ニューロリハビリテーションセミナー機能編Bが開催されました.
2015年10月24/25日にニューロリハビリテーションセミナー機能編Bが開催されました.
全国各地から300名以上の方々にお越しして頂き有難く思います.せっかくですので、以下にセミナー内容を簡潔にまとめさせて頂きました.
1日目は「共感の神経機構」・「ボディイメージの神経機構」・「道具使用の神経機構」・「歩行の神経機構」でした.
松尾先生による「共感の神経機構」では,あくびの伝搬や日常の「あるある」について話題提供され,ミラーニューロンシステム,痛みの共感の神経機構,共感と心の理論との関係をネットワークの視点から解説されました.
大住先生による「ボディイメージの神経機構」では,従来からの身体図式や身体表象のみならず,身体所有感や運動主体感といった身体性に関わる神経科学的知見を非常に平易に紹介して頂きました.また,ボディイメージを客観的かつ定量的に測定する新たな評価手法も紹介して頂きました.
信迫先生による「道具使用の神経機構」では,操作に関する知識・機能に関する知識などの神経機構ついて,道具のさまざまな制約(機械的・時間的・空間的・労力的制約)を解決しながら道具を使用しているヒトの高次な神経機構についても解説してくれました.
岡田先生による「歩行の神経機構」では、歩き始めから歩行停止するまでの神経機構、脊髄CPGが機能するために必要な要素などを解説してくれ,歩行に関する皮質下から大脳皮質までの機能が十分に網羅された内容になっていました.
そして,1日目の夕方はナイトセミナーとして,客員教授の樋口貴広先生に「注意と歩行」について講義して頂きました.
大変ご多忙な先生ですが,受講していただいている皆さんと共感しながら,情報の選択と処理資源の観点から様々な日常生活における注意と歩行の関連する事象について,多彩な実験動画や面白動画などを交えて解説して頂きました.リハビリテーションにおける「指導的関わり」においても大変重要な視点であることを伝えて頂きました.
スマートな樋口貴広先生がときに自虐的なネタも交えながら,楽しい講義を展開して頂き,受講者を飽きさせない講義でした.本当に有難うございました.
2日目は「ワーキングメモリの神経機構」・「運動イメージ」・「痛みの神経機構」・「社会性の神経機構」でした.
冷水先生による「ワーキングメモリの神経機構」では,ヒトの円滑な生活に不可欠なワーキングメモリの各要素とその神経機構について,日常生活の中での事象を通して解説して頂きました.
森岡先生による「運動イメージ」の神経機構では,オフラインで運動をイメージする際に運動実行時と等価の脳活動が生じることがよく知られていますが,運動実行時より運動準備時に特に等価な活動が得られること,現在の自己の身体表象によって運動イメージが干渉されることが解説されました.
前岡先生による「痛みの神経機構」では,痛みの神経生理学的機序,疼痛抑制機構,3つの側面(感覚的側面,認知的側面,情動的側面)とその神経機構,痛みの共感,異常疼痛,慢性疼痛患者の脳の構造的,機能的変化と広範な範囲について,丁寧に解説して頂きました.
松尾先生による「社会性の神経機構」では,そのヒトがそのヒトらしくいるためには,他者とのコミュニケーション(言語,非言語)を通して社会的に調和することの重要性について解説して頂きました.
今回の機能編Bも多くの情報を提供できたと思います.参加された方々の臨床現場が少しでも良いものとなるようにさらに工夫を凝らしていきますので今後とも宜しくお願い致します.