2014年の理学療法学科の新着情報一覧
2014.07.10
宇陀市連携「子ども元気体操づくり・子ども体力測定」プロジェクト、進行中!
畿央生が中心となり、体操の動作や音楽づくりが本格化しています! 2014(平成26)年6月に宇陀市と包括連携協定を締結した畿央大学では、健幸都市「ウェルネスシティ宇陀市」構想の具体策を実施するため、『子ども元気体操づくり・子ども体力測定』に取り組んでいます。 5月24日(土)宇陀市最大の約180名規模の幼保児童を擁する大宇陀幼児園で、隣接する交流ドーム体育館内で25m走・テニスボール投げ・足指握力等の測定を行いました。当日は保護者参観日とし保護者に対して、畿央大学の理学療法学科福本貴彦先生、健康栄養学科柴田満先生による講演会も実施しました。子どもたちは宇陀市内のあちこちから送迎バスに乗って通園しており、また普段から保護者の車に乗っての生活習慣になっているようで、足腰の弱さが体力測定結果に出ています。 この測定結果を踏まえて、体力向上に有効な「幼児向け体操」および体操の「音楽」づくりに取り掛かっているところです。 2014(平成26)年7月8日(火)小体育館に、現代教育学科辰巳智則先生、理学療法学科福本貴彦先生、音楽の非常勤講師吉田はるみ先生、教育学部生4名が集まって体操と音楽のラフイメージづくりを行いました。 ホワイトボードに各自が思いついたダンスアイデアと楽曲の骨組みを記録していきます。このダンス・音楽部会は学生7~8名の構成とし、この日は2回目の集まりで4名が参加しました。小さなパーツをいくつか作って組み合わせて、子どもたちと保護者らが無理なく楽しく繰り返し踊れるダンス体操づくりをめざします。 辰巳先生からは幼児体操の特性について話して頂き、学生たちは思いつきを次々に書きとめ体操の動作として表現してみます。その一部始終をビデオ録画や写真に収めて、次回の打合せに活かしていくことにしています。 【関連記事】 2014年5月24日 宇陀市連携「子ども元気体操づくり・子ども体力測定」 TASK(健康支援学生チーム)活動レポート vol.2 ~幼児園での体力測定に協力!
2014.07.08
第25回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました!
こんにちは、理学療法学科6期生の小西佑と申します。 2014年6月22日(日)に、本学理学療法学科卒業生が主体的に活動している勉強会であるKSM(Kio Study Meeting)がとり行われました。 今回で第25回目の開催となった本勉強会には、今春から参加させて頂いている僕自身、3回目の参加となりました。 今年度からは、各勉強会で一貫性を持った知識を共有するために、各々が実際に臨床現場においてよく担当する疾患である「中枢性疾患」、「腰痛」を固定テーマとし、もう一題を「自由テーマ」と設定することで、勉強しています。 テーマを設けてから3回目となる今回の勉強会では、 中枢テーマには及川さんによる「頭頂葉の機能解剖と失行」 腰痛テーマには南さんによる「腰痛の保存療法」 が発表され、 自由テーマでは前回に引き続き、腰痛を持っている参加メンバーの実演検討会としました。 初めに発表された及川さんによる頭頂葉の演題では、頭頂葉の機能解剖を復習することで、改めてその部位を障害された患者様がどのような病態を呈しうるか、特に失行症状についての議論を交わすことが出来ました。 また、頭頂葉の障害を受けた患者様に対して、実際に理学療法を実践していく上で、どのように思考していくべきか、どのようなアプローチの工夫が必要か、といった話まで発展することができました。 次に発表された南さんの演題では、腰痛治療の第一選択となることが多い保存療法について発表されました。 前々回の「急性期の腰痛」、前回の「腰痛患者の評価、治療戦略」と勉強してきた、いわゆる急性期の腰痛についての疫学や理学療法的評価・治療の視点から、保存療法について、その対象となる原因や時期、保存療法の一手段としての運動療法、ひいては理学療法評価の視点で、実際の症例を提示しながら検討形式で発表されました。 議論の中で、腰痛診療ガイドラインの捉え方や、腰痛の発生機転・再発予防について、各々が考える意見を交換する事が出来ました。 最後の自由テーマ枠は、実演形式での腰痛に対しての検討会でした。 ここでは、腰痛の愁訴がある参加メンバーに対して、問診やフィジカルアセスメント、動作観察を他の各メンバーが実施し、その方法論や、理学療法進行についての考え方の討議がされました。 働く場所や働いた年数、勤務する環境、分野の違うメンバーそれぞれが、得手不得手とする知識・技術を提供しあい、補完しながら進行していくため、個人的にはこの場で得るものは目新しい視点に溢れており、非常に有意義な時間を過ごすことができます。 今回で25回目となる本勉強会は、その活動を2年以上続けている勉強会です。 自主的に卒後教育に取り組む素地を作った先輩方とその行動力、2年以上もモチベーションを維持しながら活動を続けてきた継続力には尊敬しています。 また、25回の開催にわたって、そのほとんどの活動の場所を提供して下さる大学の先生方、関係者の皆様には感謝しております。 多数の人の理解と協力があって活動できるこの環境に感謝し、卒業してからも自分自身を高めるために訪れられる畿央大学の存在に、卒業生として誇りを持ちながら、これからも邁進していこうと思います。 理学療法学科6期生 小西 佑 【今までの記事】 第24回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました! 第23回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました! 第22回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました!
2014.07.07
京都大学鳥人間コンテスト出場チームShooting Starsを今年も応援しています。
読売テレビ「第37回鳥人間コンテスト」7月27日(日)にフライト決定 京都大学Shooting Starsの悲願の優勝を支援しています! 畿央大学理学療法学科の教員有志(田平先生、福本先生、松本先生)は、京都大学鳥人間コンテストチームShooting Starsのパイロット学生の体力測定で今年も支援しています。 読売テレビ「鳥人間コンテスト」は毎年7月下旬の土曜日と日曜日の2日間、琵琶湖畔彦根市松原水泳場で開催され、今夏で37回目となります。 京大Shooting Starsは今年で20回目の古豪出場チームで一昨年は滑空部門835.38m4位、過去に2度、3位までこぎつけています。昨年は出場対象からはずれましたが、今年こそ優勝をめざし一丸となって頑張っています。 2014(平成26)年7月2日朝早くから今年のパイロット來山典弘君(きたやまのりひろ、京大工学部3回生)が体力測定のために来てくれました。來山君は昨年3月にも本学で体力測定を行ない、その年にフライト予定だったのですが、惜しくも京大チームが不参加になりました。そして今年のパイロット候補だった野尻勢君(総合人間学部2回生)が体調不良のため急遽來山君がカムバックすることになり、現在体力づくりに励んでいるところです。 來山君の運動負荷を与えたときの筋力、持久力、心電図異常、心拍数、運動耐用能力などを測定したところ、以前の数値より良い結果が出ていました。 しかし、鳥人間コンテストでは当日の天候、風向き、機体の状態、もちろんパイロットの体調や舵取りの勘など様々な要素が飛距離を左右します。2012年は風にあおられたのと機体トラブルが重なって1,000mを超えられない残念な結果に終わりました。自然条件は仕方ないとして、みんなで出来得る限りの事前努力は惜しまず、優勝をめざしています。 第37回鳥人間コンテスト人力プロペラ機ディスタンス部門、7月27日(日)の京都大学Shooting Starsの飛行をお楽しみに! 【関連記事】 2012年夏のフライト参加当日のレポート 2012年のメディカルサポートの様子
2014.07.04
大学院生の論文が、神経心理学雑誌に掲載!~健康科学研究科
6月25日発行の「神経心理学」(2014 Vol.30 No.2)に私が修士課程在籍中に行った研究内容をまとめました「脊髄損傷者の下肢運動イメージ能力」が掲載されました。 (http://www.neuropsychology.gr.jp/journal/journal_j.html) 本論文では、脊髄損傷者を対象として下肢の運動イメージ能力について調べました。運動イメージの評価にはTime dependent motor imagery スクリーニングテスト(TDMI)とThe Kinesthetic and Visual Imagery Questionnaire(KVIQ)の2種類を用いました。TDMIは運動イメージの時間的側面を評価し、KVIQは運動イメージの鮮明度を「視覚イメージ」と「運動感覚イメージ」に分けて評価します。分析では、脊髄損傷者をさらに完全損傷者と不全損傷者に分類して運動イメージ能力の比較を行いました。結果は、脊髄損傷者で運動イメージの時間的側面は維持されていましたが、不全損傷者では視覚イメージが低下していることが明らかにされました。それとは逆に、完全損傷者では健常者と同様に視覚イメージが運動感覚イメージより高い鮮明度を示す傾向にあることがわかりました。 今回の研究は、脊髄損傷者の運動イメージの特徴を明らかにした初めてものであり、脊髄損傷者の病態を理解する上での有用な資料になることを期待しています。今後は、脊髄損傷者に対する運動イメージを利用した治療法を模索・提案していくとともに脊髄損傷者の様々な病態について理解を深めていけるよう研究を進めていきたいと考えています。 普段、私は理学療法士として病院に勤務し、脊髄損傷者のリハビリテーションの援助をさせていただいております。そのような日常で感じた疑問に関して、大学院の研究で明らかにすることができ、うれしく思っております。掲載された論文が、少しでも脊髄損傷後のリハビリテーションに生かされることを願っております。 また、掲載された「神経心理学」は、1985年に創刊された歴史ある雑誌です。神経心理学は、脳損傷や発達障害による高次脳機能障害を中心とした脳に関連する様々な内容を取り挙げる分野になります。脊髄損傷自体では脳損傷が伴うわけではありませんので、脊髄損傷後の脳機能について取り挙げられることは少ないのが現状です。その中で、私の論文が神経心理学に掲載されたことは、非常に光栄に思っております。理学療法士のフィールドのみならず、色々な立場の方に見ていただけることは、これからの私の研究の糧になると感じています。さらに、今後も社会に貢献していけるよう研究に取り組み、公表していきたいと思います。 最後に、研究に快く協力してくださった脊髄損傷者の皆様、ご指導いただきました森岡 周教授、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志客員講師、研究内容についてアドバイスしてくれた研究室の仲間達にこの場をかりてお礼を申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科博士後期課程 神経リハビリテーション学研究室 佐藤剛介
2014.06.25
第24回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました!
2014年(平成26年)5月25日に理学療法学科卒業生による勉強会KSM(Kio Study Meeting)が開催されました。 畿央大学6期生の藤原がブログを担当させていただきます。 KSMは畿央大学理学療法学科の卒業生が立ち上げた勉強会ですが、現在は4期生、6期生のメンバーが参加しており、急性期・回復期・クリニック・デイサービス・訪問サービス・自費診療領域などさまざまな臨床領域で働いている卒業生、また経験年数もさまざまで、広い視点でのテーマ・ディスカッションができています。 前回から中枢領域・整形領域・自由テーマといったようなテーマを絞って、体系的に行っています。 今回は中枢テーマでは佐藤さんによる「延髄レベルでの出血にて障害を生じた症例に関する発表」、自由テーマでは中田さんによる「腰痛症患者の評価、治療戦略といった実技」の2本でした。 佐藤さんの症例検討は、画像所見から予測した疾患の障害像の予測から実際の患者さんの動作をみんなで行い、身体機能面での評価の検討やそれぞれの視点から問題点の抽出を行い治療戦略を立案しました。多くの視点からのディスカッションができその患者様のADL(Activities of Daily Living/日常生活動作)向上に向けて前向きな意見交換ができました。 次に、中田さんの実技では、参加メンバーで腰痛を持っている3名を被験者として、みんなで問題点を話し合い、実際に治療を行い、治療効果を検討しました。 それぞれの訴えやアライメントなどを実際にみんなで検討することでより理解が深まり臨床の幅が広がりました。 さまざまな環境で経験を重ねたメンバーが、そのひとの症状や生活を改善する、といったひとつの目標に対して、経験や知識、技術、考えを共有することで、また臨床での患者様に反映できています。 学校でのつながりを深めることができる環境に本当に感謝です。 理学療法学科6期生 藤原 菜津 【今までの記事】 第23回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました! 第22回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました! 第21回 KSM(Kio Study Meeting)を開催しました!
2014.06.24
運動器リハビリテーションセミナー(基礎編)を開催しました!
2014年6月22(日)、『運動器リハビリテーションセミナー2014』基礎編を開催いたしました。 このセミナーは2012年度から始まり、今年で3年目になります。セミナーは基礎・応用・臨床・実践の4編構成になっており、リハビリテーション専門職種に対して運動器を基礎から最新の知見までを系統立てて学べるようになっていますが、今年度からは臨床編を「下肢」、実践編を「歩行」に重点をおき、更に専門的な学びをめざしています。 当日はあいにくの雨模様でしたが、熱心に聴講されていました。近畿圏を中心に全国から参加いただいた約45名のほとんどは20~30代の理学療法士で、若い世代のモチベーションの高さを実感し、そのパワーを分けてもらったように思います。運動器リハビリテーションセミナーは、リカレント教育として畿央大学理学療法学科卒業生の受講者が多いのが特徴ですが、今回は5月末に完成したばかりの新校舎P棟P203教室を利用して行われ、卒業生にとっても新しい校舎で最新の知見を学ぶ良い機会になったようです。 1限目は峯松亮先生が「骨の知識」について、運動器リハビリテーションの基礎となる解剖学を中心に話されました。 2限目は今北英高先生による「筋の知識」について、先生自身が昨年取り組んでこられたアメリカでの在外研究での研究結果なども交え、最新の知見を学びました。 3限目は瓜谷大輔先生が「関節の知識」について、靭帯のバイオメカニクス的特性や骨密度などを関連付けて分かりやすく講演されました。 4限目は福本貴彦先生から「バイオメカニクスの知識」について力学的な観点からのリハビリについてお話されました。 受講者アンケートでは、運動器の基礎を再度復習でき最新知見が取得できた、体幹について学びたいなどのご要望をいただきました。運動器リハビリテーションセミナーは、それぞれの分野のスペシャリストが全力で講演しておられます。講師陣も若い人たちに負けないように引き続き切磋琢磨し、「畿央大学運動器リハビリテーションセミナー」をより発展させていきたいと考えております。引き続き、応用編(8月)、臨床編:下肢(10月)、実践編:歩行(2015年2月)と続きます。現在も、継続して受付しています。ご来場をお待ちしております。
2014.06.18
平成26年度 畿央大学ニューロリハビリテーションセミナー(基礎編)を開催しました。
平成26年6月14日(土)、15日(日)に「平成26年度 畿央大学ニューロリハビリテーションセミナー(基礎編)」を開催いたしました。 今年度のスタートとなる「基礎編」は、明日からの臨床現場ですぐに使えるような情報というわけではなく、その名の通り「基礎」に重点を置き、脳の構造と機能に関する情報をメインとしたセミナーです。 日本全国から約300名(うち卒業生約20名)の皆さんにご来場いただきました。 「基礎編」は、講師陣がリハビリテーションに必要な情報を選択した内容となっていましたので、今回の「基礎編」を理解することによって、「応用編」や「臨床編」で紹介される内容の理解により一層の深みが出てくると思います。 脳の構造と機能は非常に複雑なこともあり、やや情報過多となってしまったかもしれません。 そのため、セミナーで配布する資料には引用元が記載されており、必要な時に詳細を調べたりすることができるよう作成されています。 その結果セミナー後も、それぞれの臨床場面にフィッティングする情報を利用していくことができるというわけです。 また、初日のセミナー終了後には、学生食堂(新館)にて、約70名が集い、懇親会を行いました。 今年度のニューロリハビリテーションセミナーは、まだ始まったばかりです。 これに続く「応用編」「臨床編」「研究編」も良い情報を提供したいと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 特任助教 大住倫弘
2014.06.17
平成26年度の奨励賞授与式を執り行いました。
平成26年度冬木智子特別奨励賞・畿央大学特別奨励賞の授与式が、6月12日(木)昼休み、C棟エントランスホールにて執り行われました。 「冬木智子特別奨励賞」は、冬木智子理事長の私財の寄附により設立された特別奨励基金により、冬木学園各校に在籍し、学業・人物・諸活動で優秀な成績を上げた学生に、表彰状ならびに奨励金20万円を贈るものです。畿央大学では、各学科から1名、合計5名が選ばれました。 「畿央大学特別奨励賞」は、学業成績、人物ともに優秀な学生に対し、さらなる活躍を期待し、表彰状ならびに奨励金10万円を贈るもので、各学科2~4回生の各1名(教育学部は各2名)、合計18名が選ばれました。 教職員、学生たちが見守るなか、冬木智子理事長より表彰状と奨励金が一人ひとりに手渡されました。 授与後の挨拶のなかで、理事長は、卒業後の社会の中で、建学の精神である「徳をのばす、知をみがく、美をつくる」を実践し、ひろげていくことを願っており、在学中は、リーダーとしての自覚を持って、一層勉学と諸活動に励んで活躍してください、と語られました。 受賞した学生は、「とてもうれしいです。一層がんばります。」と決意を新たにしていました。 授賞された学生のみなさん、おめでとうございました。
2014.06.11
本学大学院生が日本理学療法学術大会で優秀賞を受賞しました!
2014年5月30日~6月1日に、パシフィコ横浜にて「第49回日本理学療法学術大会」が行われました。 基礎理学療法、神経理学療法、運動器理学療法、内部障害理学療法、生活環境支援理学療法、物理療法、教育・管理理学療法と分野が多岐にわたり、演題数は1500程度あります。今学会は、日本における理学療法士の学会で1番大きな学術大会です。 その中、「第48回日本理学療法学術大会(昨年度の学術大会での発表に対して)の表彰式」が行われました。 畿央大学から、冷水誠理学療法学科准教授、私(今井亮太)が優秀賞を授与しました。 このような名誉ある賞を受賞でき、本当に心から嬉しく思います。受賞の連絡を頂いたときは、喜びよりも驚きの方が大きかったことを覚えています。私は臨床4年目、また修士課程2年目であり研究歴は非常に短いです。こんな自分が優秀賞を受賞して大丈夫であろうかと、心配になり不安にもなっています。しかし、これに恥じぬように精進していくしかないと思っています。 本学の神経リハビリテーション学研究室では、多岐にわたる分野で研究がされています。そのため、予演会などでは、様々な視点から活発な意見交換が行われます。また本研究室では、他人の研究でも自分の研究のように考えています。このような背景が、優秀賞に導いてくれたと思っています。 理学療法学科の冷水准教授は、基礎理学療法部門での受賞であり、演題名は「立位バランス学習における自己運動観察によるフィードバック効果の検証」です。これは、効果的な運動学習をもたらす視覚フィードバックを用い、自分の運動を観察させるビデオフィードバック学習と、他者の運動を観察することで運動学習効果がある観察学習との学習効果の違いに関して、脳活動を含めて明らかにされています。結果、バランス学習において他者観察による観察学習効果ではなく、自己観察によるフィードバックによって有意な学習効果が認められました。これは、自己観察により自己の運動感覚情報との誤差を視覚的に明確に認識することができ、次の試行に対して修正した新たな自己運動イメージを形成することができたことによるものと考えられます。これを裏付けるように、課題試行時の脳活動では、他者観察群が運動イメージに関連した領域の広範な活性化を認めたのに対し、自己観察群ではこれらの限局した領域の活性化が認められていました。理学療法の意義として、健常成人を対象としたバランス学習において、簡便なビデオを用いた自己観察学習が有効である可能性を身体パフォーマンスおよび脳活動レベルにおいて見いだすことができましたので、今後、症例研究を進めることにより、臨床上有用なバランス学習における介入手段への発展に繋がると考えられます。 私は物理療法部門での受賞であり、演題名は「撓骨遠位端骨折術後に対する腱振動刺激による運動錯覚が急性疼痛に与える効果」です。これは、術後患者に対し、あたかも自分の手が動いているかのような錯覚を惹起させることで、痛みや不安などの心理面、関節可動域の改善が得られるかどうか検証しています。結果、運動錯覚を生じさせない群よりも運動錯覚を生じさせた群の方が1週間後の痛み、心理面、関節可動域に有意な改善が見られました。また1ヵ月、2ヵ月後まで評価しており、そこでも有意な改善が認められました。手術後翌日より、運動に対する痛み経験や不安を持つ患者に対して、腱振動刺激による運動錯覚を惹起させることで、運動に対する不安や恐怖感を改善させることにより、痛みや関節可動域の改善につながることを確認しました。理学療法の意義として、疼痛理学療法においては、対象の不動期間、痛み経験、破局的思考、不安を考慮することが重要になります。腱振動刺激は痛みの知覚をさせることなく、運動錯覚を惹起させることが可能であり、術後翌日といった早期介入が可能な有効な手段であります。急性疼痛の軽減だけでなく、痛みの慢性化の発生を防ぐことができる可能性があることを臨床研究で示しました。 最後に、研究を最後までご指導し、優秀賞に導いて下さいました森岡周教授をはじめ、本学の神経リハビリテーション学研究室の皆様に深くお礼を申し上げます。ちなみに、森岡教授は発表前から「この演題であれば絶対優秀賞を獲得できる」と言われていました。今後も森岡教授のご指導のもと、少しでも社会に貢献できるように研究室の皆様と切磋琢磨し、取り組んでいきます。 畿央大学 大学院健康科学研究科 修士課程2年 今井 亮太(畿央大学理学療法学科卒業生) 【関連記事】 本学ニューロリハ研究センターのメンバーが、日本理学療法学術大会で25演題について発表!
2014.06.09
本学ニューロリハ研究センターのメンバーが、日本理学療法学術大会で25演題について発表!
2014年(平成26年)5月30日~6月1日にかけて、神奈川県のパシフィコ横浜にて第49回日本理学療法学術大会が開催され、森岡教授を中心とした畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター(以下、研究センター)の多くのメンバーが参加・発表を行いました。 本学会は、日本理学療法士協会が主催する理学療法に関する最も大きな学術大会であり、ニューロリハビリテーションのみならず、理学療法に関する多種多様な分野の学術的発表が行われます。 研究センターからは学部卒業生から院生、修了生そして教員までと非常に多くの者が演題発表を行い、関連演題も合わせると25演題にもおよぶ新たな知見を世に示すことができました。 なかでも、優秀な演題のみが選ばれる「セレクション発表」といわれるものがあり、これには林田(学部卒業生)・辻本(修士課程修了生・現生理学研究所)・今井(修士課程)・片山(修士課程)・大住(博士課程)の5演題が選ばれ、理学療法の更なる発展に向けた活発な意見交換を行いました。 また、大会での発表後は研究センターがより円滑に機能し、前向きな研究活動を行うために、総勢30名での懇親会も開催されました。 研究センターの特徴の1つとして、各々の地位や立場に関係なく非常に仲が良いという点が挙げられます。そのため、真面目な研究に関する話以外にも、お酒の場ならではの、くだけた話でも皆で共に盛り上がることができ、研究センター内の絆を更に強めることが出来ました。 また、この場には、研究センターと共同で研究を進めている、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の河島則天氏も参加してくださいました。 ここでは、研究センター内だけでの研究に留まらず、広く対外的に繋がりをもつことで、更に社会的意義のある研究へと発展させることのできる、前向きな場を得ることができました。 このように学会においては演題発表のみならず、他の研究機関や領域の研究者との交流も非常に重要な参加目的であります。 今回も多くのメンバーが自身の発表や意見交換を通じて、新たな問題意識や仮説を共有することによって、対外的な繋がりを新たに作ることができ、多くの研究機関とのコラボレーションに向けた大きな一歩を得ることができました。 このような対外的に新たな可能性を見出せるのは、研究センターの全員が単に研究実績のためだけでなく、真に臨床や社会に対して還元できる研究成果を見出したいという、強い未来志向的な意志があるためではないでしょうか。 その結果、領域や所属の垣根を超えて、前向きなコラボレーションを実現させていくのではないかと、私自身、身を以て実感することができた学会でありました。 そして、このような環境に身を置くことができる、本学大学院の環境の良さに関しても改めて実感することができ、今後の研究活動への意欲をより一層高めることができました。 最後に、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターは、未来志向的な意思のもと、センター内のみに留まらず、広く対外的な繋がりを形成し、真に臨床や社会に還元できる研究成果を公表できるよう、今後も更なる研究活動に励んでまいりたいと思います。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程2年 石垣 智也