第1回リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会が開催されました

平成30年9月15日(土),畿央大学にて「第1回 リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会」が開催され,総勢122名の参加者による活発なディスカッションが行われました.

集合写真

本研究会は,畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター公募研究会制度の承認と支援を受けて初めて開催されたものであり,会の目的として「リハビリテーションにおける姿勢運動制御分野の若手研究者と療法士を対象としたオープンな研究会を開催し,臨床で示される現象に対する解釈や検証を,科学的態度をもって議論できるプラットフォーム構築,および今後の研究コミュニティの構築を目指す」ことを掲げています.そのため,研究会運営幹事は若手の研究者かつ理学療法士ら(代表:植田 耕造・畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員)で構成されており,会の企画・運営についても若手が高い自由度をもって主体的に行いました.

研究会の内容は,特別講演として首都大学東京の樋口貴広 教授に「知覚運動制御の最先端とリハビリテーションへの示唆」,そして,本研究会の世話人でもある畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの岡田洋平 准教授からは「パーキンソン病の歩行運動制御とリハビリテーション Up To Date」と題した講演を頂きました.どちらの講演も,現在進行形で取り組んでおられる未発表の研究データや試行錯誤段階にある実験データを含むものであり,一方向的な講演として終わることなく,フロアの参加者との質疑やディスカッションが活発に交わされました.

 

その後は,若手講演として運営幹事ら4名より現在取り組んでいる最新の研究内容を紹介させて頂きました.
① Lateropulsionに対する直流前庭電気刺激の影響(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター,星ヶ丘医療センター:植田耕造
② 脳卒中患者の前庭動眼反射と姿勢制御機能(佐賀大学,白石共立病院:光武翼
③ 片脚立位姿勢制御の発達 -体重心と足圧中心を用いた分析-(北海道大学大学院:萬井太規
④ 歩行学習の効果的な臨床応用に向けて ‐学習効果と神経生理学的視点からの考案‐(京都大学大学院,関西リハビリテーション病院:北谷亮輔
いずれの研究もリハビリテーションの臨床を強く意識したものであり,そして,姿勢運動制御を共通のキーワードとしつつも,多岐に渡る研究内容となっていました.各研究で掲げられている臨床課題にアプローチするための科学的な手続きまでも紹介され,得られた最新の知見とともに参加者全体で共有できたかと思います.

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最後には,本研究会のメインプログラムであるポスターセッションが行われました.ここでは若手講演の内容をポスター掲示し,忌憚ない密なディスカッションを交わすとともに,25演題もの多くの一般演題が発表されました.2つのポスター会場で約1時間半もの間,非常に活発なディスカッションが繰り広げられ,参加者からは「時間がもっと欲しい」という声が出るほど有意義なものでした.

ポスター

本研究会は,企画当初は40~50名の参加人数で考えておりましたが,その予想を大きく上回り,総勢122名の参加者,29のポスターディスカッション(一般演題25,若手講演のポスター掲示4)という盛会とすることが出来ました.参加者および演者の皆様に心より感謝申し上げます.今後もこのような参加者間のディスカッションやコミュニティ構築を主たる目的とした機会を設けることができればと考えておりますので,どうぞ宜しくお願いいたします.また,当初の予想を大きく上回る申込み状況から早期に受付を締め切るという事態になってしまい,ご迷惑をおかけしましたこと改めてお詫び申し上げます.

最後になりましたが,ご講演を賜りました樋口先生,岡田先生,そして,参加者,演者の皆様,畿央大学および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターのご支援に深く感謝申し上げます.

 

リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会
石垣 智也(畿央大学大学院 客員講師)