脳卒中後に生じる高次脳機能障害『半側空間無視』 のあらたな評価手法を開発
PRESS RELEASE 2019.1.11
畿央大学大学院博士後期課程の大松聡子氏,森岡 周教授,国立障害者リハビリテーションセンター神経筋機能研究室の河島則天室長(畿央大学大学院健康科学研究科客員教授)らの研究グループは,脳卒中後に生じる高次脳機能障害の一つである「半側空間無視」症状の新たな評価手法を開発しました.半側空間無視は損傷を受けた脳と反対側の空間の物体やできごとが認識できなくなる不思議な症状で,症状が慢性化すると日常生活に大きな支障を来します.大松氏たちは,視線分析によって半側空間無視症状を簡便かつ定量的に評価できる手法を開発し,その有用性に関する重要な知見を得ました.従来の検査は紙面検査や日常生活の行動観察によるもので,検査に時間を要することや,重症度の高い患者の評価が困難であるなどの限界点がありました.開発手法は,PC画面上に提示された対の左右反転画像を見ているときの視線の分布特性を分析することで無視症状の程度や特徴を捉えるもので,今後,臨床場面での活用が期待されます.この成果は1月5日付けで英国科学誌『Cortex』に掲載されました.
研究概要
半側空間無視は,脳卒中後に生じる高次脳機能障害の一つで,損傷を受けた大脳半球の反対側の空間にある物体や事象を無視してしまう神経症状です.脳卒中後のリハビリテーションでは,紙面検査や行動観察によって無視症状についての評価を行うことが一般的ですが,検査実施に時間を要すること,患者側に集中力や認知的負荷を強いることなどの問題点があり,加えて重症度の高い患者では評価が困難であるなどの限界点があります.空間無視,という言葉に表れるように,この症状は空間上の物体や事象を認識できなくなる症状で,筆記検査や言語での回答を要求するような検査手法では,症状の特性を捉える上で限界があります.今回発表した論文では,視線分析を用いて直観的かつ定量的に無視症状を捉えるための手法を開発し,その有用性についての検証を行いました.単に様々な画像を注視した際の視線分析を行うのではなく,左右を反転させた対の画像を用い,注視対象の空間配置に応じて視線がどのように推移するかを分析する工夫を施しました(図1).
図1:開発手法の概要
患者さんにコンピュータスクリーン上に提示される画像をただ見るのみ,という課題を行いました(A).提示される画像は,図Bで示される元画像6種類(B)に,それぞれを左右反転した画像,計12画像でした.分析は,対の左右反転画像の視線データを合わせ,平均したものを視線偏向(°)として用いました(C ).
図中に示すような対の左右反転画像を自由に見ている(Free viewing)ときの私たちの視線は,画面の右空間に注視対象があれば右空間に集中し,画像の左右空間を反転することで注視対象が左に移れば視線もまた,左空間に集中します(図1C,図2:健常群).一方,半側空間無視をもつ患者群では,右空間に注視対象があるときこそ右に視線が集中するものの,画像を左右反転させ,注視対象が左に移ったとしても対象を探索できず,依然として右空間を注視するような特徴を持ちます(図2:無視群).私たちはこの特性を利用して,無視症状の特徴を捉えることを試みました.左右反転画像を用いるメリットは,元画像と左右反転画像に含まれる物理的(輝度や色彩など),認知的要素(意味性や文脈など)を統一した状態で,左右の空間的位置関係のみを反転できる,ということになります.また,画像間の視線分布の違いに表れるように,注視対象の特性(生物or無生物,単数or複数,配列の方向性や意味性)により,無視空間への視線配分に変化を認めました(図2).つまり,半側空間無視症例が見せる『無視空間』は空間上の固定された範囲で生じるのではなく,画像に含まれる情報や要素に応じて変化することを示唆しています.これらの結果は,左右反転画像を用いた視線分析が,評価の視点だけでなく,リハビリテーション介入を考える上での重要な情報を提供し得るものと考えられます.
図2:研究結果の概要
画像ごとの視線分布の結果です.視線のカラーマップ(上:健常群,下:無視群)は赤くなっている箇所が,長く注視されていた部分です.折れ線グラフは,横軸が画像の横軸に対応しており,縦軸は横軸の各左右位置を見ていた時間の割合を示した図です.健常者は画像が反転すると視線も反転して,どちらも類似した箇所を見ていますが,無視群は右に偏った特徴があります.ただし,少女や金魚の画像では,他群と類似した視線分布となっていることが分かります.
図3:全画像を通じた結果
本論文で開発した左右反転画像の注視点分析による評価結果は,無視のない群と比較して無視群の視線が有意に右へ偏向しており,かつ通常臨床で使用される行動性無視検査(BIT)結果と有意な相関を示しました.開発手法は所要時間が数分足らずで実施可能で,かつ覚醒レベルの停滞や全般性注意障害,認知機能面の低下を合併しているような,BIT検査の実施が困難な症例にも実施可能です.本論文の対象のうち2名は,BIT検査が実施困難でしたが,開発手法による評価が実施可能でした.今後,臨床場面での無視症状の把握に活用することが期待できます.
関連記事
本研究成果は.国立障害者リハビリテーションセンター プレスリリースにも掲載されています.
論文情報
Ohmatsu S, Takamura Y, Fujii S, Tanaka K, Morioka S, Kawashima N. Visual search pattern during free viewing of horizontally flipped images in patients with unilateral spatial neglect. Cortex 113: 83-95, 2019
DOI: https://doi.org/10.1016/j.cortex.2018.11.029
なお、研究成果の一部は既に実用化され,株式会社クレアクトより製品販売されています.
https://www.creact.co.jp/item/welfare/attention/usn_attention/attention-top
問い合わせ先
畿央大学大学院健康科学研究科
博士後期課程 大松 聡子(オオマツ サトコ)
Tel: 04-2995-3100(内線7190) Fax: 04-2995-3132
E-mail: ohmatsu-satoko@rehab.go.jp
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
センター長 森岡 周(モリオカ シュウ)
Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600
E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
国立障害者リハビリテーションセンター
研究所運動機能系障害研究部
神経筋機能障害研究室長
河島 則天(カワシマ ノリタカ)
Tel: 04-2995-3100(内線2520) Fax: 04-2995-3132
E-mail: nori@rehab.go.jp
感覚運動の空間的不一致による異常知覚と運動制御に関わる神経活動
PRESS RELEASE 2019.1.10
脳卒中や慢性疼痛患者における身体性変容の要因の1つとして,感覚情報の予測と実際に入力される感覚情報との間の不一致(感覚運動の時間的および空間的不一致)が考えられています.健常者においても,感覚運動の“時間的”不一致を生じさせると,四肢の重さの知覚変容,しびれ,奇妙さや嫌悪感の惹起に加えて,運動の正確性も低下することが明らかにされています(Katayama and Morioka et al 2018).しかしながら,感覚運動の“空間的”不一致による異常知覚と運動制御に関わる神経活動は明らかになっていませんでした.
畿央大学大学院博士後期課程の片山脩氏と森岡周教授らは,健常者を対象に感覚運動の空間的不一致課題を実施し,感覚運動の空間的不一致による異常知覚と運動制御異常には,前補足運動野および帯状皮質運動野におけるベータ波帯域の神経活動性の低下が関わっていることを脳波の三次元画像解析(eLORETA)を用いて明らかにしました.この知見は,脳卒中や慢性疼痛患者の病態解明に貢献し,新たなニューロリハビリテーション技術開発に向けた基礎的知見になるものと期待されます.この研究成果は,Neuroscience Letters誌(Neural activities behind the influence of sensorimotor incongruence on dysesthesia and motor control)に掲載されています.
研究概要
脳卒中,慢性疼痛患者では患肢に対する知覚変容や運動制御の低下が生じます.この要因の1つとして,運動指令に基づいて脳内で生成される感覚情報の予測と,運動により実際に入力される感覚情報との間に生じる不一致(感覚運動の時間的および空間的不一致)が考えられています.実験的に感覚運動の時間的不一致を生じさせると,健常人であっても知覚変容や運動の正確性が低下することが明らかにされていました(Katayama and Morioka et al 2018).しかしながら,感覚運動の空間的不一致による異常知覚と運動制御に関わる神経活動は明らかになっていませんでした.今回,健常者を対象に実験的に感覚運動の空間的不一致を生じさせ,異常知覚と運動制御に関わる神経活動を検討しました.その結果,感覚運動の空間的不一致により様々な異常知覚が惹起され,その中で奇妙さが有意に強く惹起されました.さらに,運動制御においては運動の正確性が低下することを確認しました.これらの異常知覚と運動制御には,前補足運動野と帯状皮質運動野のベータ波帯域の神経活動性の低下が関わっていることを脳波の三次元画像解析により明らかにしました.
本研究のポイント
■ 感覚運動の空間的不一致により,奇妙さをはじめとした異常知覚が惹起される.
■ 感覚運動の空間的不一致により,運動の正確性が低下する.
■ 異常知覚と運動制御に前補足運動野と帯状皮質運動野のベータ波帯域の神経活動性の低下が関わる.
研究内容
健常成人を対象に,片面がホワイトボードでもう片面が鏡となったボードを両上肢の間に設置し両手関節の掌背屈運動を実施させます(図1).一側の手関節を背屈した際にもう一側を掌屈させる条件(図1D)では,鏡の後ろに隠された手関節の運動方向と,鏡に映る鏡像の運動方向が空間的に不一致した状態となります.この条件設定によって,ヒトの感覚運動ループを実験的に錯乱させることができ,“患肢の知覚変容”という状況を設定することができます.
図1:実験の条件設定
実際の実験では,A:ホワイトボード一致条件,B:ホワイトボード不一致条件,C:鏡一致条件,D:鏡不一致条件(感覚運動の空間的不一致条件)の4条件で手関節の反復運動を被験者に実施してもらいました.運動中の手関節の運動を電子角度計で計測し,身体に対する異常知覚についてアンケートで定性的に評価しました.
実験の結果,感覚運動の空間的不一致条件で,奇妙さが他の条件と比較して強く惹起され,多数の異常知覚が惹起されました(図2).さらに,手関節における運動の正確性の低下が確認されました.
図2:惹起した異常知覚とその数の比較および運動の正確性の比較
脳波活動は,感覚運動の空間的不一致条件では,前補足運動野と帯状皮質運動野のベータ波帯域の神経活動性の低下を認めました(図3).
図3:感覚運動の空間的不一致条件の神経活動領域
本研究の臨床的意義および今後の展開
本研究成果は,脳卒中や慢性疼痛患者の異常知覚や運動制御の低下に前補足運動野と帯状皮質運動野の神経活動性が関わっていることを示唆するものです.そのため,理学療法や作業療法の際には,感覚運動の空間的不一致を最小限にしながら臨床介入を進めることの重要性を提唱する基礎研究となります.今後は,実際に患肢の知覚変容や運動制御の低下が生じている症例を対象に神経活動性の検証をしていく予定です.
論文情報
Katayama O, Nishi Y, Osumi M, Takamura Y, Kodama T, Morioka S.
Neural activities behind the influence of sensorimotor incongruence on dysesthesia and motor control.
Neuroscience Letters 2019
問い合わせ先
畿央大学大学院健康科学研究科
博士後期課程 片山 脩(カタヤマ オサム)
Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600
E-mail: b6725634@kio.ac.jp
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
センター長 森岡 周(モリオカ シュウ)
Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600
E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
[書評]標準理学療法「神経理学療法学 第2版」(医学書院)
標準理学療法学 専門分野 神経理学療法学 第2版(医学書院)
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=104493
標準理学療法「神経理学療法学 第2版」(医学書院)は,脳卒中などの神経疾患を有する症例のリハビリをする上で重要な基礎的知識が網羅されているだけでなく,機能障害レベルで解説されている.
すべての項目に共通して,分かりやすい図表で整理されているだけでなく,リハビリ現場でも実践できるように細かく解説されている.ここまでのクオリティの教科書が完成するまでに,どれほどの時間が費やされたのかを想像しただけで感動すらしてしまう.特に,「ケースで学ぶ神経理学療法」の章では,実際の症例の評価から介入までの思考プロセスが具体的にまとめられており,執筆者の本気さを感じざるを得ない.
新しい症例を担当する時,あるいはリハビリ評価・介入に悩んだ時に,本棚から取り出して読んでいる姿を鮮明に想像できるほど,“臨床現場に1冊は置いておくべき教科書”に仕上がっている.この教科書に記載されていることが理学療法士の共通知識になれば,神経疾患に悩む患者さんに対する理学療法の水準が高くなり,今よりもリハビリテーションの現場が実りあるものになることでしょう.
文責 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
助教 大住倫弘
[書評]身体性システムとリハビリテーションの科学(東京大学出版会)
「身体性システムとリハビリテーションの科学」が東京大学出版会から刊行されています.
身体性システムとリハビリテーションの科学①運動制御
http://www.utp.or.jp/book/b376573.html
身体性システムとリハビリテーションの科学②身体認知
http://www.utp.or.jp/book/b378019.html
運動制御とはすなわち身体認知である(運動制御=身体認知).
ヒトの運動制御を理解する上で,コンパレータモデルを欠かすことはできない.コンパレータモデルは,実際の感覚フィードバックが利用可能になる前に運動の感覚的結果を予測することによって,感覚フィードバック制御による遅延を防ぎ,運動システムに安定性を提供し,迅速なオンライン補正の手段を提供する.具体的には,運動関連脳領域によって生成された運動指令は,身体に伝達される.その際,同時に運動指令のコピー信号から運動結果の感覚的予測が生成され,頭頂葉や小脳に伝達される.次に頭頂葉や小脳では,予測された感覚フィードバックと実際の感覚フィードバックとの比較が行われる.その際,運動結果の感覚的予測と実際の感覚フィードバックとの間に不一致が生じると,展開中の運動指令をリアルタイムで補正/修正するエラー信号が生成される.このエラー信号は,運動精度を向上させるためのトレーニング信号として機能する.ヒトは生後から日常生活においてこのプロセスを反復し続けることにより,頭頂葉や小脳に内部モデルを形成する.内部モデルとは運動の記憶であり,運動の実施前に“この運動を行ったらどのような感覚的結果が返ってくるか”を予測することを可能にする.したがって,このコンパレータモデル/内部モデルのことをフォワードモデルとも呼ぶ.
一方で,予測された感覚フィードバックと実際の感覚フィードバック(視覚,体性感覚など)が時間的・空間的に一致することによって,身体意識が生成される.より具体的には,感覚フィードバック(視覚,体性感覚)間の時空間的一致は,“この身体は自分自身のものだ”という感覚,すなわち身体保持(所有)感(Sense of Ownership:SoO)を生成する.そして運動指令と実際の感覚フィードバック間の時空間的一致は,“この運動や行為の結果生じた外部の事象は,自分自身の主体的運動・行為に起因したものだ”という感覚,すなわち運動主体感(Sense of Agency:SoA)を生成する.
したがって運動制御と身体認知は,コンパレータモデルによって統一的に理解することができ,冒頭に示したように,まさに運動制御と身体認知は現象の表と裏の関係といえる.
本書は2014年から5年計画で発足した文部科学省新学術領域研究「脳内身体表現の変容機構の理解と制御(略称:身体性システム科学)」で得られた成果をまとめた書籍であり,日本が世界に誇る一流の脳科学者,システム工学者,リハビリテーション医学者によって執筆されている.
本書は,①運動制御,②身体認知の2冊で構成されており,脳科学,システム工学,リハビリテーション医学のそれぞれの視点から,冒頭で述べた運動制御と身体認知の表裏一体の関係性を詳述している.
また脳卒中後片麻痺,統合失調症,先天性無痛症,幻肢痛,ジストニア,身体失認,失行などの症候における身体性の変容について,そしてVirtual Reality Trainingなどの最新リハビリテーション技術についても解説してあり,とりわけリハビリテーション専門職にとっては非常に関心の深い内容となっている.
これからのリハビリテーションにおいて,冒頭で述べた運動制御と身体認知の表裏一体の関係性の理解は必要不可欠であり,本書は,今後のリハビリテーションの方向性を示す羅針盤ともいえる書籍である.
文責 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
助教 信迫悟志
[Journal Club]ミラーセラピーによる身体所有感の惹起に視覚情報が強く影響する
Liu Y, Medina J
Integrating multisensory information across external and motor-based frames of reference
Cognition. 2018 173:75-86.
四肢切断後の幻肢痛や複合性局所疼痛症候群に対して,鏡を用いたリハビリ(ミラーセラピー)の有効性が報告されています.ミラーセラピーでは,幻肢(患側肢)と健側肢との間に鏡を設置し,鏡に映った健側肢を覗かせた状態で健側肢の運動をしてもらうことで,鏡に映った健側肢があたかも患側肢であるかのような錯覚(身体所有感*)を惹起します.
*身体所有感とは「この身体は私の身体である」という自己の身体に関する意識のことです.
今回紹介する研究では「ミラーセラピーによる四肢への身体所有感の惹起に,視覚と運動感覚(固有感覚)のどちらが強く影響するのか」を明らかにするために3つの実験を行われました.
第1実験では,健常人31名を対象に鏡を挟んで以下の4条件で手指の屈曲/伸展運動を実施しました.
条件a:両手掌を下に向けた肢位で両手指を同じ方向に屈曲/伸展運動(視覚・固有感覚一致条件)
条件b:両手掌を下に向けた肢位で両手指を反対方向に屈曲/伸展運動(視覚・固有感覚不一致条件)
条件c:右側の手掌を下に向け,左側の手掌を上に向けた肢位で両手指を反対方向に屈曲/伸展運動(視覚不一致・固有感覚一致条件)
条件d:右側の手掌を下に向け,左側の手掌を上に向けた肢位で両手指を同じ方向に屈曲/伸展運動(視覚一致・固有感覚不一致条件)
鏡に映った鏡像に対する身体所有感の評価として,固有感覚ドリフトと質問紙が用いられました.固有感覚ドリフトは以下の方法で測定されました.各条件の前後に鏡と天板で隠された左手の示指の位置を右手で回答させました.この際に,実際の左示指の位置と回答した左示指の位置の差を固有感覚ドリフトとしました.つまり,回答した左示指の位置が実際の位置よりも鏡寄りに変位した距離(固有感覚ドリフト)が大きいほど鏡像に対する身体所有感が強まったことを示します.
質問紙では,過去の身体所有感に関連する研究を参考に「鏡の手が私の左手であるかのように感じた」といった7項目をVAS(0mm:全く感じない~100mm:非常に強く感じる)で評価されました.
第1実験の結果は,固有感覚ドリフトは視覚・固有感覚一致条件(条件a)が視覚・固有感覚不一致条件(条件b)と比較して有意に大きい(身体所有感の増大)を認めました.視覚不一致・固有感覚一致条件(条件c)と視覚一致・固有感覚不一致条件(条件d)の比較では視覚情報が一致した条件dが有意に大きな固有感覚ドリフトを認めました.また質問紙においても同様の傾向がみられました.
第1実験の結果から,ミラーセラピーにおける身体所有感の惹起には,視覚情報の一致が重要であることが示されました.そこで第2・第3実験では,運動感覚への感覚情報の重みづけを強くすることで,身体所有感の惹起に関係する感覚情報の重みづけが視覚情報から運動感覚(固有感覚)情報に移行するかが実験されました.具体的には実験二では運動する指の本数を1本から4本に増やし,実験3では示指の運動に対してバネを取り付けて,運動抵抗を増やすことで運動感覚への感覚情報の重みづけが行われました.
しかしながら,結果はいずれも第1実験と同様となり,ミラーセラピーにおける身体所有感の惹起には,視覚情報の一致が強く関わることが示されました.
今回の研究結果は,身体所有感の低下を認める疼痛患者や脳卒中患者などに対するリハビリテーションにおいて視覚情報を用いることの重要性を示唆するものと思われます.
第23回日本基礎理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました!
12/15,16に京都で開催された第23回日本基礎理学療法学会学術大会で宮脇裕さん(博士後期課程)と私(林田一輝 博士後期課程)が演題発表をしてきましたのでここに報告させていただきます.
本大会は分科学会が独立して行う最初の開催であり,テーマは「身体運動学を極める」とされ,基礎理学療法学会が研究領域とする領域のうち特に身体運動学に焦点を当てられて講演が企画されていました.大会長の市橋教授からは「筋の運動学-筋の機能とトレーニング-」と題されたテーマで話題提供があり,臨床におけるトレーニングにおいて非常に示唆に富むものであり,興味深く拝聴しました.
私は「運動課題に伴う予測が運動主体感および運動パフォーマンスに与える効果」という題で身体性に関する発表をさせていただきました.私自身,理学療法学会での口述発表は数年ぶりで,口述発表において方法論を伝えることの難しさを改めて痛感しました.また,会場からはいくつか的確な質問をしていただきました.頂戴した意見も含めて,今回発表した内容を早く論文化していきたいと思います.
また,本研究室の修了生である西勇樹さんが第52回日本理学療法学術大会において発表した内容が奨励賞を受賞しました.今年度,本研究室からは神経分野,地域分野,基礎分野の3つの分科学会で受賞することになります.同研究室のメンバーが受賞されることは非常に嬉しく励みにもなっています.私自身,後に続けるよう努力していきたいと思います.
奨励賞
西 勇樹(修了生)
「慢性疼痛患者における交感神経変動と内受容感覚の関係性」
宮脇 裕(博士後期課程)
「感覚の自他区別が運動制御に及ぼす影響-自他区別課題開発のための予備的研究-」
林田一輝(博士後期課程)
「運動課題に伴う予測が運動主体感および運動パフォーマンスに与える効果」
博士後期課程 林田一輝
第6回日本運動器理学療法学会学術大会で発表してきました!
第6回日本運動器理学療法学会学術大会(博多)で大住倫弘助教,今井亮太さん(客員講師),藤井廉さん(修士課程),重藤隼人(博士後期課程)が発表して参りました.今年度から初めての分科学会での開催となり,日本運動器理学療法学会,徒手理学療法部門,ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法部門が共催しての開催となり,各分野に特化した講演・セミナー・シンポジウム,そして演題発表も一般演題・ポスター演題に加えて,症例報告があったのが特徴的でした.私は基調講演を聴講させていただき,北海道文教大学大学院の宮本重範先生からは「運動器理学療法の趨勢と今後に期待すること」というテーマで,徒手理学療法分野を中心に世界の理学療法および日本の理学療法の変遷と今後の課題についての講演がありました.医学の進歩や研究分野での新たな発見に伴い,我々の評価・治療の対象や方法論も大きく変化しており,今後も世界の動向,社会のニーズに目を向けていく重要性を再認識しました.九州大学大学院の整形外科医である中島康晴先生からは「整形外科医から理学療法に望むこと」というテーマで,チーム医療としてメディカルスタッフの相互の協調・連携の重要性を述べるとともに,理学療法士と新しいエビデンスの構築に向けて共同研究を行いたいと述べていたのが印象的でした.また,今回は私たちの研究室からは主に疼痛関連の研究をしているメンバーで発表を行ってきましたが,疼痛の専門的な学会で議論されている内容が運動器理学療法学会の中では十分に知れ渡っていない現状も再認識でき,今後広く議論ができるように様々な場面で発表や議論の機会をもち,論文化して形にしていくことが重要であると感じました.運動器理学療法の発展および社会に貢献できるように,今後も研究活動を進めていきたいと思います.
我々の演題名は以下であり,いずれも様々な意見をいただき多くの議論ができたと感じております.
<ポスター演題>
大住倫弘「地域在住の腰痛有訴者における腰椎屈曲-伸展運動の運動学的特徴-運動恐怖に着目して-」
今井亮太「術後1週間の痛み改善度は1カ月後の痛みの予後と関連する」
藤井廉「痛み関連恐怖による重量物持ち上げ動作の動作特性」
<一般演題>
重藤隼人「疼痛強度における中枢性感作と心理的因子の関係性」
博士後期課程 重藤隼人
確率共鳴(Stochastic Resonance: SR)現象による視覚-運動統合の向上
PRESS RELEASE 2018.12.19
感覚-運動統合は,運動学習や運動制御において欠かせない脳機能です.発達性協調運動障害や視覚性運動失調,そして失行は,その病態に感覚-運動統合の困難さを有しています.したがって,感覚-運動統合を促進する効果的な介入手段の開発が求められています.確率共鳴(Stochastic Resonance: SR)とは,感覚閾値下の機械的あるいは電気的ノイズを生体に印加すると,感覚入力シグナルが増幅し,運動反応が向上する現象です.SR現象は,健常成人のみならず,健常高齢者,脳卒中後片麻痺,糖尿病性神経障害,パーキンソン病などでも観察されています.しかしながら,SR現象の提供によって,感覚-運動統合が促進されるか否かについては明確になっていませんでした.そこで畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志助教らの研究グループは,SRが視覚-運動統合に与える影響を調査し,SRが若年健常成人の視覚-運動統合を向上することを明らかにしました.このSR現象の提供は,感覚-運動統合障害を有する疾患に対する介入手段として期待されます.この研究成果は,PLOS ONE誌(Stochastic resonance improves visuomotor temporal integration in healthy young adults)に掲載されています.
研究概要
視覚-運動統合の時間的側面,すなわち視覚-運動時間的統合機能は,遅延視覚フィードバック検出課題によって客観的・定量的に測定することができます.一方で,遅延視覚フィードバック下での運動課題は,視覚-運動統合を阻害し,運動に拙劣さを与えることができます(仮想的な視覚-運動統合障害).
そして感覚閾値下の振動触覚ランダムノイズ刺激は,SR現象を引き起こすことが可能です.
そこで信迫助教らの研究グループは,若年健常成人を対象に,SRが遅延視覚フィードバック検出課題と遅延視覚フィードバック下での運動課題に与える影響を調べました.その結果,SRが遅延視覚フィードバック検出課題で測定される視覚-運動時間的統合機能を向上することを明らかにしました.しかしながら,SRは遅延視覚フィードバック下での運動課題の成績に影響しませんでした.
本研究のポイント
SRの提供によって若年健常成人の視覚-運動時間的統合機能が向上した.したがって,SRデバイスは,感覚-運動統合障害を有する疾患の症状改善に効果的で有り得る.しかしながら,SRの提供は,267ミリ秒の遅延視覚フィードバック下での運動に正の効果を与えなかった.したがって,感覚-運動統合障害が重度である場合には,SRは有効でない可能性がある.
研究内容
本研究には,若年健常成人30名が参加しました.SRは手首に取り付けた振動触覚デバイスによる感覚閾値の60%の強度の振動触覚ランダムノイズ刺激によって提供されました.参加者は,SRあり条件とSRなし条件において,遅延視覚フィードバック検出課題と遅延視覚フィードバック下運動課題を実施しました.遅延視覚フィードバック検出課題は,自己運動に対するその視覚フィードバックに33-500ミリ秒までの15遅延条件が設定され,参加者は視覚フィードバックが遅れているか否かについて回答しました.遅延視覚フィードバック検出課題で抽出される検出閾値と検出確率曲線の勾配が,視覚-運動時間的統合機能を反映する定量的指標でした.検出閾値の短縮と勾配の増加は,視覚-運動時間的統合機能が高いことを表します.遅延視覚フィードバック下運動課題における遅延時間は267ミリ秒に設定しました.参加者は267ミリ秒の遅延視覚フィードバック下で,Box and Block Test(BBT)とNine Hole Peg Test(NHPT)の2つの手運動課題を実施しました.BBTにおいては得点が高いほど,NHPTにおいては実施時間が短縮するほど,手運動課題の成績が高いことを表します.SRあり条件・なし条件は,振動触覚デバイスの電源をオンまたはオフにすることにより調整しました.感覚閾値未満の振動触覚ランダムノイズ刺激であったため,参加者はSRについて盲検化されました.
図1. 実験課題
左:遅延視覚フィードバック検出課題
右:遅延視覚フィードバック下での運動課題
図2. 結果
SR(+),SRあり条件;SR(-),SRなし条件;**,p<0.01;N.S.,有意差なし
上:視覚-運動時間的統合機能を反映する検出閾値(左)と勾配(右)の比較結果
下:遅延視覚フィードバック下運動課題(左,BBT;右,NHPT)の比較結果
結果,SRあり条件の検出閾値は,SRなし条件と比較して,有意に短縮しました(図2).このことは,SRの付与が,視覚-運動時間的統合を促進することを意味しました.しかしながら,遅延視覚フィードバック下運動課題の成績には有意差はありませんでした(図2).SRあり条件における視覚-運動時間的統合の向上効果は,平均検出閾値で約20ミリ秒の短縮でした.したがって,遅延視覚フィードバック下運動課題で設定した267ミリ秒の外乱効果が上回ったものと考えられました.このことは,視覚-運動時間的統合障害が重度な場合には,SRによる効果がない可能性を示唆しました.
本研究の臨床的意義および今後の展開
本研究結果は,SRの提供が感覚-運動統合障害を有する疾患に対して有効である可能性を示唆しました.介入研究を実施することで,SRの有効性を検証する必要があります.
論文情報
Nobusako S, Osumi M, Matsuo A, Fukuchi T, Nakai A, Zama T, Shimada S, Morioka S.
Stochastic resonance improves visuomotor temporal integration in healthy young adults.
PLoS One 13(12): e0209382.
問い合わせ先
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
畿央大学大学院健康科学研究科
助教 信迫 悟志(ノブサコ サトシ)
Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600
E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2nd International symposium on EmboSSで発表してきました!
平成30年12月5日,6日に大阪で開催された”2nd International symposium on Embodied-Brain System Science (EmboSS)”に森岡周教授,信迫悟志助教,大住倫弘助教,片山脩(博士後期課程),林田一輝(博士後期課程)と私(宮脇裕,博士後期課程)が参加発表してきましたのでここに報告させていただきます.
EmboSSでは,脳科学とリハビリテーション医学の融合をシステム工学が仲介することで「身体性システム科学」という新たな学問領域を創出することを目的としており,本シンポジウムでも運動制御やロボティクス,そして主体感などに関する研究について,非常に高いレベルで活発に議論されていました.私たちも2日間にわたり主体感に関する研究を発表し,多くの基礎研究者と貴重な情報交換をすることができました.本シンポジウムへの参加は今後の研究にも繋がる大変有意義な時間となりました.
本シンポジウムにおいて特に印象的だったことは,基礎研究者がその基礎的知見のリハビリテーションへの応用を見据え研究を進めているということでした.主にロボティクスに基づくリハビリテーション手法の提案は,私たちにとって刺激的でありつつも,セラピストとして何をしていかなければならないのか,そしてどういった研究をしていかなければならないのか,といったことを改めて見つめ直す良い機会にもなりました.
私自身,修士時代にNTTコミュニケーション科学基礎研究所での研究活動をきっかけに身体性の基礎研究に携わるようになりましたが,本シンポジウムを通じて,身体性の基礎研究を臨床に還元するということの意味と検証すべきポイントをよりいっそう深く考えるようになりました.
今回発表させていただいた「運動制御における自他帰属」に関する研究については,近々論文投稿を行い,その後は臨床研究にも積極的に取り組んでいきたいと思います.
このような貴重な経験ができたのは森岡教授をはじめとする研究室の仲間の日頃のご指導およびご支援と,畿央大学の手厚いバックアップがあったからであり,この場をお借りして,深謝申し上げます.
<発表演題>
・信迫悟志 ”Stochastic resonance improves visuomotor temporal integration”
・大住倫弘 “The relationship and difference between delay detection ability and judgment of sense of agency”
・片山脩 “Neural mechanism of distorted body perception caused by temporal sensorimotor incongruence”
・林田一輝 “Noticing the skill in a motor task enhances sense of agency: Employing intentional binding task”
・宮脇裕 “Confusion within feedback control between cognitive and perceptual cues in self-other attribution: optimal cue integration in motor control”
最適難易度での知覚運動学習中には運動主体感が増幅する
PRESS RELEASE 2018.12.14
身体性の科学において,この運動を実現しているのは,自分自身であるという主体の意識を運動主体感(sense of agency)と呼びます.この運動主体感は主観の意識であるため定量的評価が難しいと考えられていたものの,近年,intentional binding(IB)課題が開発され,運動主体感を測定する試みがされはじめています.IB課題とは,被験者がキーを押した後,音が鳴るように設定された実験手続きにおいて,キー押し後,音が鳴るまでの時間を主観的に被験者に回答させ,実際の時間とそれの差分をみるものです.先行研究では自らの意志によって随意的にキーを押した場合は,音が鳴るまでの時間を実際よりも短く感じることが明らかになっています.つまり,時間知覚の短縮は「自分がキーを押したから音が鳴った」という運動主体感の強さを反映していると考えられています.この時間短縮をみることで運動主体感の程度をみることができるわけです.畿央大学の森岡 周 教授らの研究グループは,林田一輝さん(博士後期課程)のアイディアをもとに知覚運動学習型のintentional binding課題を新たに開発し,知覚運動学習の程度と運動主体感の関係性を調べました.その結果,知覚運動学習が徐々に進むグループでは運動主体感が増幅することがわかりました.その一方で,知覚運動学習が停滞(天井効果)するグループでは運動主体感が増幅しないことがわかりました.つまり,学習効果と運動主体感の間には密接な関係性があることが示されました.この結果は,知覚運動学習課題における誤差修正過程において,徐々に学習効果が起こっていることを潜在的に捉えている時期においては,運動主体感が高まっていることをあらわしています.この結果は,学習プロセスおいて課題の難易度が重要であることを示唆しています.この研究成果はPeer J誌(Changes in intentional binding effect during a novel perceptual-motor task)に掲載されています.
本研究のポイント
■ 知覚運動学習の進行と運動主体感の程度には関係がある.
■ 知覚運動学習課題の難易度が運動主体感に影響を与える.
研究内容
大学生を対象に,今回新たに独自に開発した知覚運動学習型intentional binding課題(図1)を用いて実験が行われました.課題は,左右に動く円形の赤い球をPC画面中心のターゲット内にあわすようにタイミング良くキーを押すといった時間的精度を学習させる知覚運動学習課題です.この際,ターゲットと赤い球の間に発生する空間的な誤差値(pixel)を知覚運動パフォーマンス効果の指標としました.一方,キー押し後,ランダムな時間遅延(200,500,700ms)後に音が鳴り,キー押しから音が鳴るまでの時間を被験者に主観的に回答させました(被験者は200,500,700msであることは知りません).実際の時間と主観的に感じる心理的時間の差をintentional binding効果(ms)とし,運動主体感の指標としました.
図1:知覚運動学習型intentional binding課題
練習課題,コントロール課題(個人の時間感覚の違いを是正する目的)を経て,実験課題が行われました.実験課題は18試行を1セットとし,計10セット行われました.1セットと10セットの誤差値を用いてクラスター分析を行ったところ,2つの説明可能なクラスターに分けることができました.クラスター2はクラスター1と比べ知覚運動学習が有意に起こっていました.10セットを2セット毎の5ブロックに統合して,知覚運動学習の変化を観察したところ,クラスター1は5ブロックを通じてわずかな誤差値の減少にとどまり,ほぼ天井効果を示した(図2水色)のに対して,クラスター2は1ブロック目の誤差値が大きく,その後ブロックを重ねるごとに誤差値が大きく減少することが確認されました(図2オレンジ).
図2:ブロック毎のエラー値の比較
一方,intentional binding効果の結果に関しては図3に示しました.時間(縦軸)がマイナスにいけばいくほど,時間短縮をあらわしておりintentional binding効果が増幅した,すなわち運動主体感が高まったことを示しています.クラスター2(図3オレンジ)において2ブロックから徐々にintentional binding効果が高まっていることがわかります(2ブロックと5ブロックの間に有意差).すなわち,知覚運動学習効果が明確にみられたクラスター2のみ運動主体感が増幅したことが確認されました.一方,クラスター1(図3水色)は著明な変化が見られませんでした.
図3:ブロック毎のintentional binding効果の比較(運動主体感の指標)
本研究の臨床的意義および今後の展開
本研究によって知覚運動学習の進行と運動主体感の程度の間には関係があることがわかりました.運動主体感の増幅には目標設定のみならず,目標が徐々に達成されていくプロセスが重要であることを本研究は示しており,学習者あるいはリハビリテーション対象者に対する知覚運動学習課題において,その難易度の設定・調整が重要であることを本研究は示す結果になりました.今後はこれに関係するメカニズム(例:報酬,注意)を明らかにすることや,実際のリハビリテーション対象者の課題中の時間短縮を記録する必要があります.
論文情報
Morioka S, Hayashida K, Nishi Y, Negi S, Nishi Y, Osumi M, Nobusako S.
Changes in intentional binding effect during a novel perceptual-motor task.
Peer J 2018
問い合わせ先
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
教授/センター長 森岡 周(モリオカ シュウ)
Tel: 0745-54-1601
Fax: 0745-54-1600
E-mail: s.morioka@kio.ac.jp