科目コード | 科目区分 | 科目分類 | 配当回生 |
---|---|---|---|
571400 |
専門科目 |
特別支援教育に関する科目 |
3回生 後期 |
授業コード | 科目名 | 単位 | |
571401 |
発達障害教育特論 |
2 |
|
代表担当者名 | |||
森岡 周 |
科目内容 |
---|
〔授業の到達目標〕 1.人間が持つ多様な機能(知覚、感情、注意、道徳、社会性、コミュニケーションなど)の発達を、脳・神経の働きや行動心理の視点から理解し、個人因子や環境因子が発達に及ぼす影響を説明できるようにする。 2.自閉症スペクトラム症候群(ASD)、注意欠陥・多動性症候群(ADHD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)の特性や神経メカニズムを理解し、事例を通じて、支援方法や学習指導上の配慮を具体的に検討・設計できるようにする。 3.代表的な事例を題材に、特性とメカニズムの視点から個々に応じた具体的な指導方法を考案し、自立活動や教科指導に結びつける方法を身に付ける。 4.事例研究におけるグループワーク(討議やプレゼンテーションなど)を通じて、多様な視点を取り入れながら特別支援教育の実践知を深め、チームとして支援をデザインできる協働的な姿勢を養う。 5.ダイバーシティやインクルーシブ教育の理念を踏まえた学級経営および家庭・関係機関との連携についても考察し、幅広い支援体制を構築するための基礎的な力を身に付ける。 〔授業科目内容の概要〕 本科目では、心身に障害のある幼児・児童・生徒への教育的支援を、脳科学および発達行動心理学の視点から総合的に学ぶ。基礎理論として、人間の脳がどのように知覚・認知・情動・社会性などを発達させるのかを概観し、環境因子や個人因子がどのように関与するかを理解する。そのうえで、自閉症スペクトラム症候群、注意欠陥・多動性症候群、学習障害、発達性協調運動障害の脳機能と行動特性を整理し、学習や生活の場面で生じる困り感に合わせた支援方法を検討する。 特に、本科目では具体的な事例に基づくグループワークを中心に据える。四事例を軸に、グループ内で情報を共有し、分析や議論を重ねながら問題解決型の学習を行う。各事例については、特性や神経メカニズムを踏まえた個別最適化の視点だけでなく、学級全体や学校全体の日常教育活動における配慮や自立活動への展開方法を探る。最終的には、グループごとに統合的な支援計画を立案・発表することで、実践的な指導上の配慮や多様な協力体制との連携方法を習得するとともに、チームで取り組む特別支援教育の重要性と可能性を体得することを目指す。 〔授業計画〕 第1回:オリエンテーション -授業の目的と四つの事例の概要- 第2回:基礎理論の整理(1)-心理学・脳科学・発達学の概観- 第3回:基礎理論の整理(2)-発達障害に関わる主要研究とメカニズム- 第4回:自閉症スペクトラム障害(Aタイプ)事例の導入・理解 -社会性の困難を中心に- 第5回:自閉症スペクトラム障害(Aタイプ)事例の支援策検討 -プレゼンテーションと討議- 第6回:自閉症スペクトラム障害(Bタイプ)事例の導入・理解 -感覚過敏を中心に- 第7回:自閉症スペクトラム障害(Bタイプ)事例の支援策検討 ― プレゼンテーションと討議 第8回:注意欠陥・多動性障害事例の導入・理解 -多動・不注意・衝動性をどう捉えるか- 第9回:注意欠陥・多動性障害事例の支援策検討 -プレゼンテーションと討議- 第10回:発達性協調運動障害と学習障害事例の導入・理解 -運動協調と学習障害の複合課題- 第11回:発達性協調運動障害と学習障害事例の支援策検討 -プレゼンテーションと討議- 第12回:四つの事例の横断比較と総合考察 -共通点・相違点を探る- 第13回:実践的ワークショップ -統合的支援計画づくり- 第14回:最終プレゼンテーション -グループ発表とフィードバック- 第15回:総括とダイバーシティ教育の展望 -家庭・関係機関との連携を含む- 〔授業外学修の指示〕 本授業では、脳の構造や機能に関する基礎知識が必要になるため、脳科学や心理学、発達学に関係する書籍や資料に積極的に触れ、理解を深めてください。また、授業では多様な見解や特性を尊重する姿勢を大切にしますが、参加する全員が安心して学べる環境を保つためにも、道徳的かつ倫理的な行動を心がけ、協調的かつ主体的に取り組んでいただくようお願いします。 〔使用教材〕 適宜、資料を配布する。 〔参考図書〕 森岡 周:発達を学ぶー人間発達学レクチャー.協同医書出版社(2015) 〔成績評価の方法・基準〕 グループプレゼンテーション(40%) レポート課題(60%) 〔学生へのメッセージ〕 本授業では、脳科学と心理学、そして発達学の視点から、人の多様な特性と、それに応じた教育的支援を学びます。グループワークや事例研究を通して、仲間同士で意見を出し合いながら実践的に考える機会が多いのが特徴です。自ら調べ、話し合い、他者の視点を取り入れることで、新しい発見が必ずあるはずです。また、学習障害や注意欠陥・多動性症候群、自閉症スペクトラム症候群、発達協調運動障害など、多様性が存在することを前提に教育活動を考えることは、今後、どのような環境であっても役立ちます。ぜひ積極的に参加し、講義以外の時間にも関連書籍や資料に触れながら、理論と現場のつながりを意識して学んでください。自分なりの視点を大切にしつつ、互いの意見を尊重し合い、協力しながら充実した学びの時間をともに作りあげていきましょう。 〔教員の実務経験〕 理学療法士として業務に従事していた時の経験を活かし、現場での実体験も示しながら、実際に求められている発達障害教育学を学生に教示している。 |
履修に関して留意すること |
〔科目分類番号〕FSN2133 〔関連するディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)〕 (1)生命への畏敬の念を持ち、教育に携わる者としての倫理観や子どもに対する深い理解と愛情を持っている。(徳をのばす/態度・志向性) (4)学校教育、幼児教育、保健教育に関わる分野の高度専門職業人として必要な教育学の諸理論、子どもの発達、各教科・領域の内容や指導法、学校保健等についての専門的な知識を有している。(知をみがく/知識・理解) |