理学療法学科の新着情報一覧
2023.10.16
理学療法学科 松本大輔准教授の研究がWebメディア「Wellulu(ウェルル)」に掲載されました。
2023.10.16
発達性協調運動障害における行為と結果の規則性の知覚感度~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
発達性協調運動障害(DCD)は、脳の適応的な運動制御・運動学習システムである内部モデルの働きの先天的・発達的問題として生じるとされています。一方で、定型発達(TD)乳児は生後の発達早期に、自己の運動とその結果の繋がり、すなわち行為と結果の規則的な関係性を知覚できるとされており、この行為と結果の規則性の知覚学習は、運動の多様性や内部モデルの発達に貢献すると考えられます。したがって、DCD児においては、行為と結果の規則性の知覚にも問題が生じている可能性がありますが、DCD児における行為と結果の規則性の知覚感度を調べた研究は皆無でした。そこで、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫 悟志 准教授らは、温 文(Wen Wen) 准教授(立教大学)、中井 昭夫 教授(武庫川女子大学)らと共同で、DCD児における行為-結果の規則性の知覚感度について調査しました。この研究成果は、Journal of Autism and Developmental Disorders(Action-outcome Regularity Perceptual Sensitivity in Children with Developmental Coordination Disorder)に掲載されています。 研究概要 DCDとは、協調運動技能の獲得や遂行に著しい低下がみられる神経発達障害の一類型であり、その症状は、字が綺麗に書けない、靴紐が結べないといった微細運動困難から、歩行中に物や人にぶつかる、縄跳びができない、自転車に乗れないといった粗大運動困難、片脚立ちができない、平均台の上を歩けないといったバランス障害まで多岐に渡ります。DCDの頻度は学童期小児の5-6%と非常に多く、自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害、限局性学習障害などの他の神経発達障害とも頻繁に併存することが報告されており、近年では脳性麻痺ともリスクファクターを共有する連続体である可能性も指摘されています。またDCDと診断された児の過半数が青年期・成人期にも協調運動困難が残存するとされており、DCDの病態理解と有効なハビリテーション技術の開発は、ニューロリハビリテーション研究における喫緊の課題の一つとされています。 自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力のことを、行為と結果の規則性の知覚と呼びます。この行為と結果の規則性の知覚は、コンパレータモデル以外の運動主体感(Sense of Agency: SoA)を生成する重要な情報源として注目されており、また適応的運動学習パフォーマンスにも関与することが示されています。行為と結果の規則性の知覚は、まだ内部モデルにおける正確な順・逆モデルを持ち合わせていない生後2カ月児にも存在することが明らかとなっており、子どもは行為と結果の規則的な関係性を知覚学習することにより、運動の多様性を獲得している可能性が示唆されています。また最近の研究で、この行為と結果の規則性の知覚感度は、6~15歳と年齢が増加するのに伴い発達向上すること、そして手先の器用さが低下した児では、行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになっていました。したがって、発達早期からの運動の不器用さを主な特性とするDCD児においては、行為と結果の規則性の知覚にも問題が生じている可能性がありますが、それを調べた研究はありませんでした。そこで畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、DCD児における行為-結果の規則性の知覚感度を調べました。その結果、DCD児では、年齢と性別が一致したTD児と比較して、行為と結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになりました。 本研究のポイント ■ DCD児の行為-結果規則性の知覚感度は低下しており、特に低年齢(6~10歳)DCD児で知覚感度が著しく低下していた。 ■ DCD児とTD児の両グループにおいて、年齢の増加に伴い行為-結果規則性の知覚感度は発達向上していた。 ■ DCD児における行為-結果規則性の知覚感度の低下は、いくつかの協調運動技能の低下と相関関係にあった。 ■ DCD児では発達早期の段階で行為-結果規則性の知覚感度が低下しており、そのことが運動の多様化や内部モデルの発達を阻害し、結果として協調運動技能の低下に陥っている可能性が示唆された。 研究内容 6~15歳までのDCD児20名と年齢と性別を揃えたTD児20名は、行為-結果規則性検出課題(図1)を完了しました。この課題において、子どもたちはタッチパッド上で10秒間自由に指を動かし、モニターに表示された3つのドットのうち、自分がコントロールすることができる/自分の指の動きを最も反映していると感じられたドット(検出目標ドット)を検出することが求められました。1つの検出目標ドットには、子どもが制御できる/指の動きを反映する割合に応じて、7制御条件(0、 20、 40、 50、 60、 80、 100%)が設定され、それぞれ6試行、合計で42試行ありました。他の2つのドットは0%制御のディストラクタードットになっていました。この課題の成績から、規則性検出閾値(Regularity Detection Threshold: RDT)を算出し、行為-結果の規則性の知覚感度の定量指標としました。 図1:行為-結果規則性検出課題 その結果、DCD児のRDTは、TD児と比較して高値を示し、DCD児では行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになりました(図2)。またDCD児とTD児の両グループにおいて、RDTの低下と年齢の増加との間には有意な相関関係が示され、DCD児においてもTD児においても、年齢の増加に伴い行為-結果の規則性の知覚感度は発達向上することが示されました。そこで、年齢を細分化して検討した結果、低年齢(6~10歳)のDCD児のRDTは、低年齢(6~10歳)および高年齢(11~15歳)のTD児と比較して、有意に高値であることが示され、特に低年齢のDCD児の行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになりました(図3)。またDCD児においては、RDTといくつかの協調運動技能との間に有意な相関関係が示され、行為と結果の規則性の知覚感度の低下とボールスキルなどの協調運動技能の低下との間に関連性があることが示されました。 図2:両グループにおける規則性の知覚感度度 図3:年齢を細分化した規則性の知覚感度の比較結果 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、DCD児における行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることを初めて明らかにし、特にDCD児では低年齢の段階で規則性の知覚感度が著しく低下していることを示しました。このことは、DCD児では低年齢の段階で行為-結果の規則性の知覚感度が低下しており、そのことが運動の多様化や内部モデルの発達を阻害し、結果的に協調運動技能の低下に至っている可能性を示唆しました。今後、本研究で使用した行為-結果規則性検出課題と運動の多様性や内部モデルの働きを定量化する課題を併用し、縦断的に調査することで、この可能性を検証していく必要があります。 論文情報 Nobusako S, Wen W, Osumi M, Nakai A, Morioka S. Action-outcome Regularity Perceptual Sensitivity in Children with Developmental Coordination Disorder. J Autism Dev Disord. 2023 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学 大学院 健康科学研究科 准教授 信迫 悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2023.10.10
森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。
この度、明治大学 理工学部 嶋田 総太郎教授、東海大学 現代教養センター 田中 彰吾教授、畿央大学 ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周教授らのグループが研究する「ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用」が、JST(国立研究開発法人学術技術振興機構)の大型研究費であるJST戦略的創造研究推進事業(CREST)において採択されました。 CREST について CRESTとは、我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、独創的で国際的に高い水準の目的基礎研究を推進し、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションに大きく寄与する、新たな科学知識に基づく創造的で卓越した革新的技術のシーズ(新技術シーズ)を創出することを目的としています。そのために、研究総括が定めた研究領域運営方針の下、研究総括が選んだ、我が国のトップ研究者が率いる複数のベストチームによる研究を推進するトップダウン型研究であり、国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、研究期間は5年6ヵ月以内の総額1.5~5億円程度の研究費が与えられます。 生体マルチセンシングシステムの究明と活用技術の創出(通称マルチセンシング) 今回応募した領域は、生体マルチセンシングシステムの究明と活用技術の創出(通称マルチセンシング)であり、研究領域統括は、自治医科大学 永井良三学長、研究総括は、理化学研究所 未来戦略室上級研究員の入來篤史博士です。また、国際領域運営アドバイザーにはAnil Seth博士(サセックス大学 工学情報学部 教授)、Karl Friston博士(ロンドン大学 神経科学研究所 教授)と著名な研究者が配属され、国際研究を牽引する意図があります。 ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR 介入技術への応用 私たちの研究グループは、明治大学理工学部(認知科学)の嶋田総太郎教授(代表者)のグループ、東海大学文学研究科(哲学・現象学)の田中彰吾教授のグループとチームを編成し、「ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR 介入技術への応用」というテーマ(図1:Graphic Abstract)で応募し、毎年採択数は4件程度(2023年度は64件応募中4件採択/採択率6.3%)の厳しい審査の中、書類審査に次いで面接審査を通過し、結果として、2.74億円(5年6ヵ月)の研究費(3研究室合同)を取得することができました。 図1:研究概要 日本 - フランス 共同提案型 今回は日仏共同提案型による応募をとり、日仏で研究グループを構成し、共同研究提案書(CREST-ANR共通書式)を作成し、フランス国立研究機構(Agence Nationale de la Recherche; ANR)の審査も通過しなければならないという難易度の高い課題に挑戦し、結果として、フランス側も採択されるに至りました(図2:日仏チーム編成)。フランス側の共同研究者には、natureにも多数論文を持つフランス国立衛生医学研究所(INSERM)、フランス国立科学研究センター(CNRS)のYves Rossetti教授(認知科学)、世界ニューロリハビリテーション連盟の組織委員会のメンバーであるリヨン大学病院医学部長のGilles Rode教授(リハビリテーション医学)、そして神経現象学の父と称されるFrancisco J Varelaの継承者の哲学者であるリヨン高等師範学校(ENS-Lyon)、パリ高等師範学校(ENS-Cachan)のJean-Michel Roy教授です。これから5年半にわたり、相互に往来しながら議論を重ねて、ブレークスルーにつながる研究成果を公表できるように進めていきます。 図2:フランスー日本の共同研究メンバー 共同研究メンバー 明治大学 理工学部 教授 嶋田 総太郎 東海大学 現代教養センター 教授 田中 彰吾 フランス国立衛生医学研究所 教授 Yves Rossetti リヨン大学病院医学部 教授 Gilles Rode リヨン高等師範学校 教授 Jean-Michel Roy 畿央大学 ニューロリハビリテーション研究センター 教授/センター長 森岡 周 関連リンク 2023年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)新規採択課題・総括総評 国立研究開発法人学術技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST)
2023.10.06
「理学療法学科2回生×卒業生交流会」を開催しました!
2023年9月15日(金)に低回生から将来の理学療法士像を考える機会を創出することを目的に、 今年度より新たに「理学療法学科2回生×卒業生交流会」を開催しました。 交流会には、卒後1~3年目の卒業生11名と在学生約60名が参加。 卒業生からの自己紹介後、卒業生と在学生のグループに分かれ座談会形式で交流を深めました。 卒業生の働く領域は、急性期、回復期、スポーツ、小児と多岐にわたり、座談会の中ではそれぞれの病院の特徴や仕事内容などをお話しいただきました。 また、現在の業務内容だけでなく、理学療法士としてのやりがいや大学生活のことまで、自身のこれまでの様々な経験も話してくださいました。 最初は少し緊張する様子が見受けられた学生も、年齢の近い先輩との交流を通して徐々に打ち解け、現在の学校生活や勉強に関する悩みを相談していました。 参加した学生からは、以下のような感想をいただいています。 ・実際に働いているイメージがついた。 ・今大変と感じていることが、誰もが通る道だと分かって安心した。 ・自身の関心のある分野について詳しく聞けたので良かった。 ・理学療法士としてのやりがいを聞けて、素敵な仕事だと再認識し、勉強へのモチベーションアップになった。 また卒業生からも、在学生と話しているうちに自分自身を振り返る機会にもなったという声をいただき、双方にとって有意義な時間となったことでしょう。 後期授業もスタートし、2回生はより専門的な授業が増えてきます。 身近な将来像である先輩との交流を通して、理学療法士のやりがいを再確認し、それぞれのモチベーションアップに繋げてもらいたいと思います。 ご協力いただいた卒業生の皆さん、ありがとうございました!
2023.10.02
TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.89~部活動・サークル対抗健康チェック!
こんにちは!健康支援学生チームTASK※の理学療法学科3回生の濵﨑 加奈子です!今回は、2023年6月15日(木)、6月22日(木)に畿央大学の学内で開催した「部活動・サークル対抗!!健康チェック」の活動について紹介したいと思います。 ※TASKは“Think、 Action、Support for Health by Kio University”の略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら、地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。 今回の部活動・サークル対抗健康チェックは、①TASKの学内での認知度向上、②学生の健康への関心を高める、③コロナ渦で大学主催のスポーツテストの実施中止に対する代替という主に3つの目標を掲げて企画しました。 当日は、体組成、握力、反射神経、上体起こし、立ち幅跳び、垂直跳び、反復横跳びの計7種類の計測を行いました。それぞれの競技での結果を同世代の平均と比べたり、友達同士で比べあったり、自身の身体について見つめ直す良い機会になったのではないかと思います。 測定実施中は、学生同士応援し合い、大盛り上がりとなりました。 今回の健康チェックは健康意識の定着に向けても、継続的に行っていきたいと考えているので、もしTASKに健康チェックを行ってほしいと考える団体様がいらっしゃれば、ぜひぜひ下記のメールにご連絡いただけたら幸いです! TASKでは、健康チェック以外にも様々な活動を企画しています!その情報も下記に載せていますので、ご確認よろしくお願いします! ◆メールアドレス task@kio.ac.jp ◆Twitter @kio_TASK 友達を誘ってワイワイ楽しく活動しましょう! 理学療法学科3回生 濵﨑 加奈子 ●TASK関連の情報はTASK(健康支援学生チーム)活動レポートで、詳しくご覧になれます。
2023.10.02
TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.90~オープンキャンパスで健康チェック!
こんにちは!健康支援学生チームTASK※の理学療法学科3回生の丸石 璃奈と野中 美佑です。 今回は、2023年7月・8月に開催されたオープンキャンパスにて高校生や保護者の方を対象に「健康チェックコーナー」を実施した様子をレポートします! ※TASKは“Think、 Action、Support for Health by Kio University”の略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら、地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。 7月9日(日)・16日(日) ヘモグロビン・骨密度・体組成の3項目を測定させて頂きました。 「この結果は良いの?」「こういったことも講義で学ぶの?」など測定を通して楽しみながら自身の健康やTASKの活動に関心を持ってくださっている様子が伺えて大変嬉しく思いました。 また、私自身もフィードバックの仕方や声掛け、測定機器の操作など回数を重ねるごとにスムーズに行えるようになり、良い機会だったと感じました。 8月12日(土)・13日(日) 測定内容は、体組成、ヘモグロビン、足趾握力の3項目でした。当日は2日とも晴天でとても暑い中たくさんの方にご来場いただきました。 特に、足趾握力の測定では、足趾の握力を測ることが珍しいということもあり、友人と結果を比べて盛り上がっているところをたくさん見ることが出来ました。また、スタッフ自身も「頑張れ!」「もっともっと」など、来場者の測定値が少しでも高くなるように声かけをするなど会場が活気であふれていました。 さらに、測定結果のフィードバックの際に、結果とともにそれを踏まえた具体的な運動方法なども提案させていただいたり相談に乗ったりするなど、スタッフにとっては成長できるとても良い機会でした。 来場者の方にとってもスタッフにとっても、とても有意義で楽しい時間になったと思います。これからも地域の方々に喜んでもらえるような活動をたくさん企画し、行っていきたいと思います。 「参加してみたい!」という方はOutlookのメールから検索ディレクトリを使用して、「task」と検索し、連絡してきてください。参加申し込みだけでなく、質問もこちらのメールで受け付けています。 ◆メールアドレス task@kio.ac.jp ◆ X(Twitter) @kio_task ◆ Instagram @kio_task 理学療法学科3回生 丸石 璃奈・野中 美佑 ●TASK関連の情報はTASK(健康支援学生チーム)活動レポートで、詳しくご覧になれます。
2023.10.02
日本理学療法学生協会(JPTSA)関西支部大会2023活動報告!
こんにちは。2023年9月2日(土)に日本理学療法学生協会(JPTSA) 関西支部大会を畿央大学にて開催いたしました。 今回の大会テーマは「産業理学療法~働く人のミカタ~」でした。今年は、畿央大学以外にも神戸大学、神戸国際大学、名古屋大学からも足を運んでいただきました。 午前のプログラムでは、一般社団法人 働く人の健康と安全を守る会 会長の高野 賢一郎先生にご講演をしていただきました。 講演の前には、アイスブレイクとして、「はぁ」や「そんな」などの短い言葉でお題を表現して当ててもらうゲームを行いました。お題に対する演技が意外と難しかったのですが、とても盛り上がり初めて会った方とも仲良くなることができました。 講演では、産業理学療法について実際に腰痛や転倒予防の体操、検査などの体験を交えながら教えていただき、とても楽しく産業理学療法について学ぶことができました。 午後からは、校内や学校周辺でのフィールドワークを行いました。フィールドワークでは、午前中の講演を踏まえて、3つの班に分かれて、実際に働いている人の様子や環境を見たり、働いている人にインタビューをしたりしてまわりました。 お仕事中にも関わらずご協力いただいた方ありがとうございました。 その後、フィールドワークで見たり聴いたりしたことやそれらから考えられる身体への影響、それに対する対策をそれぞれの班で発表しました。発表では、班ごとに考える視点が異なっていて、自分だけでは思いつかないような考えを聴くことができ、とても勉強になりました。 運営委員は、今年から畿央支部と神戸支部が合体し、「関西支部」となりました。関西支部としては、初めての大会となりましたが、産業理学療法について学ぶとともに、他大学との交流や縦のつながりをより深めることができ良い大会となったのではないかと思います。 最後になりますが、JPTSA関西支部大会開催にあたってご協力いただいた方々、参加してくださった皆様、ありがとうございました。 日本理学療法学生協会 関西支部運営委員広報部 理学療法学科3回生 野中 美佑 【関連記事】 日本理学療法学生協会(JPTSA)畿央大学主催 関西支部大会2018活動報告! 12/15(土)日本理学療法学生協会(JPTSA)畿央大学主催関西支部大会のご案内 日本理学療法学生協会(JPTSA)「畿央大学主催 関西支部大会」2017 活動報告! 12/10(日)日本理学療法学生協会(JPTSA)畿央大学主催関西支部大会のご案内! 日本理学療法学生協会(JPTSA)が開催したJapan Study Tourに参加!~理学療法学科 日本理学療法学生協会「畿央大学主催 関西支部大会」2016 活動報告!
2023.09.28
令和5年度 在外研究員レポートvol.2~フランストゥールーズでの研究生活を紹介!
本学には教育研究水準の向上および国際交流の進展に資するため、学術の研究・調査等のため外国に在外研究員を派遣する制度があります。2023(令和5)年4月1日から2024(令和6)年3月31日までの期間、フランス南西部トゥールーズにあるトゥールーズ大学病院、老年科、加齢研究所(Institute of Aging, Gérontôpole, Toulouse University Hospital)で理学療法学科 松本 大輔准教授が研究活動を行っています。フランスから現地レポートが届きましたので、ご紹介します。 私は4月から在外研究員として、フランス南西部のトゥールーズにあるトゥールーズ大学病院、老年科、加齢研究所(Institute of Aging, Gérontôpole, Toulouse University Hospital)で、研究活動に従事しています。 今回は、研究員としての生活や国際学会へ参加レポート、最後にトゥールーズの街について紹介をさせていただきます。 研究員としての生活を紹介します! 私はINSPIRE(INStitute for Prevention healthy aging and medicine Rejuvenative)T-cohortというヒトを対象とした研究プロジェクトのデータ分析・論文執筆に関わらせていただいています。 高齢者だけではなく、20歳から100歳以上の成人を10年間追跡するコホート研究です。教授や同僚に分析方法や論文執筆のアドバイスをいただきながら、少しずつ進めているところです。 私は疲労感をテーマの一つにしています。 ▼研究室のメンバーです。 国際学会に参加してきました! TWINS Congress 2023 国際双生児研究学会(ハンガリー ブダペスト) International Society for Twin Studies (ISTS)という双生児研究の研究者が集う学会です。私は統計解析のワークショップに参加し、実際のプログラムを教えていただいたり、今進めている研究のアドバイスをいただきました。 また、日頃、あまり関わりがなかったエピジェネティクス(DNAの塩基配列は変えずに、あとから加わった修飾が遺伝子機能を調節する制御機構)などのトピックスについても知ることができました。以前からお世話になっているセンメルワイス大学の Adam, David Tarnoki氏(双子の医師)が学会を運営されており、懇親会では彼のサポートのおかげで著名な研究者と交流することができました。 EuGMS2023 ヨーロッパ老年医学会(フィンランド ヘルシンキ) Philipe教授とYves教授、同僚のEmmanuel氏と参加しました。 特に昨年度発表された転倒予防の国際ガイドラインWorld Guidelines for Falls Prevention and Management for Older Adults: A Global Initiativeに関わった研究者によるシンポジウムでは立ち見、座り見で満員御礼状態でした。 全体的にはフレイルや転倒のテーマが多く、また、遠隔リハやAI・VR・アプリ開発などデジタルヘルスに関する報告も多かった印象です。 教授陣はワークショップやレクチャーの講師として、同僚は口述発表をされていました。同僚のEmmanuel氏がBest Oral Communication Awardを受賞し、改めて研究室のレベルの高さに驚かされました。 ▼Emmanuel氏 ▼Philipe教授のワークショップ ▼Yves教授のレクチャー トゥールーズを紹介します! トゥールーズは、フランスの南西部でスペインとの国境近くにあり、パリ、マルセイユ、リヨンに続いて人口数第4位の都市です。赤レンガとテラコッタ瓦の建物が多いことから、別名『バラ色の都市』(la ville rose)と呼ばれています。 あと、ご存知の通り、ラグビーワールドカップの開催都市で、日本チームのベースキャンプとなっており、街はラグビー一色です。せっかくの機会なので、私もイベントに参加したり、試合を観戦しました! 現地での生活にも慣れてきましたが、まだまだ英語でのコミュニケーション・ディスカッションはハードルが高く、不甲斐なさを感じることも多くあります。滞在も折り返し地点が近づいてきているので、少し焦ってきていますが、大学に還元できるように、引き続き、取り組んでいきたいと思います。 理学療法学科 准教授 松本大輔 関連記事 朝日新聞社Webメディア「SDGs ACTION!」で松本准教授が「フレイル」を解説! 令和5年度 在外研究員レポートvol.1~なぜフランストゥールーズへ? 令和5年度 在外研究員 研究計画説明会を開催しました。
2023.09.21
令和5年度「全学年症例検討会」を開催しました~理学療法学科
理学療法学科4回生が下級生とグループになって「総合臨床実習」での学びや経験を伝える「全学年症例検討会」を2023年9月14日(木)に行いました。コロナ禍の影響で、フル対面での開催が一昨年までできておらず、現4回生は去年3回生時に実施しただけで、今回は最終学年としての発表側になりました。 理学療法学科4回生は4月~7月までの期間、8週間の総合臨床実習を計16週間行います。実習先の病院で理学療法士(実習指導者)の指導のもと、様々な疾患の患者さんを対象として基本的な評価を行い、その結果に基づいて治療プログラムを立案。実際に治療をさせていただくことで、基本的な理学療法を修得していきます。学内での学習とは異なり、患者さんと直接向き合う経験を通して、4回生たちは見違えるほど大きく成長します。 現時点でも新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、病院実習では多くの制約を受ける中、畿央大学では実習先の皆さまのご協力のおかげで、全学生が学外での実習経験を積むことができました。 症例検討会では各学年混成の小グループに分かれて、4回生が司会進行を担当。教員はファシリテーターとして見守ります。4回生は担当した症例から学んだことをまとめ、基本的な知識を再確認し、下級生たちに説明できる能力を高めます。1~3回生は現在学んでいる基礎医学と臨床との関係を理解することで、学習へのモチベーションを高めます。 症例以外の質問やコミュニケーションも生まれ、学年をこえた「タテのつながり」が生まれる絶好の機会です。 症例検討会に参加した学生たちの感想を学年ごとに紹介します。 4回生の声(理学療法学科4回生 林 大輝) 昨年に引き続き、今年も全学年揃っての開催となり有意義なものとなったと思います。発表では1・2回生と3回生のグループに分かれ、1・2回生にはできるだけわかりやすいように内容を噛み砕き、なんとなくのイメージを持ってもらえるように意識しました。3回生にはより詳しい内容を伝え、それに対する質問もあり活発な発表会となりました。 また、発表後には実習のこと以外にも勉強や就活、学校生活についての質問も多々あり、自身の経験や考えも含めてアドバイスできてよかったと思います。 私も下級生の時に先輩方の話を聞いたことが、その後の学習意欲につながりました。1~3回生の方にはこれからの勉強や実習などをはじめ学校生活に役立てば幸いです。 3回生の声(理学療法学科3回生 武田 英晃) 今回の症例発表を聞いて、昨年度よりもわかる部分や内容があり、自分が今まで勉強してきたことが少しずつ身についていることを実感できました。また、実習のことも詳しく教えていただき、正直不安を感じていたことも、発表していただいた4回生の皆さんも去年同じ思いで聞いていたのだと知り、少し安心した部分もありました。 そして、残りの学校生活での過ごし方やアドバイスもたくさんいただき、基礎的なこと、専門的なことそれぞれをしっかり勉強していくべきなのだと改めて実感しました。 2回生の声(理学療法学科2回生 武本 遥輝) 主に実習体験やこの先の学校生活について多くのお話をしていただきました。先輩が感じた臨床での雰囲気、実習で自分に起きた変化や実習先での楽しみなどを聞くことができました。症例発表自体は、1回生のときはほぼ「話を聞いているだけ」の状態でしたが、今回は理解できる部分が少し増えました。まだわからないところも、これからの勉強で理解できると思うと楽しみです。 今回参加したことで、自分の現在地を知ることもでき、この先をどのように過ごしていくことが大切か少しわかりました。目的・目標を持ち意欲的に1日1日を過ごしていこうと思います! 1回生の声(理学療法学科1回生 高見 亮佑) 症例検討会では多くの学びがありました。4回生の実習のレポートを通して内容は難しいところもありましたが、これから自分たちがどのようなことを学んでいくのか、自分たちに必要となってくる知識は何なのかをつかむことができました。また、先輩との交流では学校生活から日常の些細なことまでとてもフランクに教えていただき、これからの学校生活の不安が取り除かれました。特に、授業や実習についての話はこれからのモチベーションにもつながり、自分の目標を立てるきっかけになりました。この症例検討会を通して得た経験を生かしてこれからの学校生活を過ごし、自分も上回生のようになれるように日々努力していきたいです。 理学療法学科 准教授 福本 貴彦 【関連記事】 令和4年度「全学年症例検討会」を開催しました~理学療法学科 平成29年度「全学年症例検討会」を開催しました~理学療法学科
2023.09.15
理学療法の意思決定場面における患者関与の実態とSDMの有用性~ニューロリハビリテーション研究センター
近年、患者の価値観を治療の意思決定に考慮する協働的意思決定(Shared Decision-Making:SDM)が注目されている一方、理学療法領域では理論的な背景が不足している状況です。畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程 尾川 達也 氏(西大和リハビリテーション病院) と 森岡 周 教授ら は、日本で理学療法を受けている患者を対象に意思決定への関与の状況とその要因について検証しました。結果、意思決定に関わる患者の希望を満たせていない実態とともに、理学療法領域においてもSDMが患者関与の一要因であることを明らかにしました。この研究成果はBMC Medical Informatics and Decision Making 誌(Shared decision-making in physiotherapy: a cross-sectional study of patient involvement factors and issues in Japan)に掲載されています。 研究概要 根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine:EBM)を実践する際、医療者が患者の価値観を十分に考慮していない実態が指摘されています。近年、医療者と患者が共同で治療の意思決定を進めるSDMが推奨されるようになり、理学療法領域でも注目されています。しかし、既存の情報は医師を主とした研究や数名の患者による質的研究の結果であり、理学療法領域におけるSDMの有用性に関しては理論的根拠が乏しい状況です。畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程 尾川 達也 氏(西大和リハビリテーション病院)、森岡 周 教授らの研究チームは、日本で理学療法を受けている患者を対象に意思決定への関与の状況とその要因について検証しました。その結果、治療の決定を「理学療法士が行っている」と認識している患者の割合が多く、意思決定に関わる患者の希望を満たせていない実態が明らかとなりました。また、意思決定への関与に関連する要因として、理学療法士によるSDMの実施状況が選択され、理学療法領域においてもSDMが患者関与の一要因であることが明らかとなりました。 本研究のポイント ■ 実際の意思決定方法とともに、患者が希望する意思決定方法も同時に評価することで、患者の希望を満たせていない実態を明らかにした。 ■ 患者の意思決定への関与に理学療法士によるSDMの実施程度が関連することを明らかにした。 研究内容 日本の入院環境や地域で理学療法を受けている277名の患者に対し調査を行いました。患者の意思決定への関与を評価するためにControl Preference Scaleを使用しました。これは実際の意思決定方法(Actual Role)と希望する意思決定方法(Preferred Role)の両方を5つのイラスト(A:most active、B:active、C:collaborative、D:passive、E:most passive)から1つ選択する評価で、今回はこの一致度を算出しました。また、SDMの評価には患者が医療者の言動を採点する9-item Shared Decision Making Questionnaireという質問紙評価を使用しました。 図1 実際の意思決定方法と希望する意思決定方法の一致度 実際と希望する意思決定方法は有意な一致度(一致率:49.8% 重みづけκ係数=0.38)を認めたもののκ係数は低かった(灰色)。また、希望よりも受動的な関与であった割合は36.5%(青色)、希望よりも能動的な関与であった割合は13.7%(赤色)であった。 図2 SDM-Q-9の投入有・無におけるロジスティック回帰分析の比較 意思決定への関与と有意に関連した要因として、1)治療環境が地域である 2)患者が意思決定への関与を希望する 3)理学療法士がSDMを実施することが選択された。一方、年齢や教育年数、歩行能力は、意思決定への関与と有意な関連を認めなかった。 結果、実際の意思決定方法と希望する意思決定方法が一致した割合は49.8%(図1の灰色)であり、希望よりも実際が受動的な関与となっていた者は36.5%(図1の青色)もいました。また、意思決定への患者関与に関連する要因として、1)治療環境が地域である、2)患者が意思決定への関与を希望する、3)理学療法士がSDMを実施することが選択され、理学療法領域においてもSDMが患者関与の一要因であることが明らかとなりました(図2)。このことから、日本の理学療法領域においても意思決定に関わる患者の希望を満たせていないといった “患者関与の問題点” を明確に示すことができました。また、他の関連要因を調整したとしても、理学療法士によるSDMの実施程度が患者関与と関連した本研究の結果は、理学療法領域におけるSDMの有用性を支持する重要な発見となりました。 本研究の臨床的意義及び今後の展開 本研究の結果から、理学療法領域の中でSDMの臨床実践を推進していく理論的根拠を示すことができました。今後は理学療法領域で頻繁に生じる意思決定場面に焦点を当て、患者側の視点を明らかにするとともに、それらの情報を統合した理学療法士に対するSDMの教育的支援も必要になると考えています。 論文情報 Tatsuya Ogawa, Shuhei Fujimoto, Kyohei Omon, Tomoya Ishigaki and Shu Morioka Shared decision-making in physiotherapy: a cross-sectional study of patient involvement factors and issues in Japan. BMC Medical Informatics and Decision Making, 2023 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 センター長/教授 森岡 周 博士後期課程 尾川 達也 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp


