身体運動制御学/社会神経科学とニューロリハビリテーション研究会のご案内

2015/06/12更新

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター主催 研究会のご案内

ニューロリハビリテーションは、神経科学に基づくリハビリテーションであり、神経科学に関する最新の知見の臨床的応用が要求されます。ヒトの多様で柔軟な身体運動の制御・学習を科学的に捉えるためには、運動学・運動力学を基礎としたバイオメカニクスだけでなく、神経科学の理解と応用が必要になります。これにより身体運動制御のメカニズムを包括的に解釈でき、各個人の呈する現象や病態に応じたリハビリテーションが可能になると考えられます。

また、ニューロリハビリテーションは、ヒトの社会的行動を基盤にして実践されるべきであり、その社会的行動には共感、心の理論、自己・他者意識、利他的行動、道徳、倫理など様々な範囲にまで及びます。これらヒトの社会的行動に関する科学的知見を整理し、医療あるいは社会におけるヒトの理解、ヒトの心の理解が深まることで、よりよいリハビリテーション医療の実践につながると考えています。

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターでは、上述した2つの領域に関連した研究会を開催します。「身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会」ではヒトの身体動作の制御システムを神経科学に基づく新しい視点で理解すること、「社会神経科学とニューロリハビリテーション研究会」では動物の社会的行動に関連する既存の学問分野を超えた新しい視点での研究成果を理解することを目指しています。本研究会では、これまでのニューロリハビリテーション研究と融合・発展させるために、セラピストと研究者が集まりディスカッションすることを通じて、日本におけるこの分野の発展と推進に貢献することを目的としています。

 

本研究会では、招待講演、指定演題発表、ポスター発表のプログラムを準備しております。参加のみでも可能ですが、是非ともポスター演題にも積極的にご応募いただき、活発なディスカッションの中から、これまでのセミナーとは違う学びの場、研究の場が創発されればと考えております。皆様のご参加をお待ちしております。

 

第1回 身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会

日 時:平成27年12月5日(土)10時10分開会(受付9:30)〜16時50分閉会

会 場:畿央大学

 

身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会プログラム

招待講演

野村 泰伸 先生(大阪大学基礎工学研究科機能創成専攻 教授)

ヒト静止立位と歩行運動の安定性と揺らぎの定量化と数理モデルシミュレーション

立位姿勢および歩行運動の動的安定性と疾患に起因するその不安定化の発現・発症メカニズムの理解を目指した研究をご紹介します。特に、柔軟性を保ちつつも外乱や生体システムパラメータの変動に対してロバストな安定性を実現する身体運動の神経制御メカニズムについて考えます。脳・神経系にとって被制御対象である身体機械力学系の状態の変動を考えたとき、「柔軟性」は、一方では定めされた状態からの変位・変動を許容する適応的性質と見なせますが、他方では好ましい状態からの大きな変位・変動を引き起こし、安定性が低い状態を生み出す原因と見なされます。しかしながら、健常な生体機能は、しばしば柔軟性と安定性という相反する性質が共存する状態として表出することが知られており、それは静止立位姿勢動揺や歩行リズムが示す「ゆらぎ」の非定常性やフラクタル性などによって定量化されます。この講演では、「ゆらぎ」の定量化とその生成に関わる脳・神経系による運動制御メカニズムについて議論します。

 

花川 隆 先生(国立研究開発法人 精神・神経医療研究センター、脳病態統合イメージングセンター 部長)

歩行の神経制御機構

臨床神経生理学的手法やイメージングを用いた姿勢・歩行研究をレビューし、歩行や姿勢に関わる中枢神経制御と歩行障害疾患の病態生理を理解することを目指す。

指定演題発表

奧埜 博之(摂南総合病院)

狭い間口通過時に生じるすくみ足の発現機序の検討

 

石垣 智也(畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程)

ライトタッチ効果の神経メカニズムに関する検討

ポスター発表: 詳細は「ポスター応募要領」をご覧ください。

 

第2回 社会神経科学とニューロリハビリテーション研究会

日 時:平成27年12月6日(日)10時10分開会(受付9:30)〜16時50分閉会

会 場:畿央大学

 

社会神経科学とニューロリハビリテーション研究会プログラム

招待講演

村井 俊哉 先生(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座 教授)

「社会性」という視点から心の病気について考える

人が社会の中で生きていくということは、単純化して言えば、他者が発信する社会的情報を読み取り、そして自らも社会に向けて情報を発信、そして行動していくことである。「社会的動物」と言われる人間において特に発達したこのような能力は総称して「社会的認知」と呼ばれる。そして、その基盤となる脳構造・ネットワークが次第に明らかにされている。扁桃体や、前頭葉・頭頂葉・側頭葉の諸構造を含むこれらの脳領域は「社会脳」と総称されている。情報の読み取りの側については、他者の表情からその感情を推測するような比較的単純な能力から、いわゆる「空気を読む」能力のような極めて高度な能力までが含まれる。これらの能力の脳内基盤が、脳損傷例を対象とした研究と機能的脳画像研究の両面から明らかにされてきた。扁桃体や内側前頭前皮質は、これらの能力に関わる代表的脳構造である。一方で、実際に私たちが社会の中でどのように行動するか、という情報・行動の発信の側には、もう一段階複雑な問題が内在している。私たちが社会の中でどのように振る舞うかは、私たちの能力のみで決まるのではなく、私たちの「価値観」が大いに関係するからである。人間の多様な「価値観」を決める軸の中で代表的なものは、利己性・利他性の軸である。人は自分の利益のためにのみ行動するのだろうか? あるいは、他者の幸せが自分の幸せともなるのだろうか? これは価値観の問題であり、そしてその価値観には大きな個人差がある。そして、最近の研究からは、このような個人差も、特定の脳領域や神経伝達物質の働き、さらには遺伝子で、部分的には説明できることがわかってきている。翻って考えてみると、リハビリテーション分野における医療実践とは、病気を扱うと同時に個人の価値観に向き合う営みである。近年、多分野の研究者が集まり活発な議論を繰り広げている社会性の脳科学の知見は、医療実践に携わる者にとっても、自らの日々の営為を振り返る上で、ユニークな視点を提供してくれるだろう。

 

平田 聡 先生(京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリ 教授)

チンパンジーの社会的知性

チンパンジーはヒトに最も近縁な生き物である。彼らについての研究によって、人間の本性の進化的基盤の理解に至ることができる。社会的知性仮説では、知性の進化は複雑な社会に起因すると主張される。社会の中で、個体は様々な社会的課題に直面する。他者との競合、協力、葛藤解決などである。話者はこれまで、様々な社会的場面を実験的に作り出して、類人猿の社会的知性に関する研究をおこなってきた。例えば協力に関する研究では、2個体のチンパンジーが1本のひもの両端をそれぞれ同時に持って引っ張ると報酬が得られるという課題を設定した。この課題でチンパンジーは自己の行動を相手に合わせて調整することを学習することができた。その他、アイトラッカーや脳波測定、超音波画像診断装置などの最新の機器を使って類人猿の認知と行動を比較する研究をおこなってきた。本講演ではこうした研究成果について概観し、人間の心の進化的基盤について考察したい。

指定演題発表

松尾 篤(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター教授)

自己評価と社会性

 

西 勇樹(畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程)

疼痛閾値と内受容感覚の感受性および不安との関係性

ポスター発表: 詳細は「ポスター応募要領」をご覧ください。

 

ポスター発表応募要領

下記フォーマットをダウンロードして抄録を作成し、メール添付にて送信してください。

※研究会により送信先アドレスが異なりますので、ご注意ください。

  抄録書式

  抄録サンプル 

抄録データ作成送信先および注意事項

●12月5日(土)「身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会」

立位姿勢、歩行、その他の身体運動の制御、学習に関連した基礎研究から、臨床研究まで広く募集します。また、身体運動制御学に関連した症例報告でも構いません。

●12月6日(日)「社会神経科学とニューロリハビリテーション研究会」

特に研究領域の指定はありません。神経科学的内容を含んでいない人文科学分野、精神心理学分野、医療コミュニケーション・行動学分野などからの発表も歓迎します。また、社会神経科学に関連した症例報告などでも構いません。

  • 文字数の制限はありません(但しA4用紙1枚以内)。
  • Microsoft Word(MS明朝・12ポイント)で作成ください。
  • アブストラクトの編集はこちらでは行いません。お送り頂いた状態を完成版として抄録集にまとめますので、誤字・脱字等のご確認をお願いします。
  • 文字化け対策の為、WordとPDFの両ファイルをお送りください。

締切

平成27年11月25日(水)

 

参加申込について

申込フォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。

※お手数ですが備考欄に「ポスター発表の希望の有無」について必ずご記入ください。

参加費用

両研究会2日間参加:5,000円

どちらかの研究会のみ1日参加:3,000円

 

問い合わせ先

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター事務局(畿央大学 総務部)

TEL 0745-54-1602 

E-MAIL soumu@kio.ac.jp

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