現代教育研究所の教材「アートカード」を静岡の小学校に貸し出しました。

2014年8月下旬、静岡市立小学校の先生から大学に、現代教育研究所が提供している「アートカード」貸与の申し入れの依頼がありました。
東海道の途中に位置する静岡市で学ぶ子どもたちに、「東海道五十三次」の絵師である歌川広重の作品を鑑賞できるようにとネットで教材を探されている中で、「アートカード」を見つけていただいたそうです。
上記の経緯で、9月始めから「アートカード」が静岡県に貸し出されることになりました。
お使いになった先生からいただいた、取り組まれた学習活動をご紹介させていただきます。

 

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本校は、東海道沿いにある小学校です。東海道五十三次の丸子宿にあたり、学区には歌川広重の東海道五十三次の題材にもなったとろろ店「丁子屋」も江戸時代から営業を続けています。校内には、歌川広重の東海道五十三次の版画の複写が全て展示され、日頃から子どもたちも目にしています。

広重作品を扱いたいと考え、思案していたところで偶然見つけた、奈良県立美術館のアートカード。静岡県には広重美術館があり、五十三次の作品を目にすることが多くありますが、「アートカード」の大江戸百景はたいへん新鮮でした。
本校6年生の全5クラスでアートカードを使用した授業を行うことができ、嬉しく思います。

図工においても、問題解決的な学習を実現できないかと考えた取り組みの概略を紹介します。

1.単元名「日本の美にふれて」~歌川広重の浮世絵~
2.目標  歌川広重の浮世絵やゴッホの油彩画を見る活動を通して、自分が感じたり
考えたりした日本の浮世絵(広重)のよさや美しさを言葉で表現する。
3.授業の流れ
  ①歌川広重の「亀戸梅屋舗」を見る
  ②ゴッホの「花咲く梅の木」を見る
  ③ゴッホの使用したトレースを見る
  ④問い掛け「なぜゴッホは、広重の作品を模写したんだろう」
  ⑤学習課題:ゴッホは広重作品のどこをかっこいいと思ったのだろうか
  ⑥個人で考える
  ⑦グループで考える(パネルにカードを並べながら)
   資料A-ゴッホの作品(模写する前と後の作品17品)
   資料B-歌川広重の作品(大江戸百景の10作品)
       アートカードから近景が大きく遠景が小さいものを選択
   ※追求の視点
   視点A-ゴッホ作品をまねする前と後にわけ、その違いからゴッホが広重作品においてかっこいいと思った所を考える
   視点B-10枚の広重のアートカードから広重作品の特徴を考える
  ⑧まとめ
   視点A―まねする前は作品が暗い感じがするが、まねした後は明るくなっている
   視点B-広重の作品は近くのものが大きく遠くのものが小さく描かれている
       構図の工夫
  ⑨ゴッホが広重に手紙を書いたらどんな手紙を書くだろうか
   個人で吹き出しに書く(ワークシート)
  ⑩広重の作品の与えた影響
   作品を紹介:モネの睡蓮と広重作品

 

artcard2014

 

 

奈良県立美術館の協力の下、畿央大学が作成した鑑賞教材が遠く離れた静岡市で活用されたこと大変うれしく思います。
このすぐ後には、卒業生が貸し出しを希望して持ち帰りました。
また、10月下旬には香芝市の中学校での活用も予定されています。
畿央大学現代教育研究所が用意する学習教材が今後とも広く活用していただけることを期待しています。

 

★アートカードの貸し出しについては、下記URLをご参照ください。

https://www.kio.ac.jp/topics_news/8286/