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理学療法学科の新着情報一覧

理学療法学科の新着情報一覧

2025.02.03

就職レポートNo.823(民間病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第823弾! 理学療法学科19期生(25卒)   K・Wさん 民間病院(理学療法士) 勤務     あなたがその職種を志したきっかけを教えてください。 高校1年生のころに出会った人が理学療法士であったことがきっかけで理学療法士を志しました。 実際に受験生となり、どこの大学を受験するかで悩みましたが、国家試験の合格率、就職先決定率、キャンパスが1箇所できれいなどの理由が決め手となり、畿央大学への入学を決めました。   畿央大学での学生生活を振り返ってどうでしたか? 畿央大学での学生生活を振り返り、あらためて畿央大学で学生生活を過ごせたことを幸せに感じました。畿央祭の実行委員、実習での経験、4年間を共に過ごしてくれた友人など多くのことを経験・学習できたと考えています。個人的にこの4年間でやっておいてよかったと感じたことは、旅行をたくさんしていてよかったと感じました。     就職活動について、その就職先に決めた理由を教えてください。 実習を通して急性期、回復期それぞれの魅力を感じました。その中でも特に、回復期の「退院までの長い期間を患者さんと共に歩んでいける」というところにより魅力を感じ、回復期のリハビリに携わることのできる病院を志望しました。最終的には、就職先に見学に行った際の雰囲気、院内の様子、セラピストの方とも話す機会をくださった室長さんの配慮、気遣いがとてもありがたかったこと、研修内容が充実していたことが決め手となりました。   就職活動を振り返っていかがでしたか? 実習終了からあまり時間が経過しておらず、就職活動になかなか気持ちが切り替えられなくて大変でした。また、就職試験に筆記試験もあったため、筆記試験の対策も大変でした。就職試験では思い通りにいかないことばかりだったので、早めに行動することの大切さを改めて感じました。自己PRの添削や面接対策などをキャリアセンターの方が行ってくださり、時には面接での緊張感を再現するために他学科の担当の方にも面接練習を行っていただきました。本当に親身になっていただきとてもありがたかったです。   就職活動で役立ったツールを教えてください。 就職活動にてメモの大切さを感じました。見学の際に気になること、面接練習・添削をしてくださった後のアドバイスなどを書き記すなど多くの場面で使用しました。   後輩のみなさんへメッセージをお願いします! 早い時期に採用試験をされる病院もあるので、早くから行動するにこしたことはありません‼しかし、だからといって焦らず、じっくり考えてください。学科の先生方、友人、外部講師の方々、キャリアセンターの方々たちとたくさん話して決めてください。情報は本当に重要です。 また、社会に出る前に学生生活を満喫してください。時間が少なくなってくると少なからず後悔します。皆さんが後悔を少しでも減らすことができれば幸いです。大多数の方には最後の学生生活になると思います。楽しんでください‼  

2025.01.27

3分でわかる「KIO元気塾」ムービーを公開しました~理学療法学科

  週2回ペースで地域の方をお呼びして、教員サポートのもと理学療法学科の3回生主体で運動相談を企画・実施する「KIO元気塾」。コロナ禍を経て今年度復活した課外活動には、3回生のほぼ全員が参加しています。     卒業生が多数在籍する西大和リハビリテーション病院の協力のもと、そこで理学療法士として活躍する卒業生もサポートに駆けつけていただきながら、長期の臨床実習前にコミュニケーション力をみがき、実際に目の前で困りごとのある参加者の皆さんに対して理学療法士としてできることを必死で考えて実践する、大きな学びの場となっています。     今回はKIO元気塾の魅力を、岡田洋平准教授のインタビューと参加者と在学生の声、そして現場の映像で紹介する3分ムービーが完成しました。畿央大学でしか体験できないKIO元気塾の様子を、ぜひご覧ください!  

2025.01.24

就職レポートNo.819(民間病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第819弾! 理学療法学科19期生(25卒)   H・Hさん 民間病院(理学療法士) 勤務     あなたがその職種を志したきっかけを教えてください。 子供の頃から様々なスポーツを経験してきたので、スポーツ分野に関われる職業につきたいと考えていました。また、私自身は幸いなことに大きな怪我や病気を経験したことはありませんが、共に切磋琢磨した仲間や大事な家族が怪我や病気で苦しんでいる姿を何度も見たことで、怪我や病気が原因で何かを諦めなければいけない人達の未来を少しでも明るいものにする手助けをしたいと思い、理学療法士を目指しました。 畿央大学は就職実績、国家試験合格実績が近畿では突出している印象がありました。また、オープンキャンパスを通して学生の様子や先生方はもちろん、入学後私達をサポートしてくださる方々の雰囲気がとてもよく、受験を決めました。加えて、畿央大学の理学療法学科は出身校である大阪の高校まで噂が届くほど勉強に関して厳しいといわれていたのでサボり癖のある私に最適だなと思ったのも理由の一つです。   畿央大学での学生生活を振り返ってどうでしたか? 勉強に関しては入学前に想定していた数倍大変で、テストの回数や課題の量がとても多いうえに難易度も高いので何度も理学療法士の夢を諦めそうになりました。特にテスト前は毎回半泣きになりながら睡眠時間を削って勉強した印象が強いです。しかし、先生達の手厚いサポートや友達と協力することで十分乗り越えることが出来ると思います。また、三年間で培ってきたことは、臨床評価実習や総合臨床実習において大いに発揮されます。蓄えた知識や積み重ねた努力があるからこそ臨床の面白さに気付けるし、何より指導者の先生にめちゃくちゃ褒められるのできっとしんどいだけの実習で終わらないと思います。 サークル活動はもちろん畿央祭を含む様々なイベントが開催されるので、遊ぶ時は全力で遊ぶ、勉強する時は真剣に頑張るというメリハリを持って過ごせば、有意義な大学生活を送ることが出来ると思います。       就職活動について、その就職先に決めた理由を教えてください。 高度救命救急センターに指定されており、超急性期から生活期に至るまでの切れ目のない環境と豊富な診療科目数から多様な患者様や先輩方のもとで学べると考えました。 また、大学生活を通して関心をもったウィメンズヘルスの分野に対して積極的に理学療法を実施している点や産婦人科との連携が良好であった点から入職後、まだまだマイナーであるこの分野で困っている患者様の手助けができるのではないかと思い選びました。   就職活動を振り返っていかがでしたか? 私はとても心配性なので実習期間中から何度かキャリアセンターの方に相談に乗っていただきました。早く内定が欲しくて総合臨床実習でお世話になった病院を受けようと安直に思っていましたが、キャリアセンターの方や担任の先生、ゼミ担当の先生など色々な人の意見を聞いて8月の学内合同説明会に参加してから判断することにしました。 説明会に参加して気づいたのは自分の視野がとても狭くなっていたことです。そこでまずは第一志望を実習先の病院としてその病院の採用試験日までに①合同説明会で興味を持った病院②自分の興味のある分野(ウィメンズヘルスや脳神経)を取り扱っている病院③就職後も理学療法士としての成長が見込める病院という3点を基準に病院見学や説明会に多数参加しました。そして病院見学に参加し印象が良く、自分の将来のキャリアプランが具体的に想像でき、福利厚生も充実している病院を最終的に選びました。 キャリアセンターの方は、私がスケジュールを詰めすぎて面接練習や履歴書の作成を急いでいる時、柔軟で迅速な対応と温かい言葉をかけてくださったので、安心して面接に挑むことが出来ました。   就職活動で役立ったツールを教えてください。 就職活動を通して大事だったことは積極的な面接練習と情報収集だと思います。 面倒くさがらずに面接で話すことはしっかり文字として記録し、定型文(志望動機や自己PRなど)は口から自然と出てくるぐらい練習しておきましょう。また、面接官の何気ない質問にも対応できるようになるので、大学から配布される自己分析シートを利用して一度自分の過去や性格と向き合っておいて損はないと思います。他にもキャリアセンターから配布されるよく出る質問や先輩方の合格体験記がある場合はしっかり読んで対策を立てるのも良いと思います。 そして何より大事なことは一人で頑張りすぎないことです。キャリアセンターの方はもちろん、先生方や友達にどんどん頼りましょう。私自身就職活動で行き詰った時は先生の研究室におしゃべりしにいったり友達と気分転換に出かけたりしました。また、ほとんどの病院が友達の実習先であったり、畿央大学の卒業生がいたりするので、実習を通してどう感じたか、実際に働いてどうかなどを聞いておくのは病院を選ぶ段階でとても大事だと思います。       ↑就職活動中は、友達とトムとジェリー展に遊びに行ったり、大好きなアサイーを食べたりしてリフレッシュしていました!   後輩のみなさんへメッセージをお願いします! 3回生の3月になると徐々に就職活動に向けた情報が増え、焦りもでてくるかもしれませんが、行きたい病院が決まっているか、採用試験日が早い病院でない限りまずは実習を乗り越えることを考えてください。4回生の総合臨床実習になると時間と心にある程度余裕が出来るので気が向いたときに気になる病院の採用試験情報を集めるぐらいしておけば、畿央大学は他の学校より実習の終了時期が早いので実習が終わってから本格的に就職活動を開始しても全然遅くないと思います。実習で得たことは面接でとても役立つので実習期間中は患者様と向き合うことに全力を注いでください。 ただ、注意すべきことは、4回生になると実習以降のスケジュールがとても密であることです。実習終了後から11月上旬までは卒業研究が、12月には卒業判定試験が始まります。期末試験が終わった今でこそ思うのは本当に就職活動を早めに終わらせておいて損はなかったということです。実習終わりの夏休みは開放感から遊びたくなる気持ちになるかもしれませんが、そこで少し我慢して就職活動を進めれば、その後時間に余裕が出来て良いことしかないので、やるべき時にやるべき事をするということを忘れないで頑張ってみてください。皆さんが自分に合った就職先を選べることを願っています。  

2025.01.24

顕著な前屈姿勢を示すパーキンソン病患者の歩行不安定性と代償戦略の解明~ニューロリハビリテーション研究センター

パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者は、顕著な前屈姿勢(Camptocormia)を示すことがあります。しかし、そのような前屈姿勢が歩行不安定性にどのような影響を与えるのか、またそれをどのように代償しているのかについて客観的に十分明らかにされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の浦上英之氏と岡田洋平准教授らは、三次元動作解析装置を用いて実験的検証を行うことにより、顕著な前屈姿勢を示す患者は、歩行中の垂直方向の不安定性が高く転倒リスクが高いこと、また重心位置を後方に位置させ、側方への重心移動を増加させる代償戦略をとることを初めて明らかにしました。本研究の知見は、前屈姿勢を示すパーキンソン病患者の歩行安定性を最適化するためのリハビリテーションにおける介入戦略を検討する上で有益な知見となることが期待されます。この研究成果は、Journal of Movement Disorders誌(Gait instability and compensatory mechanisms in Parkinson's disease with camptocormia: An exploratory study)に掲載されています。 研究概要 畿央大学大学院博士後期課程の浦上英之氏と岡田洋平准教授らは、三次元動作解析装置を用いて実験的検証を行うことにより、顕著な前屈姿勢を示すパーキンソン病患者は、歩行中の垂直方向の不安定性が高く、転倒リスクが高いこと、また重心位置を後方に位置させ、側方への重心移動を増加させる代償戦略をとることを初めて明らかにしました。   本研究のポイント ・顕著な前屈姿勢(camptocormia)を示すパーキンソン病患者と顕著な姿勢異常を示さない患者の歩行の不安定性とそれを代償するための戦略について、三次元動作解析装置を用いて実験的に検証した。 ・ 顕著な前屈姿勢を示す患者は、歩行中の垂直方向の不安定性が高く、転倒リスクが高いことと、重心位置を後方に位置させ、側方重心移動を増加させながら歩く代償戦略をとっていることを明らかにした。 ・ また、パーキンソン病患者は前屈姿勢が強くなるにつれて、これらの歩行不安定性と代償戦略が強くなることも示した。   研究内容 本研究では、顕著な前屈姿勢であるCamptocormiaを示すPD患者10名、CamptocormiaがないPD患者30名および健常高齢者27名を対象に、三次元動作解析を用いて歩行不安定性の検証を行いました。対象者には快適歩行速度で5mの歩行路を歩行してもらい、歩行安定性指標(図1)と時空間歩行指標、運動学的指標を計測しました。実験環境における歩行安定性と代償戦略は、個人の特性や心理状況によって異なる可能性があります。したがって、健常高齢者群と比較して顕著に異なる歩行不安定性の傾向を有する患者を確認したうえで、その者を除外し、3群間比較を実施しました。また、PD患者全体で前屈角度と各歩行指標との関連を検討しました。 図1.歩行安定性指標 前方・側方・垂直方向の歩行安定性指標の算出方法を示す。いずれも歩行中の踵接地時に算出した。速度が考慮されたCOMであるXCOMが支持基底面内に位置する場合はMOS>0、支持基底面から逸脱し物理的に不安定な状態はMOS<0となる。 CamptocormiaがあるPD患者のうち1名は、顕著な前方への歩行不安定性を示しました。異質であったこの1例を除き、解析を行った結果、CamptocormiaがあるPD患者はCamptocormiaがないPD患者と比較して、COMが低位であり、垂直方向の歩行不安定性が高いことが示されました。また、CamptocormiaがあるPD患者は、歩行中のCOMを後方に位置させ、矢状面上の下肢関節運動範囲が減少し、COM側方速度、骨盤側方傾斜の運動範囲、歩隔が増加することが示されました(図2)。   図2.Camptocormiaがあるパーキンソン病患者の歩行の特徴   Camptocormiaがあるパーキンソン病患者はCamptocormiaがないパーキンソン患者と比較して、COM位置は低かった。また、歩行時にCOMを後方に位置させ、矢状面上の運動範囲を減少し、前額面の運動やCOM移動を増加させることも示された。 顕著な前方への歩行不安定性を示した1名は、CamptocormiaがあるPD患者群の特徴であったCOM後位や矢状面上の関節運動範囲の減少、歩隔の拡大を認めませんでした。また、この症例は頻回な前方への転倒歴を認め、転倒恐怖心が乏しく、歩行時の安全性を優先しない発言や行動を認めました。 これらの結果は、Camptocormiaを示すPD患者はCamptocormiaがないPD患者と比較して、垂直方向の歩行不安定性が高く、前屈角度の増加に伴い転倒リスクが高まることを示しています。一方で、Camptocormiaを示すPD患者は、前方への歩行不安定性が生じないように後方重心姿勢をとり、矢状面上での関節運動を減少させ、側方の関節運動を増加させることで、体幹屈曲の慣性モーメントを減少させる代償戦略をとっていると考えられます。   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究の知見により、顕著な前屈姿勢を示すパーキンソン病患者は、垂直方向の歩行不安定性による転倒リスク増加と歩行不安定性の代償戦略について、初めて客観的に解明しました。また、一部の前屈姿勢を示す患者は、実験環境下でも顕著な前方への歩行不安定性を示すことが確認されました。本研究の知見は、前屈姿勢を示すパーキンソン病患者の歩行安定性を最適化するためのリハビリテーションにおける介入戦略を検討する上で有益な知見となることが期待されます。今後は、実際の日常生活場面の歩行不安定性の検証や個人の代償戦略の適用に及ぼす要因についても検証する予定です。   論文情報 Urakami Hideyuki, Nikaido Yasutaka, Okuda Yuta, Kikuchi Yutaka, Saura Ryuichi, Okada Yohei. Gait instability and compensatory mechanisms in Parkinson’s disease with camptocormia: An exploratory study. Journal of Movement Disorders, 2025.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 准教授 岡田洋平(オカダヨウヘイ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp

2025.01.22

就職レポートNo.817(公的病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第817弾! 理学療法学科19期生(25卒)   I・Kさん 公的病院(理学療法士) 勤務     あなたがその職種を志したきっかけを教えてください。 高校三年生の夏、病院で理学療法士さんのリハビリを見た時に私も患者さんに寄り添った仕事をしたいと思い理学療法士を志しました。畿央大学の理学療法学科は、実習以前に元気塾やTASK等地域の方々と関わる機会が豊富に設けられており、この大学ならば貴重な経験を積み優秀な理学療法士になることが出来ると思い入学を決めました。   畿央大学での学生生活を振り返ってどうでしたか? 大学一回生の時は、初めて習う分野の勉強と一人暮らしの両立、そして部活動と毎日あわただしく過ごしていましたが、徐々に時間の使い方を学び、二回生以降は余裕をもって全てのことに一生懸命取り組むことが出来ました。部活動は軽音楽部に所属し、たくさんの人とバンドを組み憧れだったライブにも出ることが出来ました。テスト期間と部活動の両立は大変な時期もありましたが、仲間同士支えあい困難を乗り越えた経験は本当にいい思い出になりました。     ↑バンドメンバーの写真です!四回生の畿央祭で野外のステージでLiveしました!   就職活動について、その就職先に決めた理由を教えてください。 生まれ育った地元に、これまでお世話になった分、医療という形で恩返しをしたいと考えていました。その選択肢の中で、県内全域に病院を展開しており、高度な医療だけでなく地域医療連携室や訪問リハビリテーション等を通して地域医療向上に貢献しているところに魅力を感じたため志望しました。   就職活動を振り返っていかがでしたか? 希望していた病院の就職試験が四回生の実習中にありました。そのため、実習と並行して試験勉強や小論文の練習、面接練習を行うことが特に大変でした。また、実習場所が遠隔地だったため、平日は実習に取り組み、休日には大学へ移動し就職活動を行うという慌ただしいスケジュールでした。とても短く忙しい準備期間の中で、キャリアセンターの先生にたくさん相談やサポートをしていただきました。特に、面接練習は実習が遠隔地だったため大学に行くことが出来ない日でも、zoomを用いて行っていただきました。実習中でしたが、就職試験の準備をしっかりと行えたため自信を持って試験に挑むことが出来たと思います。   就職活動で役立ったツールを教えてください。 主に小論文と面接の練習をたくさん行いました。小論文も面接も、求人検索NAVIにある過去の先輩方の就職活動体験記を見て実際に出たテーマや質問をまとめました。そして、小論文は実際に出ていたテーマをいくつか実際に時間を測りながら書くことで、試験本番に近い環境で練習しました。面接は、過去に出ていた質問をルーレットのアプリ(Lucky Drawという携帯のアプリで数字や単語だけでなく文章を抽出可能な抽選ツール)を用いて、どんな質問に対してもすぐに答えられるように練習しました。これらの練習を毎日したことで、本番も緊張せずに最大限自分の力を発揮できたと思います!     後輩のみなさんへメッセージをお願いします! 四回生の実習は期間も長く忙しい時期ですが、病院側は就職試験を待ってくれません。特に、最近は就職試験が全体的に早くなってきています。自分の行きたい病院があれば実習前から定期的にホームページ等を見て募集を確認しておくのがいいと思います。四回生の実習が終わると同時に、就職活動がスタートしますが、同時期に卒業研究や国家試験の勉強が入ってきます。余裕を持てるという点でも、就職活動は早めに始めておく方がいいと思います!キャリアセンターの先生方も就職活動全盛期は忙しいですが、実習中であれば活動をしている学生が少ないため時間を確保してもらいやすいです。実習中は確かに忙しいですが、実習後の自分のために少し頑張って就職活動に取り組んでみてください!!応援しています!!  

2025.01.20

就職レポートNo.815(民間病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第815弾! 理学療法学科19期生(25卒)   T・Hさん 民間病院(理学療法士) 勤務           あなたがその職種を志したきっかけを教えてください。 理学療法士を志したきっかけは、高校入学後すぐに部活動でレギュラーに選ばれた矢先に試合中の接触で筋性腰痛を患ってしまい、レギュラーも外されてしまう悔しい経験をしました。その中で、リハビリを行ってもらい、献身的な治療と心理的サポートをしてくださり、早期回復に尽力していただきました。そのため、自分も他人の人生の不幸を改善し、元の生活に戻れる手助けができたらと思い、理学療法士になることを決めました。   畿央大学での学生生活を振り返ってどうでしたか? 1年生のころから勉強と遊びにメリハリを持って取り組んできたことで、充実した学生生活を送れたと思います。畿央大学の定期試験はとても難しく、テスト期間などは友人と協力しながら勉強していきました。しかし、勉強だけにはならず、畿央祭をはじめとしたイベントごとへの参加もしていたので努力したことと楽しかったことの両方の思い出があります。 3年生以下の人たちには定期テストを妥協せずに、一回一回のテストを全力で勉強しておくことをおすすめします。学年が上がった後も、つながる知識が増えたり、覚える量が減ったりと自分にいいことしかないので、何年後かの自分の負担を減らすために、目の前のテストを全力で勉強するといいと思います。       ↑所属していたバレー部で運動会をしたときの写真です!   ↑畿央祭実行委員としても活動していました!   就職活動について、その就職先に決めた理由を教えてください。 総合臨床実習の2期から就職先を探し始め、キャリアセンターの方にも何度も相談しながら、自分に合う病院を探しました。 就職先は、多くの分野(整形や脳神経など)に進むことができるという自分の可能性を広げることができる環境であったこと、福利厚生が充実しており、働きやすい環境が整っていると感じたことから就職を決めました。   就職活動を振り返っていかがでしたか? 就職活動を始めた当初は、何がいい病院で自分が何をしたいのかがはっきりしておらず、なかなか進まない状況でした。そのため、自分が少しでもいいと感じた病院はチェックしておきつつ、自己分析を徹底的に行いました。その結果、就職したい病院が自ずと絞られてきて目指すべき病院を決めることができました。 また、私は面接の受け答えが苦手で、最初の練習ではほとんどうまく話すことができませんでした。そんな中でもキャリアセンターの方からのアドバイスや言葉の言い換えを意識したことで、3回目の面接練習ではしっかりとした受け答えができるようになりました。 キャリアセンターの方は履歴書の添削や小論文の添削、面接練習やアドバイスを的確に行ってくださるので、アドバイスされたことを意識しておくだけでも就職活動を有利に進められると思います。     就職活動で役立ったツールを教えてください。 私の就活グッズは、小さめのノートです。自己分析した自分の強みや弱み、日常生活で気づいた自分のことを思いついたままにメモを取るようにいつも持ち歩いていました。そうすることで、自分でも気づいていなかったことに気づくことができるため、おすすめです。         後輩のみなさんへメッセージをお願いします! 就職活動は以前よりも早まってきていると言われ、焦る気持ちも出てくるかもしれませんが全く焦ることはありません。畿央大学の総合臨床実習は他の大学よりも早く終わるので、実習が終わったタイミングから始めても全く問題ないです。総合臨床実習中に就職活動にシフトしすぎて貴重な実習時間を削ってしまうよりも、実習中は自分の経験をより多くすることを意識して、それらの経験を就職活動の面接などに活かす方が実習中に就職活動をするよりも何倍もメリットになってくると思います。焦らず、自分に合った良い病院を探して、就職できることを祈っています。

2025.01.16

就職レポートNo.812(公的病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第812弾! 理学療法学科19期生(25卒)  K・Hさん 公的病院(理学療法士) 勤務     あなたがその職種を志したきっかけを教えてください。 理学療法士を志したきっかけは、高校1年生のときに祖母が骨折したことです。その時に入院先の理学療法士の方の尽力で、骨折以前とほぼ変わらない程度に歩くことができるようになり、とても感動しました。そのため、理学療法士を目指し、この感動を1人でも多くの方に届けたいと思い、志しました。 畿央大学を選んだ理由は担任制が魅力に感じたからです。大学生活の不安と、先生と学生との距離が高校とは違い、遠くなると考えていました。しかし、畿央大学では担任制があり、1年に2回も個人面談があるため、先生との距離も近くなりました。また、面談時に卒業後の進路について相談し、親身にその相談に乗っていただきました。そのため、そういった悩みがあるときに担任の先生がいることで思い悩まず解決することができました。   畿央大学での学生生活を振り返ってどうでしたか? 学生生活を振り返って良かったことは勉学を疎かにしなかったことです。大学入って初めての試験である前期試験がとても難しく、少し挫折しました。そこで挫折したまま、勉学を疎かにしていたら、今の僕はないと思います。それ以降、しっかりと「大学での学び」と向き合うようになりました。その結果、面接での自己PRや長所になったため、学生生活をなんとなく過ごすのではなく、目的や目標をもって過ごすことが大事と感じました。         就職活動について、その就職先に決めた理由を教えてください。 地域で唯一の三次救急病院であり、様々な疾患に対する理学療法を経験することができ、急性期病院であるため、ICUや術後翌日から介入し、患者さんの早期の社会復帰に貢献できるからです。また実習先でもあり、一人一人の先生方の質が高く、そういった環境でこれからも学びたいと思い、就職先に決めました。   就職活動を振り返っていかがでしたか? 受験した病院は二次試験まであり、最初の試験から合格発表までは約一か月かかるため、不合格の場合も考えるとリスクはありました。しかし、それよりも“この病院で働きたい!”という強い思いがあったので受験しました。 苦労したことは病院独自のエントリーシートを書くことでした。志望動機や長所・短所を含めた自己PR、目指す職員像など自己分析は思っている以上に時間がかかりました。友人などと話す中で過去を振り返ったり、キャリアセンターの方に何回も丁寧に添削していただいたり納得のいくまでキャリアセンターの方と突き詰めました。そのおかげで自分が気付かなかった長所や新たな自分を見つけ、面接試験にも活かすことが出来ました。 そして、就職活動を通してネガティブに考えてしまい、辛い思いをすることは何度もありました。しかし、それ以上に周りの人たちに支えられていることを再確認できた貴重な機会でした。   就職活動で役立ったツールを教えてください。 求人検索NAVIにある「就職体験記検索」というツールが就職活動の中で役に立ったと思います。このツールで過去に就職試験を受けた先輩方の体験(就職活動を始めた時期や決まった時期、やっておいた方が良いことなど)を見ることができます。就職先の情報や特徴、準備した方が良いことなどが分かるため、就職活動のどの場面でも役に立つと思います。私の受けた病院の理学療法士として情報はなかったのですが、看護医療学科の方に看護師採用試験を受験した記録があったため、その情報も活用することができました。   後輩のみなさんへメッセージをお願いします! 総合実習を終えるとすぐに就職活動が始まり、国家試験の勉強や卒業研究など様々なことが次々に始まるため、11月ぐらいまであっという間に過ぎます。つまり、それほど濃密な時間を過ごせるということにもなります!国家試験の勉強や卒業研究に向けて本格的に活動できるのは8月からになるため、その前から就職活動に関して出来ることはいっぱいあると思います。例えば、家の周り、駅から通える距離にある病院を調べたり、行きたいなと思う病院の情報を求人検索NAVIで調べたりなどなど。 国家試験の本番や卒業研究の発表日は決まっていますが、就職活動の日は決まっていないため、だらだらとしがちですが、メリハリをつけて第一志望に合格できるように頑張ってください!!  

2025.01.06

就職レポートNo.806(民間病院/理学療法士)理学療法学科

就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就職レポート」、第806弾! 理学療法学科19期生(25卒)   H・Kさん 民間病院(理学療法士) 内定   あなたがその職種を志したきっかけを教えてください。 私は元々おせっかいな性格で、人の世話を焼くことが好きでした。職業体験の時に、「どこに体験に行きたいか」という希望調査を出す際に、そんな自分の性格を生かせる仕事を考えました。その時、ふと中学2年生の時に、作業療法士の方に「病気を患っている人に寄り添い、能力を回復していく過程のお手伝いをする」という仕事の魅力を聞いたことを思い出しました。そこで、職業体験の際に病院で理学療法士の体験を行いました。実際に患者さんとお話をしたり、理学療法士の方にお話を聞いたりしたことでより憧れる気持ちが増したので、理学療法士になることを決めました。 畿央大学を選んだ理由としては、オープンキャンパスで学生スタッフの方が畿央大学の魅力を伝えてくださったことが一番の理由です。学生と先生方の距離が近く、すぐに質問や相談ができる関係性になれるところや、畿央大学の多くの学部が国家試験の習得を目指して学業に励んでいるため、「皆で頑張ろう」という空気感があるというところに惹かれました。また、オープンキャンパススタッフの方がとても優しくニコニコと対応してくださり、スタッフ同士も仲良く楽しそうにお仕事をされており、こんな素敵な大学生になりたいと思えたことも畿央大学を選んだ理由の一つです。   畿央大学での学生生活を振り返ってどうでしたか? 私は、自分がやりたいと思ったことには全てチャレンジするようにしていました。高校生の頃から憧れていた軽音部に入部しベースを始めたり、オープンキャンパススタッフをしたり、健康支援チームTASKという団体に所属して畿央祭や地域の健康教室で健康チェックを行ったり、畿央祭の実行委員を2年間行ったり、軽音部の活動の一環として運動会の企画・実行をしたり、他にもたくさんの活動にチャレンジしました。これらの経験はとても良い思い出になったと共に、計画力や実行力、コミュニケーション能力など私自身の大きな力になったと考えています。 理学療法学科での大学生活は勉強が忙しくて、自分のやりたいこととの両立が難しかったですが、めげずにチャレンジしてきたことで悔いなく楽しい大学生活を送れたなと考えています。           就職活動について、その就職先に決めた理由を教えてください。 実習で行った際に「この環境で働きたい」と思えたのが一番の理由です。私は総合臨床実習Ⅰ期でお世話になった病院に就職するのですが、働いている職員の皆さんが熱心に自己研磨に励み、その知識を生かして患者さんに真摯に向き合い、よりよい理学療法の提供に取り組む姿が印象的でした。また、教育体制がしっかりしており、理学療法士として着実に力をつけていくにはとても良い環境だと思いました。 このように、私が一番重要視したのは、「理学療法士として成長するのに適した環境であるか」です。   就職活動を振り返っていかがでしたか? 私は面接をとても不安に思っていました。元々、緊張する場面がとても苦手で顔が真っ赤になってしまうタイプでした。それに加えて、予想していない質問がきたときに結論から言えずにだらだらと話してしまうという欠点がありました。そのため、キャリアセンターの飯山さんや友達と面接練習を繰り返し行い面接に挑みました。そうすることで、本番の面接では、病院の先生方に話すのが上手だと褒めていただけたので、練習を頑張った成果が出たかなと思っています。 履歴書や面接対策での自己分析は、自分自身で実施すると難しく、とても大変でした。しかし、家族や仲のいい友人など親しい人に聞くことで自分でも気づいていなかった自身の長所や短所を知ることができたので良かったと思っています。 筆記試験に関しては実習終了後すぐに試験があったので、過去の先輩方が残してくださった試験対策を活用しつつ、国家試験の過去問で勉強しました。   就職活動で役立ったツールを教えてください。 就活ツールではないのですが、8月に大学で開催された合同説明会で直接病院の方とお話した事やパンフレットがとても役立ったと思っています。実習中は、実習に必死で就職活動にまで手を回すことができなかったのですが、実習が終わってすぐの合同説明会で、たくさんの病院の方と直接お話をすることで、病院の雰囲気や内情など詳しく聞くことができて、良かったです。私自身、説明会の頃には3病院ぐらいに絞っていましたが、自分が考えていなかった病院の方ともお話をしたことで、新たな観点から病院を見ることができ、最終的に1つの病院を選ぶことができました。そのため、とても良い機会になったと考えています。 リフレッシュ方法としては、平日は大学で就職試験の勉強や面接練習を頑張って、土日はアルバイトと好きなことを思いっきりして、しっかりと休息するという事を心がけていました。そうすることで、メリハリをつけて途中でだらけてしまわずに、面接当日まで頑張ることができました。       後輩のみなさんへメッセージをお願いします! 理学療法学科の4回生は、実習に就職活動に国家試験勉強にとても忙しい1年間になると思いますが、友達とご飯に行ったり、遊んだり、一日お家でゆっくりしたり、自分なりのリフレッシュ方法を活用して、無理せず頑張ってください!応援しています!                                

2025.01.06

脳卒中患者への定量的上肢活動量評価を用いた行動変容介入の効果~ニューロリハビリテーション研究センター

脳卒中患者は、中枢神経系の損傷により上肢機能障害を呈し、麻痺側上肢の使用頻度が低下することで社会参加が妨げられ、生活の質に不利益をもたらします。麻痺側上肢の使用頻度には、性格特性や脳卒中後に生じる心理的要因(自己効力感や結果期待)も影響することが分かっています。しかし、心理面や性格特性による麻痺側上肢活動の低下に着目した長期的な支援を実施した報告は散見されません。畿央大学大学院博士後期課程の南川勇二氏と森岡周教授らは、心理的要因によって麻痺側上肢の上肢活動量が低下している脳卒中患者1例に対し、上肢活動量の長期的なモニタリングに基づいた行動変容介入を行いました。その結果、上肢機能に加えて、日常生活の上肢活動量が改善しました。さらに、自己効力感が先行して改善し上肢活動量が改善することも明らかにしました。この研究成果は学術誌『作業療法』(心理的要因による脳卒中後麻痺側上肢使用に対する定量的上肢活動量評価を用いた行動変容介入の効果-症例報告-)に掲載されています。   研究概要 脳卒中患者は、中枢神経系の損傷により上肢機能障害を呈し、性格特性や心理的側面(手に対する自己効力感や結果期待)への影響から日常生活で麻痺側の上肢を使用することが困難になることがあります。これは、日常生活活動や社会参加を妨げ、生活の質の低下にもつながります。そのため、リハビリテーション専門家にとって、脳卒中患者の性格や心理的側面を考慮した上肢活動に対する包括的なアプローチが重要です。しかしながら、上肢機能に加え、心理面や性格特性による麻痺側上肢活動の低下に着目して長期的な支援した報告は散見されません。畿央大学大学院博士後期課程の南川勇二氏および森岡周教授らの研究チームは、脳卒中患者1症例に対し、入院中から退院後まで長期的にリストバンド型の加速度計を用いて日常生活にける上肢活動を分析、可視化することで麻痺側上肢の使用状況をモニタリングしました。加えて、上肢活動量の経過や症例の性格、心理面を考慮した行動変容介入を行いました。その結果、上肢機能や心理機能だけでなく、上肢活動量が改善し、日常生活活動や趣味活動の再獲得に繋がりました。また、脳卒中患者の長期的な心理的側面が先行して改善し、上肢活動量が改善することも明らかにしました。本症例報告は、入院中から退院後まで上肢活動を長期的にモニタリングして支援した報告であり、1症例ながら重要な知見といえます。   本研究のポイント ・心理的要因によって麻痺側上肢使用頻度が低下していた脳卒中患者に対し入院中から退院後まで長期的に支援した。 ・上肢使用のモニタリングにリストバンド型加速度計を用いた定量的上肢活動量評価を用いた行動変容介入を試みた結果、上肢活動量の長期的な改善を認めた。 ・1症例の介入効果を時系列分析することで、麻痺側上肢に対する主観的な認識の改善が後の上肢活動量改善に寄与した可能性が示唆された。   研究内容 本研究では、脳卒中患者1症例に対して入院中からリストバンド型の3軸加速度計を用い、日常生活にける上肢活動量を分析するとともに性格や心理面を考慮した行動変容介入を行いました。 上肢活動量は活動時間を表す各上肢の活動時間やその左右比からなる両側の使用率と、活動強度(加速度の大きさ)を表す両上肢活動強度の和、両側活動強度比を算出し、可視化することで(図1)麻痺側上肢の使用状況をモニタリングと症例へフィードバックを行いました。入院中から上肢機能と心理的側面に加えて、日常生活の上肢活動量をモニタリングしながら支援し、退院後には訪問リハビリテーションスタッフと連携することで、発症後約1年6ヶ月まで長期的な支援を行いました。その結果、Fugl-Meyer Assessmentの上肢項目やAction Research Arm Test、Motor Activity Logといった上肢機能評価や自己効力感や結果期待などの心理評価に加え、上肢活動量が長期的に改善し(図2)、日常生活活動や趣味活動の再獲得に繋がりました。加えて、本症例の上肢活動量と各上肢関連評価の時系列的関係を検証するために相互相関分析を実施しました。その結果、両上肢活動強度の和は1時点前のMALと自己効力感、両側の使用率は1時点前のARAT、自己効力感、結果期待と相関関係を認めました。つまり、脳卒中患者の長期的な上肢活動量の改善には上肢活動に対する主観的な認識や心理的側面が先行して改善することを明らかにしました。 本症例報告は、麻痺側上肢活動の向上には、心理評価と加速度計による定量的な上肢活動量のモニタリング結果による適切なフィードバック介入が重要であったことを示唆しています。一方、本報告は1事例を対象とした後方視的な検討であり、心理機能と上肢活動量評価との因果関係を明確に示す結果ではなく、解釈には注意が必要です。   図1.症例へのフィードバックに用いた図示化された上肢活動量評価と各指標の算出方法   横軸が両手動作時の麻痺側および非麻痺側の活動強度比率を表した両側活動強度比、縦軸が麻痺側と非麻痺側の活動強度を合計した両上肢活動強度の和を示し、それぞれの指標の関係が1秒毎にプロットされた症例の1日の上肢活動量を図示化したものである。プロット数が多く重なると、寒色から暖色へとプロットの色が変化する。縦軸は両上肢の活動強度を合計した値の大きさを示す。横軸は正の値(右側)にプロットされると麻痺側上肢の活動が優位であることを示し、負の値(左側)にプロットされると非麻痺側上肢の活動が有意であることを示す。横軸上の「7」と「−7」のバーは片側の加速度のみが反応した単肢での活動量を示す。縦に記載された黒線は両側活動強度比がプロットされた中心の位置を示す。   図2.上肢活動量長期的な変化 両側活動強度比:0に近付くほど左右上肢の活動強度が均等であることを示す。 両上肢活動強度の和:数値が高くなるほどより大きな両側上肢活動を行っていることを示す。   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、1症例ながら、上肢活動量の向上に時間前後関係として自己効力感が先行して改善していたことは1症例ながら重要な知見であると考えます。この報告は、リハビリテーション専門家が脳卒中患者の日常生活における麻痺側上肢使用の行動変容を考える際に着目すべき点として心理的側面が重要であることを示しています。今後は、その他の要素を含めた脳卒中患者内における上肢活動量の特徴を横断的に調査していくことや、心理的要因と上肢活動量の関係を縦断的に調査する必要があります。   論文情報 南川 勇二、西 祐樹、生野 公貴、森岡 周 心理的要因による脳卒中後麻痺側上肢使用の低下に対する定量的上肢活動量評価を用いた行動変容介入の効果-症例報告- 作業療法, 2024   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2024.12.20

パーキンソン病患者の移動支援に新たな可能性—足こぎ車椅子の有効性を確認~ニューロリハビリテーション研究センター

畿央大学の岡田洋平准教授らの研究グループは、すくみ足のあるパーキンソン病患者に足こぎ車椅子を導入し、従来の手動車椅子に比べてスムーズかつ十分な速度で駆動できることを明らかにしました。この研究成果は、Movement Disorders Clinical Practice誌に掲載されました(The Cycling Wheelchair as a New Mobility Aid for Individuals with Parkinson's Disease)。 研究概要 パーキンソン病患者は、疾患の初期段階から歩行能力が低下し、進行に伴いその傾向が顕著になります。その結果、日常生活で車椅子が必要となることがあります。しかし、手動車椅子を使用する際にも駆動能力が制限される場合が多いことが課題です。一方で、パーキンソン病患者は自転車のペダル操作能力が比較的保たれていることが知られています。本研究では、ペダル操作で駆動する足こぎ車椅子に着目し、その有効性を手動車椅子と比較しました。その結果、手動車椅子の駆動能力が著しく低下している患者でも、足こぎ車椅子ではスムーズかつ十分な速度で移動可能であることを確認しました。 本研究のポイント ・パーキンソン病患者に足こぎ車椅子を導入し、駆動能力を比較検証した。 ・手動車椅子の駆動が困難な患者でも、足こぎ車椅子でスムーズかつ十分な速度での移動が可能であることを実証した。   研究内容 本研究では、すくみ足を有するパーキンソン病患者2名を対象に、足こぎ車椅子(図1)と手動車椅子による10m直進路の駆動能力を比較しました。 症例1では、手動車椅子の約6倍の速度で足こぎ車椅子を駆動できました。   図1 足こぎ車椅子(COGGY,TESS) 症例2は強い前屈姿勢があり手動車椅子では途中で停止しましたが、足こぎ車椅子では十分な速度で完走可能でした。   図2 主な結果:車いすの駆動速度の比較(手動車椅子 vs 足こぎ車椅子)   これらの結果から、足こぎ車椅子は移動能力が低下したパーキンソン病患者にとって新しいモビリティエイドとしての可能性を示しています。   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究の結果、パーキンソン病患者の足こぎ車椅子の駆動能力は、従来の手動車椅子と比較して非常に高いことが明らかにされました。パーキンソン病患者にとって、日常生活で自由に動けることの意義は大変大きく、生活の質の向上への寄与が期待されます。今後は、方向転換や狭いスペースでの操作性など、より実用的な検証を進め、施設環境などでの有効性も調査できればと考えています。   論文情報 Okada Y, Narita M, Okamoto M, Osumi M, Morioka S. The Cycling Wheelchair as a New Mobility Aid for Individuals with Parkinson’s Disease. Mov Disord Clin Pract. 2024 Dec 5.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 准教授 岡田 洋平(オカダ ヨウヘイ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp

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