[Journal Club]対人同期性は乳児の社会的行動を増加させる
Cirelli LK, Einarson KM, Trainor LJ.
Interpersonal synchrony increases prosocial behavior in infants.
Developmental Science. 2014.
たとえ乳幼児期であっても,その頃に経験した社会的相互作用が,後の社会性の発達に重要であることは周知の事実です.
今回紹介する論文は,対人同期的運動経験が,乳児の社会的行動を促進するかを検証したものです.
相互同期性とは・・・??
生まれたばかりの新生児であっても,人の発話に同調して身体を動かす現象のことであり,子どもがもともと人の働きかけに応じやすい,コミュニケーションを成立させるのに適した仕組みを生得的に持っていることを示す.
この論文では,生後14ヶ月の乳児48名に対して,音楽に合わせて,乳児を抱きかかえた大人と向かい合った大人が,①同期してバウンス(膝の屈伸)した場合と②非同期してバウンスした場合とで,その後の乳児の社会的行動が異なるかを調べています.
その後の社会的行動には,instrumental helping taskといって,大人が落とした物を,乳児が拾って助けてあげるかという利他的行動を観察しています.
その結果,同期条件を経験した乳児は,非同期条件を経験した乳児より,有意に大人を助ける行動を示しました.
この研究は,幼い頃の社会的相互作用の重要性を改めて認識させると共に,生後14ヶ月の乳児がすでに対人援助のために社会的手がかりを使用しており,同期性はそのような社会的手がかりの1つとなることを示しています.