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理学療法学科の新着情報一覧

2019年の理学療法学科の新着情報一覧

2019.10.29

ヒトの過剰な疼痛回避行動を捉える実験~ニューロリハビリテーション研究センター

ヒトは痛みをともなう運動に対して、「全く動かない(=過剰な回避)」、「痛みを避けながらも行動する(=疼痛抑制行動)」、あるいは「避けずに動き続ける」などの行動をとりますが、各行動特性の詳細やどのような性格がそれぞれの行動をとらせるのかは明らかになっていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の西 祐樹 氏と森岡 周 教授らは、痛みをともなう運動を過剰に避ける人(=全く動かなくなる人)は、痛みがなくなっても恐怖が残存しやすいことと、その行動には性格特性が関わっていることを明らかにしました。この研究成果はFrontier Behavioral Neuroscience誌(The avoidance behavioral difference in acquisition and extinction of pain-related fear)に掲載されています。 研究概要 痛みに対する回避行動は、身体を損傷から保護する短期的な利益がありますが、傷が癒えた後でもそれを続けてしまうと、痛みを長引かせる要因になることが知られています。博士後期課程の西 祐樹 氏は、「運動をすると痛みが与えられる」実験タスクをオリジナルに作成して、「自らの意志で痛みに対する行動を選択できる」実験環境で行動計測をしました。その結果、過剰な回避行動をとりやすい人は、運動開始に時間がかかりやすい(=躊躇しやすい)行動特性が明らかになりました。また、この過剰な回避行動をとるグループは、痛み刺激を止めても運動の躊躇や恐怖反応が消えないことも明らかになりました。加えて、このグループは、「特性不安」や「リスクに対して過剰に反応する損害回避気質」が高いという性格を有していました。 本研究のポイント ■ 過剰な回避行動をとる人は、運動の開始時に「運動の躊躇」が認められました。 ■ そして、過剰な回避行動をとる人は、痛み刺激がなくなっても「運動の躊躇」と「恐怖反応」が残存していました。 それとは対照的に、痛みを避けながらでも行動し、痛みを避けることなく行動する人たちは、痛み刺激がなくなると同時に恐怖反応も消失しました。 ■ 過剰な回避行動を示す人は、「特性不安」や「リスクに対して過剰に反応する損害回避気質」を有していました。 研究内容 健常者を対象に、タッチパネルを用いた運動課題を行いました(図1)。 この運動課題では、被験者がタッチパネルを塗りつぶしている間は痛み刺激が与えられます。痛みを恐がらない被験者は塗りつぶす行動を続けられますが(=疼痛行動)、痛みを過度に恐がってしまう被験者は塗りつぶし行動を止めます(=過剰な回避行動)。加えて、この実験では、特定の運動方向(下図 水色部分)に特定の速度で塗りつぶすと、痛み刺激が弱くなる仕掛けにしていました(=疼痛抑制行動)。この仕掛けをすることで、被験者を「過剰な回避行動をとる人」、「疼痛抑制行動をとる人」、「疼痛行動をとる人」に分けることができます。     図1:疼痛回避行動パターンを捉える実験手続き   この運動課題は、以下の4つの段階で行われました。 1. 練習段階:単なる塗りつぶし行動をしてもらう。 2. 獲得段階:塗りつぶし行動をしている間は痛みが与えられる。 3. テスト段階:被験者に「特定の運動方向に特定の速度で塗りつぶすと痛み刺激が弱くなる仕掛けになっている」ことを説明した後に、獲得段階と同じように運動に痛みがともなう状況で塗りつぶしをしてもらう。 4. 消去段階:塗りつぶし行動をしても痛みが与えられない。   実験の結果、行動パターンから被験者を3つのグループ「過剰な回避行動をとるグループ」、「疼痛抑制行動をとるグループ」、「疼痛行動をとるグループ」に分けることができました。   過剰な回避行動をとる人は、運動の開始に時間がかかる、すなわち「運動の躊躇」がみられました。また、興味深いことに、痛み刺激を止めても、運動の躊躇と恐怖反応が、痛みがなくなった消去段階にも残存しており、生理学的データで定量化された恐怖反応も同様に消去段階で残存していました(図2)。これは、過剰な回避行動をとる人は、“動くことが恐い(=運動恐怖)” を学習しやすいことを意味します。       図2:それぞれの行動パターンをとるグループの運動躊躇と恐怖反応   痛みをともなう行動についての価値観は、それぞれのグループ間に差はありませんでしたが、過剰な回避行動をとるグループは、損害回避気質や特性不安が高いことが明らかになりました(図3)。この結果から、過剰な回避行動はその人の性格特性によって決定づけられる可能性が示唆されました。つまり、不安になりやすい慎重タイプの性格が、過剰な回避行動をとりやすい要因であることが分かりました。     図3:それぞれの行動パターンをとるグループの性格特性 本研究の意義および今後の展開 この研究結果は、回避行動を詳細に評価することの重要性を示唆しました。また、臨床場面で個人の痛みを評価するときには、個人の気質や過去の経験、思考の側面を配慮することも重要であることが分かりました。今後は、痛み患者における回避行動を定量的に評価し、痛みの慢性化に寄与するのか調査する予定です。 論文情報 Nishi Y, Osumi M, Nobusako S, Takeda K, Morioka S. Avoidance Behavioral Difference in Acquisition and Extinction of Pain-Related fear.  Frontiers in Behavioral Neuroscience 2019.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ)  博士後期課程 西祐樹(ニシ ユウキ)   Tel: 0745-54-1601  Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2019.10.25

令和元年度「理学療法特別講演会」を開催しました。

2019年10月19日(土)に畿央大学にて畿桜会(同窓会)主催の「理学療法特別講演会」が開催されました。理学療法特別講演会は、畿桜会が主催し、年に1度、理学療法学科卒業生に向けてリカレント教育(卒業後も幅広い知識を養う)のために行い、受講料1000円にて卒業生以外の医療関係者にも公開しているものです。     今回は広島大学病院より平田和彦先生をお招きし、「スポーツを通じた共生社会の実現~障がい者スポーツへの関わりを通して~」というテーマでご講演いただきました。    平田先生は、広島県において、障がい者スポーツをされている方々のメディカルチェックに加えて、プロスポーツの世界でご活躍されているアスリートのサポートの他に、研究事業もなされています。今回の講演会には約40名が受講して、障がい者スポーツについての概論や、先生が実際に行われているサポート内容、研究の内容、そして2020年に開催される東京パラリンピックに向けて、これからの障がい者スポーツの展望についてお話ししていただきました。       広島県では、平田先生が勤務されている広島大学病院スポーツ医科学センターが中核となり、県や市など地方公共団体とも協力して障がい者スポーツの支援事業を行っています。病院だけでなく、社会全体で障がい者スポーツを支えていく取り組みについて、関西地方ではどのようなことが行われているのか知らなかったので、今回お話しを聞くことができ、とても良い機会になりました。   また講義中、とても心に残った言葉があります。それは「障がい者問題は自分事」という言葉です。   私たちが現在関わっている「障がい者」(ここでは、身体障がい者の他に精神・知的障がいを持った方も含みます)というと全くの他人事と思われますが、将来自分が何かの病気や怪我を負った場合にも、「障がい者」となり得るのです。そうなった場合、現在関わっている「障がい者」は将来の自分を支援しているのと同じことであり、他人事ではなく“自分事”と捉えることが大切だ、という説明でした。  私たち理学療法士はもちろん、現在の日本にとって、多くの方々が知っておくべき考えです。そうして障がい者支援・障がい者スポーツともにさらに理解が深まることが好ましいのではないかと思います。       2020年には東京オリンピックに続き東京パラリンピックも行われます。今回の講義を受けて障がい者スポーツへの興味も沸き、パラアスリートの動向に関しても今まで以上に注目していこうと思いました。   来年度も理学療法講演会は開催予定ですので、たくさんの方々のご参加をお待ちしております。   畿央大学理学療法学科10期生代表幹事 石川 奈穂

2019.10.23

教員・大学院生が第6回日本予防理学療法学会学術大会で発表!~健康科学研究科

2019年10月19日(土)~20日(日)に広島国際会議場で開催された第6回日本予防理学療法学会学術大会(第2回産業理学療法部門研究会、第2回栄養・嚥下理学療法部門研究会)に参加してきました。   高取研究室からは高取教授、私(武田広道)が発表を行いました。   演題名は以下の通りです。 <ポスター発表> 武田広道「円背の有無が高齢者の随意的咳嗽力および呼吸機能に与える影響」 本研究は修士課程での研究を発展させたもので、これまで健常者を中心にデータ分析を進めてきたものを実際の地域高齢者で評価を実施したものです。   <口述発表> 高取克彦・松本大輔「地域在住の後期高齢者における2年間の要介護リスク要因の検討」 高取先生は後期高齢者5000名のデータを2年間前向きに追跡調査し、新規要介護認定リスク因子を明らかにするという内容でした。研究には松本大輔先生も関わっておられます。   ▲全国から多くの参加者が集まりました。 学会期間中は快晴でやや汗ばむほどの気温でした。     本学会のテーマは「健康増進と理学療法」というテーマで開催されました。演題内容はフレイル・転倒・認知症・スポーツ障害予防、栄養管理、地域実践活動など多岐に渡る発表がされていました。介護予防事業に関しては、それぞれの病院や施設で勤務をしながら事業に参加する中で、(患者、利用者ではない)地域住民の方に対してどのような関わりをして効果を出していくかということや、通いの場に出て来られない高齢者に対して、どのように働きかけるべきかなどが議論されていました。     また、教育講演の中ではただ運動を促すだけでは実践してもらうことは難しいため、社会的な役割を持って活動的に過ごしてもらうことの重要性を強調されていました。今回、様々な発表や講演を聴講する中で、改めて地域社会の役に立つ研究を発表できるよう、研鑽を積んでいきたいと感じました。   健康科学研究科 博士後期課程1年 武田広道  【健康科学研究科 学会発表】 大学院生がスペインのテネリフェで開催された21st ESCOPで発表!~健康科学研究科 第17回日本神経理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました~健康科学研究科 第24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で院生6名が発表!~健康科学研究科

2019.10.17

TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.73~9月の勉強会は「健康チェック 測定結果の説明」!

こんにちは、健康支援学生チームTASK※の理学療法学科2回生の福田友紀です ! 先日、TASKの10月(9月分)の活動として勉強会を行いました。   ※TASKは、Think、Action、Support、for Health by Kio Universityの略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら、地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。   テーマは「健康チェック 測定結果の説明」でした。 2019年10月20日(日)に畿央祭にてTASKの活動として健康チェックが行われます。そこに向けて、少しでも来ていただいた方に測定を楽しんで頂ければと考え、測定結果を説明できるようになるという目標で勉強会を開催しました。今回の勉強会では体組成計・骨密度・ヘモグロビン・足趾力の結果説明について考えました。 最後には簡単な具体例をあげ、来ていただいた方にどのように結果を伝えるかというディスカッションを行いました。実際に、今回学んだことを踏まえて考えてみました。   ▼結果説明の仕方をパワーポイントにて説明中   ▼ディスカッションの様子   最初はディスカッションという言葉で難しいと考えていた学生も、想像を膨らませ意見交換をしていく中でとても楽しそうにディスカッションをしていました!最後には各グループで出た案を発表し合いました。面白い案が沢山あり、とても良いディスカッションになったと思います。    ▼最後にTASKのTで記念撮影!!   最後はみんなでTポーズ!   理学療法学科2回生 福田友紀   ●TASK関連の情報はTASK(健康支援学生チーム)活動レポートで、詳しくご覧になれます。

2019.10.11

大学院生が第7回日本運動器理学療法学会でポスター発表&修了生が大会長賞を受賞!~健康科学研究科 

2019年10月5日(土)~6日(日)にかけて岡山で開催された第7回日本運動器理学療法学会学術大会において、私、重藤隼人(博士後期課程)が発表して参りました。   昨年に続き、一症例の関りを重視するという観点から「症例報告」のセッションがあり、「一般演題」「ポスター演題」も疼痛に関わるセッションから、機能障害や能力障害、基礎研究に関わるものまで多岐に渡る演題発表がありました。   私は本学会のテーマでもある「繋ぐ-学術と臨床の連携-」と同テーマのシンポジウムを中心に、痛みに関する講演や徒手理学療法のエビデンス構築に関するシンポジウムを聴講しました。「繋ぐ-学術と臨床の連携-」というテーマから、「学術」と「臨床」が連携できていないという現状の問題点があり、それを解決していくためにはどのような繋がりを意識していけばよいのかということを、各シンポジストの先生方の研究成果と周囲の人々への関り方の体験談も含めた話を通してあらためて再考する必要性を感じました。私自身も臨床現場で働きながら現在大学院に所属しているので、まさに「学術」と「臨床」の連携を体現していく必要性があると強く感じ、今後の研究活動は何に繋げていくべきかを考えて行動を見直していきたいと思いました。   また、本学会では昨年開催されました第6回日本運動器理学療法学会学術大会の表彰式が行われ、森岡研究室OB(修士課程修了)の田中創さんが大会長賞を受賞しました。修了生の方の頑張りにも刺激をうけて、今後の研究活動の意欲がさらに強まった学会でした。     ▲大会長賞を受賞した田中創さん   今回の発表演題名は以下であり、様々な意見をいただき多くの議論ができたと感じております。   重藤隼人「慢性腰痛患者のADL 障害に関連する運動制御の特徴と運動制御に影響する疼痛関連因子」   最後になりましたが、このような貴重な機会をいただき、いつもご指導をいただいています森岡先生、畿央大学に感謝申し上げます。   博士後期課程 重藤隼人 【関連リンク】 第7回日本運動器理学療法学会学術大会に3・4回生が参加!~理学療法学科瓜谷ゼミ   【健康科学研究科 学会発表】 大学院生がスペインのテネリフェで開催された21st ESCOPで発表!~健康科学研究科 第17回日本神経理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました~健康科学研究科 第24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で院生6名が発表!~健康科学研究科

2019.10.10

第7回日本運動器理学療法学会学術大会に3・4回生が参加!~理学療法学科瓜谷ゼミ

2019年10月5日(土)、6日(日)に開催された、第7回日本運動器理学療法学術大会に、瓜谷ゼミ3回生・4回生で参加しました。今回の学会テーマは「繋ぐ-学術と臨床の連携-」であり、演題発表や症例報告のセッションでは様々な議論がなされていました。     今回が学会初参加のメンバーも多く、「理学療法士の先生方同士で発表を聞き、活発な討論を行っている姿がとても印象的でした。」「発表スライドの作成の仕方、全体の流れがわかりました。質問されるようなとこをしっかりと詰めていかなければならないと言うことが勉強になりました。」「話は難しかったが、皆さんそれぞれ頑張っていることが伝わってきて、私も頑張ろう!と思えました!」と、感想や意気込みを語っていました。   畿央大学の先生や卒業生の方も演者や座長を務めていらっしゃいました。どの公演も興味深かったですが、畿央大学の先生や卒業生方がご活躍されている姿を見ると、自分も頑張ろう、と気持ちが奮い立ちます。   今回、ゼミの指導教官である瓜谷先生が「質的研究で変形性膝関節症患者の痛みの心理社会的側面を生成する要因と過程をひも解く:探索的事例研究」という演題で口述発表を行いました。この研究は私たち4回生と瓜谷先生、奈良学園大学池田耕二先生でインタビューおよび分析を行ったものです。質的研究では、インタビューを実施し、量的研究では図ることのできないような人の心情、その揺れ動きなどをとらえます。その後、インタビュー内容のテキスト化、内容のカテゴリ分け、分析という流れで進めます。質的研究について勉強しながら、全員が手探りの中進めていきました。困難なこともありましたが、今回、自分たちのやってきたことがこのように形になって発表されたことに達成感を感じました。     自分自身の卒業研究も大詰めの時期に入ります。この経験を生かして、今後も勉学に励みたいと思います。                      理学療法学科4回生 瓜谷ゼミ 池田茜 【関連記事】 4大学合同ゼミ合宿レポート~理学療法学科瓜谷ゼミ 同窓会レポート~理学療法学科瓜谷ゼミ

2019.10.07

大学院生がスペインのテネリフェで開催された21st ESCOPで発表!~健康科学研究科

9月25日(水)~28日(土)にかけてスペインのテネリフェで開催された21st conference of the European Society for Cognitive Psychologyにおいて、宮脇裕さん(博士後期課程)と私(林田一輝:博士後期課程)が演題発表をしてきましたので、ここに報告させていただきます。     本大会はヨーロッパで2年に1度行われる歴史ある学会であり、認知科学や神経科学を主に扱っています。 学会会場はビーチの真横にあり、日本人の私には独特の雰囲気に感じましたが、リラックスしながら議論を促進させることが目的であったようです。   今回の学会では様々な内容のセクションが組まれていましたが、身体性やagencyのみを取り上げたシンポジウムがいくつもあり非常に興味深く拝聴させていただきました。特に「Acting in a Complex World – Emerging Perspectives on Human Agency。」と題されたセッションのシンポジストは、社会性の心理学をagencyの観点で研究しているWilfried Kunde教授のグループで構成されており、日頃より論文を参考にしている方々の講演を聴くことができました。どのシンポジストもイントロダクションからリサーチクエッションへの流れが明確で、20分の講演時間で提示される結果のスライドは1つか2つであり、複雑な内容をいかにシンプルに伝えるかという点で非常に勉強になりました。   私は「Diffusion of responsibility and the outcomes on sense of agency」という題でポスター発表をさせていたただきましたが、まさに社会性とagencyに着目した内容であり、Kunde教授のグループの数人の方に聴いていただけました。特に私が修士の頃より注目しているRoland Pfister博士に直接発表を聴いていただいたことは相当な報酬となりました。その他の一般演題でもagencyの発表はいくつもあり、質問にいけないほど活発に議論されているものもありました。今回の学会に参加して自身の取り組んでいる研究領域が注目されているのは確かですが、研究として取り扱うことが本当に難しいものだと痛感しました。相応の成果を出し、研究領域の発展につながるよう尽力していきたいと思います。   宮脇 裕さん(博士後期課程:右) 「Cue integration strategy for self-other sensory attribution in motor control」 林田 一輝さん(博士後期課程:左) 「Diffusion of responsibility and the outcomes on sense of agency」

2019.10.02

第17回日本神経理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました~健康科学研究科

2019年9月28日、29日の二日間、パシフィコ横浜で開催された第17回日本神経理学療法学会学術大会が開催されました。当日のオープニングセミナー、教育講演「身体性システム科学から考える「一歩先」の神経理学療法」では本学健康科学研究科・ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡 周先生が登壇されました。     演題発表では客員研究員の佐藤さん、博士後期課程の高村さん・藤井さん・水田さん・私(赤口)が発表を行いました。演題名は下記の通りです。   佐藤剛介 「安静時脳波を用いた頚髄損傷に対する理学療法の長期的効果の検証-しびれに着目した 1 例による予備的検討-」   高村優作 「半側空間無視に対する腹側注意ネットワークへの直流電気刺激と視覚刺激の併用効果残存する受動的注意機能の最大化を企図した新たな介入手法の試み」   藤井慎太郎 「静止立位時の重心動揺変数を用いた姿勢制御戦略の特徴分析 ―神経疾患症例の特性に着目して―」   水田直道 「脳卒中後症例における長下肢装具を使用した介助歩行時の非麻痺側歩幅の違いが麻痺側下肢筋活動に与える影響」   赤口 諒 「慢性期脳卒中患者の把持力調節の特徴-上肢機能ならびに使用頻度との関係に着目して-」   本大会のテーマは「一歩先へ〜 One more step forward」とされ、神経理学療法領域の対象とされる神経疾患の「重複障害」に加えて、本来、理学療法士として重要なテーマである「歩行」に基づいた特別公演、教育公演等が企画されました。多数の公演、演題が重複する中でどれを聴講しようか悩まれた方も少なくなかったのではないでしょうか。私は「歩行」についての公演を重点的に聴講して参りましたが、科学の発展に伴いVRやロボットの活用する演題が多数あり、示唆に富む興味深いものがありました。その一方で、そうした最先端の技術を取り入れる上では限界点を見極め、病態、分類・評価に基づいた上での介入手段として意思決定されることが重要であると改めて強く感じました。     このことから、森岡先生が教育公演で強調していた「理学療法士はエビデンスに基づいた治療を提供する専門職であると同時に、対象者にとって必要な、報酬価値のあるサービスを提供することができる専門職である」といったメッセージには、これからを担う我々若いセラピストが真摯に受け止め(概念化し)、共有していくことが重要であると感じました。                                                     大学院 健康科学研究科 博士後期課程1年 赤口 諒

2019.09.26

理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾~現地レポートVol.3

9月5日(木)から7日間 台湾で行われる海外インターンシップに参加!   理学療法学科では、今年で4回目となる「海外インターンシップ」を行います。3回生10名、教員4名で令和元年9月5日(木)~11日(水)の7日間の日程で台湾を訪れます。現地では、国立台湾大学、中国医薬大学、輔仁大学の理学療法学科との交流や、英語での講義・実習・プレゼンテーションに加えて、高齢者の方のデイケアセンターにも訪問させていただく予定です。現地からのレポート第3弾です!   【台湾での観光】 台湾でのインターンシップは台湾の大学との交流だけでなく自ら行きたいところを決め、観光する時間もありました。9月7日(土)は午前中に国立台湾大学での学びをまとめたあと、台北からバスで約2時間のところにある映画「千と千尋の神隠し」のモデルにもなったと言われている九份に行きました。映画の世界に飛び込んだような街の景色に圧倒されました。 その後、無事ホテルに到着!海外で行きたい場所、行き方を決めることの難しさが体験できました。   ▲九份にて   9月8日(日)は台北から中国医薬大学がある台中への移動と観光を行いました。まずは台北市内にある龍山寺に行きました。龍山寺は台北で1番のパワースポットと言われている場所で、願い事やおみくじをしました。日本ではたいていお金を払っておみくじを引きますが、龍山寺では筊杯(ジャオベイ)と呼ばれる赤い三日月型のものを1セット持ち、地面に落として裏と表が出るとおみくじを引けるなどの文化の違いがありました。   ▲龍山寺にて。願い事をしながら線香をそなえます。   過去に世界で1番高いビルになったこともある台北101にも行きました。台北101では小籠包で有名な鼎泰豊(ディンタイフォン)に行き、小籠包を堪能しました!   ▲鼎泰豊の小籠包   台北から台中に移動し、彩虹眷村(レインボービレッジ)にも行きました。ここは、当時取り壊しが決まっていた村を存続させたい一心で、1人の男性が村おこしのために元陸軍の宿舎に落書き(アート)をして有名になった場所です。とてもカラフルでユニークな絵がたくさん描かれていました!   ▲彩虹眷村はこのような絵がいたるところにあります!   【帰国】 9月11日(水)、台湾での1週間も終わり無事帰国!帰国の翌日9月12日(木)には報告会があるため、帰国したその日に報告会の確認を行いました。     【報告会】 9月12日(木)は理学療法学科4回生の実習の報告会があり、実習での経験などの話を聞くことが出来ました。その後、海外インターンシップの報告会を行い、4月から始まった準備や実際に台湾に行って感じたことを発表しました。 報告会では「台湾の学生の授業に対する積極性」「英語の能力の高さ」「台湾の理学療法の特徴」などこの海外インターンシップを通して学んだことを先輩、後輩、先生方に報告できました! 準備の段階でトルコ、フランス、タイといった海外の理学療法についての話を聞き、実際に台湾の大学に行って理学療法のことについて勉強できたことはこれまでにない良い経験となりました!   また、この海外インターンシップを通して、英語の重要性を知れたとともに自分たちの英語能力の低さも実感しました。しかし、4月から始めた昼休みの英語の練習や、夏休みに来ていただいたマリアンヌ先生の指導にあったジェスチャーや笑顔を使うことで、台湾の学生に言いたいことが伝わった時はこれまでやってきたことが報われたような気がしました!   この海外インターンシップで学んだことを今後の学生生活や就職後につなげていきたいと思います。   ▲報告会終了後の集合写真。お疲れさまでした!   理学療法学科3回生 野本大雅   【関連記事】 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾~現地レポートVol.2 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾~現地レポートVol.1 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾に向けて!その2 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾に向けて!その1 理学療法学科 海外インターンシップ記事一覧

2019.09.24

第24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で院生6名が発表!~健康科学研究科

2019年9月21・22日の二日間、名古屋学院大学にて24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会が開催されました。   本研究室からは、特別講演「痛みの中枢制御機構」と、シンポジウム「痛みに挑む-適応と限界を語る-」で大住倫弘准教授が登壇されました。また、同一のシンポジウムでは本学理学療法学科の瓜谷大輔准教授も登壇されました。     演題発表では佐藤さん(客員研究員)、西さん・重藤さん・田中陽一さん・藤井廉さん(博士後期課程)と、古賀(修士課程)が発表を行いました。   演題名は下記の通りです。 【口述】 佐藤 剛介「有酸素運動がしびれと安静時脳波活動に及ぼす長期的効果の検証ー頚髄損傷者1例による予備的研究ー」 西  祐樹「慢性腰痛有訴者における体幹屈曲伸展運動の姿勢制御」 重藤 隼人「慢性腰痛患者のADL障害と運動制御の特徴および疼痛関連因子との関連性ー連関規則分析を用いてー」 田中 陽一「慢性疼痛の日内律動性についてー律動性の各タイプ分類と疼痛特性についてー」 古賀 優之「中枢性感作症候群と痛みの関係性ークラスター分析による特徴抽出ー」 【ポスター】 藤井 廉「腰痛の程度と運動恐怖による就労者の運動学的特徴ー作業動作の経時的変化に着目してー」   本学会は「痛みを治療する-ペインリハビリテーションの真価-」というテーマを掲げて開催されており、痛みのメカニズム、評価、痛みに対する介入手段という一連の流れがよくわかるプログラム構成となっておりました。 これまでの学会では、痛みの多面的要素を捉え、適切な運動療法や患者教育、活動量の調整を行っていくことが重要というお話が多かったように思いますが、本学会では物理療法や徒手療法、ニューロリハビリテーション、作業療法といった様々なリハビリテーション介入の視点から、適応と限界がどういった点なのかということを明確化させるようなセッションが組まれておりました。   それぞれの介入を、手技・手法ではなく、病態解釈も含めた「概念」として捉え、「科学に方向づけされながら、適切な治療に発展させていくことが重要である」というような強いメッセージ性を感じ、まさに「ペインリハビリテーションの真価」が垣間見えた素晴らしい学会でした。このような考え方をいかに実践して、また、その結果がどうであったのかということの検証を積み重ねていくことを、今後の課題として日々の研究活動ならびに臨床へ生かしていきたいと思います。 最後になりましたが、今回の発表にあたりご指導いただきました森岡周教授と、研究室の皆さま、研究データ収集を手伝ってくださった皆様に深く感謝申し上げます。   大学院健康科学研究科 修士課程2年 古賀優之

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