理学療法学科の新着情報一覧
2021.10.20
11/24(水)第7回畿央大学シニア講座「腰痛を正しく知ろう」を開催します。
今年のテーマは「腰痛とコロナ禍の生活習慣」! 本学では、地域の方々に生涯教育の場を提供することで、シニア世代の方を対象に「健康」と「教育」について学びを深めていただくシニア講座を毎年実施しています。昨年度に引き続き、コロナウイルス感染症の影響に鑑み、オンライン(Zoomウェビナー)で講座を開催することといたしました。インターネットに接続できる環境があれば、PC・タブレット・スマートフォン等からご視聴いただくことが可能です。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。 開催日時 2021年11月24日(水) 13:00~14:00 開催方法 オンライン(Zoomウェビナー) ※視聴用のURLは後日お知らせします。 定員 100名(先着順) 参加費 無料 第6回 畿央大学 シニア講座 腰痛を正しく知ろう ~コロナ禍で乱れがちな生活習慣が腰痛を増悪させている!?~ 畿央大学 ニューロリハビリテーション研究センター 准教授 大住 倫弘 腰痛を増悪させる要因にはどのようなものがあるでしょうか? 実は、睡眠、運動、食事などの基本的な生活習慣の乱れが 腰痛を増悪させることが明らかになっています。 当日は、腰痛が増悪しないために日常生活で どのようなことに気をつけるべきなのか、一緒に学びましょう。 そして、自宅でもできるストレッチを紹介しますので、 ご自身でも試して頂ければ幸いです。 【過去の開催レポート】 第6回畿央大学シニア講座 第5回畿央大学シニア講座 第4回畿央大学シニア講座 第3回畿央大学シニア講座 第2回畿央大学シニア講座 第1回畿央大学シニア講座 申込方法 【以下のいずれかの方法でお申し込みください。】 専用フォームによるお申し込みの場合 申込フォーム(下記QRコード) からお申込みください(メールアドレス必須)。 開催前に参加用URLを申込メールアドレス宛に送信します。 【QRコード】 E-mailでお申込みの場合 ① 氏名(フリガナ)、② 年齢、③ 住所、④ 電話番号(FAX番号)をご明記の上、info@kio.ac.jpまでお申し込みください。 お申し込み・受講にあたっての注意事項 ・本講座は、Zoom(アプリケーション)を利用したZoomウェビナーです。インターネット環境があればパソコン・スマートフォン・タブレットから受講することが可能です。 ・Zoomアプリは必ず最新版にアップデートの上ご覧ください。 ・受講者は顔や名前が他の受講者に表示されることはありません。 ・講座当日までに、お申し込みいただいたE-mailへ受講のためのURLをお送りします。 ・講座の映像・音声等を許可なくスクリーンショットや写真・動画・音声で記録すること、またそれらを第三者に共有・公開することを固くお断りいたします。 ・講座を受講するために必要なURL・パスワードを第三者に共有・公開することを固くお断りいたします。 ・お預かりした個人情報は、本講座に関わる業務にのみ使用します。また、予め本人の同意を得ることなく第三者に提供することはいたしません。 問い合わせ先 畿央大学教育推進部 シニア講座係 E-mail:info@kio.ac.jp TEL:0745-54-1601 FAX:0745-54-1600
2021.10.05
健康科学研究科の庄本康治教授と冬木正紀准教授の発明が特許を取得しました。
本学大学院健康科学研究科の庄本康治教授と冬木正紀准教授が発明したリハビリテーション用肩装具により、冬木学園が特許権を取得しました。この発明は本学が推進している次世代研究開発プロジェクトにおける萌芽的研究の成果であり、脳卒中片麻痺による肩関節下方亜脱臼に対するリハビリテーションの効果を高める発明です。 特許第6940549号「肩装具、肩装具を用いたリハビリテーション方法」 庄本教授と冬木准教授からのコメント 本発明では、脳卒中片麻痺により亜脱臼した肩関節を整復させる力が飛躍的に向上したリハビリ用肩装具を発明しました。 人間の腕は数kg、重い人では10kg程度の重さが有るため、脳卒中により半身が麻痺すると肩関節の亜脱臼が起きます。多くの場合、脳卒中後一定期間が過ぎると麻痺の程度が軽くなり、自分の筋肉の力で腕を動かすことが出来るようになります。しかし、数十%以上の人が肩関節の痛みを抱えたまま脳卒中片麻痺後の人生を送っています。 この肩の痛みは、脳卒中後に上腕の骨が正常に肩関節にはまっていないまま肩や腕の筋肉が固まってしまうため起こります。この痛みを防ぐためには、脳卒中後のリハビリ期間に麻痺した腕を持ち上げて上腕の骨が肩関節にはまるようにしておく(整復しておく)ことが重要です。しかしながら、従来のリハビリ装具では十分な力で腕を持ち上げることが出来ないため、正常に肩がはまっていない状態で関節が固まってしまい、痛みが残る方も多くいます。 従来のリハビリ装具では腕を持ち上げる力が弱い理由は、ベルトを用いて持ち上げているためです。そこで、人間の筋肉と同じくらい収縮し、はるかに収縮力の強い人工筋肉を導入したのが本発明です。 ▲脳卒中片麻痺を原因とする肩関節下方亜脱臼用のリハビリテーション装具 従来の引っ張りベルトの代わりに複数本の人工筋肉を用いることにより、麻痺している腕を持ち上げるための十分な力を得ることが出来ます。 ▲西大和リハビリテーション病院の患者様による、本発明の試作品の装着風景 現在は、西大和リハビリテーション病院にて本発明の試作品を試験して頂いています。同院の生野公貴リハビリテーション部技師長(本学健康科学研究科 客員研究員)、辻本直秀先生(本学理学療法学科卒業生)、中田佳佑先生(本学健康科学研究科修士課程修了)をはじめとするスタッフの方々の御協力のもと、脳卒中後のリハビリテーションにいらっしゃる患者の方々に試作品を装着して頂き、従来品との比較を行っています。患者の方々による使用感の向上、肩関節の安定による上肢運動スキルの向上、そして歩行の向上等が確認されています。今後は試験数を増やし、改善を重ねながら開発を続ける予定です。 また、本装具を装着した状態において肩周囲の筋肉に機能的電気刺激(FES)を加えることにより、リハビリテーションの質のさらなる向上も期待されます。この相乗効果も今後研究する予定です。 【関連記事】 冬木特任准教授の発明が新たに特許を取得しました~教育学習基盤センター 冬木特任准教授の発明が特許を取得しました。~教育学習基盤センター 教育学習基盤センター
2021.10.05
理学療法学科卒業生の研究が国際学術雑誌「The Knee」に掲載!
理学療法学科4期生の佐藤秀幸さんの研究が、国際学術誌「The knee」に掲載されました。 論文のタイトルは「Differences in fatigability of vastus medialis muscle between patients with limb symmetry index of <90% and ≥90% after chronic anterior cruciate ligament reconstruction」(対称性指数90%以上と未満の前十字靭帯再建術後患者間における内側広筋の疲労性の違い)です。 以下、佐藤さんから研究内容をご紹介いただきます! 近年、前十字靭帯再建術(以下、ACLR)後の大腿四頭筋力において、対称性指数(注1)90%以上が競技復帰基準として推奨されていますが、対称性指数90%を境に術側大腿四頭筋の疲労性が異なるかは明らかでありません。 筋の疲労性は筋線維組成に依存し、筋線維組成を測定できる筋生検は侵襲を伴います。一方で、非侵襲的に筋線維組成を予測できる手法として、表面筋電図を用いた周波数パワースペクトル解析があります。 この手法は筋を一定時間等尺性収縮させることで測定できますが、これまで大腿四頭筋における評価(特に内側広筋)(注2)は信頼性が低いとされていました。 それらを踏まえ、理学療法学科4期生の同期である箕島くん(和歌山県立医科大学附属病院リハビリテーション部)が内側広筋に対する評価方法を提案し、その信頼性の高さを立証しました(Minoshima Y, et al. Open J Ther Rehabil. 2017)。 この研究では、箕島くんが確立した手法を用いて、ACLR後患者さんの大腿四頭筋力の対称性指数90%を境に術側内側広筋の疲労性が異なるかを調査しています。 その結果、対称性指数90%未満の術側内側広筋は、90%以上と比べ、易疲労性であることが明らかになりました。このことは、対称性指数90%以上という競技復帰基準に医学的根拠を与えるとともに、大腿四頭筋の筋力が十分に回復していないACLR後患者さんに対して、内側広筋の持久性を向上させるようなトレーニングプログラムの必要性を示唆します。 (注1)対称性指数は、「(患側/健側)×100」で算出され、健側と比較した患側の指標として用いられている。 (注2)大腿四頭筋の中でも内側広筋は、最も膝の安定性に寄与するとされている筋であるものの、膝傷害後、最も萎縮しやすい筋と言われている。 社会医療法人黎明会 北出病院 リハビリテーション科 理学療法士 佐藤秀幸(理学療法学科4期生)
2021.09.24
理学療法学科教員による「東京五輪」参加レポート!
2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として参加した理学療法学科の福本先生。「MEDスタッフについて」「スタッフ選定」「研修会」「選手村での活動」「レガシー」の5つの視点から、東京五輪や現地での経験を語っていただきました! 【お知らせ】 在学生・卒業生限定で「2020東京五輪の活動報告」をテーマにした理学療法特別講演会(Zoom)を開催します。もっとくわしく知りたい方は、ぜひお申込みください! 1.MEDスタッフについて オリンピック・パラリンピックは『世界最高峰』に位置づけられる、スポーツの総合競技大会です。それを支えるのは、ボランティアだけでなく、東京2020組織委員会の職員、選手団、警備や交通に関わる人たち、そして大会に携わる多くの企業の方々なども含めた多様な人の集まりです。(field cast noteより) スタッフは大会をサポートするField castと都市ボランティアであるCity cast、ホストタウンなど全国各地で支えるボランティアに細分されます。 MEDスタッフ(医療スタッフ)はField castに分類され、選手村診療所や大会会場の医務業務などを行います。 2.スタッフ選定 ここでは理学療法士のみの選定方法に言及します。 大会に参加するスタッフは各競技団体からの推薦による会場での活動を主に実施する場合と、日本理学療法士協会からの推薦による選手村での活動を主に実施する場合があります。 今回ブログで紹介された福本、唄、楠元、加納は日本理学療法士協会からの推薦で、安浦は競技団体からの推薦でした。 畿央生が見た東京五輪#1~安浦さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#4~福本先生編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#3~楠元さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#1~加納さん編 多くの研修会の受講、資格、実務経験が5年以上などのハードルがあり、まずは自薦による応募を行います。その後、書類審査、面接(口頭語学面接含む)を経て日本理学療法士協会or各競技団体から大会組織委員会へ推薦という形になります。 ちなみに私は国際学会での発表業績などから英語スキル5段階のうち最高レベルで申請し、認められることになりましたが、試験官からは大会までに相当の練習をしておくように指示されました…(T_T) 3.研修会 推薦を受けるまでの必須研修として終日研修が合計で6日間、普通救命講習Ⅱ以上取得というハードル、マッチング(推薦を受ける)後も多くの研修が必要でした…が、その多くがコロナ禍によりweb講習という形に変更になりました。 しかし、44単位という膨大なweb講習がありました。詳しくは特別講演会でお伝えします。 4.選手村での活動 オリンピック期間は修善寺サイクリング村で3日間活動しました。 パラリンピック期間は修善寺サイクリング村で9日間、河口湖サイクリング村分宿で5日間、サイクリングロード競技会場である富士スピードウェイで2日間活動しました。 選手村にいる選手が世界のトップ選手であることは言うまでもありませんが、その選手をサポートする各国スタッフも素晴らしい方ばかりで圧倒されました。また、選手村に配置されているMEDスタッフも日本を代表するスタッフばかりで、いつもは教科書や学会でお目にかかっている方から、本拠地が海外という方も多くいらっしゃいました。 診療所では選手はもちろん、各国スタッフも治療に訪れ、多くの方を担当させていただきました。多くの気づきがありましたが、大きくは2点。 まず1点目は、参加国の医療水準の違いです。ある国はテーピングをしたことがない、理学療法を受けたことがないと。ある国では医師と理学療法士が来室され、検査機器・治療機器を貸してほしいと…検査データは即本国に転送し、治療プログラムが返ってくる。その治療データを選手村診療所のスタッフと意見交換し治療方針を決めていく…。違い過ぎました。オリンピック憲章にある平等は『医療サポート』という軸で考えるとまだまだだと痛感するとともに、そのためにこの選手村診療所があるのだということがわかり、初めて治療を受ける方にもしっかりと(かたことの)英語で説明し、世界水準かどうかはわかりませんが、手抜きなしの理学療法を提供することに努めました。 2点目は、選手村のMEDスタッフです。しんどい…やりたくない…というネガティブワードは全く耳にしませんでした。全員が選手の取り合いです。私がみたい!私にやらせて!この方法はどうだろう…その方法を教えて!などなどなどなど、全国から前述のハードルをパスした強者ぞろいですから、私できません…私やりません…なんて人は誰もいませんでした。 もちろん私も例に漏れず、自分の考えも伝えるとともに、多くの先生方から指導を受けました。 キラキラした選手とスタッフに囲まれて、夢のような時間を過ごすことができました。 オリ・パラロスという言葉があるやらないやら、多くのスタッフからこのロス症状について聞きました。燃え尽き症候群に少し似た症状が出るらしく、私もこの症状にいまだに悩まされており、ブログ原稿が遅れた言い訳といたしますm(__)m もちろん休憩時間もありました。 まじめにPC画面を見ているように見えますが実は…楠元さんと受付で智辯学園×智辯和歌山戦を観戦しています。 智辯学園の監督である小坂さんとは、国際親善事業で海外遠征をした時から10年以上のお付き合いをさせてもらっています。 小坂さんに選手村や競技会場にいる4名全員がそれぞれの場所で智辯戦を観ている写真を送りました。試合の翌日には『この悔しい気持ちを忘れずに今日(決勝翌日)から新チームは頑張っています。また、いいチームを作って日本一をめざして頑張ります!』って返ってきました。頼もしいですね。オリ・パラロスから回復したら高校野球のサポートも頑張りまーす! ▲選手村PC(写真:左)と富士スピードウェイモニター(写真:右) 富士スピードウェイモニタは左がダンロップカーブ(事故が多いところ)とホームストレート(右)の写真ですが、メインの真ん中が智辯戦に変わっています…もちろんレース時間外です(^_^) ▲オリンピック選手と私の太ももの大きさの違い 長さの違いではありません。太さの違いです。選手の右手にはなんと銅メダルが無造作に握られています!! 5.レガシー 今回のスタッフ育成で今後の地方大会、国内大会、国際メガ大会など多くの大会サポートに活かせるものが身につき、スタッフ間のパイプができました。また、問題点も多くあることがわかりました。 ・各競技団体とのパイプ ・スタッフ確保 ・スタッフ教育 ・中核施設の欠如 などです。こちらも詳しくは特別講演会でお伝えできればと思います。 日本理学療法士協会は理学療法士に必要な業務として臨床・教育・研究をあげています。これは職域に限らず、すべての理学療法士に必要な業務とされています。今回得たものを選手に現職者や学生に提供・還元し、問題点として挙がったものなどを研究していこうと思います。健常者と障がい者、性別、年齢など全く関係なく、世界中の方がスポーツによって健康と喜びを得られるよう、広陵町から奈良県から日本から世界へ発信していこうと思います。 以上、少々お堅い内容でお伝えしましたが、特別講演会ではざっくばらんにお伝えしようと思っています。 ▲治療中はこの治療着を来て、ゴーグル・手袋装着で実施します。 ▲河口湖分宿の治療物品の一部の写真です。 修善寺分村はこの倍以上、晴海本村は5倍以上でしょうか…(見た印象で実際の物品量は知りません) ▲スタッフと練習中 ▲出勤途中のバスから撮影 公道で練習中の選手にバスが追い付けない…推定時速40km以上… ▲富士スピードウェイの救急車 モータースポーツ好きの私としては、活動時間外はずっとスピードウェイの設備や備品に感動していました。 ▲富士スピードウェイのメディカルセンターガレージを開ける私。 この奥に処置室や手術室があります。 ガレージを開けるだけでも感動して写真に収めてもらいました。ただガレージを開けるだけの動画も撮りましたので見たい方はご連絡ください。私がただガレージを開けるだけの動画です(^_^) 理学療法学科 准教授 福本貴彦 【関連記事】 畿央生が見た東京五輪#1~安浦さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#4~福本先生編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#3~楠元さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#1~加納さん編 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。
2021.09.24
腰痛を持つ就労者における体幹運動障害は過去の痛み経験に由来する恐怖心が原因~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
腰痛を有する就労者は、作業動作中に体幹の可動域が狭くなることや、体幹の運動スピードが緩慢となることが明らかとされています。しかしながら、このような体幹の運動異常が、痛みやそれに関連する心理的要因などによって引き起こされているのかは明らかとされていませんでした。畿央大学大学院 博士後期課程 藤井 廉 氏 と 森岡 周 教授らは、腰痛を有する就労者を対象に作業動作中の運動異常と痛み関連因子の評価を行い、重量物を持ち上げる際の体幹の運動速度の低下は、動作中に生じる腰部痛が原因ではなく、過去に生じた痛みの経験によって引き起こされる運動への恐怖心が影響していることを明らかにしました。この研究成果は、PLOS ONE誌(Kinematic analysis of movement impaired by generalization of fear of movement-related pain in workers with low back pain)に掲載されています。 研究概要 腰痛を有する就労者は、重量物を持ち上げる動作などの作業において、体幹の可動域が狭くなることや、体幹の運動速度が低下するなどの特徴を有することが報告されています。この運動範囲の狭小化や運動の緩慢さは、「痛みを回避するための過剰な保護行動」と捉えられており、痛みが慢性化するに至る要因と考えられています。このような腰痛による体幹の運動障害には痛みに対する恐怖心や破局的思考など、様々な痛み関連因子が関与していると考えられていますが、これらの要因がどのように影響しているのかは明らかとされていませんでした。畿央大学大学院 博士後期課程 藤井 廉 氏、森岡 周 教授らの研究チームは、三次元動作解析装置を用いて重量物を持ち上げる際の体幹運動の分析と痛み関連因子の評価を行い、媒介分析を用いて運動と痛み関連因子の詳細な関係性を分析しました。その結果、腰痛によって重量物を持ち上げる際に体幹運動速度が緩慢となり、その緩慢さには動作中に腰部に生じる痛みでなく、過去の痛み経験によって引き起こされる運動への恐怖心が影響していることを明らかにしました。 本研究のポイント ■ 腰痛を有する就労者を対象に、重量物を持ち上げる際の体幹の運動障害と痛み関連因子の関係を詳細に分析した。 ■ 腰痛によって、重量物を把持して持ち上げる際の体幹伸展方向への運動速度が緩慢となっていた。 ■ 体幹の運動速度の低下には、動作中に生じる痛みではなく、過去の痛み経験によって引き起こされる運動恐怖が関与していることを示した。 研究内容 本研究は、腰痛のない就労者と腰痛のある就労者を対象にしました。三次元動作解析装置を用いて、床に置かれた重量物を持ち上げる動作を遂行している際の体幹運動を定量的に計測しました。身体各部位に貼付したマーカーの位置情報から、体幹の最大屈曲角速度と伸展角速度を算出しました(図1)。あわせて、「運動恐怖」、「破局的思考」、「不安」などの痛み関連因子の評価について質問紙を用いて行いました。 図1.体幹の運動学的分析方法 「重量物を取りにいく場面」に最大となる体幹屈曲角速度と「重量物を把持して持ち上げる場面」に最大となる体幹伸展角速度を算出した。 分析の結果、「重量物を取りにいく場面」の体幹屈曲角速度は両群で有意な差はありませんでしたが、「重量物を把持して持ち上げる場面」の体幹伸展角速度が腰痛群で低値を示しました。つまり、動作課題中に痛みを訴えた者は1名も存在しなかったにも関わらず、体幹の伸展運動が緩慢となっていたということです。 また、この体幹の伸展方向への緩慢さに影響する痛み関連因子を明らかにするために、媒介分析を用いた変数同士の関係性を分析しました。その結果、過去の痛み経験と体幹伸展角速度を媒介する因子として、「運動恐怖」が抽出されました(図2)。つまり、体幹の運動障害は、動作中に生じる痛みの強さによって影響されるのではなく、過去の痛み経験によって引き起こされる運動恐怖が原因であることが示唆されました。 図2.媒介分析の結果 過去4週間のうちに経験した痛みの強度と体幹伸展角速度は、運動恐怖によって媒介されることを示す(完全媒介モデル) 本研究の臨床的意義および今後の展開 就労者に生じる腰痛は、労働障害や労働生産性に悪影響を及ぼすため、その予防は喫緊の課題と位置付けられています。作業動作中に痛みがないにも関わらず、運動恐怖によって体幹の運動障害が出現している場合、いずれ腰痛の再発や遷延化を予兆するサインかもしれません。今後は、運動恐怖を減ずる介入によって運動障害が改善するかどうかを検証する予定です。 論文情報 Ren Fujii, Ryota Imai, Shinichiro Tanaka, Shu Morioka Kinematic analysis of movement impaired by generalization of fear of movement-related pain in workers with low back pain. PLOS ONE 2021 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 藤井 廉(フジイ レン) 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 森岡 周(モリオカ シュウ) E-mail: s.morioka@kio.ac.jp Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600
2021.09.15
変形性膝関節症の患者さんは自らの病状とどのように向き合っているのか?~理学療法学科教員
研究成果が、筋骨格系の疾患や障害に関する国際学術誌に掲載されました! ~保存的治療中の日本人変形性膝関節症患者の認識・考え・欲求~ 日本人の変形性膝関節症(膝OA)の患者さんは自分自身の病状をどのように捉え、どのように向き合っているのか?という疑問に対して、質的研究という手法を用いて調査した研究成果が、筋骨格系の疾患や障害に関する国際学術誌「BMC Musculoskeletal Disorders」に掲載されました。 論文のタイトルは「Perceptions, beliefs, and needs of Japanese people with knee osteoarthritis during conservative care: a qualitative study」(保存的治療中の日本人変形性膝関節症患者の認識・考え・欲求:質的研究)です。この研究は本学非常勤講師の香芝旭ヶ丘病院整形外科 藤井唯誌医師、奈良学園大学 池田耕二教授と瓜谷ゼミの学部生と共に行いました。 一般的になじみのある研究は主に「量的研究」と呼ばれるもので、数値化されたデータを収集し、その平均を求めたり、数値を比較したりすることで対象とする事象を明らかにしています。一方今回の研究は、膝OA患者さん一人一人に実施したインタビューデータを一言一句文字に起こし、患者さんの言動の内容を「質的研究」という手法によって分析しました。 ▲分析中のデータ その結果、インタビュー参加者の方々は、「膝OAになった原因の自己分析」をし、「膝の症状による日常生活での動きや動作に様々な困難」を経験しながら、徐々に活動に対して慎重になったり、他人に迷惑をかけたくないという思いを強めたりしながら、徐々に「心理的なバリア」を形成しておられました。一方でそのような状況に自分自身で対処するために、「痛みや動きにくさに対して自分なりの工夫」もしておられました。そのための情報として理学療法士など「医療専門者からの科学的根拠に基づいた情報」を求めている反面、現実は「メディアからの情報や口コミ」などに頼っていることが分かりました。また、心身の負担を軽減するために「同じような境遇の他者との繋がり」を求めていることも分かりました。 今回の研究成果を基に日々の臨床での患者さんとの関わり方や、今後の患者さんの教育や自己管理の手助けになるような手段を掘り下げて考えていきたいと思います。 Uritani D, Ikeda A, Shironoki T, Matsubata K, Mutsura Y, Fujii T, Ikeda K. Perceptions, beliefs, and needs of Japanese people with knee osteoarthritis during conservative care: a qualitative study. BMC Musculoskeletal Disorders volume 22. 754. 2021. (無料で閲覧、ダウンロードが可能です) 健康科学研究科准教授 健康科学部理学療法学科准教授 瓜谷 大輔 【関連記事】 患者教育プログラムは変形性膝関節症患者さんの自己効力感の向上に有効か?~理学療法学科教員 「変形性膝関節症」に関する共同研究が論文として公表されました!~理学療法学科教員 変形性膝関節症に関する研究の途中経過が学会誌に掲載されました~理学療法学科教員 理学療法学科卒業生の卒業研究が国際学術雑誌に掲載!~理学療法学科 「足趾握力」に関する論文が国際誌に掲載!~理学療法学科教員
2021.09.13
第15回パーキンソン病・運動障害疾患コングレスで優秀演題賞を受賞!~理学療法学科教員
2021年7月1日(木)~3日(土)に開催された第15回パーキンソン病運動障害疾患コングレスで、理学療法学科の岡田洋平准教授が優秀演題賞 臨床部門(シニア)を受賞しました!岡田先生からレポートが届きました。 この学会は、パーキンソン病や運動障害疾患に関する国内の中心的な学会です。第15回は「根治への道標:見えてきた克服への道」という非常に力強いテーマで、対面とオンラインのハイブリッドで開催されました。様々な講演やプログラムは、疾患の原因、進行抑制に迫る非常に最新のトピックスから諸疾患やその診療に関する教育的な内容、数多くの演題発表と、非常に充実したものでした。 私は、「パーキンソン病の運動症状およびレボドパ換算量に対する長期理学療法の効果~メタアナリシス~」という演題で発表し、優秀演題賞 臨床部門(シニア)を受賞いたしました。今回の研究は、私がパーキンソン病の診療に関わり始めたころから長年取り組みたいと考えていたものです。内容は、パーキンソン病患者さんに6か月以上の理学療法を長期間実施することにより、運動症状を改善し、抗パーキンソン病薬の内服量を減少する効果があることに関するエビデンスを示したものです。今回の研究は、日本全国の研究者の先生方と共同で、研究の計画段階から実施まで先生方と話し合いを重ねながら実施しました。先生方と一緒にすることでやり遂げられた研究ですので、共同研究者の先生方には本当に感謝しております。今回の発表の内容は、先日Journal of Parkinson’s Diseaseから出版された論文のメタアナリシスまでの内容です。 パーキンソン病の発症を予防することとともに、発症した方のお身体の状態をいかに良い状態に保っていただくかも非常に重要なことだと考えております。私は理学療法士ですので、リハビリテーションの立場からできることを、他職種の方々と連携、共同しながら模索し、進めることができればと思います。今回の学会は、神経内科の先生方だけでなく、リハビリテーション専門職種、看護師、研究者(臨床、基礎)も参加されています。パーキンソン病・運動障害に関する最新の情報を得て、様々な人とつながることを通して新たなことが創発されうる場だと思います。学会長が、ご挨拶の中で「大事なことは会議室の外で決まる」と述べられた一言がとても印象的でした。COVID-19の影響は続いておりますが、気兼ねなく対面で話し合える日を楽しみにしつつ、今できることに精進したいと思います。 理学療法学科 准教授 岡田洋平 【関連記事】 パーキンソン病患者における長期間の理学療法の有効性-システマティックレビュー&メタアナリシス すくみ足があるパーキンソン病患者における歩行中の前方不安定性
2021.09.03
12/11(土)第1回 発達科学と小児リハビリテーション研究会(WEB)を開催します。
2021.09.01
パーキンソン病患者における長期間の理学療法の有効性-システマティックレビュー&メタアナリシス~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)の運動症状は疾患早期から認め、運動症状に対して抗PD薬や理学療法などのリハビリテーションを早期から継続して行うことが重要であることは広く認識されていますが、長期間の理学療法の効果に関するエビデンスは明らかにされていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの岡田 洋平 准教授(健康科学部理学療法学科、大学院健康科学研究科併任)は、日本全国の研究者と共同でシステマティックレビュー、メタアナリシスを行うことにより、疾患早期から中期のPD患者に対する長期間(6か月以上)の理学療法は、運動症状を改善し、抗PD薬内服量を減少する効果があることのエビデンスを初めて示しました。この研究成果は、Journal of Parkinson’s Disease (Effectiveness of Long-Term Physiotherapy in Parkinson's Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis)に掲載されています。 研究概要 パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)は、様々な運動症状や非運動症状を認める緩徐進行性神経変性疾患です。疾患の経過とともに、それらは徐々に進行し日常生活動作の障害が認められるようになります。抗PD薬による治療はそれらの症状を軽減しますが、疾患の進行とともにその内服量は徐々に増加します。抗PD薬の内服量の増加は、症状の日内変動や不随意運動などの副作用のリスクの増加につながります。一方、薬物療法とともに理学療法などのリハビリテーションを継続して長期間行うことが重要であることは広く認識されています。長期間の理学療法を継続して実施することにより、抗PD薬の内服量を過度に増加させることなく、運動症状の増悪を軽減できることが望ましいと考えられます。 これまで、PD患者に対する理学療法の運動症状や日常生活動作を改善する短期効果に関するエビデンスは示されておりましたが、長期間の理学療法の運動症状や抗PD薬内服量に対する効果に関するエビデンスは検証されておりませんでした。そこで、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの岡田 洋平 准教授(同 健康科学部理学療法学科、大学院健康科学研究科併任)は、日本全国の研究者と共同で、 PD患者に対する長期間の理学療法の効果に関するシステマティックレビュー、メタアナリシスを行い、長期間の理学療法は抗PD薬の薬効状態が悪い状態(オフ期)の運動症状を改善し、抗PD薬内服量を減少する効果があることのエビデンスを初めて示しました。 本研究のポイント ■ パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者に対する長期間の理学療法の効果に関するシステマティックレビュー、メタアナリシスを実施した。 ■ 疾患早期から中期のPD患者に対して、長期間(6か月以上)の理学療法を行うことにより、運動症状が改善し、抗PD薬内服量を減少する効果があることのエビデンスが初めて示された。 研究内容 2020年8月までに出版されたPD患者に対する理学療法の効果に関するランダム化比較対照試験(Randomized controlled trial: RCT)を複数のデータベース(Pubmed,Cochrane Central, PEDro, CINAHL)を用いて検索しました。特定された2940件の研究を対象にペアで厳密にスクリーニングした結果、疾患早期から中期(ヤール分類1-3)のPD患者を対象に、6か月以上の理学療法を行い、運動症状、日常生活動作、抗PD薬内服量に対する効果について検証しているRCTが10件同定されました(図1)。 今回のシスティックレビューでは、抗PD薬の薬効状態による運動症状に対する効果の差異について検証するため、評価時の薬効状態が明確なRCTのみを対象としました。 図1.PRISMA声明に基づくシステマティックレビューの過程 © 2021 Yohei Okada 4つのデータベースの検索と、Narrative reviewなど他の情報源から抽出したものを合わせた2940件の研究を対象に、タイトル・抄録、全文にてスクリーニングした結果、10件のRCTが解析の対象となった。 薬効状態の良好なオン期、不良なオフ期の運動症状、日常生活動作、抗PD薬内服量に関する結果を抽出し、メタアナリシスを行いました。その結果、長期間の理学療法はオフ期の運動症状を改善し、抗PD薬内服量を減少する効果があることが明らかになりました(図2)。 図2.理学療法の効果(vs 介入なし/コントロール介入)に関するメタアナリシスの結果 長期間の理学療法が、介入なし/コントロール介入と比較して、オフ期の運動症状を改善し、抗PD薬内服量を減少する効果があることが示された。 研究グループは、PD患者は薬物療法を継続していると、薬の効果が持続せず薬を飲んでいてもオフ期に運動症状の増悪を認めることが多いため、長期間の理学療法によりオフ期の運動症状が改善することのエビデンスが明らかになったことは、PD患者にとって意義深いと考察しています。また、長期間の薬物療法に伴い、抗PD薬の内服量が増加すると、PD患者が症状の日内変動や不随意運動などの副作用が出現・増悪するリスクが高くなり、社会にとっても医療費増大につながる可能性が考えられます。したがって、長期間の理学療法により抗PD内服量が減少することは、抗PD薬内服量増加に伴う副作用の発生リスクや医療費増大の抑制に寄与する可能性があり、PD患者やその家族にとってだけでなく、社会にとっての意義が大きいとも言及しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究により、PD患者に対する長期間の理学療法が運動症状を改善し、抗PD薬内服量を減少する効果があることのエビデンスが初めて示されました。本研究成果は、PD患者が疾患早期から理学療法を継続して行う動機づけにつながり、抗PD薬内服量増加に伴う副作用出現や増悪のリスクの低下、医療費増大の抑制にも寄与することが期待されます。本研究では、介入方法による長期理学療法の効果の差異についても検討したが、研究数が少なくエビデンスの質としては十分でなかったため、今後有効な介入方法についても再度検証する予定です。また、PD患者に対するより長期間の理学療法の効果や運動療法以外の理学療法介入の効果についても研究する予定です。 論文情報 Yohei Okada, Hiroyuki Ohtsuka, Noriyuki Kamata, Satoshi Yamamoto, Makoto Sawada, Junji Nakamura, Masayuki Okamoto, Masaru Narita, Yasutaka Nikaido, Hideyuki Urakami, Tsubasa Kawasaki, Shu Morioka, Koji Shomoto, Nobutaka Hattori Effectiveness of Long-Term Physiotherapy in Parkinson’s Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Parkinson’s Disease, 2021 関連ページ 本研究のPROSPERO登録 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 岡田 洋平(オカダ ヨウヘイ) E-mail: y.okada@kio.ac.jp Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600
2021.08.30
令和3年度「チーム医療ふれあい実習」レポート
畿央大学では、理学療法学科1回生、看護医療学科1回生、健康栄養学科臨床栄養コース2回生の学生が、入学後早期にチーム医療の実際にふれ、職種間の協働の重要性にについて学ぶ「チーム医療ふれあい実習」を行っています。昨年度に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、ほとんどの学生が臨床の場で実習を行うことが困難となりました。そのため、学内という限られた環境であっても学生にとって有意義な学びの機会となるよう、各教員が工夫を凝らしたプログラムを実施しました。 今回、看護実習室を模擬病棟と見立てて、病気を体験した方やそのご家族にご協力いただき「病を持つ人へのインタビュー」を実施しましたので、ご紹介します。 事前学習として闘病記を読み、病を持つ人とはどのような人なのか、そのような人を支える医療者のあり方についてグループワークを行います。病気を体験したことがない学生にとっては、このグループワークが病気を体験した方の想いを知る機会となります。 インタビュー当日は、このグループワークでの学びや疾患について学習した内容をもとに、各グループで質問内容を考え何度もインタビューの練習を行いました。また、学生自身がベッドメイキングをし、模擬病棟として看護実習室の環境を整えました。 インタビュー前は、かなり緊張した様子の学生たちでしたが、ご協力いただいた皆様方の温かい笑顔に緊張もほぐれた様子でした。積極的に質問するだけでなく、学習したコミュニケーション技術を活用することができた反面、フェイスシールドとマスクを着用してのコミュニケーションの難しさを実感した場面もありました。また、お子さんが小児科病棟で長期入院されていた方は、入院中のお子さんの記録、看護師さんからプレゼントされたカード、「勇気のビーズ(Beads of Courage®)」を見せてくださり、医療者に励まされた体験を語ってくださいました。 どのグループも設定していた時間では足りないほど、充実したインタビューを実施できました。 参加した学生からは、以下のような感想がありました。 今回病を持つ方々にお話を聞いて、医療従事者が実際に行っていることや、視点の違いについて学ぶことができました。また、コミュニケーション能力について改めて見直すきっかけになりました。どれだけ教科書の勉強をしていてもいざ行動に移すとなると難しく、実際に体験することで感じることや学ぶことが大きかったです。今後は話を聞いて考えたことを、考えて終わりではなく、自分が何をできるのかを常に考え、行動していきたいと思います。貴重な時間をありがとうございました。 池上 真由 病をもつ方に直接お話しを聞く機会は今回が初めてでした。病気に気づいた時の気持ちや病の経験についてお話を聞くことができ、とても良い経験になりました。また、医療者に求めることについても聞くことができ、自分たちがめざすべき医療者像をイメージすることができました。貴重な時間を割いていただきありがとうございました。 上垣 穂乃佳 初めて実際に病を持つ方とお話をする機会を用意してくださり、教科書で学習するだけではわからなかった、実際の医療現場のイメージやそれぞれの患者さんが抱く思いを知ることができました。今回の実習で、立派な医療従事者になろうと改めて強く思い、頑張ろうと思うことができました。 梅澤 津柚乃 病を持つ方々から話を聞いて、自分たちが想像していたことよりももっと細かいところや、身近なところで辛さを感じていることがわかりました。私は病名を聞いた時には、その治療の際の副作用などが辛いと予想していました。しかし話を聞いて、治療の前段階や、外見での辛さなど、予想していなかった答えが返ってきました。このことから、私たちは患者さんとは違う視点で見ていることがわかりました。話を聞いて、今まで自分が見ていた視点とは違う視点から病を持つ方々の気持ちを知ることができました。そして、病を持つ方自身が前向きな気持ちでいることができるのは、身近な人の支えのおかげという話も聞かせていただきました。家族の次に患者さんの気持ちの近くにいるのは看護師であり、少しだけの会話であっても積み重ねていくと大きいものになっていくので、小さなことの積み重ねで患者さんに寄り添っていくことが大切であると思いました。今後医療従事者になるにあたって、今日お話していただいたことを生かして、患者さんから信頼してもらえるような看護師になります。 吉森 玖実 今回の実習は「学内でどれだけのことが学べるのだろうか」と、教員自身も不安を抱えながらのスタートとなりました。しかし、多くの皆様方にご協力をいただき、学生自身の「学びたい」という強い想いも相まって、実習開始時には想像もしなかったような学生の成長を見ることができました。一人ひとりの学生がしっかりと自分の役割を果たし、まさに「チーム医療」という姿を見せてもらいました。 今回の実習での学びを忘れずに、患者さんを尊重し、患者さん中心のチーム医療が提供できる医療者となってくれることを願っています。 理学療法学科 准教授 前岡浩 健康栄養学科 助教 柴田満 看護医療学科 講師 中西恵理 【関連記事】 令和元年度「チーム医療ふれあい実習」実践発表会を開催!~理学療法・看護医療・健康栄養学科 平成30年度「チーム医療ふれあい実習」実践発表会を開催しました! 平成29年度「チーム医療ふれあい実習」実践発表会を開催しました! 平成28年度「チーム医療ふれあい実習」を終えて