ニューロリハビリテーションセミナー機能編Aが開催されました.

2016年6月9,10日にニューロリハビリテーションセミナー機能編Aが畿央大学にて開催されました.

参加された先生方の活気のおかげで当研究センターにとっても大変有意義な週末となりました.改めまして御礼申し上げます.当日のセミナーの様子が少しでもお伝えできればと思い,以下に簡単にまとめてみましたので興味のある方は是非ご拝読下さい.

seminar

1日目は「情動の神経機構」(松尾篤先生)から始まりました。『(情動は,)理屈じゃない』をオープニングに紹介され,理屈ではない「情動」を科学した知見についてご紹介頂きました.続いての「記憶の神経機構」(前岡浩先生)では,認知症をはじめ何らかの記憶に問題を認める事例の基礎となる記憶に関わる中枢神経領域およびネットワーク,神経科学的メカニズム,分子メカニズムについてお話しして頂きました.第3講座の「視覚・体性感覚の神経機構」(大住倫弘)は,視覚や体性感覚処理やそれらの変換・統合過程に特異的な症状の認められる視覚性運動失調,自閉症,慢性疼痛疾患の幅広い知見を交えながら講義しました.1日目の最後の森岡周先生による「注意の神経機構」では,「注意」研究の歴史や方法論から始まり,「注意」のトップダウン処理・ボトムアップ処理に関わる脳領域や神経ネットワークについて,基礎研究と主に半側空間無視に関する臨床研究の両面から解説して頂きました.

photo_1

 

2日目は言語聴覚士である河村民平先生による「言語の神経機構」からスタートし,音・語の認知,語の意味処理,文章の理解と生成,言語の学習という一連の流れで説明して頂きました.そして,信迫悟志先生による「上肢運動制御の神経機構」では,到達運動に関わる背側‐背側経路,把握運動に関わる背側‐腹側経路の神経メカニズムに基づいて,物体を見てからそれに対して到達・把握運動が生じるまでのプロセスを概説して頂きました.2日目の第3講座の岡田洋平先生による「姿勢制御の神経機構」では,ヒトの姿勢制御に重要である前庭感覚,視覚,固有感覚,触覚などの各論を概説して頂き,ヒトは状況に応じてそれらの感覚をどのように重みづけているのか,その神経機構はどのようなものなのかを紹介して頂きました.そして,機能編Aラストの講座である冷水誠先生による「運動学習の神経機構」では,誤差学習に関わる小脳の機能から丁寧に噛み砕いて講義して頂き,学習についての神経システムにおける最新の知見を紹介して頂きました.

photo.2.seminar

昼休みの時間を利用してニューロリハビリテーション研究センターや実験室の見学会をしたり,初日の夜には懇親会をしたりと,参加された先生方とコミュニケーションをとることができ嬉しく思います.

center

10月には「機能編B」,2月には「病態・臨床編」が開催されます.参加される先生方のお役に少しでも立てるように内容をさらに洗練させていきますので今後とも宜しくお願い致します.

 

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

大住倫弘