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健康科学専攻(修士課程)の新着情報一覧

2021年の健康科学専攻(修士課程)の新着情報一覧

2021.12.20

固定物とヒトへの軽い接触による立位姿勢制御の特徴~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

手すりや壁などの固定物だけではなく、ヒトに軽く触れるだけでも立位姿勢が安定します。しかし、このような接触する対象物の違いによって生じる姿勢制御の特徴は明らかにされていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 石垣 智也 客員研究員(現:名古屋学院大学 講師)と畿央大学大学院 修了生 山道 菜未 氏(現 福岡リハビリテーション病院)、森岡 周 教授らは、固定物に触れると立位姿勢が安定化し姿勢動揺が高周波化するのに対し、ヒトに触れる場合には立位姿勢の安定化が固定物の場合に比べ少ないものの、姿勢動揺の高周波化が生じにくいことを明らかにしました。また、低周波成分の姿勢動揺で生じる二者間の姿勢協調が、高周波化を生じさせにくくする要因である可能性を示しました。 この研究成果はHuman Movement Science誌(Characteristics of postural control during fixed light-touch and interpersonal light-touch contact and the involvement of interpersonal postural coordination )に掲載されています。   研究概要 ヒトの立位姿勢は様々な感覚情報を用いて制御されています。この中でも、触覚が姿勢制御に与える影響を調べるために、指先等を用いて対象物に軽く接触(1 N未満)する「ライトタッチ」という方法が用いられています。一般的にライトタッチを固定物(例:手すりや壁)やヒトに対して行うと立位姿勢の安定化が得られますが、これら姿勢制御特徴の違いは明らかにされていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 石垣 智也 客員研究員らは、固定物とヒトに対するライトタッチの姿勢制御特徴を比較するために4つの立位条件(図1)で姿勢動揺を計測し、姿勢動揺の大きさや周波数、二者間での姿勢協調(自身と相手の姿勢動揺が類似すること)を分析しました。結果、固定物へのライトタッチ(固定物ライトタッチ)で立位姿勢動揺の減少と高周波化が認められ、ヒトへのライトタッチ(対人ライトタッチ)では立位姿勢動揺の減少が固定物の場合に比べて少ないものの、高周波化が生じにくいことが示されました。また、対人ライトタッチでは0。4 Hz以下の低周波成分で二者間の姿勢協調が認められるのに対し、0.4 Hzより大きな高周波成分では姿勢協調が認められませんでした。これら結果より、固定物ライトタッチでは自身の姿勢動揺を動きの無い対象物を基準に制御するため、姿勢動揺が大きく減少するとともに高周波化が生じると解釈されます。一方、対人ライトタッチでは動いている対象物(ヒト)を基準に自身の姿勢動揺を制御するため、姿勢動揺の減少が得られつつも高周波化が生じにくいと考えられます。低周波成分の姿勢動揺はヒトの重心の動きを反映するため、対人ライトタッチによる二者間での姿勢協調が高周波化を生じさせにくくする要因と考えられます。   本研究のポイント ■ 固定物へのライトタッチでは、立位姿勢の安定化が得られ姿勢動揺は高周波化する ■ ヒトへのライトタッチでは立位姿勢の安定化は固定物の場合に比べると少ないが、姿勢動揺の高周波化は生じにくい ■ ヒトへのライトタッチでは姿勢動揺の低周波成分において二者間の姿勢協調が生じる   研究内容 健常若年者を対象に閉眼での継ぎ足立位姿勢を基準とし、非接触条件、固定物(安定した台)へのライトタッチ条件、自身より安定したヒトに接触する対人ライトタッチ条件、自身と同様に不安定なヒトに接触する対人ライトタッチ条件の4条件を設定し(図1)、各条件の姿勢動揺(足圧中心)を計測しました。そして、姿勢動揺の大きさと主たる周波数(平均周波数)、低周波成分(≤0.4 Hz以下)と高周波成分(>0.4 Hz)における二者間での姿勢協調(相互相関係数)を解析し、条件間の比較を行いました。   図1:設定した立位条件 NT: no touch, FLT: fixed light touch, SILT: stable interpersonal light touch, UILT: unstable interpersonal light touch   その結果、固定物ライトタッチでは立位姿勢動揺の減少と高周波化が認められ、対人ライトタッチ条件では立位姿勢動揺の減少が固定物ライトタッチに比べて少ないものの、不安定な対人ライトタッチ条件の左右動揺を除いて高周波化が生じにくいことが示されました(図2)。そして、高周波化の示されなかった安定した対人ライトタッチ条件と不安定な対人ライトタッチ条件の前後動揺では、低周波成分で高い姿勢協調が認められたのに対し、高周波成分では姿勢協調に条件の差を認めませんでした(図3)。   図2:立位姿勢動揺の平均周波数   図3:周波数成分別における二者間の姿勢協調   本研究の臨床的意義および今後の展開 リハビリテーションの臨床場面では、対象者の動作介助や運動療法のために支持物(手すりや杖など)や療法士の徒手的な身体接触が用いられます。本研究成果は、これら方法の違いが対象者の姿勢制御に与える影響について、基礎的知見からの考察を提供するものとなります。具体的には、姿勢動揺の減少は姿勢の安定化を意味するものの、他の研究知見を踏まえると、姿勢動揺の高周波化は固定化された自由度の低い制御様式とも解釈できます。そのため、姿勢の安定化を目的にライトタッチを用いる場合であったとしても、対象者や状況によっては用いる方法を使い分ける必要があるかも知れないという仮説を提唱するものとなります。   論文情報 Ishigaki T, Yamamichi N, Ueta K, Morioka S. Characteristics of postural control during fixed light-touch and interpersonal light-touch contact and the involvement of interpersonal postural coordination. Hum Mov Sci. 2021;81:102909.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 現:名古屋学院大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 講師 石垣 智也(イシガキ トモヤ) Tel: 0745-54-1601(畿央大学) Fax: 0745-54-1600(畿央大学) E-mail: ishigaki@ngu.ac.jp   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 森岡 周(モリオカ シュウ) E-mail: s.morioka@kio.ac.jp Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600  

2021.12.10

脳卒中患者における“急激な”体重減少は“慢性”疾患における悪液質基準と関連している~健康科学研究科

悪液質とは、がんや心不全などの慢性疾患に関連して生じる予後不良な複合的代謝異常症候群であり、筋肉量の減少を特徴とし、顕著な臨床的特徴は体重減少といわれています。一般に、脳卒中患者は急性期に体重減少が生じやすく、この体重減少は予後不良因子であることが報告されていますが、その原因については十分に解明されていません。畿央大学大学院健康科学研究科修士課程の山本実穂氏と庄本康治教授、野添匡史准教授(甲南女子大学)、吉田陽亮氏(奈良県西和医療センター)らは、脳卒中患者に生じる急激な体重減少は悪液質の診断基準と関連があることを明らかにしました。本研究結果は,脳卒中患者に生じる体重減少に悪液質が関連している可能性を示唆するものであり、脳卒中患者の体重減少予防のための治療方法の確立に寄与する内容といえます。この研究成果は、Nutrition誌に掲載されます。   研究概要 悪液質の主な症状である体重減少は脳卒中において生じやすく、特に脳卒中発症後間もない急性期において生じやすいことが知られています。そこで本研究では、脳卒中患者における急性期での体重の変化と、悪液質の診断基準とに関連があるか否か、前向きの観察研究を実施することで検討しました。   研究内容 脳卒中発症後、研究期間内に急性期病院に入院した155名の患者を対象に、急性期病院入院時及び退院時に体重を測定し、体重の変化率を求めました。また、急性期病院退院時に悪液質診断基準の評価(図1)を行い、この5項目の基準のうち3項目以上の基準を満たした場合、悪液質基準を有すると判断しました。そして、体重変化率と悪液質基準の有無に関連性があるか否かを分析しました。   【図1:本研究で用いた悪液質の診断基準(Evansらの分類)】     データ分析の結果、155名中30名(19%)の方が入院期間に5%以上体重が減少しており(体重減少群)、体重減少を認めなかった125名(体重安定群)よりも悪液質基準を満たす割合が多いことが分かりました(体重減少群=18名(60%) vs体重安定群=28名(22%))。また、悪液質基準は体重変化率に影響を与える他の要因(重症度やエネルギー摂取量、嚥下能力や悪液質の原因になる他疾患の保有など)で調整した上でも、体重変化率に影響を与えることが明らかになりました(表1)。   【表1:悪液質基準と体重変化率の関係】   BMI: body mass index, NIHSS: National Institute of Health Stroke Scale, FOIS: Functional Oral Intake Scale   研究の臨床的意義および今後の展開 慢性疾患で生じるとされている悪液質の診断基準が、急性期の脳卒中患者における体重減少に関連しているということは、脳卒中患者で生じる体重減少に悪液質が関与している可能性を示唆するものです。本研究結果から、脳卒中患者で生じる体重減少に対して、悪液質の影響を考慮し早期診断・早期介入することで、生命予後や生活の質改善に寄与すると考えられます。これらの因果関係を明らかにするためには、今後さらなる研究が必要と考えられます。   論文情報 Miho Yamamoto, Masafumi Nozoe, Rio Masuya, Yosuke Yoshida, Hiroki Kubo, Shinichi Shimada, Koji Shomoto Cachexia criteria in "chronic" illness associated with “acute” weight loss in patients with stroke Nutrition December 2021, 111562   問い合わせ先 甲南女子大学 准教授 畿央大学健康科学研究科 客員研究員 野添 匡史(ノゾエ マサフミ) nozoe@konan-wu.ac.jp   畿央大学健康科学研究科 教授 庄本 康治(ショウモト コウジ) k.shomoto@kio.ac.jp Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600  

2021.12.06

地域在住障害高齢者におけるバディスタイル介入が運動継続に与える効果~健康科学研究科

身体活動は障害者や高齢者であっても健康状態の維持・改善に有効であることが知られていますが、障害高齢者の多くは十分な運動をしていないとされています。そのため、運動継続を促進できるような取り組みが必要となります。 最近の研究では、バディスタイル(二人1組で行う介入方法)の身体トレーニングと栄養教育介入で、フレイル、栄養状態、身体活動量が改善したことが報告されています。しかし、これらの研究では、トレーニングを受けた健常者のボランティアが介入をしており,実施が容易ではありませんでした。畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 武田広道 氏と高取克彦 教授 らは、地域在住障害高齢者同士のバディスタイル介入が12週間の在宅運動プログラムにおける運動継続性に効果があるかどうかを検証することを目的に本研究を行いました。この研究成果はClinical Rehabilitation に掲載されています。   研究概要 通所介護事業所を利用している障害高齢者65名に12週間の在宅運動プログラムを実施してもらいました。その際、無作為にバディスタイル介入群と対照群に分けて実施し、バディスタイル介入を追加することで運動継続と身体・心理機能に効果があるかどうかを分析しました。   本研究のポイント ■障害高齢者同士のバディスタイル介入は12週間の在宅運動プログラムにおける運動継続性向上に効果があることが分かりました。   研究内容 データ解析の結果、バディスタイル介入群は対照群と比較して9~12週の期間において運動プログラムを実施した日数が有意に多くなっていました。両群で運動プログラム終了後に膝関節伸展筋力、4m歩行時間、5回立ち上がり時間が改善していました。     本研究の意義および今後の展開 今回の研究はバディスタイル介入が運動継続に与える効果を検討したものです。障害高齢者同士でバディを組むため、実施が容易で効率的に運動継続を促せるという点に意義があると考えています。本研究は運動の実施頻度を評価指標にしましたが、現在は運動の実施時間やバディスタイル介入終了後の持続効果についての報告をまとめています。また運動継続の予測因子として、アパシーに着目した解析も行っており、これらの結果も報告する予定としています。   論文情報 Hiromichi Takeda, Katsuhiko Takatori Effect of buddy-style intervention on exercise adherence in community-dwelling disabled older adults: A pilot randomized controlled trial Clinical Rehabilitation, 2021.

2021.11.30

第7回畿央大学シニア講座「腰痛を正しく知ろう」をオンライン開催しました。

令和3(2021)年11月24日(水)、畿央大学では地域のシニア世代の方々を対象に、「健康」と「教育」について学びを深めるための「畿央大学シニア講座」を開催いたしました。   今回で7回目となった本講座ですが、前年度に引き続き今年度もZoomアプリを用いた「オンライン」での開催となりました。   「腰痛を正しく知ろう-コロナ禍で乱れがちな生活習慣が腰痛を増悪させている!?-」をテーマに、家にこもりがちで生活習慣が乱れやすいコロナ禍だからこそ正しく腰痛を理解していただくべく、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの大住倫弘准教授が講師となり参加者の皆さまに最新の知見を学んでいただきました。     まず、画面上で資料を見ていただきながら、「腰痛のメカニズム」や「痛み」についての講義を行いました。痛みが出たときや痛みが長引くときにどう対処することが良いのか、自身の腰痛の状態についてどのように把握すれば良いのかなど、参加者の方にも分かりやすいように専門の知識を丁寧にお伝えしました。また、生活習慣がどのように痛みに影響を及ぼすのかという解説も行い、コロナ禍だからこその注意点などもお伝えしました。     また講義だけではなく、解説をまじえながら腰痛に効果的なストレッチもレクチャーしました。事前に収録をした動画を使用し、ストレッチのポイントなどを解説しながら、参加者の方に実践していただく時間も取り、講座の後も継続的に実践ができるよう工夫を行いました。   ▼腰痛に効果的な体操をレクチャー   すべての講義が終了した後はZoomアプリのQ&A機能を使い、質疑応答の時間を設けました。「振動するタイプのマッサージ器を使用するのは大丈夫でしょうか。」「高齢者向けの膝に痛みがあるときに有効なストレッチはありますか」等の多くの質問があり、その一つ一つに大住准教授が口頭で回答していきました。   講座終了後、参加者の方からは、「とてもよい講座に参加できてありがたいことだと思いました。この講座はこれまでにもあったようで、参加できなかったことを残念に思うくらいでした。」「講師の先生の説明も分かりやすく、また実際のストレッチのコーナーなどが良かったと思います。」といった内容についての感想や、「初めてのオンライン講座受けましたが、講座の内容を何回でも振り返りたいです。」といった、オンライン講座に対しての好評なご感想・ご要望も数多くいただきました。   今回もオンラインでの開催となりましたが、このような形での情報発信、地域貢献も大変有効だということを実感することができました。引き続き、畿央大学では今後も社会情勢に寄り添いながら、様々な形で地域貢献ならびに社会貢献に取り組んでまいります。   【関連記事】 第6回畿央大学シニア講座 第5回畿央大学シニア講座 第4回畿央大学シニア講座 第3回畿央大学シニア講座 第2回畿央大学シニア講座 第1回畿央大学シニア講座

2021.11.30

第8回日本予防理学療法学会学術大会で大学院生と客員研究員が発表!~健康科学研究科

2021年11月13日(土)に第8回日本予防理学療法学会学術大会がweb開催されました。畿央大学からは一般演題で高取研究室の武田広道さん(博士課程3年)と私(仲村渠)が口述発表を行いました。 発表に関する多くのコメントを頂け、現場レベルから研究レベルまで幅広い関心を得られた研究発表となりました。 コロナウイルス流行で地域での研究を行うことが難しい状況でしたが、日々の取り組みが形になった一つの節目の学術大会となりました。       〈健康科学研究科 博士後期課程3年 武田広道〉   本研究は、通所介護事業所を利用している要支援・要介護高齢者同士でのバディ介入(二人一組で運動を継続できるように励まし合う介入)が在宅運動の継続性に効果があるかどうかを検討したものです。 その結果、介入を行っていない群と比較して、バディ介入を行った群で在宅運動の継続性は良好な結果が得られました。在宅運動の継続には高齢者同士でサポートし合う方法が有効な可能性があると考えられます。     〈健康科学研究科 客員研究員 仲村渠亮〉   本研究は介護予防にむけた地域高齢者の生活レベルでのソーシャルキャピタル(地域での住民同士の繋がりの強さ)を調査した研究になります。介護予防の集まりの場に参加できていない高齢者は多いが、生活の場である銭湯では地域住民との交流が生まれ、介護予防に繋がる可能性を示唆した結果となりました。 医療現場で働く専門職として、地域独自のコミュニティを見つめ直す機会となりました。特に研究や報告が非常に少ない地域での研究であり、研究者含め多くの方から関心を持って頂けました。   本学会は「予防理学療法の思考と応用」というテーマで開催されました。今年はコロナウイルスの流行により、感染予防、高齢者の自粛によるフレイル予防、心の健康予防など、「予防」の重要性や関心が高まった年となりました。学童期から高齢者に及ぶ様々な分野での予防研究が発表されており、改めて予防分野の幅広さを感じました。特に高齢化が加速する我が国において、理学療法士がフレイル予防、介護予防に貢献できる可能性は大きい反面、まだまだ注目が少ない分野であると思います。今後も社会課題である介護予防に向けて、有用な研究や活動をしていく必要性を感じた機会となりました。    健康科学研究科 客員研究員 仲村渠亮   【健康科学研究科 学会発表】 教員・大学院生が第6回日本予防理学療法学会学術大会で発表!~健康科学研究科 大学院生がスペインのテネリフェで開催された21st ESCOPで発表!~健康科学研究科 第17回日本神経理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました~健康科学研究科 第24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で院生6名が発表!~健康科学研究科

2021.11.15

大学院生が第28回日本物理療法学会で奨励賞を受賞!~健康科学研究科

2021年10月23日(土)・24(日)にオンラインにて開催された第28回日本物理療法学会学術大会で、本学理学療法学科卒業生の渡邉梨佳さん(学研都市病院 理学療法士)が優秀賞、本学健康科学研究科修士課程の佐藤雅浩さん(中洲八木病院 理学療法士)が奨励賞を受賞されました。共同研究者として本学健康科学研究科客員研究員の瀧口述弘さん(学研都市病院 理学療法士)、徳田光紀さん(平成記念病院 理学療法士)も名を連ねています。 今回は佐藤さんから喜びのコメントをいただきました! 今回、私は「非術側高強度高周波TENSが大腿骨近位部骨折術後運動時痛に与える影響」という演題で発表を行い、奨励賞に選ばれました。発表では、大腿骨近位部骨折術後患者の非術側へ高強度高周波TENS(経皮的電気刺激)を実施しその鎮痛効果について調査した結果を報告しました。多くの演題の中から奨励賞に選んでいただけたことは,大変嬉しく思います。今後も物理療法、医療の発展に繋がるような研究を続けていけるよう努めたいと思います。 本研究の実施・発表にあたり、指導教員である庄本康治教授をはじめとする多くの方々にご指導及びご支援頂きました。この場を借りて深く感謝申し上げます。   【関連記事】 第28回日本物理療法学会で大学院生と卒業生が優秀賞・奨励賞を受賞!~健康科学研究科         

2021.11.10

雑誌「老年内科」で本学と生駒市・広陵町とのコホート研究が紹介されました~理学療法学科

雑誌「老年内科」10月号にて「日本における高齢者コホート研究の成果と現状」が特集されました。コホート研究は共通の特性を持つ集団を追跡し、その集団からどのような疾病が発生し、また健康状態が変化したかなどを観察して、各種要因との関連を明らかにしようとする研究です。 その中で、奈良県コホートスタディとして生駒市で実施中の後期高齢者コホート研究の成果と広陵町と本学の共同プロジェクトであるKAGUYAプロジェクト(文部科学省 私立大学研究基盤形成事業:研究代表 文鐘聲)が紹介されました。     本特集では日本を代表する高齢者コホート研究であるNILS-LSAやJAGES、柏スタディなどが紹介されており、多くが関東圏の研究で占められています。国立の研究センターや大学、また医科大学を中心とした研究成果が並ぶ中で、関西圏かつ理学療法学科の教員による研究が紹介されていることは、ある意味異色と言えます。   本学で行われた研究はコホートの規模やデータ追跡期間、データ解析手法などにおいては他のビッグデータ研究には及びませんが、フレイル高齢者のステージ変化と関連要因1)、主観的年齢と健康度2)、より小地域別に着目した地域診断研究3)、高齢者の孤食問題4)など、独自の視点がオリジナリティを発揮しているものとなっています。   今後も、理学療法士の目線を活かしつつ地域高齢者の健康寿命の延伸,フレイル予防,地域包括ケアシステムの深化に有用な成果を出していきたいと考えています。是非ご一読頂ければと思います。   理学療法学科 教授 高取克彦   【関連リンク】 地域在住後期高齢者における新規要介護発生の地域内格差:4年間の前向きコホート研究 ~理学療法学科 平成30年度「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」修了式を行いました。 「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」を開講しました。 「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」説明会が開催されました。 KAGUYAプロジェクト紹介リーフレット 広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクトfacebookページ 畿央大学ヘルスプロモーションセンター

2021.11.05

【スポーツリハ×スポーツ栄養】中日ドラゴンズのドラフト6位指名、福元悠真選手を科学的にサポート!

  畿央大学は中日ドラゴンズドラフト6位指名の福元悠真選手(大阪商業大学4回生)とアドバイザリー業務委託契約を結び、スポーツリハならびにスポーツ栄養の面からアスリート支援を行うこととなりました。福元選手は奈良県出身で、高校時代に甲子園に3度出場。4番打者としてセンバツ優勝も経験しているパワーヒッターです。大学でも主将を務め、3回生の秋にはリーグ最優秀選手賞とベストナインを獲得している逸材ですが、怪我に苦しんだシーズンもありました。 理学療法学科の福本貴彦准教授は17年前から奈良県の高校野球に関わっており、福元選手とも面識がありました。今回のプロ野球入りを受け、年明けの入寮とキャンプインに向けて本学教員によるサポートによりプロアスリートになるための体づくりを行うことになりました。2021年10月27日(水)には本学で運動能力の測定やフィジカルチェック、栄養指導を受けました。     【理学療法学科 田平一行教授(専門:呼吸器リハ)からのアドバイス】     心臓や肺機能、体力を測定するために呼気ガス分析器というマシンを使った運動負荷試験を行いました。試験は自転車の負荷(抵抗)を少しずつ上げていき、漕げなくなるまで頑張ってもらい、体に取り入れる酸素の量(酸素摂取量)を測定します。私たちの運動のエネルギーは、ほぼ酸素を燃やして得ていますので、漕げなくなった時の酸素量(最大酸素摂取量)は体力の最も良い指標とされています。福元選手はこの値が一般の人よりも25%も高く、野球選手としてだけでなく体力も非常に優れていることが分かりました。運動負荷試験は体力の判定だけでなく、効果的な運動強度やトレーニングのターゲット(心臓、肺、筋肉等)を決定することにも利用できます。 本学の学生は200ワットくらいの負荷で漕げなくなるのですが、福元選手は300ワットを優に超えて、先生方を驚かせていました。ちなみに、マスクをつけて漕ぎ続けるこの試験は「今年で体力的に一番キツい」体験になったそうです。     【健康栄養学科 中谷友美講師(専門:栄養生理学)からのアドバイス】     現在の食生活について細かくヒアリングを行いながら、栄養面からアスリートの体づくりのアドバイスをします。怪我をしたことがきっかけで食事には気をつかい、大好きだというお菓子も我慢してきたストイックな福元選手も「管理栄養士から指導を受けるのは初めて」とのこと。中谷先生から「食べないと体重は落とせない」など目からウロコのアドバイスに、「めっちゃわかりやすいですね!」と感動されていました。「すぐ忘れてしまうので…」と即座にメモを取る向上心あふれる姿勢も印象的でした。今後は実際にとった食事を報告するなどして、継続的にアドバイスを受けコンディションやパフォーマンスの向上につなげていきます。   【理学療法学科 福本貴彦准教授(専門:運動器リハ・スポーツリハ)からのアドバイス】     普通に立った状態と、バッティングフォームでそれぞれ左右の足型をとりました。 足指握力も非常に強く、足型はしっかりとした土踏まずが観察できる、非常にきれいな足部形状をしていました。バッティングフォームになったとたんに重心位置が変化し、足指で地面をしっかり握っているのが観察されました。この足指の使い方でホームランが打てるのですね!来シーズンはナゴヤドームのバックスクリーンにたくさん打ち込んで欲しいものです。     福元選手からは「プロ入りしても怪我なく、一年間を通してプレイできるように引き続きトレーニングを行い、良い結果を出せるように頑張っていきたいです。」という力強いコメントをいただきました。   これらの測定値を科学的に分析し、弱点を強化しつつ、体への負担が少なく効率の良いトレーニング方法を継続的に指導していきます。強打者として期待されている福元選手が怪我や故障のないように体を整えプロ野球界で活躍してもらえるよう、チームKIOで一丸となって支援していきます!   【左から】中谷先生、福本先生、福元選手、田平先生     ※撮影時のみマスクを外しています。     【畿央大学のアスリート支援関連記事】 第14回理学療法特別講演会「2020東京五輪の活動報告」を開催しました。 「広陵町チャレンジデー2016」に理学療法学科教員とTASKが協力! 認知症啓発の列島リレー「RUN伴」に参加・協力! 宇陀市連携「こどもウェルネス講演会」を開催しました。 広陵町連携 介護予防リーダー養成講座の取り組みが「奈良介護大賞2015」に選ばれました。 鳥人間コンテスト本番で京都大学”Shooting Stars”チームをメディカルサポート! 畿央の学びと研究産学連携 女性専用フィットネスクラブ業界NO.1"カーブス広陵"との共同研究2年目をスタート! 元全日本女子バレーボール監督「柳本晶一先生特別講演会」を開催しました。 鳥人間コンテスト本番出場で間寛平さんをメディカルサポート 関西中央高校応援プロジェクトがすすんでいます。

2021.11.04

大学院生の研究論文が国際誌「Physiotherapy Theory and Practic」に掲載されました~健康科学研究科

地域在住高齢者の円背姿勢と咳嗽力および呼吸機能の関係   誤嚥の直接的な防御機構は咳嗽(がいそう/せき)であるとされています。また、咳嗽力(せきの力)は加齢や呼吸機能、呼吸筋力と関連があることが報告されています。一方で高齢者の姿勢変化として代表的な円背姿勢は呼吸機能に影響を与えることが報告されていますが、咳嗽力との関係は明らかとなっていません。畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の武田広道氏と田平一行教授らは、①非円背高齢者と比較して円背高齢者では咳嗽力が低下する。②円背の重症度と咳嗽力、呼吸機能は関連している。という二つの仮説を検証することを目的に本研究を行いました。 ※この研究成果は「Physiotherapy Theory and Practice」に掲載されています。     この研究では地域在住高齢者に対して円背指数(図1)、咳嗽力、呼吸機能、呼吸筋力の評価を行い、円背姿勢と咳嗽力および呼吸機能の関係について分析を行いました。その結果、非円背高齢者と比較して、円背高齢者では咳嗽力、肺活量、呼気筋力、吸気筋力、胸郭拡張差で有意に低い値となっていました。また、円背の重症度と咳嗽力、呼気筋力、吸気筋力、胸郭拡張差には有意な相関関係がありました。さらに年齢と性別の要因を調整した後では、咳嗽力には肺活量や胸郭拡張差が関連していることがわかりました。   図1 円背指数   円背指数は第7頸椎から第4腰椎までの弯曲に沿って自在曲線定規をあて、その弯曲を紙にトレースし、第7頸椎から第4腰椎までの距離(L)と弯曲の頂点からLまでの距離(H)を計測する。そして、H/L×100(%)の式に代入することで算出される。 本研究の知見は、円背高齢者では咳嗽力が低下しており、誤嚥性肺炎のリスクが高いことを示しています。また円背が重症化していくにつれて咳嗽力が低下することから、円背姿勢を予防することが誤嚥性肺炎のリスク要因を減らす可能性を示唆しています。今後は咳嗽力に関連している要因への介入効果について検証していきたいと考えています。   健康科学研究科 博士後期課程 武田広道   【論文情報】 Hiromichi Takeda, Yoshihiro Yamashina, Kazuyuki Tabira Relationship between kyphosis and cough strength and respiratory function of community-dwelling elderly Physiotherapy Theory and Practice, 2021.

2021.10.26

第28回日本物理療法学会で大学院生と卒業生が優秀賞・奨励賞を受賞!~健康科学研究科

2021年10月23日(土)・24(日)にオンラインにて開催された第28回日本物理療法学会学術大会で、本学理学療法学科卒業生の渡邉 梨佳さん(学研都市病院 理学療法士)が優秀賞、本学健康科学研究科修士課程の佐藤 雅浩さん(中洲八木病院 理学療法士)が奨励賞を受賞されました。共同研究者として本学健康科学研究科客員研究員の瀧口 述弘さん(学研都市病院 理学療法士)、徳田 光紀さん(平成記念病院 理学療法士)も名を連ねています。おめでとうございます!   優秀賞 渡邉 梨佳(学研都市病院 理学療法士)※畿央大学理学療法学科 卒業生 「変調正弦波運動経皮的電気刺激が健常人の実験的疼痛に与える影響について」 奨励賞 佐藤 雅浩(中洲八木病院 理学療法士)※畿央大学大学院 修士課程 「非術側高強度高周波TENS が大腿骨近位部骨折術後運動時痛に与える影響」   研究の詳細については抄録集(PDF)をご覧ください。   理学療法学科長 庄本教授コメント 渡邊さんは学生時代から優秀でしたが、職場の上司であり大学先輩でもある瀧口先生という良き指導者に恵まれ、臨床能力はもちろん、研究能力も成長させ、今後が益々楽しみです。 佐藤さんは、徳島県在住ですが、徳田先生、瀧口先生のICT利用も含めた指導も頂き、この1年で大変成長されました。お二人とも更なる目標をめざして努力して欲しいと思っています。  

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