SNS
資料
請求
問合せ

理学療法学科の新着情報一覧

2022年の理学療法学科の新着情報一覧

2022.04.22

長期間の理学療法が脊髄損傷後の神経障害性疼痛に及ぼす影響~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

ヒトには、痛みの感受性を低下させる疼痛抑制メカニズムが備わっています。有酸素運動は疼痛抑制メカニズムを賦活することが知られており、慢性疼痛の治療にも用いられています。脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対しても、有酸素運動により痛みが即時的に軽減することが報告されていますが、単回の介入による検討に限られています。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 佐藤 剛介 客員准教授ら は、長期間の理学療法(有酸素運動)が脊髄損傷後の神経障害性疼痛に及ぼす影響を頚髄不全損傷の単一症例を通して検証しました。 この研究成果は、Spinal cord series and cases誌(Long-term physical therapy for neuropathic pain after cervical spinal cord injury and resting state electroencephalography: a case report)に掲載されています。   研究概要 脊髄損傷後の神経障害性疼痛は、約半数近くで認められ様々な健康指標の低下を引き起こすことが知られています。脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対する介入として、様々なものが提唱されており、その中の一つに有酸素運動があげられます。車椅子駆動による有酸素運動は、脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対する即時的な鎮痛効果が得られることが明らかにされています(Sato et al. J Rehabil Med, 2017)。しかし、これまでの研究では、単回の介入による即時的な効果に限局されており、長期間の介入による鎮痛効果は検討されておらず、不明瞭なままでした。 本研究では、頚髄不全損傷者一例に対して、有酸素運動を含む長期間の理学療法が脊髄損傷後の神経障害性疼痛におよぼす影響を検証しました。加えて、本研究では、鎮痛効果の機序を明らかにするために、神経障害性疼痛のバイオマーカーである安静時脳波活動から得られるPeak alpha frequency(PAF)を指標として測定しました。   本研究のポイント ■ 長期間の理学療法により頚髄不全損傷者の上肢の神経障害性疼痛が軽減された ■ 有酸素運動として集中的歩行トレーニング(体重免荷式トレッドミル歩行トレーニング)を行い、痛み強度の軽減と運動野周辺で測定したPAFの高周波域へのシフトが確認された ■ 疼痛がある部位(上肢)に直接接触することなく、他の身体部位の運動を介して疼痛強度の軽減が得られた 研究内容 C5レベル残存の頚髄不全損傷者に対して、18週間の介入を行いました。 介入は7日/週の頻度で行い、1回の介入は40分間でした。4週~10週目の間には、有酸素運動を企図して体重免荷装置を用いた集中的歩行トレーニングを実施しました。安静時脳波活動は、1チャンネル脳波計を使用して測定しました。電極は、運動野に相当する領域に配置して閉眼状態で3分間測定し、PAFを算出しました。PAFは、α帯域のピークパワーを示す周波数で、視床-大脳皮質間の神経回路の活動を反映するとされており、高周波域へシフトしている場合に痛みの感受性が低下している状態であることを指しています。アウトカムは、脊髄損傷の評価としてInternational Standards for Neurological Classification of Spinal Cord Injury (ISNCSCI)の運動スコアと感覚スコア、主観的疼痛強度と疼痛範囲、安静時脳波活動としてPAF、動作能力の指標として10m歩行テストとWalking Index for Spinal Cord Injury II (WISCIII)を2週間ごとに測定し、PAFについては入院時を基準として変化率(Δ)を求めました。 結果は、痛みの平均強度と最大強度のNRSスコアは6週間後に有意に減少し、ΔPAFは4週以降に有意に増加しました。ΔPAFの変化については、集中的な歩行トレーニングの開始と同時期に生じていました。ΔPAFは集中的歩行トレーニング期間の終了後に低周波域へのシフトを認めましたが、入院時よりも高周波域へシフトした状態が維持されていました(図1)。 図1:各評価の経時的変化 黄色で示した範囲は、集中的歩行トレーニングの期間を表しています。集中的歩行トレーニング開始後にΔPAFの増加と痛み強度の減少が認められています。さらに、集中的歩行トレーニング期間終了時にはPAFが低周波域へシフトしているものの、入院時を比べて高周波域にシフトしている状態が維持されています。   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、長期間の理学療法(有酸素運動)を行うことで頚髄不全損傷者の上肢の神経障害性疼痛が軽減できることを初めて報告しました。これは、継続した有酸素運動によって、痛みがある身体部位に直接触れることなく、痛みを軽減できることを示唆しています。さらに、有酸素運動を行っている期間は、PAFが高周波域へシフトしており、痛みの感受性が低下している状態であることを示しています。今後は、複数症例に対して長期的な有酸素運動の効果と安静時脳波活動への影響を調べるとともに、神経障害性疼痛の性質と有酸素運動による鎮痛効果との関係を詳しく検証していく必要があります。 論文情報 Sato G, Osumi M, Mikami R, Morioka S Long-term physical therapy for neuropathic pain after cervical spinal cord injury and resting state electroencephalography: a case report Spinal cord series and cases, 2022 関連論文 Sato G, Osumi M, Morioka S. Effects of wheelchair propulsion on neuropathic pain and resting electroencephalography after spinal cord injury. J Rehabil Med. 2017 Jan 31;49(2):136-143.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 客員准教授 佐藤剛介 E-mail: gpamjl@live.jp   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2022.04.19

学部卒で研究成果が「Brain Sciences」に掲載!理学療法学科13期生大西 空さんをインタビュー!

研究成果が国際誌「Brain Sciences誌」に掲載された理学療法学科13期生の大西空さん。実は学生時代は「不真面目だった」と語る大西さんに、理学療法士のやりがいや研究にのめり込んだきっかけなどについて語っていただきました! 今はどこで何を? 宝塚リハビリテーション病院で理学療法士をしています(4年目)。 どんな大学生でしたか? 特に、1-3回生の私はとても不真面目な生徒だったと思います。学校の定期試験は前日に1夜漬けして行くことが多く、日々の授業における復習も疎かにしていました。そのため、再試験となることが多く、実習先でも知識不足が原因で困ることが多々ありました。担任の前岡先生やゼミ担当の宮本先生には大変ご迷惑をおかけしたと思います。実習で実際の臨床現場を経験することを通して、理学療法士として働くやりがいや責任の重さを感じて以降、必死で勉強するようになったと思います。   ▼卒業式(宮本ゼミ)   ▼卒業式(13期生) 畿央大学での思い出 国家試験や定期テストの前に自習室で同じ学科の友人と夜遅くまで勉強したことや、息抜きにエコール・マミ(大学隣のショッピングセンター)でご飯を食べたことなど、楽しい時や忙しい時を同じ学科の友人と共有しながら過ごした時間は大切な思い出です。また、ソフトボール部にも所属しており、日々の練習や食事会などを通して他学科と交流できたことも貴重な時間でした。     ▼卒業式(ソフトボール部)   理学療法士として働くやりがい 患者さんの今後の人生に関わる仕事であるため、責任も伴いますがそこが大変やりがいを感じる点だと思います。病気を発症した患者さんに対して(症状が重くても軽くても)、これほどまで身近に回復や経過を見ることができる職種は少ないかと思います。特に、入院当初は自立歩行が困難であった担当患者が、屋外を笑顔で歩くことができるようになった際などには大変やりがいを感じます。   ▼fNIRSを用いて担当患者の臨床症状を評価・ディスカッションしている時 どうして研究を? 研究に興味を持ったのは、職場の尊敬する先輩方が熱心に学会発表や研究活動に取り組んでおり、患者さんに対する介入効果や入院してから退院するまでの経過をまとめることの重要性を教えていただいたことがきっかけです。現在は、自立歩行困難な脳卒中患者(特に運動麻痺重症例)に対して、どうすれば歩行能力の回復を促進することができるのか研究を進めています。   ▼宝塚リハビリテーション病院で新しい機材の使用方法をディスカッションしている様子 臨床と研究を両立する意義とは? 臨床をしながら研究をする意義としては、患者さんの機能や活動レベルの経時的変化を最も近くで評価できることだと思います。特に、担当患者における経時的変化は臨床で働いているからこそ観察する事ができる点だと思います。また、臨床現場で働くことで、従来の研究では明らかにされていない病態やアプローチに関するヒントを見つけやすいと思います。 研究がアクセプトされた感想は? 大変嬉しいです。特に、畿央大学の森岡先生をはじめ、普段よりお世話になっている宝塚リハビリテーション病院で務める先輩方のご指導を、このように形に残せたことを大変嬉しく感じています。   ▼第19回日本神経理学療法学術大会(宝塚リハビリテーション病院スタッフ) 最後にメッセージをお願いします! これから理学療法士をめざす方へ 理学療法士は本当にやりがいを感じる仕事です。患者の機能が1日前より少し良くなった、1日前より少し笑顔になった、などの日々の少しの変化を最も近くで見ることができる仕事です。私は理学療法士になり一度も後悔したことはありません。少しでも理学療法士に興味がある方々は是非頑張って下さい。 卒業研究を控える後輩の皆さんへ 卒業研究で学ぶことは今後研究をするかどうかに関わらず、臨床に出てから非常に役に立つことだと思います。特に、一つの疑問を解決するために、論文を探すことや周りの方と議論をすることは、臨床に出てからも患者さんへのアプローチを考える際の基盤になります。卒業研究を進めていくにあたり大変なこともあるかもしれませんが、必ずいい経験になると思いますので精一杯頑張って下さい。 同じく臨床研究を進める卒業生の皆さんへ 臨床研究における研究テーマは、日々の臨床を通して見つかることが多いかと思います。特に、対象患者に対するアウトカムや研究デザインを決めた上で、患者の症状における経時的変化をしっかり評価し先行研究と比較することが重要かと思います。目の前の患者を良くすることに加えて、これからの臨床の発展に向け一緒に研究を進めていく方が増えれば幸いです。     関連記事: 両側補足運動野への経頭蓋直流刺激が重症な運動麻痺を有する脳卒中患者の下肢運動機能に及ぼす影響:症例研究 | 畿央大学

2022.04.18

理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part2~「臨床現場・大学院」編

2022年4月に着任した瀧口述弘先生は、理学慮法学科の5期生(2011年3月卒業生)!理学療法学科では初の卒業生教員が誕生しました。瀧口先生っていったいどんな人なのか、インタビュー形式で全3回にわたってご紹介します。Part1「学生時代」編に続いて、「臨床現場・大学院」編です! 就職活動や臨床現場での経験について 就職活動は多くの施設に見学に行き、自身の希望に最も近いところをよく探すことをおすすめします。私は医聖会というグループの八幡中央病院、学研都市病院に11年間勤務しました。私のやりたいことを支援して下さり、私を成長させてくれました。自身のやりたいことができる施設を探して下さい。施設側もそれを求めているはずです。自身のやりたいことと施設が求めているものが合致すれば、内定もいただきやすいと思います。 臨床現場では、整形外科疾患の患者様を担当させていただくことが多かったです。私は3年間臨床現場で経験を積んだ後、2016年に畿央大学大学院 健康科学研究科修士課程に入学し、庄本研究室に入りました(2019年博士後期課程修了)。   疼痛(痛み)に対する電気刺激療法の研究を臨床現場で働きながら、研究を続けてきました。 ▶瀧口先生の研究成果(リサーチマップ)     ▼瀧口先生も卒業生として出演!「今の仕事のやりがいは?」理学療法士編   学会発表について 私は大学院に入学してから、毎年3回以上は学会発表をしていました。国際学会でも2回発表し、デンマークに院生仲間と行ったのはとても良い思い出です。   デンマークでは私の研究している経皮的電気神経刺激の世界的権威の先生の一人であるリーズ大学のマーク・ジョンソン先生にお会いすることができ、先生の公式Facebookアカウントに私の研究を紹介して頂くサプライズもありました!   ▼マーク・ジョンソン先生との1枚       学会発表は施設外の多くの先生と知り合え、話し合える貴重な機会です。私も多くの出会いがあり、多くの刺激を頂きました。学会発表は理学療法の発展にはもちろんですが、自身の成長のためにも不可欠なものです。   ▼院生と学会発表でデンマークに行った際の1枚     仕事と研究の両立について 私は学部生の時にゼミ活動でお世話になった庄本学科長に、臨床での質問をした際に、「それはまだわかってないことだから、大学院に入って研究して明らかにしてみてはどうか?」という話から大学院入学を決めました。元々、臨床経験を積んだ後、大学院進学を考えていたので、すぐに入学を決めました。 私は病院で働きながら、臨床研究、基礎研究を実施しました。研究をするようになり、理学療法は発展途上の学問であるという認識を強く持つようになり、ますます理学療法を勉強することが楽しくなりました。   理学療法士をめざしている高校生、学部生の方も、自らが理学療法を創っていくものだと思って下さい。ますます勉強することが楽しくなると思います!     次回Part3では、教員としてスタートした現在についてご紹介します!     理学療法学科 助教 瀧口 述弘     【関連記事】 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part1~「学生時代」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part3~「教員」編

2022.04.15

理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part1~「学生時代」編

2022年4月に着任した瀧口述弘先生は、理学療法学科の5期生(2011年3月卒業生)!理学療法学科では初の卒業生教員が誕生しました。瀧口先生っていったいどんな人なのか、インタビュー形式で全3回にわたってご紹介します。Part1は「学生時代」編です! 畿央大学を受験した理由、理学療法士をめざしたきっかけは? 高校生の皆さんで進路に悩んでいる方は多くいると思います。もしくは夢があり、明確に進路が決定している方もいるでしょう。私は前者で、明確に進路を決めていたわけではなく、理学療法士を初めからめざしたわけではありませんでした。 私は理系で、医療の道に進みたいという希望はありました。恥ずかしい話、当時の私の学力では医学部をめざすことは難しかったため、薬学部をめざすことになりました。もちろん、絶対に薬学部に入りたいと考えていたわけではありません。自分の当時の学力を考えて、薬学部をめざしただけでした。しかし、センター試験の結果、薬学部をめざすことは難しいと判断し、理学療法学科に急遽変更しました。私は和歌山県出身であり、実家との距離や教育の充実度を考えた結果、畿央大学を選択し、入学しました。 このように、私は明確に理学療法士をめざし、畿央大学に入学したわけではありませんでした。私のように進路に悩んでいる学生の方もいると思います。しかし、今となっては、全く後悔はしていなく、理学療法士は私にとって天職であると確信しています。 学生時代は充実していましたし、卒業後もやりがいを持って働くことができました。興味は尽きることなく、病院で働きながら大学院に進学し、理学療法士として様々の経験をした後に、畿央大学に教員として戻ることになりました。本当に幸せな日々を過ごしております。皆様にも同じような経験をしてほしいと思っています。   学生時代の授業で印象に残っていることは? 理学療法士になるためには多くのことを学びます。人間の身体や病気のことを学ぶための解剖学、生理学、運動学、病理学、内科学など、理学療法専門分野である運動器理学療法、神経系理学療法、呼吸循環理学療法、代謝系理学療法、老年系理学療法、予防系理学療法など… こう言うと大変そうで、自分には無理だと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。 畿央大学では各領域専門の先生がおられ、テーラーメイドで親切丁寧な指導をして頂けるため、授業についていけないということはないです。それよりも、先生方が熱い授業をして頂けたことで、授業がとても面白かったです。 当初は明確な目標もなく入学しましたが、畿央大学の授業を受けたおかげで、「絶対に先生方のような理学療法士になる!」と心に決め、朝4時に起きて自主勉強をするくらい、勉学にのめり込んでいきました。   授業以外ではどんなことを? アルバイト、サークル活動、そして友人達とよく遊んでいました。アルバイトは飲食店でしておりました。そこで他大学、他学科の友人ができ、様々な話が聞けてとても楽しかったです。サークルはSAPS(理学療法学生研究会)、軽音楽部、テニス部、バドミントン部などを掛け持ちして、広く浅く活動していました(笑)畿央大学は部活動、サークルは多いので、楽しめると思います。友人達とは食事に行ったり、買い物に行ったり、旅行に行ったりと本当によく遊んだと思います。卒業旅行ではグアムに行きました。今となっては全てかけがえのない思い出です。 理学療法士は人を相手に仕事なので、コミュニケーション能力は大事になります。机に向かっての勉強のみならず、様々な活動を通して人間性を磨いて下さい。 実習の経験を振り返って 私は実習ではくやしい思いをすることが多かったです。絶対うまくやる!と思って挑んだ臨床実習でしたが、なかなかうまくできず、悩み落ち込みました。しかし、今となっては、それは当たり前だと思っています。理学療法の学問はまだまだ発展途上の学問です。私達がこれからも創り上げていかなくてはいけない学問です。これは大学院での研究活動をすることで、より強く思うようになりました。 今でも私は完璧な理学療法を実践できておらず、勉強すべきことは沢山あります。ですので、学生時代の自分が完璧な理学療法ができるはずはありません。もちろん実習は最大限準備をして挑まなくていけませんが、完璧をめざすのではなく、現場での理学療法の実際を経験し、多くのことを感じてもらえたらと思います。   卒業研究の思い出は? 私は学科長である庄本ゼミに入りました。庄本先生と西大和リハビリテーション病院の技師長である生野公貴先生に指導を仰ぎました。学部生時代で一番楽しい時間でした。   ▼庄本先生とゼミ生の集合写真     卒業研究は臨床実習終了後に特に本腰を入れて実施しましたが、朝から夕方まで友人と研究と国家試験対策をし、夕食は友人とし、時には遊んだりもしました。理学療法士が幅広い視点を持つためにも、卒業研究を実施することは不可欠だと思います。   国家試験対策は? 国家試験本番までにいくつか模試を受けます。私は徐々に点数を上げていき、国家試験本番が最も点数が高かったです。国家試験対策勉強期間は長いので、中だるみしないことが重要だと感じています。国家試験は理学療法士になるための最後の砦です。特に4回生の皆さん!最後まで気を抜かないよう心がけていってください。     次回Part2では、就職活動を含む臨床現場での経験、大学院での経験をご紹介します!     理学療法学科 助教 瀧口 述弘     【関連記事】 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part2~「臨床現場・大学院」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part3~「教員」編

2022.04.13

2022年度新入生研修 学科別レポートvol.3~理学療法学科

畿央大学では入学後の不安を取り除き、担任や同級生との絆を深めるため、学科ごとに新入生宿泊研修を入学式直後に行っています。コロナ禍で一昨年は中止、昨年は感染対策を講じたうえで学内での1日開催となりましたが、今年度は3年ぶりに学外・日帰りで実施しました。新入生研修の第三弾!  理学療法学科の様子をお伝えします!! 2022年4月7日(木)に大阪ガーデンパレスにて、健康科学部 理学療法学科の令和4年度新入生研修が開催されました。この研修会は、新入学生に対し入学式直後に①様々な人々とのコミュニケーションを積極的に図り、今後の大学生活に役立てること、②理学療法士と本学の建学の精神「徳」「知」「美」との関係を考察し、理解を深めること、を目的としています。また、同じ目標に向かってこれからの学生生活を共に過ごす仲間たちと仲良くなることも大きな目的です。 今回、新入生83名、4回生2名、卒業生(13期生)2名、教職員3名が参加しました。   本来であればこの新入学生研修は一泊二日での実施になりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、この2年間は残念ながら中止あるいは学内で短時間での実施となっていました。しかしながら今回は、宿泊はまだ困難ですが、感染予防(検温、手指消毒、フェイスシールド、各机にパーテーション、昼食は黙食)をしっかりと行い、3年ぶりに学外で開催することができました。         研修では始めに、交流を深めるため自己紹介を行いました。学生の趣味や特技、経験したことなども聞くことができ、良い雰囲気になったかと思います。             引き続いて4回生、卒業生それぞれ2名の先輩から1回生に向けて、これからの大学生活および卒業後も「建学の精神」がいかに重要かということについて講演をしていただきました。講演では、大学での学習や部活・サークル、ボランティア活動、アルバイト、そして理学療法士としての多くの経験について、具体例を提示しながら講演していただきました。1回生にとって、これからの大学生活、そして将来の職業である理学療法士のイメージがさらに明確になったのではないかと考えます。     ▼南山智弘 先生(13期生)     ▼中山明里紗 先生(13期生)         ▼大石七海 さん(4回生)     ▼谷口遼真 さん(4回生)         昼食後は、「建学の精神と理学療法士を考える−すてきな理学療法士になるための4年間−」について、先輩の講演内容も含め、グループワークを行いました。どのグループも積極的に意見交換し、協力して課題に取り組んでいたと思います。各グループの発表では、すてきな理学療法士になるためには「建学の精神」が重要であり、そのためにこれからの大学生活をどのように過ごしていくかについてよく考えた内容が反映されていました。また、1回生にとってはこのような発表の経験も「知をみがく」良い機会になったのではないかと考えます。                               ※撮影時のみマスクを外しています     今回の新入学生研修での内容を忘れず、これからの学生生活の中で「徳をのばす」、「知をみがく」、「美をつくる」について行動に移し、“すてきな理学療法士”をめざしていただきたいと思います。 最後に、4回生は総合臨床実習の直前、卒業生は忙しい臨床業務にもかかわらず、1回生のために参加していただき、この場を借りて感謝申し上げます。     理学療法学科 教授 田平一行 理学療法学科 准教授 前岡浩 キャリアセンター  飯山知里       関連記事: 2022年度新入生研修 学科別レポートvol.1~現代教育学科 2022年度新入生研修 学科別レポートvol.2~看護医療学科

2022.04.05

令和4年度入学式を行いました。

2022(令和4)年4月4日(月)、健康科学部346名、教育学部194名、健康科学研究科40名(修士課程30名、博士後期課程10名)、教育学研究科修士課程2名、助産学専攻科10名、臨床細胞学別科6名、あわせて598名の新しい畿央大生が誕生しました。 学部は午前10時、大学院・専攻科・別科は午後3時からと2部にわけて入学式を行いました。       午前の学部生入学式は、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、冬木記念ホールで式典を開催し、その様子を中継して各学科の会場から視聴・参加して行われました。       冬木正彦学長が学科ごとに入学許可を行い、 つづく学長式辞では、”建学の精神である「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」を大切にしながら充実した4年間を過ごしてほしい”と力強いメッセージがありました。     新入学生代表として現代教育学科1回生 下柳田千晴さんから入学生宣誓が、在学生代表として現代教育学科3回生 岸維織さんから歓迎のことばがあり、閉式となりました。       式典後は、学科別に入学生ガイダンスが行われました。各会場でも手指消毒、換気などの感染予防策を徹底したうえで、1回生担任紹介や学生生活に関してのオリエンテーションが行われました。         当日は桜も綺麗に咲き、晴天に恵まれたあたたかい一日となりました。オリエンテーション後は、フォトスポットや入学式の看板の前で撮影する姿や、クラブ・サークルの勧誘ブースで先輩から紹介を受けている姿が見られました。               ※写真は撮影直前のみマスクを外し、声を出さないようにして撮影しています。             午後3時からは大学院健康科学研究科、教育学研究科、助産学専攻科および臨床細胞学別科の入学式が冬木記念ホールにて行なわれました。入学許可の後、学長、研究科長・専攻科長・別科長から祝辞をいただきました。     新入学生の皆様、入学おめでとうございます!皆様のこれからの学生生活が実りのあるものになるよう教職員一同全力でサポートしていきます。  

2022.04.05

香芝市政施行30周年記念事業の一環として本学教員監修の「フレイル予防体操」がリリースされました〜理学療法学科

  新型コロナウイルス感染症の流行により、介護予防に重要な役割を果たす地域高齢者の「通いの場」の多くが活動中止になっています。そこで、コロナ禍により生活不活発となり体力低下となる状態(フレイル)を予防し、通いの場へ再び参加できるようになるまでの間、自宅で1人でもできる簡単で低強度のオリジナル体操を作成することになり、香芝市地域包括支援センターの依頼により昨年度から監修として関わらせて頂きました。 体操は10分程度で立位でも座ってもできる簡単な内容ですが、作成委員会には市の保健師や事業を委託された健康運動指導士といった専門職だけでなく介護予防リーダー「KEEP香芝」の皆さんも参加され、体操のモデルとしても登場されております。市の作成する公式コンテンツ作成に、本学での介護予防リーダー養成講座から誕生した住民リーダーの皆さまと共に取り組めたことは感慨深いものがあります。長年、本学と市との連携事業として実施している「介護予防リーダー養成講座」は今年度も実施予定であり、このオリジナル体操を新たな強みとした新たな担い手の育成にも取り組んでいきます。   【関連記事】 平成30年度「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」修了式を行いました。     体操は香芝市公式Youtubeチャンネルで公開されており、またコロナ禍において高齢者が生活不活発にならないように過ごすためのポイントをお話ししたミニ講座も同時にアップされております。現在、香芝市ではご当地体操として身近に感じていただくために広報誌を通じて体操の名称が募集されていますので,良いネーミングがありましたら是非ご応募して頂ければと思います(採用されると香芝市マスコットキャラクター、カッシーのグッズが当たります)。   体操動画:https://youtu.be/Lvj37RgQQIw コロナ禍におけるフレイル予防について:https://www.youtube.com/watch?v=JHDIXglhojo     これまでも介護予防体操は奈良県の「誤嚥にナラん!体操」を初めとして天理市の「STEP体操」などいくつか制作に関わらせて頂きましたが、少しでも地域高齢者の健康寿命延伸や地域の活性化に繋がるように研究と地域貢献活動の二本柱で活動し続けて行きたいと考えております。   理学療法学科 高取克彦 地域リハビリテーション研究室ホームページ https://kio-community-rehab.studio.site/

2022.03.30

理学療法士98.7%、看護師・保健師・助産師100%、管理栄養士98.9%、小学校教諭77.8%、公立幼・保97.0%、養護教諭40.0%が現役合格!~2022年3月卒業生

  2022年3月下旬に理学療法士・看護師・保健師・助産師・管理栄養士国家試験の合格発表があり、2022年3月卒業生の合格実績がすべて出揃いました。3・4回生をコロナ禍で過ごした学年ですが、コロナ前と変わらない(資格によってはそれ以上の)合格率になっています。卒業生の皆さんのご活躍を心からお祈りいたします! 建学の精神である「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」のもと、在学生全員の夢の実現に向かってより一層の支援強化を進めていきます。 理学療法士98.7% 関西私大最多の16回目の卒業生となる理学療法学科では、75名が受験し74名が合格しました。おしくも7年連続全員合格は逃しましたが、過去10年間の現役合格率は99.7%(660/662)と全国随一の高水準を維持しています。 2022卒 2021卒 2020卒 2019卒 2018卒 受験者 75 61 76 64 72 合格者 74 61 76 64 72 現役合格率 98.7% 100% 100% 100% 100% 全国平均(新卒) 88.1% 86.4% 93.2% 92.8% 87.7% 2017卒 2016卒 2015卒 2014卒 2013卒 受験者 67 62 53 71 61 合格者 67 62 52 71 61 現役合格率 100% 100% 98.1% 100% 100% 全国平均(新卒) 96.3% 82.0% 89.1% 90.2% 94.0% 看護師・保健師・助産師2年連続100% 11回目の卒業生となる看護医療学科では、看護師国家試験85名、保健師国家試験に12名が挑戦し、どちらも見事に全員合格をはたしました。また、10回目の修了生となる助産学専攻科でも10名が10年連続となる全員合格をはたしました。 この結果、畿央大学としては看護職3資格のすべてで2年連続全員合格という、大変嬉しい快挙になりました。 2022年卒 2021年卒 2020年卒 2019年卒 2018年卒 看護師 100% (85/85) 100% (95/95) 98.9% (87/88) 100% (91/91) 100% (93/93) 保健師 100% (12/12) 100% (15/15) 92.3% (12/13)  100% (20/20) 100% (19/19) 助産師 100% (10/10) 100% (10/10) 100% (10/10) 100% (8/8) 100% (9/9) 管理栄養士98.9% 87名が受験し、86名(98.9%)が合格をはたしました。関西私大では2番目に高い合格率で、毎年全国平均を上回る安定した現役合格率を達成しています。 2022年卒 2021年卒 2020年卒 2019年卒 2018年卒 受験者 87 82 90 85 89 合格者 86 77 90 85 88 現役合格率 98.9% 93.9% 100% 100% 98.9% 全国平均(新卒) 92.9% 91.3% 92.4% 95.5% 95.8% 公立学校教員採用試験 現役合格率ならびに都道府県・市別の合格者数 小学校教諭77.8% 合格者70名/受験者90名(現代教育学科) →コロナ禍でも過去最高の現役合格率を達成。3年連続で7割以上が現役合格! 都道府県・市 1次受験者数 1次合格者数 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 42 40 2 38 19 堺市 6 4 - 4 3 大阪府 21 18 - 18 14 京都府 2 2 - 2 2 大阪市 17 11 - 11 11 京都市 1 1 - 1 1 滋賀県 17 12 4 8 2 兵庫県 3 3 - 3 2 神戸市 1 1 - 1 1 和歌山県 6 6 1 5 5 三重県 12 12 6 6 3 愛知県 26 26 13 13 8 岡山県 9 8 5 3 2 岡山市 1 1 - 1 1 高知県 82 60 7 53 31 鳥取県 27 26 19 7 6 神奈川県 2 2 - 2 1 横浜市 4 4 - 4 1 茨城県 3 3 2 1 1 千葉県 13 10 9 1 1 北九州市 3 3 2 1 1 北海道 1 1 - 1 1   養護教諭40.0% 合格者6名/受験者15名(現代教育学科・看護医療学科) →看護医療学科でも1名が現役合格! 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 7 4 - 4 1 大阪府 4 1 - 1 1 大阪市 3 1 - 1 1 滋賀県 5 4 1 3 2 高知県 15 3 - 3 3 鳥取県 3 2 - 2 1   特別支援学校教諭100% 合格者6名/受験者6名(現代教育学科) →初の全員合格を達成! 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 3 3 - 3 2 大阪府 4 4 - 4 3 滋賀県 1 1 - 1 1 三重県 1 1 - 1 1 高知県 5 5 2 3 2 鳥取県 4 3 - 3 3 神奈川県 2 2 - 2 1   栄養教諭50.0% 合格者2名/受験者4名(健康栄養学科) 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 2 2 - 2 1 三重県 3 1 - 1 1   中・高(家庭科)教諭100% 合格者1名/受験者1名(人間環境デザイン学科) 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 1 1 - 1 1   公立幼稚園教諭・保育士採用試験 自治体別の合格者数 公立幼稚園教諭・保育士97.0% 合格者32名/受験者33名(現代教育学科) →4年連続で9割以上が現役合格! 畿央大学付属広陵こども園、2023年4月に開設! 都府県・市(町) 1次受験者 1次合格者 辞退者 最終合格者 奈良県香芝市 13 12 7 4 奈良県大和高田市 7 7 3 3 奈良県橿原市 6 4 - 2 奈良県生駒市 4 4 1 1 奈良県大和郡山市 11 11 - 4 奈良県天理市 5 5 2 3 奈良県葛城市 2 2 0 2 奈良県宇陀市 1 1 - 1 奈良県河合町 1 1 - 1 奈良県明日香村 1 1 - 1 大阪府大阪市 6 4 - 4 大阪府吹田市 11 9 3 5 大阪府豊中市 7 7 - 3 大阪府松原市 4 4 1 3 大阪府藤井寺市 3 3 - 3 大阪府八尾市 3 3 - 3 大阪府柏原市 3 2 - 2 大阪府堺市 2 2 - 1 大阪府和泉市 1 1 - 1 京都府京都市 1 1 - 1 兵庫県神戸市 3 3 - 1 三重県伊賀市 2 2 - 2 徳島県鳴門市 1 1 - 1   注1. 過年度卒業生を含みません(すべて2022年3月卒業見込者)。 注2. 2022年1月21日現在の判明者数です。今後変動する場合があります。 注3. 一部試験での1次試験免除者を含みます。   →公立学校教員採用試験(1次試験)速報〜2022年3月卒業予定者 →小学校教諭71.2%、公立幼・保94.6%、養護教諭36.4%が現役合格!~2021年3月卒業生

2022.03.16

令和3年度卒業証書・学位記・修了証書授与式を行いました。

  2022年3月15日(火)、快晴のもと「令和3年度卒業証書・学位記・修了証書授与式」が冬木記念ホールにて挙行され、健康科学部320名(理学療法学科75名・看護医療学科86名・健康栄養学科95名、人間環境デザイン学科64名)、教育学部現代教育学科217名、大学院40名(健康科学研究科修士課程33名・博士後期課程4名、教育学研究科修士課程3名)、助産学専攻科10名、臨床細胞学別科6名の合計593名を送り出しました。   感染拡大予防のため、昨年度に引き続いて参加者は卒業生・教職員のみとしました。記念式典は冬木記念ホールで開催し、それを学科や専攻科等の会場に中継する形での実施となりました。       午前10時に開式し、国歌清聴の後、学部学科ごとの代表者に卒業証書・学位記・修了証書が授与されました。その後、学長表彰が行われ、特に優秀な成績を修めた各学科学生1名が紹介されました。       冬木正彦学長による式辞、それに続く植田政嗣健康科学部長・健康科学研究科長・臨床細胞学別科長と前平教育学部長・教育学研究科長の祝辞では、学部生と大学院生は2年、専攻科・別科では丸1年をコロナ禍で過ごしたことを労いながら、卒業・修了後も建学の精神である「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」を実践して社会で活躍してほしいというメッセージが送られました。     その後、卒業生を代表して健康科学部健康栄養学科の南萌奈さんが謝辞を述べました。最後に学歌をそれぞれが清聴し、厳かな雰囲気でおこなわれた式典は、幕を閉じました。     式典終了後は各会場で卒業生・修了生一人ひとりに卒業証書・修了証書が手渡されました。       例年なら学科毎に卒業パーティーや謝恩会が開催されるところですが、この日が全員で集まる最後の場になります。授与式終了後は各会場で趣向を凝らしてビンゴや抽選会で盛り上がったり、先生と一緒に記念撮影をしたり…と、それぞれが学生生活での最後のひとときを仲間・恩師とともに楽しみました。   ※記念撮影にあたっては、直前にマスクを外し、声を出さないようにして撮影しています。                     卒業生・修了生の皆さん、本当におめでとうございます。また、いつでも母校に戻ってきてください! 教職員一同、これからのご活躍を心から祈っています。   【関連記事】 令和2年度卒業証書・学位記・修了証書授与式を行いました。  

2022.03.16

障害者支援施設における運動への動機づけとソーシャルサポート~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

障害者支援施設では、社会参加を実現するために身体機能の維持・向上を目的として運動に取り組む必要があります。また、18ヵ月以上の長期間に及ぶ場合もあり、動機づけを維持する必要があります。 畿央大学大学院 博士後期課程 乾 康浩 氏 と 森岡 周 教授 ら は、障害者支援施設における運動への動機づけに関係する要因について検証しました。その結果、従来から重要視されていた運動機能や自己効力感よりも、ソーシャルサポートが動機づけに関連することが明らかになりました。 この研究成果はAnnals of Medicine誌(Relationship between exercise motivation and social support in a support facility for persons with disabilities in Japan)に掲載されています。   研究概要 障害者支援施設では、社会参加を実現するために身体機能の維持・向上を目的として運動に取り組む必要があります。しかし、入所期間は18ヵ月以上と長期に及ぶ場合もあり、動機づけを維持する必要があります。動機づけには、運動能力や自己効力感といった個人的要因と、ソーシャルサポートが関連するとされていますが、家族支援困難などの理由で入所する可能性のある障害者支援施設ではソーシャルサポートの影響が大きい可能性が考えられました。さらに、動機づけは自らの意思と判断で行う自律的動機づけと外部からの誘因によって生じる統制的動機づけに分類されることから両方の側面から把握する必要があります。 畿央大学大学院 博士後期課程 乾 康浩 氏、森岡 周 教授 ら の研究チームは、運動への動機づけを評価する質問紙Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2を用いて評価し、個人的要因およびソーシャルサポートとの関係性を分析しました。その結果、自律的動機づけには家族サポートと施設サポートが関連し、統制的動機づけは家族サポートが低い場合にピアサポートが関連する結果となり、いずれも個人的要因との関連は見られませんでした。   本研究のポイント ■ 障害者支援施設入所者の運動への動機づけを自律的動機づけと統制的動機づけの両方から評価したところ、いずれの動機づけにも個人の能力よりもソーシャルサポートの関連が強く認められました。 ■ 自律的動機づけには家族サポートと施設サポートが関連し、統制的動機づけには、家族サポ―トが低下している場合にピアサポートが関連することが明らかにされました。   研究内容 本研究は障害者支援施設入所者を対象に行いました。施設入所者が実施する運動への動機づけを質問紙Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2を使用して、自律的動機づけと統制的動機づけに分類して評価しました。あわせて、施設入所者の移動能力、自己効力感といった個人的な因子と、家族サポート、施設サポート、ピアサポートといったソーシャルサポートを質問紙にて評価し、自律的動機づけと統制的動機づけを予測する因子を分析しました。 結果として、自律的動機づけでは高い家族サポートおよび高い施設サポートが有意な独立予測因子となり、統制的動機づけでは、低い家族サポートと高いピアサポートな有意な独立予測因子となりました。   表1. 自律的動機づけを目的変数とした階層的重回帰分析   表2. 統制的動機づけを目的変数とした階層的重回帰分析   本研究の臨床的意義および今後の展開 障害者支援施設入所者においては、家族や施設スタッフとの関係、入所者同士の関わり方を調整し把握することが、運動への取り組みを促進するためには必要であることを示唆すると考えられます。今後は、施設入所後の縦断的な変化について検証する必要があります。   論文情報 Yasuhiro Inui, Yoichi Tanaka, Tatsuya Ogawa, Kazuki Hayashida, Shu Morioka Relationship between exercise motivation and social support in a support facility for persons with disabilities in Japan Annals of Medicine. 2022   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 乾 康浩(イヌイ ヤスヒロ) センター長 森岡 周(モリオカ シュウ)   Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp  

1 3 4 5 6