[Journal Club]ニューロフィードバックトレーニングは化学療法誘発性の痛みを改善させる
Prinsloo S, Novy D, Driver L, Lyle R, Ramondetta L, Eng C, McQuade J, Lopez G, Cohen L.
Randomized controlled trial of neurofeedback on chemotherapy-induced peripheral neuropathy: A pilot study.
Cancer. 2017
がん化学療法を受けた後には,四肢末端に痺れや痛みが誘発されることが多いです.この痛みに対する薬物療法はいくつかトライされてきていますが,エビデンスレベルは発展途上に留まっています.
今回紹介する論文は,近年注目されている「ニューロフィードバックトレーニング」によって,化学療法によって誘発される痛みが改善するのかを検証したものです.
ニューロフィードバックトレーニングとは・・・??
自分の脳波活動をリアルタイムにフィードバックさせながら,ある特定の周波数の活動を選択的に高めるように自らの脳を調整するトレーニングです.
この論文では,化学療法によって痛みが誘発された者30名に対して,脳波電極19chを頭皮に装着してα波(8~13Hz)の周波数領域の活動を高めるようにニューロフィードバックトレーニングを実施しています.
今回の研究で実施されたニューロフィードバックでは,α波の活動が高くなると音が鳴るように設定されています.もちろん,対象者は「できるだけα波を高めて下さい」としか指示されていません.
このニューロフィードバックトレーニングを45分×20セッション(10週間)繰り返すことにより,安静時α波が有意に増大して,痛みも有意に改善したようです.ちなみに,痛み改善の効果量は他の先行研究(薬物療法)よりも明らかに大きいものでした.
化学療法誘発性疼痛は末梢神経障害に随伴するものと考えられていましたが,中枢機能を自らトレーニングすることによって改善するという知見は非常に興味深いものです.さらなる臨床応用が期待されます.