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2024.11.13
地域在住フレイル高齢者の運動系社会参加を促進する地域要因の検討~健康科学研究科
フレイルは、健康から障害に至る前段階の状態と位置づけられ、転倒や骨折、要介護、死亡リスクを高めることが明らかになっています。近年のフレイル対策として、社会的側面からのアプローチが注目され、特に運動を主体とする社会参加(運動系社会参加)は、フレイルからの脱却や要介護・死亡リスクを軽減することが報告されてきています。一方で、フレイルであることは社会参加の阻害要因になります。実際に、運動系社会活動の参加者は移動能力が自立した人に限られてしまっているという報告もあり、フレイル高齢者は十分に運動系社会参加ができていない可能性があります。 また、地方自治体が効果的なフレイル対策を講じるためには、同一自治体内の地域内格差の実態を把握し、それぞれの課題に応じた対策が求められています。しかし、同一自治体内での運動系社会参加の地域内格差を調査した報告も少ないのが現状です。 そこで、本学大学院健康科学研究科 客員研究員の中北 智士氏、健康科学研究科の松本 大輔准教授、高取 克彦教授は、地域在住高齢者を対象にした調査を行い、同一自治体内であっても、地区によってフレイル高齢者の運動系社会参加には格差があり、フレイル高齢者の運動系社会参加の推進のためには、近所づきあいのような地域のつながりが重要であることを明らかにしました。 この研究成果は、総合リハビリテーションに掲載されています。フレイル高齢者の運動系社会参加を促進するための一助になることが期待されます。 研究概要 A市在住の要介護認定を受けていない65~80歳の高齢者を対象に、2022年に基本チェックリスト*および社会活動についての郵送調査を行い、6,532名のフレイル高齢者の運動系社会参加に関する地域要因を検討しました。 *基本チェックリスト:二次予防事業対象者の選定のために厚生労働省が作成した。全25項目のうち8項目以上該当するとフレイルと判定される。 本研究のポイント • 運動系社会参加の割合は同一自治体内でも最大1.5倍の地域内格差があることが明らかとなりました。さらに、運動系社会参加者に占めるフレイル高齢者の割合においても、最小地区の6.7%から最大地区の16.5%と地域内格差を認めました。 図1:運動系社会参加者に占めるフレイル高齢者の割合(*p<0.01) また、フレイル高齢者の運動系社会参加が最も多かったE地区では、共変量を調整しても他の地区とは異なり運動系社会参加の促進要因としてフレイルであること(オッズ比2.2, 95%信頼区間1.17~4.12)、近所づきあいが良好であること(オッズ比2.9, 95%信頼区間1.51~5.47)が採択され、フレイル高齢者が運動系社会参加に参加しやすい地域では、近所づきあいのような地域のつながりが重要である可能性が示唆されました。 図2:E地区における運動系社会参加に対するロジスティック回帰分析 本研究の意義および今後の展開 本研究はフレイル高齢者の運動系社会参加に関する要因を調査した数少ない研究です。一般的にフレイルは社会参加の阻害要因でありますが、E地区においては、フレイル高齢者の運動系社会参加が多い地域は、近所づきあいのような地域のつながりが高いことが明らかとなりました。フレイル高齢者の社会参加は、要介護リスクを軽減することが分かっており、積極的にフレイル高齢者の社会参加を推進することが必要です。通いの場による介護予防推進のためには、フレイル高齢者が地域とのつながりを保つことができるような地域密着型の取り組みが重要であると考えられます。今後は、フレイル高齢者が社会参加できるような地域づくりに加え、本研究の対象者を縦断的に追跡し介護予防効果を検証していきたいと考えています。 謝辞 研究にご協力いただきました住民の皆様、役場の方々に感謝申し上げます。 論文情報 中北智士、松本大輔、高取克彦. 地域在住フレイル高齢者の運動系社会参加を促進する地域要因の検討. 総合リハビリテーション.52巻 11号 1213-1222. 公開日2024/11/10. 問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員 中北智士 准教授 松本大輔 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: d.matsumoto@kio.ac.jp
2024.11.12
今年も、水泳安全指導力の学習が行われました~ 現代教育学科 「つくろう!体育科」
本学において平成28年7月29日に発生した水泳事故を受け、昨年度は水泳指導力養成講座として実施した講座を、今年度は体育科における安全指導や管理を学ぶ体育科実践演習「つくろう!体育科」の科目とし、2024年10月31日(木)に水泳安全指導力についての講義及び実技を行いました。受講生全員が来年4月から小学校の教壇に立つ4回生です。 水泳安全指導力養成講座・講義 講義は、辰巳教授による水泳指導における事故発生のメカニズムです。事故発生には個人や環境要因、指導と監視体制が深くかかわっていることを学びました。 水泳安全指導力養成講座・実技 講義のあとは、大学近くのイトマンスイミングスクールへ移動しての実技です。 本学の生野講師によってプール指導における監視や安全管理を学んだ後、日本プール安全管理振興協会の北條氏と生野講師から「サバイバルスイム」というテーマで、緊急時に生き残るためのスキルについて学びました。基本の水に浮くことからエレメンタリーバックストローク、スカーリング、立ち泳ぎに必要な巻き足と踏み足など、初めて学ぶ内容が多くありました。 また、プール内での頸椎損傷が疑われる場合のケアの方法、浮き具なしでの救助法など貴重な体験ができ、いずれも、教員として子どもたちの命を守るために身につけるべきものでした。 2時間の授業を通して学生は、水泳指導の安心・安全の確保への意識とスキルが大いに高まる授業であったと思います。 現代教育学科 講師 生野 勝彦 関連記事 小学校水泳指導力養成講座を実施しました~現代教育学科 【森岡准教授が読売新聞に】8/17(土)夏の無料体験講座「ひらめき☆ときめきサイエンス」 今年度3回目!畿央大学×ならコープ『こども寺子屋』を開催しました! 【現代教育学科×人間環境デザイン学科】畿央大学付属広陵こども園の園児のために椅子を製作! ▶ 英語教育コース「セメスター留学2024」についての記事はこちら
2024.11.11
TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.95~ 4回生の先輩との交流会&相談会開催!
こんにちは!健康支援学生チームTASK※の、理学療法学科3回生の森岡 真優です。 2024年11月7日(木)の6限にTASKに所属している4回生の先輩との交流会&相談会を開催しました!今回はその様子をご紹介したいと思います。 ※TASKは‟Think、Action、Support for Health by Kio University”の略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら、地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。 4回生の先輩方は4月から7月まで臨床実習に励まれており、特に今年入学した1回生はなかなか交流したり、一緒に活動する機会が少ないように感じました。 そこでこれまでTASKを支えてくださった素敵な先輩方を下級生のみんなに知ってもらう機会が提供できたらいいなと思い、今回の交流会を企画いたしました。 当日は遅い時間だったにもかかわらず、たくさんの方が参加してくださりました。 まずは1人ひとり自己紹介をして、そのあと小グループに分かれてもらい、事前に募集していた質問に対して4回生のみなさんに回答していただきました。TASKの活動に関することや勉強・実習のこと、経験したアルバイトなど、さまざまな質問に対して1回生から3回生のみんなは先輩の言葉に真剣に耳を傾け、また楽しい雰囲気で話が弾んでいました。 これまで色々なことを乗り越えてきた先輩だからこそ、その言葉に説得力があり、私自身もより一層頑張りたいなと気持ちが高まりました。普段なかなかゆっくりとお話できる機会が少ないので、本当に貴重で有意義な時間を過ごすことができました。 改めまして4回生のみなさん、この度はお忙しいところご参加くださり、本当にありがとうございました。今のTASKがあるのは先輩方のおかげです。これからも築いてきたつながりを大切にしていきたいと思います。 引き続きTASKらしく和気あいあいとした雰囲気で楽しく活動していきましょう! TASKでは、健康チェック以外にも様々な活動を企画しています!その情報も下記に載せていますので、ご確認よろしくお願いします! ◆メールアドレス task@kio.ac.jp ◆ X(Twitter) @kio_task ◆ Instagram @kio_task 理学療法学科 3回生 森岡 真優 ▶TASK(健康支援学生チーム)活動レポートはこちら
2024.11.11
【申込受付中】12/8(日)一般選抜対策講座&オープンキャンパスを開催します。
2024.11.10
第22回畿央祭実行委員Blog vol.10 ~2日目&閉会式・クリーンキャンペーン
みなさんこんにちは。畿央祭アリーナ部署 統括 広報担当の船田樹希です。 本日は畿央祭2日目と翌日に行われたクリーンキャンペーンについて振り返っていきたいと思います☆ 畿央祭 2日目 2日目は一日中天気にも恵まれ、1日目に引き続き、学生だけでなく保護者の方、地域の方などたくさんの方にお越しいただきました。模擬店やアリーナ部署の子供向け企画、学内企画部署によるお化け屋敷や占いには行列ができ、ステージ発表や展示作品は畿央祭を大いに彩ってくれました。 ビンゴ大会 野外ステージでは畿央祭目玉企画である統括主催のビンゴ大会が行われました!吉本お笑いライブの後に行われたため多くの方々が開始前から集まってくださり、大盛り上がりとなりました。 今回のルールはビンゴになった人から前に出てくじを引いてもらい当たった番号の商品をもらえるというルールでした🎵 多くの方がお目当てとしていた1等のディズニーペアチケットは中々出ず、最後の最後でようやく出るというドキドキのビンゴ大会となりました!当選された方おめでとうございます🎊 畿央祭 閉会式 閉会式では、実行委員長の今中さんの挨拶の後、幹部17人でダンスを踊らせていただきました。舞台に上がる前は幹部全員がドキドキの状態でしたが上がった瞬間に実行委員皆の顔が揃っていて、畿央祭が無事に成功した喜びや安心感が湧いて来たり、今までの怒涛の1か月間や大変だった思い出も込み上げてきたりと様々な感情が溢れてきました。 2日間ここ数年で一番多い約7000人もの人たちがご来場してくださり、たくさんの方の笑顔を見ることができて幹部一同本当にうれしく思いました! あっという間の畿央祭でしたが私たちにとって「燎~かがりび~」という燃えるような熱量でやり遂げることができた畿央祭となりました🔥本当にありがとうございました! クリーンキャンペーン 畿央祭翌日のクリーンキャンペーンでは、各部署の最終片付けや校内の掃除を行いました。模擬店の出展団体さんも参加してくださり、最後まで責任をもって学校をきれいにすることができました🌟 しかし模擬店のテントや仮設ステージが一気になくなり元の大学に戻ってしまった姿を見ると少し悲しくなってしまいました…😢。 掃除が終わった後はみんなでつなぎに寄せ書きをしました✐みんなからつなぎに書いてもらったメッセージは一生の宝物です。 無事に2024年度 第22回畿央祭を終えることができて本当に良かったです💖支えてくださった職員の方々、協力してくださった業者の皆さま、そして地域の方たちにお礼申し上げます。 そして素晴らしい実行委員のみんなに恵まれて本当に幸せでした! 第22回畿央祭副実行委員 統括 アリーナ部署 船田 樹希 ▶ 畿央祭実行委員会に関連するブログ記事はこちら
2024.11.09
日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科
大学院健康科学研究科修士課程の橋添健也です。2024年11月2-3日に福島県立医科大学(福島県)において、第11回日本小児理学療法学会学術大会が開催されました。 本学術大会において、私たちの発表演題が大会長賞を受賞いたしました! 演題名:発達性協調運動障害を有する児における運動イメージ能力-2種類の運動イメージ課題を用いた検証- 演者:橋添健也、中井昭夫、信迫悟志 本研究は、大学院健康科学研究科の信迫悟志准教授によるご指導の下で進められた研究であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。 本研究の内容 発達性協調運動障害(DCD)を有する児の運動イメージ能力は、定型発達児と比較して低下していることが知られております。現在までDCDを有する児における運動イメージ研究では、主にHand Laterality Recognition(HLR)課題が使用されてきましたが、本研究では、HLR課題に加え、より明示的な運動イメージが必要なBimanual Coupling(BC)課題の2つの運動イメージ課題を用いて、DCDを有する児の運動イメージ能力を調査しました。その結果、DCDを有する児では、両課題において運動イメージ能力が低下していることが示されました。また、HLR課題とBC課題で測定された運動イメージ能力の間には重要な関係性があることも示されました。 本学理学療法学科出身の峯耕太郎さん(2011年度卒、6期生)も優秀賞を受賞されました。また、信迫准教授が「神経発達障害の病態理解と重要な評価」というテーマで教育講演をおこなわれました。 今後も神経発達障害分野の研究に力を注ぎ、小児理学療法のさらなる発展の一助となれるよう、引き続き研鑽を重ねてまいりたいと思います。 関連記事 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 健康科学研究科の記事 理学療法学科の記事
2024.11.08
ハンセン病療養所を訪問し「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」
畿央大学健康科学部看護医療学科では、2015年度より保健師対象科目「健康学特論」において、受講者とともに岡山県瀬戸内市にある国立療養所 長島愛生園に直接赴き、納骨堂に献花し、往時に使用されていた収容施設や監房跡等も見学、そして、現在も入所されている回復者の話に耳を傾けて参りました。今年度は10月26日(土)に44名の学生と2名の教員で訪問しました。 国立療養所「長島愛生園」見学 瀬戸内海に浮かぶ島、長島は1988年まで本州との橋がかかっておらず、まるでハンセン病療養所を完全に社会から断絶するようでもありました。写真の1枚目は、架橋されて36年を迎えた邑久長島大橋です。人々はこの橋を「人間回復の橋」と呼んでいます。 ▼邑久長島大橋 私たちは到着後、2023年4月に園内に開設した「むつみ交流館」という研修施設にて、長島愛生園歴史館主任学芸員の田村朋久さんからハンセン病と長島愛生園に入所する人々に関するお話を聴きました。 ▼ むつみ交流館での講演の様子 昼食後はまず、「長島愛生園」歴史館 を見学しました。 ▼ 「長島愛生園」歴史館 こちらの建物は、1930年の開園当初からあった建物で事務本館として長く使用されてきました。現在は歴史館として多くの方々が見学に来ています。 ▼ 歴史館で田村主任学芸員の解説を聞いている様子 田村主任学芸員の解説の後、歴史館を自由に見て回りました。ちょうど見学の翌日が衆議院議員選挙であったこともあり、今回のブログでは「投票箱」を紹介します。1996年まであった「らい予防法」には、ハンセン病患者が使用・接触した物件の消毒に関する規定がありました。この投票箱には側面に穴があいており、内部の投票用紙を蒸気で消毒したのでした。すでに感染症としてのハンセン病が治癒していても消毒が必要という、「らい予防法」の理不尽さの一端がわかる展示物でした。 ▼ 投票箱 その後、園内の見学に移りました。当時の患者専用の収容桟橋、収容後すぐに入れられた回春寮(収容所)、その中の「消毒風呂」、収容所内の病室を見学しました。 ▼ 収容桟橋 ▼ 回春寮(収容所) ▼ 回春寮内にある消毒風呂 ▼収容所内の病室 次に、監房跡を見学しました。 ▼ 監房跡 その後、亡くなっても「社会復帰」が叶わなかった方々が眠る納骨堂と、1996年まで続いた旧優生保護法による強制堕胎の胎児を祀る水子地蔵の前でそれぞれ花を捧げ、手を合わせました。 ▼ 納骨堂 ▼ 水子地蔵 最後に、田村主任学芸員から総括的なお話を聴き、長島愛生園を後にしました。 注:ハンセン病を理由とする断種・堕胎手術は、旧優生保護法施行以前にも、法的根拠がなく行われていました。 長島愛生園を訪問した学生の感想( 抜粋 ) ● 私は長島愛生園を訪問したことで、学芸員の方やハンセン病元患者の方からの話を聴くことができ、授業では知ることができなかったハンセン病元患者の苦悩やその人たちの生活について知ることができた。そして、ハンセン病やほかの障がいについても正しい知識を持ち、正しく理解することが偏見をもたなくするうえで、大切だということがわかった。 ● 普通に奈良で過ごしているだけでは修学旅行や課外学習で訪れない場所だったので、この授業を通してハンセン病問題について知ることができて本当に良かったです。実際に長島愛生園を訪問して住民が暮らしている場所や資料館、納骨堂を見学し、住民の高齢化とハンセン病問題が風化しかけているということについて実感しました。このような問題は今後一切世界で起きてほしくないのに、国による人権侵害のせいで2世、3世がいないということから広島、長崎のように語り部活動が続けられなくなる。その言葉を聞いて、今私達が語り部の話を聞けて、私達の子どもの世代が聴けないのかもしれないと思うと、2世、3世ではなくても私達がこの問題をしっかりと学んだ世代という立場で後の世代に伝えていかなければならないのだと、改めて私達がこの授業を履修した意義について考えることができました。 ● 私は、今回の訪問を通して子供たちの作った詩や作文が印象に残っている。詩や作文には、家族に会いたい、お母さんに会いたいという気持ちを表した内容ばかりであった。当時の間違った政策によって、子供たちが家族や友だちと一緒に過ごせる時間を奪われたと考えるとすごく胸が痛くなった。家族と離れてまで強制隔離する必要があったのか、なぜハンセン病を患っただけでこんなにつらい思いをしなければならないのかなど、詩や作文を読んで、たくさんの疑問が浮かび上がったのと同時に、このようなことは二度と起きてはならないと強く感じた。 また、長島愛生園内の学校では、生き延びるためにハンセン病患者であったという事実を隠し、「ウソ」をつくことも必要であると授業で教えられていたということを知った。これを聞いて「ウソ」をつかないと社会で生きていけないほど、世間ではハンセン病患者に対する差別は根強く残っていたのだと感じた。 これから先、同じような差別や差別によって辛い思いをする人が二度と出てこないようにするためにも、今回の訪問や今までの学びを自分だけでなく、周りの人にも伝えていかなければならないと感じた。 ● 授業でハンセン病のことについて学んでいたのですが、実際に人間回復の橋を渡り、島や建物をみた時、ハンセン病患者は差別されこの場所で隔離されていたのだと実感しました。歴史館では当時の生活がよくわかり、1番印象に残っているのは、視覚障害を持つ入所者が中心となりハーモニカバンドを結成し、演奏を行うことで他の入所者へ生きる希望を与えていたことです。入所者はとても前向きに強く生きていたと知ることができました。 ● 実際に行われていた現場を見て自分が今まで学んできた以上に壮絶な歴史で、でもそこに暮らしている人はすごく穏やかそうなお顔をしているそのギャップに驚きました。長島愛生園に訪れて、自分の物事の考え方の未熟さが明らかになり、考えを改める良い機会になりました。 元ハンセン病家族訴訟原告団副団長を本学にお招きしました。 長島愛生園訪問の翌週11月2日(土)には、元ハンセン病家族訴訟原告団副団長の黄光男(ファン・グァンナム)さんに大学にお越しいただき、貴重なお話を伺うことができました。 ▼ 元ハンセン病家族訴訟原告団副団長の黄光男(ファン・グァンナム)さんの講演 黄光男さんは2021年から畿央大学にて講演をいただいています。 ハンセン病は当事者のみならずご家族にも甚大な差別があり、黄さんは、ご自身の家族の事例を挙げながら、その差別について切々と語られました。また、ギターを手にされ、ご自身が作詞作曲した「閉じ込められた生命」、「思いよ とどけ」などの弾き語りを披露していただきました。学生たちはその歌、その思いに聴き入っていました。 講演会を聞いた学生の感想( 抜粋 ) ● 黄光男さんの講義をきき、強制的に長島愛生園に連れていかれただけでなく、家中を消毒され家にもう住めなくされたことが衝撃的に感じ、より残酷だと感じた。また、ハンセン病に感染したことで、家族を離れ離れにされただけでなく、光男さんがとても幼く1番家族形成が重要である期間に家族といられなくなり、家族と再会し一緒に住み始めたときに、家族と住み始めたはずが、他人と住んでいる気持ちになっていたことに、より残酷で毎日が心から本音を話せる人がいない状態での生活にとても不安に感じていたのだろうと思った。 ● 外部講師の方の講演を受け、ハンセン病で苦しい思いをした家族について詳しく知ることができた。また、外部講師の方が歌われた「閉じ込められた生命」の歌が心にしみた。今後、ハンセン病のような問題が起こらないように、私たちはハンセン病問題を後世に伝えるなど、努めていかなければならないと強く感じた。この講義を受けて、ハンセン病問題について詳しく知ることができて本当に良かった。 ●「閉じ込められた生命」の歌詞がすごく胸に刺さりました。 「同情ではなく、行動できる勇気をもつ」と聞いて、二度と同じような差別が起きないように、私も今まで学んだハンセン病のことを、1人でも多くの人に伝えていきたいと強く思いました。 社会に残る差別の解消に向けて この授業の締めくくりでは、学生たちが11の班に分かれ、それぞれ真剣にディスカッションを行い、その成果を発表しました。 受講生たちの感想をお読みいただいたように、本科目の主たる内容である「医療問題と人権」の一端を深く学び、胸に刻むことができました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック時においても、感染症を理由とする差別が横行していましたが、私たちはこのようにいまだ社会に残る差別の解消に向けた取り組みにかかわり、人道・人権尊重を主体とした医療従事者養成に寄与していきたいと考えております。 また、来たる11月24日(日)の午後には、近隣の大和高田市総合福祉会館(ゆうゆうセンター)において、「第4回 架け橋交流・講演会 ~ハンセン病問題から学ぶ~」が開かれ、ハンセン病療養所入所者、退所者、ご家族の方々がそれぞれお話をされます。本記事をご覧のみなさまで、ハンセン病問題に関心をもたれた方はぜひご参加いただければ幸いです。 最後に、黄光男さん、田村朋久さん、長島愛生園のみなさまには貴重なお時間をいただきありがとうございました。改めてお礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 看護医療学科 教授 文 鐘聲 関連記事 ハンセン病療養所を訪問、当事者家族の声を聴き「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所で、当事者家族の声から「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病当事者家族から「疾病と差別」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 国立療養所長島愛生園でハンセン病回復者の現状を体感する~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所長島愛生園を見学~看護医療学科
2024.11.07
令和6年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート
健康科学部理学療法学科4回生、前岡ゼミの堀川遼太、瀧口ゼミの吉田健人です。 2024年11月1日(金)に開催された理学療法学科卒業研究発表会についてレポートさせていただきます。 卒業研究発表会に向けて 3年次前期の「理学療法研究法」で論文の探し方や読み方を学びました。その後、先生や興味のある分野などからそれぞれが考え、各々希望のゼミを選択しました。 3年次後期では「理学療法研究法演習」にて本格的なゼミ活動を始めました。自分達で論文を探し、紹介した上で内容について皆で議論をする抄読会を行った上で研究のテーマをそれぞれ決定していきました。その後、本格的に実験へ取り組み、発表へ向けて準備を進めました。 卒業研究発表会を終えての感想 私が前岡ゼミを選んだ理由は先生と同じく筋力トレーニングに興味があり、より質の高いトレーニングを研究しようと考えたことがきっかけです。研究課題を通して新たな筋力増強に関する知識や筋疲労の評価を学ぶことができました。苦労・工夫した点はデータ抽出において必要なデータ値を目視で240個ほど抜粋しなければならなかったことと、発表スライドを見やすくゼミ生で試行錯誤したことです。終了したのは発表2日前でしたが、先生からのご指導のもと無事完成することができました。また、当日の質疑応答を通して研究課題における知識を深めることができました。 理学療法学科 4回生 堀川遼太 疼痛に関心があり、研究と臨床の相互関係を学ぶため、臨床にも関わりの深い瀧口先生のゼミに所属しました。ゼミ活動では、ゼミ生と役割を分担し、疼痛恐怖が歩行に及ぼす影響について研究しました。発表では原稿に頼らず、聴衆に直接語りかけることを意識しました。また、レーザーポインターなども活用し、簡潔かつわかりやすく伝えられるよう工夫しましたが、この点には特に苦労しました。瀧口先生のご指導のおかげで研究発表を無事に成功させることができ、大変良い経験となりました。この経験を今後の活動にも活かしていきたいと考えています。 理学療法学科 4回生 吉田健人 卒業研究発表会を終えてのまとめ 今年度は16ゼミから全28演題の発表が行われ、1演題につき7分の発表と3分の質疑応答がありました。皆さん分かりやすい説明と積極的な質疑応答を行っていました。 実験内容やスライドの表現などから各ゼミがどんな研究を行ったのか、その特徴が確認できました。大変興味深い研究発表も多々あり、新しい視点を持つことができたと感じています。また、それぞれの発表における質疑応答では先生方や4回生だけでなく、3回生からも意見・質問がありお互いに高め合うことができました。 今回の研究で得られた経験や知識を4月から始まるそれぞれの舞台で存分に発揮し、日々精進していきたいと思います。最後にご協力いただいた方々並びにご指導頂きました先生方に厚く御礼申し上げます。 理学療法学科 4回生 堀川 遼太 理学療法学科 4回生 吉田 健人 関連記事 ”Society for Neuroscience: Neuroscience 2024” においてポスター発表を行いました ~ 健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 【森岡周研究室修了生インタビュー】大学教員をしている皆さんに色々聞いてみました! 国際疼痛学会に本学教員、院生が参加しました!~健康科学研究科 【快挙】挑戦と革新:第22回日本神経理学療法学会学術大会での輝かしい成果を収めました! 令和6年度「全学年症例検討会」を開催しました~理学療法学科 第12回日本運動器理学療法学会学術大会に参加しました~健康科学研究科・理学療法学科 瓜谷ゼミ 第12回日本運動器理学療法学会学術大会 大学院生レポート ~健康科学研究科 第12回日本運動器理学療法学会学術大会 ③ 学部生レポート ~理学療法学科 第14回呼吸・循環リハビリテーション研究大会を開催しました!~健康科学研究科 田平研究室 4大学での合同ゼミで学部生・院生・教員が交流しました!~理学療法学科 瓜谷ゼミ 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 第3回日本老年療法学会学術集会で大学院生と修了生(客員研究員)が発表~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 大阪経済大学との合同研究発表会を実施!~地域リハビリテーション研究室
2024.11.07
令和6年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート
今年度の理学療法学科の卒業研究発表会は2024年11月1日(金)に開催され、計28演題の発表が行われました。研究テーマは運動器や脳科学、呼吸器系、物理療法、動物実験による基礎研究、コミュニケーション、高齢者、ウィメンズヘルス、統計など多岐にわたりました。 理学療法学科では3年次に各教員のゼミへ配属されると、そこから4年次の11月に行われる「卒業研究発表会」に向けて、先行研究を調べたり教員と相談をしたりしながら研究計画を立てていきます。昨年度に引き続き患者を対象とした症例研究もあり、教員から見ても参考になる発表も多くありました。 当日に向けて期限ギリギリまでスライドを修正し、発表の練習に取り組む姿を見てきましたが、その成果もあってか本番ではどのゼミも堂々とした発表を見せてくれていました。これまでやってきたことを7分間の発表に収めるということにとても苦労したと思いますが、冬木記念ホールのような大きな会場で発表をしたことは、今後社会人になるに向けて良い経験になったのではないかと思います。 今年は3回生だけでなく1、2回生が講義の合間に聞きに来てくれている姿も見られ、将来自分たちが卒業研究を行うビジョンが明確になったのではないでしょうか? 今回の発表が満足のいくものだった学生もいれば、心残りがある学生もいるかもしれません。しかし、自分たちで卒業研究のテーマを立案、実施していく中で分からないことを深く探求したこと、研究結果を分かりやすく人に伝える工夫をしたことはきっと臨床に出た時に患者さんにより良い医療、より良い理学療法を提供する力になると思います。 この努力を次は国家試験勉強に向けて、引き続き頑張ってください!! 今年も合格100%をめざして頑張りましょう!! 理学療法学科 助教 梶原 由布 関連記事 令和6年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~理学療法学科 学生レポート ”Society for Neuroscience: Neuroscience 2024” においてポスター発表を行いました ~ 健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 【森岡周研究室修了生インタビュー】大学教員をしている皆さんに色々聞いてみました! 国際疼痛学会に本学教員、院生が参加しました!~健康科学研究科 【快挙】挑戦と革新:第22回日本神経理学療法学会学術大会での輝かしい成果を収めました! 令和6年度「全学年症例検討会」を開催しました~理学療法学科 第12回日本運動器理学療法学会学術大会に参加しました~健康科学研究科・理学療法学科 瓜谷ゼミ 第12回日本運動器理学療法学会学術大会 大学院生レポート ~健康科学研究科 第12回日本運動器理学療法学会学術大会 ③ 学部生レポート ~理学療法学科 第14回呼吸・循環リハビリテーション研究大会を開催しました!~健康科学研究科 田平研究室 4大学での合同ゼミで学部生・院生・教員が交流しました!~理学療法学科 瓜谷ゼミ 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 第3回日本老年療法学会学術集会で大学院生と修了生(客員研究員)が発表~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 大阪経済大学との合同研究発表会を実施!~地域リハビリテーション研究室
2024.11.06
木の家設計グランプリ「銀賞」に入賞!~人間環境デザイン学科吉永ゼミ
歴史あるコンペで全国2位に! 人間環境デザイン学科の吉永規夫ゼミでは、建築デザインを実践していて、前期では全国の建築学生向けコンペにもチャレンジしました。 第一線で活躍する著名な建築家が審査員を務める歴史あるコンペで、初挑戦の吉永ゼミのメンバーが銀賞(全国2位)に入賞しました。 木の家設計グランプリは、日本の建築文化の素晴らしさを守り、新たな力で持続・発展させていくことの大切さを広く社会に知っていただき、建築を通して未来の日本が豊かで幸せな暮らしを築いていくことを目的として開催されている、住宅設計の登竜門。建築界注目の現役学生の木造住宅設計コンテストです。 今年のコンペのテーマは、「住み続けられる家ー古き良きものの再生ー」ということで、木造のリノベーションがテーマでした。 吉永ゼミでは、大阪の森ノ宮にある木造の12軒長屋をリノベーションする提案を行いました。夏の暑い日のお化け屋敷のような空き家の現地調査からスタートし、授業で習った木造軸組や耐震補強計画も考えながら、改修計画を議論して、プレゼンボードにまとめました。 ▼ 長屋の調査風景 ▼ 模型の製作風景 ▼プレゼンの練習 1次審査はプレゼンボードの審査で、全国からの約180案の応募から半分の90案が選考されました。 ▼ 審査会場 2次審査は、10月19日(土)に滋賀県立美術館で行われました。 ▼ 2次審査風景 2次審査は、プレゼンボードと模型を展示して、審査員の先生方が質問しながら回ります。吉永ゼミの提案は全審査員から票をいただき、午後からの10案の最終審査に無事に残りました。 ▼プレゼンテーション資料と模型 ▼ 審査風景 最終審査は、3分間の発表と7分間の審査員と質疑応答のやり取りです。 ▼ 最終審査 緊張の中、発表と審査員の先生方とのやりとりも無事にこなしました。全チームの発表後、審査員の投票が行われ、吉永ゼミの提案には全審査員から最多タイの7点をいただきました。その後、審査の議論が行われ、金賞は九州大学大学院生のチームが選ばれ、吉永ゼミの提案は惜しくも銀賞でした。 ▼ 表彰式 ▼ 投票結果 この悔しさを糧に、吉永ゼミでは引き続き建築設計の実践を通じて建築の面白さ、難しさを学んでいきます! ▶ 木の家設計グランプリ2024のサイトはこちら 発表の動画も観れます。( 42分20秒くらいから ) 今後、結果も更新されると思います。ぜひご覧ください! [銀賞]12軒の空き家の長屋-おおきな家族のような長屋をつくる- 人間環境デザイン学科 講師 吉永 規夫 関連記事 学生視点で「畿央食堂なごみ」のリノベーション提案!! ~ 人間環境デザイン学科 李ゼミ 人間環境デザイン学科 学内コンペ「みんなで考える学び舎」 レポート vol.5 ~完成&セレモニー開催! 5大学建築合同ゼミ合宿2024が瀬戸内海の犬島で開催されました!~人間環境デザイン学科 前川ゼミ・吉永ゼミ 人間環境デザイン学科 明日香村国際ワークショップ2024 vol.7~【番外編】開催に向けての取組み 明日香村の屋外居場所の縁台をメンテナンス!~ 人間環境デザイン学科 陳ゼミ 【現代教育学科×人間環境デザイン学科】畿央大学付属広陵こども園の園児のために椅子を製作! 河合町佐味田地区「佐味田みんなの縁側」の増設 板絵の飾り棚および遊び道具の制作活動~人間環境デザイン学科 陳ゼミ