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理学療法学科の新着情報一覧

2022年の理学療法学科の新着情報一覧

2022.12.26

「臨床・教育・研究」が揃ったスポーツ理学療法士の魅力~理学療法学科 第5回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」

最前線で活躍する卒業生が隔月で講演! 第5回テーマは「スポーツ理学療法士の魅力」 理学療法学科では今年度から新たに「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催しています。 リーダーシップをもった次世代の理学療法士育成を目的にし、臨床現場はもちろん、スポーツ現場や地域リハ、教育機関など幅広い分野の第一線で活躍する卒業生がその魅力や想いを後輩のためだけに語ります。在学生にとっては入学後早期から職業理解を深め、自らのキャリアを考えることやモチベーション向上へとつなげる絶好の機会になります。 他大学に先駆けて理学療法学科を開設した畿央大学にしかできない先進的な取り組みです。 第1回の徳田‎光紀さん(1期生/平成記念病院)、第2回の飛田良さん(4期生/滋賀医科大学医学部附属病院)、第3回の尾川達也さん(3期生/西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部主任)に続き、第4回の吉田李沙さん(1期生/salon Fluffy経営)に講演いただきました。 第5回は唄大輔さん(2期生/横浜市スポーツ医科学センター)を講師に迎え、「臨床、教育、研究の3本柱が整ったスポーツ理学療法士の魅力」をテーマに講演いただきました。卒業後は平成記念病院で勤務された後、今年の春から横浜市スポーツ医科学センターで勤務されています。また、畿桜会(同窓会)の会長も長く務めています。         唄さんが卒業後のキャリアをどのように積み重ねてこられたかを説明いただく中で、臨床、教育、研究それぞれの側面で、ご講演いただきました。スポーツとの関わりをより深めていく中で、認定理学療法士の上位資格である専門理学療法士(スポーツ)の取得や、大学院への進学。平成記念病院でのスポーツ選手のリハビリや各種大会への帯同等の経験も紹介。特に、2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として帯同された話は、スポーツに関心のある学生にとっては非常に興味深い中身になったのではないでしょうか?   【関連記事】 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。         学生にとっても卒業後の臨床現場のことだけでなく、教育、研究それぞれの経験を踏まえた上での話は今後のキャリア形成を考える上でとても内容の濃い講演になったかと思います。唄さん今回はありがとうございました。       唄さんから後輩の皆さんへのメッセージ   参加してくださった皆様、ありがとうございました。改めて、スポーツ理学療法士を志すキッカケになったでしょうか?そして、スポーツが好きになりましたか? スポーツで働く理学療法士のイメージは間違いなく、現場だと思います。しかしながら、それだけでは通用しません。臨床(現場)はもちろんですが、何のためのトレーニングか?何のためのコンディショニング・リコンデショニング調整なのか?といった科学的根拠がないと腕の良いスポーツ理学療法士にはなれないと思います。また、アスリートをはじめ指導者やその他の関係者からの信用・信頼を得ることができないと思います。スポーツ理学療法士にとっても、臨床・教育・研究の3本柱はもちろん必要です。それは理学療法士だからこその3本柱だと思います。 硬い表現にはなりましたが、学生時代から志すうえで、大事なことは熱いハートを持つことだと思います。理学療法士をめざすキッカケの一つがスポーツでしたら、その熱いハートを変わらず持ち続けてください。スポーツの分野において、理学療法士の需要はかなり増えてきています。国際大会を始め、プロスポーツでの採用募集も理学療法士の資格が必要となっております。学生時代からそのような未来に向けて、熱いハートを持ち続け、そして、貪欲に行動してください。学生時代にもっともっとがんばりたいと思っている皆様、私で良ければ横浜から手助けしますよ!そして、女性の皆様、女性のスポーツ理学療法士はまだまだ不足しておりますし、需要がたくさんあります。女性の方も是非ともよろしくお願いします。 当施設はいつでも見学を受け入れております。気軽にご連絡していただき、旅行気分?でお越しください。     次回は2月10日(金)13:00~14:30、中田耕平さん(4期生/株式会社P5代表、津市議会議員)を講師に迎え「自分らしさ×理学療法士」をテーマに講演いただきます。     後期に入っても「畿央生限定」のスペシャルトークをお届けします!   【関連リンク】 理学療法学科 大学院健康科学研究科 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編 女性理学療法士が活躍できる場所~理学療法学科 第4回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」 卒業生に学ぶチーム医療のリアル~理学療法学科 第3回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」 大学病院で働くということ~理学療法学科 第2回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催 第1回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催!~理学療法学科 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part1~「学生時代」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part2~「臨床現場・大学院」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part3~「教員」編

2022.12.26

就職レポートNo.717(病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第717弾! 理学療法学科17期生(23卒)  A.T さん 病院(理学療法士) 勤務   ※撮影時のみマスクを外しています。   【その病院に決めた理由】 実習では回復期を見る機会が多かったですが、急性期に興味があり特に整形疾患を多くみることができるため候補に考えました。 そして、自治体と連携して健康増進活動事業を実施している点や、運動を習慣化するために院内で自主トレーニングを主体とした活動を行っている点が私の興味ある「健康増進や予防」の分野と考え、この病院に決めました。     【就職活動を振り返って】 私が採用試験を受けたのは10月中旬でした。「内定をいただいた所に縁があるんだ」と考えながら日々過ごしていたので、周りが早く決まっていましたがあまり焦ることなく就職活動ができたかなと思います。 また、採用試験では面接だけでなく筆記試験もありました。それに向けて勉強をすることで結果的に国家試験の模試の点数も順調に上がったので振り返ってみると筆記試験があってよかったのかなと思います。     【就職活動でPRしたポイント】 面接では聞かれることがありませんでしたが、周りを見渡し率先垂範できるということを履歴書でアピールしました。面接では趣味や他人から見た自分の長所について聞かれました。趣味は映画鑑賞や筋力トレーニングなのですが、それらに対してどれだけ熱があるかを伝えました。また上手く話せないところもありましたが、話し方や姿勢から面接官が言いたいことを汲み取ってくれました。     【キャリアセンターと就職サポートについて】 履歴書の添削や面接の練習などメールや対面で様々なサポートをしていただきました。細かいところまで添削してくれたり、何度でも面接練習を行ってくれるのでとても助かりました。 困ったことがあれば些細な事でも相談に乗ってくれるので積極的に相談してみるといいと思います。     【後輩へのアドバイス・メッセージ】 面接ではどれだけスラスラと話せるかではなく、どれだけ自分の気持ち・熱意を伝えることが出来るかが重要だと思います。話すのが苦手でも声の大きさや態度、姿勢が良いだけでとても良い印象を与えることが出来ると思います。緊張はすると思いますが、とても良い経験となるので頑張ってください! 実習が終わり、就活、卒研、国試と忙しい日々が続くと思いますが遊ぶときは遊んで、休むときはしっかりと休んでください。学生でいれる期間も残り少ないので、限られた時間を大切な仲間と共に過ごしてください!  

2022.12.23

慢性腰痛者における運動恐怖は予測的姿勢制御を乱してふらつきの原因になる~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

予測的姿勢調節(APA)は運動を効率的に実行する上で重要な機能ですが、慢性腰痛者のおけるAPAと運動・姿勢制御との関連性は明らかになっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 西 祐樹 客員研究員とセンター長 森岡 周 教授らは、運動恐怖によるAPAの変化はその後の運動・姿勢制御に影響することを明らかにしました。この研究成果はScandinavian Journal of Pain(Anticipatory postural adjustments mediate the changes in fear–related behaviors in individuals with chronic low back pain)に掲載されています。   研究概要 慢性腰痛者では、運動恐怖によって“凍結行動”と呼ばれる運動時の腰部に対する過剰な保護や運動の緩慢化が生じます。一方、運動には身体の動揺が伴うため、運動実行前に姿勢を調整する“予測的姿勢調節(Anticipatory postural adjustment: APA)”によって効率的かつ正確に運動を制御できることが知られています。 しかしながら、慢性腰痛者の腰部運動においてAPAがどのように機能しているのかは明らかになっていませんでした。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 西 祐樹 客員研究員 と センター長 森岡 周 教授 らは、 地域在住の慢性腰痛者を対象に重心動揺計上で体幹の屈曲伸展運動を計測しました。その結果、運動恐怖がAPAを媒介してその後の運動・姿勢制御に悪影響を及ぼしていることが明らかになりました。この成果は慢性腰痛による運動制御の更なる病態理解に寄与しました。   本研究のポイント ■ 慢性腰痛者および健常高齢者の体幹屈曲伸展運動における予測的姿勢制御や運動・姿勢制御を測定した。 ■ その結果、慢性腰痛者では予測的姿勢調節の機能の低下が生じていた。 ■ 加えて、運動恐怖のよる予測的姿勢調節の変化はその後の運動・姿勢制御に影響していた。   研究内容 慢性腰痛者48名および健常高齢者22名は体幹の屈曲伸展運動を行い、電子ゴニオメーターで腰部の角度を計測し、重心動揺計で足圧中心(COP)を計測しました(図1)。     COPの偏位開始から運動の開始までのAPAの期間を抽出するとともに、体幹屈曲伸展運動の運動および姿勢制御変数を算出しました。その結果、健常高齢者と比較して慢性腰痛者では、屈曲伸展の切り替え時間(運動制御)およびAPA時間が延長しました。加えて、課題前後でCOPの位置(姿勢制御)は前方に偏位していました。つまり、慢性腰痛者では、体幹の屈曲により前方に偏位したCOPが体幹の伸展に伴って正中へ偏位せず、前方位置に残存する現象が観察されました。次に、これらの変数を投入した媒介分析の結果、慢性腰痛者の切り替え時間はAPAの有意な間接効果と運動恐怖の直接効果を受け(部分媒介効果)、COPの前方偏位はAPAを介した運動恐怖の有意な間接効果を受けること(完全媒介効果)が明らかとなりました(図2)。       これらは運動恐怖症による「凍結行動」のような過剰な保護戦略は、予測的姿勢調節の機能不全をきたし、その後の運動および姿勢制御の変化に影響することが考えられています。   本研究の臨床的意義および今後の展開 慢性腰痛者では運動制御のみならず臨床場面で見落とされやすい姿勢制御においても運動恐怖によって凍結様の過剰な保護が生じることが明らかになりました。加えて、運動・姿勢制御には運動が始まる前の予測的な姿勢調節が影響していました。本研究成果は、慢性腰痛のさらなる病態理解に寄与する可能性があります。   論文情報 Nishi Y, Osumi M, Morioka S Anticipatory postural adjustments mediate the changes in fear-related behaviors in individuals with chronic low back pain Scand J Pain, 2022   関連する論文 Osumi M, Sumitani M, Otake Y, et al. Kinesiophobia modulates lumbar movements in people with chronic low back pain: a kinematic analysis of lumbar bending and returning movement. Eur Spine J. 2019;28(7):1572-1578.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2022.12.21

就職レポートNo.712(病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第712弾! 理学療法学科17期生(23卒)  R.T さん 病院(理学療法士) 勤務     ※撮影時のみマスクを外しています。   【その病院に決めた理由】 「谷口ならどんな疾患でも何とかしてくれる」と言われるのが、私の目指す理学療法士像です。そのためにも急性期・回復期・維持期と長く、幅広い層に携われる病院を探していました。内定をいただいた病院はそれら全てを経験することができ、働きながら他病棟の見学ができる制度や豊富な設備・手技に魅力を感じ志望しました。     【就職活動を振り返って】 短い期間で病院見学や履歴書添削、面接練習を詰め込み、バタバタしていたのを思い出します(笑)。 実習先でお世話になった病院も含め幾つか候補があり就職活動計画を立てていた中、内定をいただいた病院を大学主催のオンライン説明会で知りました。その際、説明担当の方から「2週間後の選考会でおそらく定員締切になる」と言われ、予定前倒しで準備を進めました。急な話にも関わらず、キャリアセンターの方が一つ一つ迅速かつ丁寧に対応してくださり、短い準備期間でしたが本番は焦らず臨むことができました。     【就職活動でPRしたポイント】 人当たりの良さを学生生活や実習でのエピソードを踏まえてPRしました。過去に優れた成績や大きな賞を受賞したこともないので、自分の強みを探すのに時間がかかりました。しかし、これまで学年代表や部長、アルバイト塾講師といった多くの人と関わる機会に恵まれてきました。その経験から育まれた人柄は面接でありのまま伝わるのではないかと思い、自分の強みとしました。     【キャリアセンターと就職サポートについて】 早急に準備を始めたい旨を伝えたところ、すぐに履歴書添削や面接練習の予定調整など動いてくださり、キャリアセンターの飯山さんには本当に感謝しています。いただいた多くのアドバイスが新しい自分を発見できるきっかけとなり、就職活動を通してまた一歩成長することができたなと感じています。本当にありがとうございました。     【後輩へのアドバイス・メッセージ】 長期臨床実習が終わっても就職活動や卒業研究、国家試験対策と忙しい日々が続きます。焦ってしまうかもしれませんが、みんなと協力しながら一つ一つ取り組めば絶対に大丈夫です! 就職活動に関して、空き時間や気分転換時に自分を俯瞰する時間を設けてみるといいかもしれません。特に自己分析にはどうしても時間がかかってしまう傾向にあります。キャリアセンターの方々や家族、友人に相談するのも新しい自分を発見できるチャンスかも! みなさんが笑顔で就職活動を終えることができるよう、応援しています!  

2022.12.14

修了生が学術大会長賞に!第9回日本予防理学療法学会学術大会・第9回地域理学療法学術大会参加レポート~健康科学研究科

2022年11月19(土)〜20日(日)に第9回日本予防理学療法学会学術大会、12月3日(金)~4日(日)にかけて第9回日本地域理学療法学術大会が開催されました。昨年に引き続き、コロナウイルス感染症の影響により、シンポジウム、特別講演などは現地からのライブ配信、一般演題は事前に録画した発表資料を登録するという形で行われました。   畿央大学地域リハビリテーション研究室からは、第9回日本予防理学療法学会学術大会では一般演題として高取克彦教授(畿央大学健康科学研究科)が発表されました。 また、第9回日本地域理学療法学術大会では客員研究員の仲村渠亮先生(修士課程修了/淀川キリスト教病院)、私 山本泰忠(博士後期課程1年/宝塚リハビリテーション病院)、武田広道助教(博士後期課程修了/京都橘大学)が一般演題(セレクション演題を含む)として発表し、松本大輔准教授(畿央大学)がシンポジストとして発表されました。 特に武田広道先生の発表演題は本学術大会にて学術大会長賞を受賞されました。         <高取克彦> 「地域高齢者におけるsubjective ageと運動定着および新規要介護発生との関係〜KAGUYAプロジェクト〜」 本研究は高齢者の主観的年齢(subjective age)を評価し、3年後の新規要介護認定発生との関係を調べたもので、主観的年齢が若いと感じる高齢者は、そうでない者と比較して、週一回以上の運動定着率が高く、要介護発生が少ないことを明らかにしたものです。         学術大会長賞受賞演題 <武田広道> 「要支援・要介護高齢者のアパシーが在宅運動プログラムのアドヒアランスに及ぼす影響」   本研究は要支援・要介護高齢者を対象にアパシー(やる気がなくなったり無気力になること)が運動継続性に及ぼす影響を検討したものです。その結果、ベースライン時にアパシーのある高齢者は在宅運動プログラムの実施頻度が少ないことが明らかになりました。在宅運動を処方する際は、心理面にも着目して行動変容介入をする必要があると考えられます。     <松本大輔> 「知っておきたい 地域理学療法(学)のエビデンス」     松本先生は地域理学療法ガイドラインの作成に関わられており、その中で訪問理学療法のエビデンスについて紹介されておりました。わが国のエビデンス構築に向けて、まずはガイドラインを知ること、丁寧な評価と介入を記録すること、研究スキルを磨くことを強調されておりました。地域理学療法では、研究を行う上で困難なハードルがいくつかあると思いますが、学術大会を通じて私たちの共通認識を再確認させていただくことができました。     <仲村渠亮> 「転倒により大腿骨近位部骨折を呈した地域在住高齢者の家屋種類と骨密度に着目した比較分析」     本研究は大腿骨近位部骨折を呈した地域在住高齢者を対象に家屋種類と骨密度の関係性を検討したものです。その結果、市営住宅在住高齢者のみ骨密度に関係なく、年齢が低い時期に転倒による骨折が多いことが明らかになりました。転倒予防を検討する際には家屋環境などの外的要因に着目する必要があると考えられます。     <山本泰忠> 「地域在住高齢者の通いの場におけるオピニオンリーダーの存在と参加者の身体的健康度との関連について」   本研究は地域在住高齢者を対象にオピニオンリーダーが身体的フレイルに及ぼす影響を検討したものです。その結果オピニオンリーダーがいる通いの場グループでは身体的フレイルに該当する高齢者が多いことが明らかとなりました。本研究において、オピニオンリーダーのいるグループでは、そうでないグループと比較し女性が多いことや居住年数が高いことも明らかとなりました。オピニオンリーダーのいるグループでは、地域のより虚弱で介入が必要な高齢者を通いの場へ参加を促しているという可能性が考えられました。     第9回地域理学療法学術大会は「社会課題解決のための地域理学療法実践と技術の発展」というテーマで開催されました。同学術大会では年々演題のテーマが集約されつつある印象を持っており、臨床現場での課題が共通認識として捉えられてきている印象を持ちました。そして、高取研究室の修了生である武田広道先生(京都橘大学)が学術大会長賞を受賞されました。改めまして、おめでとうございました!私もより一層研究活動に取り組んで参りたいと思います。学術大会に引き続き参加し、偏った知識、考えにならないように情報をアップデート&発信していきたいと思います。   畿央大学大学院博士後期課程 山本泰忠 畿央大学 地域リハビリテーション研究室HP     【関連記事】 令和4年度 広陵町・香芝市・畿央大学 介護予防リーダー養成講座を開催しました~理学療法学科 生駒市の地域リハビリテーション活動支援事業に向けて卒業生が集結!~地域リハビリテーション研究室with TASK 第64回日本老年医学会学術集会で教員が発表!~健康科学研究科 香芝市政施行30周年記念事業の一環として本学教員監修の「フレイル予防体操」がリリースされました〜理学療法学科 第8回日本予防理学療法学会学術大会で大学院生と客員研究員が発表!~健康科学研究科 第63回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員が発表!~理学療法学科・健康科学研究科  

2022.11.17

令和4年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート

2022年11月4日(金)に開催された理学療法学科卒業研究発表会を、梶原ゼミ4回生が紹介します! ▶教員レポートはこちら   理学療法学科4回生、梶原ゼミの松井文香と溝口菜々です。理学療法学科卒業研究発表会についてレポートさせていただきます。   発表当日までの活動 3回生前期の「理学療法研究法」で論文の探し方や読み方を学びました。その後、先生や興味のある分野などからそれぞれが考え、各々希望のゼミを選択しました。   3回生後期では「理学療法研究法演習」にて本格的なゼミ活動を始めました。自分達で論文を探し、紹介した上で内容について皆で議論をする抄読会を行った上で研究のテーマをそれぞれ決定していきました。その後、本格的に実験へ取り組み、発表へ向けて準備を進めました。   私達が所属する梶原ゼミでは、産後女性の手や手首の痛みが日常生活動作に及ぼす影響に焦点を当て、疼痛部位や痛みの強さだけではなく子どもの抱き方や月経の再開状況などを調査し、痛みに関連する要因を検討しました。アンケート作成などは、先生から指導を受けながらメンバー全員で協力して準備を進めました。解析結果、考察を分かりやすい言葉で説明することや、見やすい発表スライドを作成することが難しく、時間を費やしました。   発表当日 今年度は17ゼミから全25演題の発表が行われました。1演題につき、7分の発表と3分の質疑応答がありました。私たちのゼミは発表内容が多く、制限時間内に収め、なおかつ聞きやすいスピードで発表するように努めました。         去年に引き続きコロナ禍ということもあり様々な制限がありました。そんな中、研究内容や方法について、ゼミの仲間や担当の先生と試行錯誤を繰り返し、無事に発表会を迎えることが出来ました。それぞれ分野の異なる発表は、非常に興味深いものばかりでした。質疑応答では4回生や先生方だけでなく、3回生からも様々な視点からの意見・質問があり、発表内容をより深く理解することにつながりました。         今回の研究で得られた経験や知識を4月から始まるそれぞれの舞台で存分に発揮し、日々精進していきたいと思います。最後にご協力いただいた方々並びにご指導頂きました先生方に厚く御礼申し上げます。         理学療法学科4回生 松井文香・溝口菜々   【関連記事】 令和4年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート 令和3年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート 令和3年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート 令和2年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート 令和2年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート  

2022.11.17

令和4年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート

2022年11月4日(金)に開催された理学療法学科卒業研究発表会を梶原先生が教員視点でレポートします! ▶学生レポートはこちら 今年度の理学療法学科の卒業研究発表会は計25演題の発表が行われました。研究テーマは運動器や脳科学、呼吸器系、物理療法、動物実験による基礎研究、コミュニケーション、高齢者、ウィメンズヘルス、統計など多岐にわたりました。         理学療法学科では3年次に各教員のゼミへ配属されると、そこから4年次の11月に行われる「卒業研究発表会」に向けて、先行研究を調べたり、ゼミ生同士で相談をしたり教員の指導を仰ぎながら研究計画を立てていきます。昨年、一昨年はコロナ禍の影響もあり学外でデータを取る研究はほとんどありませんでした。しかし、今年はコロナ禍以前と同等とはいかないまでも学内だけでなく地域の方に協力いただいてデータを取っている研究も増えており、感染対策をしっかりとった上で徐々に出来ることが増えてきているのを実感しました。全体として今年もよくまとまった発表だったと思いますが、個人的にはウシガエルの心臓を用いた生理学実習の項目の検討についての発表を興味深く聞きました(理学療法学科には獣医の教員がいます)。         今年度も感染対策を行った上で、無事に卒業研究発表会を開催することが出来て良かったと感じています。普段は「聞く」側であることが多い学生たちにとって、冬木記念ホールという大きなホールに立って発表することは大いに緊張することだったと思いますが、同時に貴重な経験になったことと思います。   7分間という発表時間は準備の前には長いように感じたかもしれませんが、実際に発表する段階になると思いの外短く、伝えたいことを時間内にまとめるのに苦労した学生も少なくなかったと思います。3分間の質疑応答では、教員からの鋭い質問に緊張しながらも自分たちの考えを述べることが出来ていました。さらに、今年度は聴講していた3回生からも例年より質問のための挙手が多かった姿が印象的でした。         今回の発表が満足のいくものだった学生もいれば、心残りがある学生もいるかもしれません。しかし、卒業研究を立案、実施していく中で分からないことを深く探求したこと、まだまだ感染対策などで制限も残る状況で今出来る範囲で最大限のことをする為に工夫をしたことは、きっと臨床に出た時に患者さんにより良い医療、より良い理学療法を提供し学び続ける力になると思います。   卒業研究は終わりましたが、すぐに国家試験の対策が待ち受けています。   今年も合格100%をめざして頑張りましょう!!         理学療法学科 助教 梶原由布   【関連記事】 令和3年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート 令和3年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート 令和2年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート 令和2年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート

2022.11.14

患者教育と運動指導が腰痛による運動制御障害を改善させるか?~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

腰痛によって引き起こされる「身体を動かすことへの恐怖心(運動恐怖)」は、体幹の運動制御障害に悪影響を与えることが知られています。また、運動恐怖に対する介入として、痛みの神経生理学に基づいた患者教育や運動指導が有用とされています。しかしながら、これら介入によって生じる腰痛症状の改善と体幹の運動制御障害の変化や、その時間的関連性は明らかとされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程 修了生の藤井 廉 氏と森岡 周 教授らは、腰痛を有する就労者1例に対して一連の介入を実施し、運動恐怖が改善したとしても、運動制御障害が残存した場合、やがて腰痛症状が再発する可能性を示しました。 この研究成果は、SAGE Open Medical Case Reports誌(Changes in task-specific fear of movement and impaired trunk motor control by pain neuroscience education and preliminary single-case study of a worker with low back pain)に掲載されています。 研究概要 運動恐怖(身体を動かすことへの恐怖心)は、腰痛症状を慢性化させる要因であることが報告されています。腰痛を有する就労者においては、この運動恐怖が作業動作時の体幹の運動を乱すことで、腰部への負荷を大きくし、やがて労働能力の低下をもたらすと考えられています。 畿央大学大学院博士後期課程 修了生の藤井 廉 氏、森岡 周 教授らの研究チームは、腰痛を有する就労者1例に対して、痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導を用いた介入を実施し、運動恐怖と体幹の運動制御障害の変化を詳細に分析しました。その結果、介入によって運動恐怖は改善しましたが、運動制御障害は変化を認めませんでした。フォローアップ終了後(介入後からおよそ8ヶ月後)も同様の傾向を示しており、最終的には痛み強度の増加を認めました。本症例の一連の経過から、運動制御障害が残存した場合、やがて腰痛症状が再燃する可能性が示されました。 本研究のポイント ■ 腰痛を有する就労者1例に対して、痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導による介入を実施しました。 ■ 介入によって、運動恐怖をはじめとした腰痛症状は改善しましたが、運動制御障害は不変なままでした。 ■ 運動制御障害が残存したまま就労を継続することによって、いずれ腰痛症状が再燃する可能性が示されました。 研究内容 本研究の対象は、慢性腰痛を有しながらも就労を継続していた20歳代の男性介護士でした。「重い物を持ち上げる際、痛みはあまり感じないが、腰を動かすことに怖さがある」といった訴えを認めていました。 研究デザインはABAデザインを適用し、A1期:ベースライン期、B期:介入期(痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導)、A2期:フォローアップ期としました。評価は、重量物持ち上げ動作の運動学的解析と、作業動作中に生じた課題特異的な運動恐怖を測定しました。 介入の結果、介入期以降で、課題特異的な運動恐怖や体幹運動の緩慢さ(最大体幹屈曲・伸展角速度)、その他腰痛症状(痛み強度や能力障害)に改善を認めました。その一方で、体幹の運動制御障害(運動の一致度)は不変なままでした。さらに、フォローアップ期以降においても、これらの指標は同様の傾向を示し、最終的には痛み強度の増悪を認めました(図1)。 本研究より、一連の介入によっても、運動制御障害は改善しづらく、その問題が残存したまま就労を継続することで、やがて腰痛症状の再燃に影響する可能性が示されました。   図1.各評価指標の時系列的変化 ベースライン期、介入期、フォローアップ期、フォローアップ期終了後から3ヵ月・8ヶ月時点で収集された評価指標を、時系列に示しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本症例研究では、介入によって運動恐怖は改善しましたが、運動制御障害は不変なままでした。そして、運動制御障害が残存することによって、やがて腰痛症状が再燃する可能性が示されました。今後の展開として、運動恐怖をさらに詳細に分析することで運動制御障害が残存した要因を明確にするとともに、運動制御障害を改善するためのアプローチ方法を開発しその効果を検証していく必要があると考えています。 論文情報 Fujii R, Imai R, Shigetoh H, Tanaka S, Morioka S. Changes in task-specific fear of movement and impaired trunk motor control by pain neuroscience education and exercise: A preliminary single-case study of a worker with low back pain. SAGE Open Med Case Rep. 2022 Oct 24;10:2050313X221131162. 関連する先行研究 Ren Fujii, Ryota Imai, Shinichiro Tanaka, Shu Morioka. Kinematic analysis of movement impaired by generalization of fear of movement-related pain in workers with low back pain. PLoS ONE. 2021; 16 (9): e0257231. Ren Fujii, Ryota Imai, Hayato Shigetoh, Shinichiro Tanaka, Shu Morioka. Task-specific fear influences abnormal trunk motor coordination in workers with chronic low back pain: a relative phase angle analysis of object-lifting. BMC Musculoskelet Disord. 2022; 23 (1): 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2022.11.04

女性理学療法士が活躍できる場所~理学療法学科 第4回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」

最前線で活躍する卒業生が隔月で講演! 第4回テーマは、「女性理学療法士が活躍できる場所」 理学療法学科では今年度から新たに「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催しています。 リーダーシップをもった次世代の理学療法士育成を目的にし、臨床現場はもちろん、スポーツ現場や地域リハ、教育機関など幅広い分野の第一線で活躍する卒業生がその魅力や想いを後輩のためだけに語ります。在学生にとっては入学後早期から職業理解を深め、自らのキャリアを考えることやモチベーション向上へとつなげる絶好の機会になります。 他大学に先駆けて理学療法学科を開設した畿央大学にしかできない先進的な取り組みです。 第1回の徳田‎光紀さん(1期生/平成記念病院)、第2回の飛田良さん(4期生/滋賀医科大学医学部附属病院)、第3回の尾川達也さん(3期生/西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部主任)に続き、第4回は吉田李沙さん(1期生/salon Fluffy経営)を講師に迎え、「女性理学療法士が活躍できる場所 ~自分らしく働く~」をテーマに講演いただきました。卒業後は奈良県総合リハビリテーションセンターで理学療法士として勤務した後、現在は独立し、産前産後ケアを中心としたsalon Fluffyをオープン。その他にも自治体の母子保健事業や婦人科と連携したデイサービス施設でのトレーニングにも携わっています。 講演では、女性のライフステージの変化に伴うマイナートラブルに対して、理学療法士による介入ができる内容や、出産後に身体症状の変化に気づくものの、小さい子がいると病院に行けないことや痛みが出るのが当たり前と思う人が多いという産後女性ならではの悩みという部分についてまで多岐にわたる内容をお話しいただきました。   吉田さん自身も、妊娠・結婚・出産を経てライフステージの変化とともにウィメンズヘルス分野に興味を持ち、出産後の悩みを抱える中で理学療法士として関わりたい想いを実現させるために独立。日本では出産後1ヵ月健診が終われば、母親の体を診てくれる場所はほとんどなく、海外と比較すると十分でないことから、産前産後に不調の出にくい体づくりを目的に予防理学療法を展開されています。   講演後は質疑応答の時間がありましたが、男子学生からの質問も多くあったのが印象的でした。ウィメンズヘルス関心だけでなく、理学療法士として活躍できる場所を自ら創ったことに対する吉田さんの想いやエネルギーに感化されたのではないでしょうか。     吉田さんから後輩の皆さんへのメッセージ   “女性理学療法士が活躍できる場所”というセミナータイトルであったにも関わらず、女子学生さんと同じくらい、男子学生さんもたくさんご参加くださり、正直驚きました。興味を持ってご参加いただき、積極的な質問もしてくださり、ありがとうございました。   私自身の大学生活を思い返せば、恥ずかしながら勉強は苦手な方でした。理学療法士になって臨床現場に出て初めて、畿央大学の教員の先生方が、各分野において第一線でご活躍されている先生方だったということがわかり、学生時代にもっとお話をうかがったり、学ばせていただけばよかった、と今でもよく思います。 また、ウィメンズヘルス理学療法に携わっている者としては、助産学専攻科の先生方にも、ご意見をうかがえる機会を設けさせていただけたらと思っております。学科を超えた学びができる点も畿央大学の魅力だと感じております。 理学療法士として働く中で、患者さんの身体機能の向上やADL(日常生活動作)能力の改善には、とても喜びを感じます。そして私自身にとって「理学療法士として役に立ちたい」と、最も心が動いた分野が「産前産後の理学療法」でした。身近では、産前産後女性へ理学療法を提供している病院や施設がなかったため、個人事業として、自分自身が実践可能なことから形作っていきました。独立当初から現在も、行き詰まることはあるのですが、初心が原動力となって事業を進めていくことができます。目標である「リハビリ型の産前産後ケア施設の設立」をめざして、今後も研鑽を積みたいと思います。 理学療法士は、基本的には身体面にアプローチを行なうことが業務内容ですが、結果として、精神面にも好影響をもたらすことができる素晴らしい職業だと感じています。学生生活の間に、いろんな人と出会ったり、さまざまな経験をすることによって、自分自身が感動したり、心を動かされる経験をたくさんしてください。その豊かな心がご自身を動かす力になると思います。   そして最後に、お願いがあります。電車やお店などで、小さな子どもを連れた親御さんを見かけることがあると思います。泣いたり騒いでしまったら周りの方に迷惑がかかる、と親御さんはかなり気を張っています。そのような方に、直接手を差し伸べて手助けすることは難しかったとしても、子どもさんに笑いかけてあげてほしいと思います。たったそれだけで、親御さんは安心感を得て、暖かい人に出会えて支えてもらったと感じます。地域の子育てに少しだけお手伝いしてもらえると嬉しいです。 また畿央生の皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。     ▼左から学科長の庄本先生、吉田さん、教務主任の田平先生     次回は12月17日(土)13:00~14:30、唄大輔さん(2期生/横浜市スポーツ協会 横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科)を講師に迎え「臨床、教育、研究の3本柱が整ったスポーツ理学療法士の魅力」をテーマに講演いただきます。唄さんは2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として奈良県から参加された方です。(関連記事)   後期に入っても「畿央生限定」のスペシャルトークをお届けします!     【関連リンク】 理学療法学科 大学院健康科学研究科 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編 卒業生に学ぶチーム医療のリアル~理学療法学科 第3回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」 大学病院で働くということ~理学療法学科 第2回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催 第1回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催!~理学療法学科 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part1~「学生時代」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part2~「臨床現場・大学院」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part3~「教員」編

2022.11.02

行為と結果の規則性の知覚感度の発達変化~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

定型発達乳児は生後の発達早期に、自己の運動とその結果の繋がり、すなわち行為と結果の規則性が知覚できるとされています。例えば、頭上にあるモビールと足首を絹紐で結びつけられた生後9~12週齢の赤ちゃんは、自分の足を動かすとモビールが動くことに気付き、それが楽しい報酬となり、足の運動をより活発にしていきます。このように自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力である「行為と結果の規則性の知覚」は既に乳児期に存在することが分かっていますが、その後、幼児期から青年期に渡って一定なのか、あるいは発達変化するのかは分かっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、温文(Wen Wen) 特任准教授(東京大学)、中井昭夫 教授(武庫川女子大学)らと共同で、行為-結果の規則性の知覚感度の発達変化について調査しました。この研究成果は、Scientific Reports誌(Developmental changes in action-outcome regularity perceptual sensitivity and its relationship to hand motor function in 5-16-year-old children)に掲載されています。 研究概要 自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力のことを、行為と結果の規則性の知覚と呼びます。最近、行為と結果の規則性の知覚は、コンパレータモデル以外の運動主体感(Sense of Agency: SoA)を生成する重要な情報源として注目されており、また適応的運動学習パフォーマンスにも関与することが示されています。行為-結果の規則性の知覚は、コンパレータモデルに基づく運動制御過程とは異なり、各動作の結果を正確に予測する必要がない点で重要です。上述したように、生後9~12週齢の乳児は、自分の足を動かすとモビールが動くことに気付くと、それを報酬として、足の運動をより活発にしていきます。また生後2~4ヶ月の乳児では、おしゃぶりを吸うと視覚や聴覚フィードバックが与えられるようにすると、その吸啜行動が増強されます。このように、行為-結果の規則性を検出する能力は、生後2~4カ月の乳児にも備わっていることが明らかになっていますが、この時期の乳児は最低限の運動能力しかなく、目標とする動作に必要な正確な順・逆モデルを持ちません。したがって、乳児が示す探索行動(足の運動や吸啜行動)の強化は、自身の行動と外界の事象との間に規則的な関係があると認識することに起因すると考えられています。しかしながら、その行為-結果の規則性の知覚が、その後の幼児期から青年期にかけて発達的に変化するか否かは不明でした。そこで畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、5~16歳における行為-結果の規則性の知覚感度を調べました。その結果、年齢の増加に伴い規則性の知覚感度は向上し、9~16歳児の規則性の知覚感度は、5~6歳児と比較して高いことが明らかになりました。加えて、手先の器用さが低下した児では、手先の器用さが中程度から高い児と比較して、規則性の知覚感度が低下していることも示されました。 本研究のポイント ■ 行為-結果の規則性の知覚は、5~6歳児ではまだ未成熟であった。 ■ 5~16歳において、規則性の知覚感度は年齢の増加と共に発達向上する。 ■ 5~16歳において、手先の器用さが低下した児では、規則性の知覚感度が低下している。 研究内容 5~16歳までの子ども200名は、温文(Wen Wen) 特任准教授(東京大学)が開発した行為-結果規則性検出課題(図1)を完了しました。この課題において、子どもたちはタッチパッド上で10秒間自由に指を動かし、モニターに表示された3つのドットのうち、自分がコントロールすることができる/自分の指の動きを最も反映していると感じられたドット(検出目標ドット)を検出することが求められました。1つの検出目標ドットには、子どもが制御できる/指の動きを反映する割合に応じて、7制御条件(0、20、40、50、60、80、100%)が設定され、それぞれ6試行、合計で42試行ありました。他の2つのドットは0%制御のディストラクタードットになっていました。この課題の成績から、規則性検出閾値(Regularity Detection Threshold: RDT)を算出し、行為-結果の規則性の知覚感度の定量指標としました。加えて、微細運動技能(M-ABC2 Manual dexterity test)も測定されました。   図1:行為-結果規則性検出課題   結果、5~6歳児のRDTは、9~16歳児と比較して高値を示し、5~6歳児ではまだ行為-結果の規則性の知覚が未成熟であることが明らかになりました(図2)。またRDTの低下と年齢の増加との間には、有意な相関関係が示され、5~16歳において、年齢の増加と共に行為-結果の規則性の知覚感度は発達向上することが示されました。そして、低微細運動技能を示した児では、中-高微細運動技能を示した児と比較して、行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることも示されました(図3)。   図2:各年齢帯における規則性の知覚感度   図3:各微細運動技能群における規則性の知覚感度 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、幼児期から青年期にかけて、行為-結果の規則性の知覚感度が発達向上することを初めて明らかにし、5~6歳では行為-結果の規則性の知覚がまだ未成熟であることを示しました。今後は、成人期や老年期も含めて、ヒトの一生における行為-結果の規則性の知覚の変化とそれがSoAの生成や運動制御/運動学習にどのように関与するかについて明らかにしていく必要があります。また脳性麻痺、発達性協調運動障害、自閉症スペクトラム障害を有する児では、運動障害があり、SoAの変容があることも示されています、したがって、これら障害と行為-結果の規則性の知覚感度との関係性について調べ、これら障害のさらなる病態理解と有効なリハビリテーション手段開発に貢献していく必要があります。 論文情報 Nobusako S, Wen W, Nagakura Y, Tatsumi M, Kataoka S, Tsujimoto T, Sakai A, Yokomoto T, Takata E, Furukawa E, Asano D, Osumi M, Nakai A, Morioka S. Developmental changes in action-outcome regularity perceptual sensitivity and its relationship to hand motor function in 5-16-year-old children. Sci Rep. 2022 Oct 20;12(1):17606. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 准教授 信迫悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp

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