[Journal Club]慢性期脳卒中片麻痺における四肢の重だるさ

Kuppuswamy A, Clark E, Rothwell J, Ward NS.

Limb Heaviness: A Perceptual Phenomenon Associated With Poststroke Fatigue?

Neurorehabil Neural Repair. 2016 May;30(4):360-2.

 

脳卒中後患者において,「腕が重い」という愁訴は頻回に聞かれます。時には,その重さの訴えがリハビリテーションを阻害することもあります.しかしながら,このような重さの訴えには何が関係しているのかまだ明確にされていません。直感的には筋力が低下している患者さんは腕の重さを訴える方が多い気もしますが、果たしてどうなのでしょうか??

本日は患者さんの主観的な四肢の重さと関係しているものを調査している論文を紹介します。

この調査では69人の慢性期脳卒中片麻痺患者を,四肢の重さを強く感じている者とそうでない者の2群に分けて,両群における「疲労感や疲れ易さ」のアンケート,上肢運動機能テスト,握力の成績を比較しました.

その結果,四肢の重さを強く感じている者は「疲労感や疲れ易さ」のアンケートの点数が高いということが明らかになりました.

一方で,両群の運動機能や握力には違いが認められませんでした.

この研究グループは「疲労感や疲れ易さ」には運動皮質の興奮性が関与していること自身の研究で既に明らかにしていることから,

脳卒中患者が訴える「四肢の重さ」というのは,筋力低下などよりも運動皮質の興奮性が低下することが要因ではなかろうかと考察しています.

 

このような脳卒中の「四肢の重さ」に関するエビデンスはまだまだ乏しいため,今後の研究が期待されます.