力の低下した対象者の身体に触れ、姿勢や動作を介助することの社会心理学的意義の解釈を示唆しているものとも言えます。本研究により、二者間姿勢協調における社会心理学的側面の一部が明らかとなりましたが、運動学的側面や神経科学的側面の理解は未だ明らかになっていない点が多く、この点に対する更なる基礎研究が望まれます。さらに、今後はこのような二者間協調の視点をもって、療法士と患者などを対象とした臨床場面における研究展開も望まれます。 論文情報 Association between Unintentional Interpersonal Postural Coordination Produced by Interpersonal Light Touch and the Intensity of Social Relationship. Ishigaki T, Imai R, Morioka S. Frontiers in Psychology. 2017 (doi: 10.3389/fpsyg.2017.01993) 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科  博士後期課程 石垣 智也(イシガキ トモヤ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: p0611006@gmai.com   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel:0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2017.10.17

畿央生が考案した麺メニューが香芝SA・岸和田SAで販売されます~近鉄連携「香芝サービスエリアメニュー開発プロジェクト」

近鉄連携 西名阪自動車道 香芝SA・阪和自動車道 岸和田SAで 畿央生が創作した「麺メニュー」販売スタート!   畿央大学は今年も株式会社近鉄リテーリングと連携して、西名阪道 香芝サービスエリアで提供する「麺メニュー開発」に取り組んでいます。昨年は「丼メニュー開発」に携わり、グランプリ受賞の「大和ポークねばねばアボカ丼」、準グランプリ受賞の「まほろば大和のうるわし豚丼」は香芝SAのフードコートで、特別賞受賞の「1杯で2度美味しい一石二豚丼」、「ヤマトポークのトントン丼」は岸和田SAで提供されました(現在は販売終了)。   そして、今年は「麺メニュー」をテーマとして、2017(平成29)年7月8日(土)に開催された㈱近鉄リテーリングと畿央大学の連携事業「香芝サービスエリアメニュー開発プロジェクト」コンテスト(審査会)でグランプリ・準グランプリ・特別賞を受賞した5つのレシピが商品化されることになり、販売に先立って香芝サービスエリア(以下、SA)で試食会が行われました。   平成29年10月13日(金)授業後に、岸和田SAで販売される特別賞受賞2グループ7名は16時20分から西名阪自動車道香芝SAへ出発し、香芝SAで販売されるグランプリ・準グランプリ受賞3グループ10名は17時50分から同じく香芝SAへ出発しました。(指導教員:中谷友美先生、米田武志先生)     11/1(水)岸和田SA下り線(和歌山方面行)で、販売開始! まずは岸和田SAで販売される特別賞の“大和芋のぶた都旅虜(とろろ)そば”と“ヤマトポークのみそ豆乳醤ラーメン”を美味しくいただきました。岸和田SA田村料理長から変更点の説明や美味しさを引き立たせる方法などをお聞きしました。学生たちは疑問に思う点を積極的に質問し、納得いくメニューが完成しました。   大和芋のぶた都旅虜そば   ヤマトポークのみそ豆乳醤ラーメン   ▼岸和田SA販売分  ヤマトポークのみそ豆乳醤ピリ辛ラーメン 950円  大和芋のぶた都旅虜そば 850円                                               ▲画像クリックで、チラシを拡大します。 10/19(木)香芝SAにて、販売開始! 次に香芝SAで販売されるグランプリ賞の“奈良の野菜山”と準グランプリ賞の“柿揚げうどん” と“大和のふるさとうどん”を美味しくいただきました。このプロジェクトの最初からお世話になってきた香芝SA下出料理長から変更点の説明やコストパフォーマンスと美味しさを保つ調理方法をお聞きしました。食材の切り方やいろどりについてお聞きし、教室での学習とは違った現場での調理方法を学び、学生たちは積極的に質問をしていました。     奈良の野菜山 香芝SA上下線で販売開始!     大和のふるさとうどん 香芝SA下り線(天理・名古屋方面行)販売開始!     柿揚げうどん 香芝SA上り線(大阪方面行)販売開始!     試食会も終了し、西名阪香芝SAでは10月19日(木)から、阪和岸和田SAでは11月1日(水)から販売となる予定です。どちらのSAも一般道を通って行くことができます。(一般道からの専用駐車場もあります)     西名阪自動車道大阪行きの上り香芝SAで “奈良の野菜山うどん”と“柿揚げうどん”、名古屋行きの下り香芝SAで”奈良の野菜山”と“大和のふるさとうどん”が販売され、阪和自動車道和歌山行きの下り岸和田SAで “大和芋のぶた都旅虜そば”と“ヤマトポークのみそ豆乳醤ラーメン”が販売されます。みなさんも畿央大学生が考案した麺メニューをぜひお召し上がりください。       ▼奈良の野菜山うどん <香芝SA上り・下り共通> 780円   ▼柿揚げうどん <香芝SA上り:大阪行き、京奈和自動車道 御所南PA> 680円     ▼大和のふるさとうどん <香芝SA下り:名古屋行き> 680円   ▲画像クリックで、チラシを拡大します。 11/17(金)御所南PAにて、販売開始! 京奈和自動車道の御所南パーキングエリアでも、“柿揚げうどん・そば” が販売されることになりました。 うどん・そばの単品680円と、鶏飯付き820円もご賞味いただけます。 【関連記事】  近鉄連携「香芝SAフードコート メニュー開発プロジェクト」 審査会が開催されました! 近鉄連携「香芝SAフードコート メニュー開発プロジェクト」 レシピ検討会を開催! 近鉄連携「香芝SAフードコート 麺メニュー開発プロジェクト」プレゼンテーション会を開催! 近鉄連携「香芝SAフードコート 麺メニュー開発プロジェクト」でサービスエリアを見学! 近鉄連携「香芝SAフードコート 麺メニュー開発プロジェクト」が始動しました! 近鉄連携 西名阪自動車道香芝サービスエリアで畿央生が作った「大和ポークを使った丼メニュー」が発売されます。 近鉄連携 阪和自動車岸和田サービスエリアで畿央生が作った「大和ポークを使った丼メニュー」が発売されます。

2017.10.17

腱振動刺激による運動錯覚の鎮痛メカニズムに新たな発見~ニューロリハビリテーション研究センター

腱振動刺激による運動錯覚の惹起で鎮痛効果と運動機能の改善を確認   畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の今井亮太らは、橈骨遠位端骨折(ころんで手をついた際におこる骨折で、頻度の高い疾患)術後患者に腱振動刺激による運動錯覚を引き起こすことで痛みの軽減と運動機能の改善が認められたことを確認してきました。(2016 / 2017) 本研究は、この振動刺激による運動錯覚の鎮痛効果に関与する神経活動(脳波研究)を調査したものであり、感覚運動関連領域の興奮と鎮痛との間の関係性を確認したものです。この研究成果は、NeuroReport誌(Effects of illusory kinesthesia by tendon vibratory stimulation on the post-operative neural activities of distal radius fracture patients)に掲載されています。   研究概要 2016年、2017年に今井らは、橈骨遠位端骨折術後患者に対して腱振動刺激による運動錯覚(腱に振動刺激を加えると筋紡錘が興奮し、刺激された筋が伸張しているという情報が脳内へ伝えられることによって「あたかも関節運動が生じているような運動錯覚」が生じる現象)を惹起させることで、痛みの感覚的側面や情動的側面の改善だけではなく、運動機能にも改善が認められたことを報告してます。運動錯覚時には実際に運動するときと同様の脳活動が得られることと、鎮痛には運動関連領域の活動が関与していることが明らかにされていました。しかしながら、この運動錯覚時に認められる感覚運動関連領域の活動が鎮痛効果に関与するかどうかは不明瞭なままでした。 そこで本研究では、橈骨遠位端骨折術後患者に対して腱振動刺激による運動錯覚を惹起させ、脳波を用いて運動錯覚中の感覚運動関連領域と痛みとの関連性を調査しました。その結果、すべての患者が運動錯覚を惹起したわけではありませんでしたが、運動錯覚を惹起した群(9名中6名)は、運動時や運動錯覚時に認められる脳活動が感覚運動関連領域に認められました。 つまり、痛みが強く運動が困難な術後患者でも、運動錯覚を惹起していることが脳活動の側面から示されました。そして、感覚運動関連領域の活動の程度と痛みの変化量(術後7日目~術後1日目)に有意な負の相関関係(脳活動が高いほど痛みの減少量が大きい)が認められました。 これらのことから、術後早期から運動錯覚が惹起可能であり、かつ振動刺激によって感覚運動関連領域が強く興奮する患者においては、痛みに対する介入効果が大きいことを示しました。   本研究のポイント ●術後翌日から腱振動刺激による運動錯覚を惹起させることで、感覚運動関連領域の神経活動が認められた。 ●感覚運動関連領域の活動の程度が鎮痛の効果量に関係している。   研究内容 橈骨遠位端骨折術後から腱に振動刺激を与えながら(図1)、その時の脳活動を脳波計で測定しました。 そして、運動錯覚が惹起した群と惹起しなかった群の脳活動と痛みを比較しました。     図1:腱振動刺激による運動錯覚の課題状況   脳波解析の結果、運動錯覚を惹起した群では感覚運動関連領域の活動が認められましたが、運動錯覚を惹起しなかった群では認められませんでした。(図2)     図2:腱振動刺激時に認められた脳活動(*青色の方が活動の強いことを意味する) 左:動錯覚を惹起した群 右:運動錯覚を惹起しなかった群   安静時痛の変化量と感覚運動関連領域の活動に有意な負の相関関係が認められました。(図3) つまり、感覚運動関連領域の活動が大きいほど、鎮痛の効果量も大きいことが示されました。     図3:左感覚運動領域と右感覚運動領域の活動と安静時痛の変化量   今後の展開  痛みが抑制されたメカニズムが明確になっていないため,今後は神経生理学メカニズムの詳細を明らかにしていきます。   関連する先行研究  Imai R, Osumi M, Morioka S. Influence of illusory kinesthesia by vibratory tendon stimulation on acute pain after surgery for distal radius fractures: A quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2016; 30: 594-603.   Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effect of illusory kinesthesia on hand function in patients with distal radius fractures: a quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2017.31:696-701   論文情報 Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Kodama T, Shimada S, Morioka S. Effects of illusory kinesthesia by tendon vibratory stimulation on the postoperative neural activities of distal radius fracture patients. Neuroreport. 2017 Oct 11.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp   

2017.10.04

香芝市教育委員会と「校内研修プログラム開発」について連携協定を締結しました。

「特別支援教育」および「教育の情報化」を軸に連携を強化   平成29年10月3日(月)、香芝市教育委員会と本学現代教育研究所が取り組む「現職教員の資質能力向上に関わる校内研修プログラムの開発」(以下、「校内研修プログラム開発」)について、連携協力に関する協定書を締結しました。     畿央大学では教育学部を中心に学校教育に関わる研究に取り組んでおり、質、量ともに充実した成果を蓄積してきています。校内研修プログラム開発は、研究者が個々に研修や講演として行っている地域・社会への貢献を現代教育研究所として組織的に行おうとする研究です。学校にはそれぞれの状況があり、また、現役の先生方は大変多忙な状況にあります。校内研修プログラム開発では、各学校の教育力の向上のために、学校や地域をよく知る各学校の先生がリーダーとなり、学校内で教育に携わる先生方が互いに学び合う仕組みづくりの構築を目的としています。   ▼畿央大学 冬木正彦学長     校内研修プログラム開発のためには、それにかかわる研究者自身が学校現場に出向き、児童・生徒の実態を知り、先生方の教育に関わる要望を聞き取ることから始める必要があります。現代教育研究所の研究テーマである「特別支援教育」と「教育の情報化」について、「特別支援教育」では拠点となる学校、「教育の情報化」では中心的に関わる先生方のチームにおいて、それぞれの校内研修プログラム開発に取り組み始めたところです。3年後には各学校の実態に応じた校内研修プログラムが選択され、弾力的に運用される「特別支援教育」と「教育の情報化」の研修に活用されていることが目標です。   ▼香芝市教育委員会 廣瀬裕司 教育長     激しく変化する社会を生きる児童・生徒の資質や能力を育成できるよう、地域の学校の教育力を向上させる。そうした営みに現代教育研究所が地域コミュニティの一部として貢献することをめざして「校内研修プログラム開発」に取り組んでいきます。     畿央大学現代教育研究所ホームページ  

2017.09.27

運動‐知覚の不協和が主観的知覚と筋活動に及ぼす影響~ニューロリハビリテーション研究センター

運動-知覚の不協和が運動麻痺の回復を遅らせる重要な要因であることを明らかに   脳卒中後に運動麻痺が生じると“自分の手が思い通りに動かない”、いわゆる運動の意図と実際の感覚フィードバックが解離した状態になります。このことは「運動‐知覚の不協和 (Sensorimotor incongruence)」と呼ばれており、さまざまな問題を引き起こす要因として考えられてきました。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡周教授と大住倫弘特任助教らは、明治大学理工学部の嶋田総太郎教授らと共同で、仮想的に“自分の手が思い通りに動かない”という実験環境を用いて、運動‐知覚の不協和が身体の違和感だけでなく、実際の運動をも変容させてしまうことを実験的に明らかにしました。この研究成果はHuman Movement Science誌(Sensorimotor incongruence alters limb perception and movement)に掲載されています。 本研究は明治大学理工学部 嶋田総太郎教授らと共同で行われたものです。また、文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究「脳内身体表現の変容機構の理解と制御」の支援(研究課題番号15H01671)を受けて実施されています。 研究概要 脳卒中によって生じる運動麻痺によって“自分の手が思い通りに動かない”という訴えは臨床現場で非常に多く聴かれます。これは「動かそう」という意図に反して、「実際には動かない」という感覚フィードバックに直面した結果としての訴えであり、「運動‐知覚の不協和」と呼ばれたりします。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡周教授と大住倫弘特任助教らは、明治大学理工学部の嶋田総太郎教授らと共同で、映像遅延システムを用いて仮想的な運動‐知覚の不協和を起こすことによって “手が自分のもののように感じない” “手が重だるくなってきた”という主観的な異常感覚を惹起させるだけでなく、実際の筋活動量も減少させてしまうことを明らかにしました。この研究成果は、運動‐知覚の不協和そのものが運動単位の動員を妨げることを明らかにしたとともに、運動‐知覚の不協和が起こることによって、運動麻痺の回復を遅延させてしまう重要な要因を示したものです。 本研究のポイント 映像遅延システムを用いた実験によって、運動‐知覚の不協和が主観的な異常感覚だけでなく、運動実行までも変容させてしまうことを明らかにした。 研究内容 健常大学生を対象に、映像遅延システム(図1)の中で手首の曲げ伸ばしを反復させます。映像遅延システムでは、被験者の手の鏡像をビデオカメラで捉えて、そのカメラ映像を「映像遅延装置」経由でモニターへ出力させます。出力されたモニター映像を鏡越しに見ることによって自分の手を見ることができるものの、映像遅延装置によって作為的に映像出力が時間的に遅らされるため、被験者は“あれ?自分の手が遅れて見えるんだけど” “うぅ…自分の手が思い通りに動いてくれない”という状況に陥ることになります。     図1:映像遅延システムを用いた実験自分で動かした手が時間的に遅れて映し出される細工がされている。こうすることによって、ヒトの運動‐知覚ループを実験的に錯乱させることができ、“思い通りに動かない”という状況を仮想的に設定することができる。(技術提供:明治大学 理工学部 嶋田総太郎 教授)   実際の実験では、① 0ミリ秒遅延、② 150ミリ秒遅延、③ 250ミリ秒遅延、④ 350ミリ秒遅延、⑤ 600ミリ秒遅延の5条件で手首の反復運動を被験者に実施してもらいました。運動中の筋活動は無線筋電計で計測し、「身体所有感」と「手の重だるさ」はアンケートで定性的に評価しました。 実験の結果、動かした手の映像を250ミリ秒以上遅らせて視覚的にフィードバックさせると、“自分の手のように感じない”や“手が重だるくなってきた”という変化が生まれました。遅延時間をさらに長くするとそれらの異常知覚が増大することも確認されました(図2)。     図2:運動-知覚の不協和による主観的異常知覚の惹起   一方で、反復運動中の筋活動量と運動リズムは、動いている手の映像を150 ミリ秒遅らせただけで変容することが確認されました(図3)。 以上のことから、“手が思ったように動かない” 状況は異常知覚だけでなく、運動実行までをも変容させてしまうということが明らかにされました。 図3:筋活動量と反復運動のペースは,動いている手の映像を150 ミリ秒遅らせただけで変化が生じる.   本研究の意義および今後の展開 本研究成果は、運動‐知覚の不協和が運動麻痺の回復を遅らせてしまう重要な要因の1つであることを示唆するものです。そのため、理学療法士や作業療法士による運動アシストによって運動‐知覚の不協和を最小限にしながらリハビリテーションを進める、あるいは錯覚技術を駆使して“思い通りに動かすことができる”経験を積むことの重要性を提唱する基礎研究となります。今後は、運動‐知覚の不協和を最小限にするリハビリテーションを開発する予定です。 関連する先行研究 Shimada S et al. Rubber hand illusion under delayed visual feedback. PLoS One. 2009 Jul 9;4(7):e6185.  論文情報 Osumi M, Nobusako S, Zama T, Taniguchi M, Shimada S, Morioka S. Sensorimotor incongruence alters limb perception and movement. Human Movement Science 2017.   問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターセンター長 森岡 周(モリオカ シュウ)Tel: 0745-54-1601Fax: 0745-54-1600E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2017.09.20

総務省「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業に本学が採択されました。

  関西の大学として初めて採択   総務省「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業~障害のある児童生徒を対象としたプログラミング教育実証事業~において、本学教育学部西端研究室からの申請が採択されました。全国で採択された10件のうち大学は3件、関西の大学で採択されたのは本学のみです。ICT能力の向上のみならず、プログラミング的思考は今後時代をこえて求められることが叫ばれており、2020年には小学校でプログラミング教育の必修化も決定しています。平成28年度より総務省が取り組んでいるこの事業は、障害のある児童生徒もプログラミング教育を受けられるよう「効果的な人材育成の方法」と「プログラミング講座の効果的な運営方法」をあわせて実証するものです。   5年前よりディジタル教材を共同開発している奈良県立奈良養護学校を中心に、ITに特化した放課後ディサービス(生駒市)や、子ども対象のプログラミング環境開発企業、教育番組の制作スタッフらが一丸となっての大きな取り組みで、畿央大学や近隣の大学で教員(特に特別支援学校の教員)をめざす学生が、メンター(サポーター)となって関わっていく予定です。   本学ではこれからもプログラミング教育×特別支援教育×人材育成をコラボした実学教育を前に進めていきます。   【関連リンク】 総務省HP平成29年度採択一覧西端教授と奈良養護学校との取り組み

2017.09.05

2017年3月卒の就職率、関西4位~AERA進学ムック「就職に強い大学2017」

本学の就職率は関西4位に ~就職者数300人以上の国公私立大学で   朝日新聞出版発行AERAムック「就職力で選ぶ大学2018」の特集記事「2017年実就職率ランキング」を元に集計したところ、就職者数が300人以上の国公私立大学の中で、本学が関西4位(300人未満を含めた関西全体では9位)にランクインしました。学生の熱意と教員およびキャリアセンター、教採・公務員対策室のサポートが実を結び、開学以来11年連続で就職率90%超(全卒業生就職率94.3%)を実現しています。 畿央大学のミッションは、100%進路保証です。これからも畿央生全員の夢の実現に向けて、大学一丸となって取り組んでまいります。 就職者300名以上の関西国公私立大学 実就職率ランキング 順位 大学名 国公私実就職率 1 京都薬科大学 私立 98.3% 2 大阪工業大学 私立 96.9% 3 兵庫県立大学 公立 93.9% 4 畿央大学  私立 93.5% 5 武庫川女子大学 私立 92.8% 6 京都女子大学 私立 92.7% 7 滋賀大学 公立 92.7% 8 和歌山大学 公立 92.1% 9 摂南大学 私立 91.8% 10 奈良女子大学 国立 91.5% 出典:朝日新聞出版発行AERAムック「就職力で選ぶ大学2018」の特集記事「2017実就職率ランキング」 承諾書番号A17-1266 関連リンク 全卒業生就職データ 【1分でわかる畿央大学vol.1】どうして畿央大学はこんなに「就職」に強いの?

2017.06.19

京阪奈地区の大学で初!クックパッドに「公式キッチン」を開設しました。

クックパッドは、日本最大の料理レシピの投稿・検索サービスです。投稿レシピ数は260万品以上、月間利用者数は6,000万人を超え、20~40代女性の多くが利用しています。   この度、畿央大学では、2017年5月に京阪奈地区の大学では初となる公式キッチンを開設することとなりました。本学健康栄養学科では、企業や行政と協力し地域の課題解決と学生の実学教育をコラボした連携プロジェクトを推進し、毎年多くのレシピが誕生しています。一部のレシピは実際に商品として提供・販売され、お客様から好評をいただいています。畿央大学健康栄養学科公式キッチンでは、管理栄養士のタマゴである学生たちが連携プロジェクトで考案したレシピを中心に随時公開していきます。    ▼クリックで公式キッチンに移動します       健康栄養学科の学生の学びが詰まったレシピを、日々の食事や食育などにお役立てください。       【企業・行政との連携プロジェクト】 近鉄連携「香芝SAフードコート 麺メニュー開発プロジェクト」が始動しました。 近鉄連携 西名阪自動車道香芝サービスエリアで畿央生が作った「大和ポークを使った丼メニュー」が発売されます。 近鉄連携 阪和自動車岸和田サービスエリアで畿央生が作った「大和ポークを使った丼メニュー」が発売されます。 橿原市・橿原商工会議所連携「橿原産イチゴを使った新商品」が販売されます。 奈良県中央卸売市場連携「ならいちばのキッチン・第6回料理教室」を開催しました。 田原本町連携「味間いもを使ったメニュー開発プロジェクト」で生まれた2品を、やどかり市で無料提供しました。

2017.05.09

管理栄養士国家試験の合格率は98.5%~2017年3月卒業生

2017年3月19日(日)に実施された管理栄養士国家試験の結果が5月9日(火)に発表されました。健康科学部健康栄養学科では66名が受験して65名が合格、合格率は98.5%でした。なお、全国平均の合格率(新卒のみ)は92.4%となっています。   <管理栄養士国家試験合格率 4年間推移>  2014年卒2015年卒2016年卒2017年卒 受験者 65名 68名 63名 66名 合格者 65名 68名 59名 65名 現役合格率 100% 100% 93.7% 98.5% 畿央大学健康栄養学科11期生は建学の精神である「知をみがく」を大いに実践し、全国平均を上回る結果を出してくれました。学生諸君の努力の結果であり、拍手を贈りたいと思います。卒業生たちが今後、食と健康に関するあらゆる場面で活躍してくれることを願うとともに、来年の全員合格をめざし教職員一丸となって学生をサポートしていきたいと思います。 健康栄養学科 学科長 小西 洋太郎