【第2回 リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会が開催されました】

令和1年11月2日(土),畿央大学にて「第2回 リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会」が開催され,総勢92名の参加者による活発なディスカッションが行われました.

集合写真

本研究会は,畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター公募研究会制度の承認と支援を受けて開催されたものであり,今回で2回目の開催となります(前回の様子).前回に引き続き,今回の目的は「リハビリテーションにおける姿勢運動制御分野の若手研究者と療法士を対象としたオープンな研究会を開催し,臨床で示される現象に対する解釈や検証を,科学的態度をもって議論できるプラットフォーム構築,および今後の研究コミュニティの構築を目指す」こととしています.そのため,研究会の運営は若手研究者かつ理学療法士ら(代表:植田 耕造・畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員)で高い自由度をもって行っております.

今回はスタッフを合わせ総勢92名の参加,25のポスター演題(若手講演演題のポスター発表含む)と,昨年に引き続き多くの方に参加して頂けた盛会となりました.

特別講演では 阿部 浩明 先生(一般財団法人広南会 広南病院)に「Pusher現象の臨床」について,自身の研究成果も含めたPusher現象に関する包括的レビューと臨床知見までも統合した内容を講演頂きました.科学的態度を持ちつつも現象に対峙する,療法士として真摯な姿勢が強く印象的なものでした.また,若手講演では 冨田 洋介 先生(高崎健康福祉大学 保健医療学部 理学療法学科)より,「脳卒中患者の上肢運動と姿勢制御」というタイトルで,運動の自由度問題や冗長性・協調性について,複雑な内容の話であるにも関わらず理路整然と自身の研究成果を交えつつ,分かりやすくお話し頂きました.さらに,同じく若手講演をお願いしました 安田 和弘 先生(早稲田大学 理工学術院総合研究所)からは,「工学的手段による感覚代行・補完技術とリハビリテーション」について,工学とリハとの接点に関する講演を自身の研究成果を基に行って頂きました.「モノづくり」がゴールではなく,その先の対象者(患者)への適応やユーザー(療法士)の臨床使用可能性についてまで視野に入れて研究を行っておられ,将来的なリハの姿を垣間見るものでした.さらに,いずれの講演においてもフロアからの活発な質疑がみられ,会全体で問題意識を共有する雰囲気がありました.

講義写真

そして,ポスターセッションでは昨年の経験を生かし,午後から2時間30分にも及ぶ長時間のディスカッションの時間を設けました.これだけ長いディスカッションタイムを設けるのはどうか?とも考えましたが,結果的には規定時間後も積極的にディスカッションを続けている光景があり,発表者や参加者同士の繋がりを深める場として効果的に機能していました.

ポスター写真

本公募研究会は「3年で見直し」と規定で決まっております.来年がその3年目です.その後の展開や研究会の在り方についても大きな節目となる会になるかと思います.また来年もどうぞ宜しくお願い致します.

最後になりましたが,ご講演を賜りました阿部先生,冨田先生,安田先生,そして,参加者,演者の皆様,畿央大学および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターのご支援に深く感謝申し上げます.

 

リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会
石垣 智也(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員)