健康科学部 2025年度版
更新日:2025/04/05
科目コード 科目区分 科目分類 配当回生
471200
専門基礎科目
社会のしくみと健康
1回生 前期
授業コード 科目名 単位
471201
生活科学論
2
代表担当者名
庄 健二
科目内容
〔授業の到達目標〕
(1)ワクチンの接種などによって「コロナ感染症」は制圧されたと多くの人は感じていると思われる。
(2)このような対策が打てたのは、「コロナ感染症」以前からのさまざまなパンデミック研究の蓄積があり、ワクチン等の開発技術も急速に進展していたおかげである。
(3)しかしながら、基礎疾患を有する患者や高齢者にとっては、「コロナ感染症」は、現在でも、重症化、重篤化する可能性のある恐ろしい感染症であることは事実である。
(4)そこで、「コロナ感染症」やその他の感染症の発症機序等について理解を深めるとともに、重篤化の要因である「生活習慣病」の知見を中心とした、最新の医学的エビデンス等を学修する。
(5)さらに、看護現場で必要とされる「フットケア」や「むくみケア」の実際を学習する。
(6)最後に、学修したエビデンス等に基づき、医療現場に出たときには、患者への説明力や説得力、さらには患者のQOL(生活の質)向上に寄与できる知識と見識を養う。


〔授業科目内容の概要〕
(1)ワクチン接種や飛沫・接触感染防止対策の徹底などによって「コロナ感染症」は制圧されたと多くの人は感じていると思われる。感染症法5類への移行によっても危機意識は薄れてしまっている。
(2)このような対策が打てたのは、「コロナ感染症」以前からのさまざまな感染症パンデミック研究の蓄積があり、「遺伝子組み換え技術」、「mRNAワクチン」等の開発技術も急速に進展していたおかげである。
(3)しかしながら、基礎疾患(生活習慣病等)を有する患者や免疫機能の低下する高齢者にとっては、「コロナ感染症」等の感染症は、現在でも、重症化、重篤化、死亡する可能性のある恐ろしい疾病であることは事実である。
(4)そこで、「コロナ感染症」やその他の感染症の発症機序、病態、治療戦略等について理解を深めるとともに、重篤化の要因である「生活習慣病」の知見を中心とした、「サイトカインストーム」「血栓塞栓症」等の最新の科学技術的知見及び医学的エビデンス等を学修し、講義レポートにまとめる。
(5)さらに、看護現場で必要とされる「フットケア」や「むくみケア」の実際を学習する。とくに「深部静脈血栓症」や「リンパ浮腫」「下肢静脈瘤」患者だけでなく、健常者にも下肢はむくみ(浮腫)が発生する。「重力の影響」や「歩行不足」「筋力低下」「ボトルネック構造」等の原因により、むくみが発生する原因を学修する。
(6)最後に、学修したエビデンス等に基づき、今後、医療現場に出たときには、「コロナ感染症」だけではなく、さまざまな「感染症」「生活習慣病」等の患者への説明力や説得力、さらには患者のQOL(生活の質)向上に寄与できる知識と見識を養う。

〔授業計画〕
第1回 オリエンテーション(「コロナ感染症」等の現状)4/11
第2回 生活の中の感染症の脅威(多様な感染経路:飛沫・接触・飛沫核・経口・ベクター感染等)4/18
第3回 呼吸器系「感染症」の恐ろしさ(上気道炎「気管支炎」、下気道炎「肺炎」による呼吸困難)4/25
第4回 主な感染症の発症機序①(SARS、MERS、結核、エボラ出血熱、HIV等)5/2
第5回 主な感染症の発症機序②(鳥インフルエンザ、O-157、ノロウイルス、デング熱等)5/9
第6回 感染症パンデミックの歴史(人類の歴史は感染症との闘いの連続、「黒死病・ペスト」「スペイン風邪の恐怖」)5/16
第7回 むくみケア(重力の影響、動静脈の血圧差、歩行不足、筋力低下、ボトルネック構造)5/23
第8回 疫学(エンデミック、パンデミック、集団免疫、感染ポートフォリオ分析)5/30
第9回 進化医学(多細胞生物発生と生命進化に寄与したウイルス、突然変異)6/6
第10回 遺伝子学(疾病ゲノム解析、ワクチン工学、遺伝子組み換え:クリスパー・キャス9)6/13
第11回 微生物学(皮膚常在菌、腸内細菌・フローラ、口腔内細菌、細菌の発育曲線)6/20
第12回 免疫学(「コロナ感染症」重篤化の原因:サイトカインストーム)6/27
第13回 血管外科学・静脈学(フットケア、「コロナ感染症」重篤化の原因:血栓塞栓症、弾性ストッキング)7/4
第14回 生活習慣病学(「コロナ感染症」重篤化の原因:基礎疾患・生活習慣病)7/18
第15回 人獣共通感染症・動物由来感染症(「コロナ感染症」原因動物:コウモリ)7/25

〔授業外学修の指示〕
生活科学分野は広範囲にわたるので、各授業で配布した資料を基に、選択した項目についての調査研究を行い、感染症や生活習慣病等への理解を深めて講義レポート課題の作成に備えてください。

〔使用教材〕
講義資料をCEASにアップする。教科書は使用しない。

〔参考図書〕
①『もっとよくわかる! 感染症 病原因子と発症のメカニズム』 阿部章夫、羊土社、2014年、(ISBN978-4758122023)
②『知っておくべき感染症33』 今村顕史(監修)、西東社、2015年、(ISBN978-4791623624)
③『感染症 広がり方と防ぎ方 増補版』 井上栄、中央公論新社、2020年、(ISBN978-4121918772)
④『ウイルス・細菌の図鑑 感染症がよくわかる重要微生物ガイド』 北里英郎・原和矢・中村正樹、技術評論社、2016年、(ISBN978-4774177168)
⑤『感染症大全 病理医だけが知っているウイルス・細菌・寄生虫のはなし』 堤寛、飛鳥新社、2020年、(ISBN978-4864107570)
⑥『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 武村政春、講談社、2017年、(ISBN978-4065020104)
⑦『人獣共通感染症』 神山恒夫、地人書館、2004年、(ISBN978-4805207451)
⑧『もっとよくわかる! 免疫学』 河本宏、羊土社、2011年、(ISBN978-4758122009)
⑨『京大 おどろきのウイルス学講義』 宮沢孝幸、PHP研究所、2021年、(ISBN978-4569849348)
⑩『新はじめよう! フットケア』 西田壽代監修、庄健二他、日本看護協会出版会、2022年、(ISBN978-4818025233)


〔成績評価の方法・基準〕
ミニレポート課題の評価100%(講義ごとにミニレポート課題を提示するので、作成提出する。提出されたミニレポート課題の内容を評価して成績を評定)

〔学生へのメッセージ〕
生活科学及びその周辺領域においても最新の科学的知見や医学的エビデンスが蓄積している。こうした成果に基づき医学的かつ論理的・数量的・定量的思考を身に付け、感染症の発症機序等も理解して、医療現場へ出た際には患者への指導に役立ててほしい。


〔教員の実務経験〕
靴下メーカーの研究所にて、医学系の大学との共同研究を行った経験を活かし、医学研究者(大学教員や医師等)から直接教えていただいた知識や知見も参考にして講義内容を構成している。
履修に関して留意すること
〔科目分類番号〕SMP1421

〔関連するディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)〕
(3)豊かな教養と幅広い視点を持っている。(知をみがく/知識・理解)
(4)看護医療分野に関する高い専門性と臨地に役立つ実践力を修得している。(知をみがく/知識・理解)
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