畿央大学水泳実習事故調査報告書の公開について(令和5年9月27日)
報告書「はじめに」
平成28年7月29日(金)、畿央大学が橿原市総合プールで行っていた水泳実技実習中に、教育学部4回生(当時)寺岡頑希さんが溺水し、溺水後10分以上が経過した後、当該プールの巡回監視員に発見されるという事故が発生しました。病院に救急搬送された寺岡頑希さんは多くの方の祈りもむなしく、同病院において、8月17日(水)午前9時39分に死亡が確認されました。
本学の取組みのなかで起きたこの事故がなければ、優秀な教員として活躍していたであろう寺岡頑希さんのことを思うと、本学教職員一同、悔やんでも悔やみきれません。その気持ちを忘れることなく、事故の全貌を明らかにして、事故を重大化させてしまった原因を究明することが私たちの責務であると考えます。本学の関係組織等の在り方を総点検し、問題点を解明したうえで、このような事故を二度と起こさないための再発防止策を打ち出すことが私たちの使命であると考え、本報告書を作成しました。
事故直後に立ち上げた学校法人冬木学園水泳実習事故対策本部による当初の調査検証の考え方や対応は、現段階から振り返ると不十分であり、その初動対応の不適切さが結果的に関係機関との連携や報告書の作成を大きく遅らせてしまうこととなりました。さらに本学のご遺族への対応についても反省する点が多々あり、ご遺族に無用なご負担や苦痛を与えてしまうこととなりました。
調査対応ということでは、ご遺族や日本プール安全管理振興協会理事長のご尽力により、橿原市との連携・協力が進んだことで、調査上重要な資料の共有や、関係者の客観的な動きを示している監視カメラ映像を閲覧することができるようになりました。以後は、橿原市総合プール重大事故調査会議との協議により、教育機関とプール設置管理者における互いの責任と分担の下で調査範囲を定め、各調査組織が調査報告書の作成を進めました。
本学対策本部としては、寺岡頑希さんが意識喪失に至った原因については、外部専門家の医学的見地に基づく橿原市の調査報告に委ねることとし、その事故を10分以上発見できず重大化させてしまった原因について、大学の運営、実習自体の運営、引率対応を検証範囲とし、教育機関としての見地から究明し、再発防止対応をまとめています。
本学対策本部が作成した本報告書と橿原市総合プール重大事故調査会議が作成した調査報告書は、本件事故の調査検証に関して、互いに連関し、補完し合うものであり、相互の調査報告書を確認することで、その目的が果たされるものとなっています。
また、対策本部として、事故を重大化させてしまった原因の究明とともに、事故後の調査対応過程における問題点の検証や、ご遺族に対し無用のご負担や精神的苦痛を与えてしまったことについても深くお詫びするとともに検証を行い、今後、様々な対応において同様の過ちを繰り返さない誠実な組織であることを目指したいと考えています。
なお、本報告書では「事故当事者」という言葉に替えて、すべて実名を使用しています。これは、大学として、他ならない「寺岡頑希」さんを失ってしまったのだという重い事実を永遠に記録にとどめ、今後このような事故を二度と引き起こさないという決意の証のために、ご遺族のご理解を頂いたうえであえて行ったものです。
橿原市総合プール重大事故調査報告書ならびに畿央大学水泳実習事故報告書の確定によせて
日本プール安全管理振興協会理事長 北條龍治氏による畿央大学及び橿原市事故調査報告書の鑑文
畿央大学水泳実習事故調査報告書
畿央大学水泳実習事故調査報告書資料
橿原市総合プール重大事故調査報告書
本件についてのお問合せ先
学校法人冬木学園 法人総務部長 中山 0745-54-1602
畿央大学 大学事務局長 小野 0745-54-1601