2015年度の業績・活動を年報としてまとめました.
【2015年度年報 https:https://www.kio.ac.jp/nrc/publication_top?cat=77】
ニューロサイエンスに基づくリハビリテーション(Neuroscience-based Rehabilitation)は「ニューロリハビリテーション(Neurorehabilitation)」と呼ばれ、ここ最近注目を浴びています。しかしながら、その研究は端緒についたばかりであり、我が国においては研究拠点が未だ整備されていない状況です。ニューロリハビリテーション研究に求められることは、運動行動や認知・学習能力の変化・改善だけでなく、それをもたらす脳機能の変化を併せて分析することです。それにより、リハビリテーション効果の神経メカニズムに迫ることでき、より対象者に見合った効果的な手法を開発することが期待されます。本研究センターは2013年度に開設、2014年度にハードが完成し、現在は実質的な運用に入っています。その目的は、我が国におけるニューロリハビリテーション研究の中核拠点として、脳科学の進歩・進展と手を携え、新しいリハビリテーション手法や技術を導入すること、そして、医療機関や教育機関と連携した研究と実践をつなぐプラットフォームの役割を担うこととしています。
2015年度の本研究センターは、「研究と実践をつなぐプラットフォーム」としての役割を果たすために様々な活動をしました。神経科学に関する講義動画の無料配信、基礎から臨床実践までの学術知見を網羅的に提供するセミナー、臨床家と基礎研究者とのインタラクションのための研究会主催、地域住民の健康のためのシニア講座、臨床家の方々に実験室を開放するオープンラボ企画、実際に脳機能イメージング実験を体験するセミナーなど、研究者・臨床家・当事者の垣根をなくすことを企図して活動して参りました。当然のことながら、教育・研究のベースアップを図るための研究指導・原著論文作成・学会発表・講演活動・研究費獲得などの活動も昨年度よりも充実させております。また、科研費新学術領域研究や日本医療研究開発機構(AMED)に参画することによって、様々な研究者とコラボレーションあるいは切磋琢磨し、ニューロリハビリテーション研究・実践の水準を高めようと精進しているところです。
この度は上記のような2015年度の活動内容を年報としてまとめました。こうした活動を支えて頂きました関係機関ならびに関係者各位に深く感謝致します。
2016年4月
センター長 森岡 周