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理学療法学科の新着情報一覧

2023年の理学療法学科の新着情報一覧

2023.03.06

カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.8~ビクトリアでの自由時間!

学科を問わず参加できる畿央大学の短期語学留学プログラム。コロナ感染拡大の影響で3年ぶりの実施となる今回、5学科9名の学生が2023年2月17日(金)~3月6日(月)までの18日間をカナダのGlobal Villageで過ごします。英語学習はもちろん、カナダの文化に触れることができ、博物館や美術館鑑賞、アイスホッケー観戦、コンサートなど課外アクティビティを自分で計画して、カナダでの生活を満喫します。ブログ第8弾では、理学療法学科1回生の滝さんが、終盤を迎えたビクトリア滞在での自由時間を振り返ってくれました! こんにちは!理学療法学科1回生の滝 壱聖です。 昨日現地校Global Villageでの授業が終了し、今日ビクトリアを出発してバンクーバーに滞在しながらこのブログをかいています。今回は、ビクトリアでの自由時間についてレポートします。   短期語学留学に行こうと思ったきっかけは、「英語を学びたい」という理由だけではなく、「他国の文化や価値観を知りたい」という気持ちでした。実際に学校では多くの国の方々と関わる機会がありましたが、そこで友達になり、放課後の自由時間を使って、ディナーや遊びにも行くようになりました。     ▼放課後にコロンビアの方々と交流した時間です。この時は、留学した理由や将来の夢、日本のお金やお守りを見せたりと日本のことを知ってもらいました。とても興味を持ってくれて、話が盛り上がりました。       ▼休日に学校で出来た友達とスケートに行った時の写真です。日本でスケートをすることは滅多になく、教えてもらうばかりで、英語で説明されて理解し難いことも多々ありましたが、ジェスチャーを用いたり、簡単な言葉に置き換えたりしてコミュニケーションをとることができました。       ▼この写真は、学校でできた友達とディナーへ行った時の写真です。中華料理を食べに行き、とても楽しい時間でした。ご飯の後はマクドナルドでゆっくりし、お互いの国の人口や有名なもの、言語などを教え合ったりしました。       ▼ホームステイ先が同じだったルームメイトとの写真です。ステイ先での自由時間にはずっと一緒にいて、喋ってくれたりゲームをしてくれました。日本人の方ですが、去年からカナダにきており、英語も流暢でカナダの文化や考え方も教えてくれました。       このように、外出やステイ先での自由時間においても、人とコミュニケーションをとることで、さまざまな文化や価値観、考え方があることを理解し、学ぶことができました。   今日でホームステイが終わり、ホストファミリー、ルームメイトとの別れは悲しいですが、これから2日間過ごすバンクーバーもさまざまな方々と関わり、カナダの空気を吸い、日本では出来ないことを沢山して、楽しい時間にしようと思います!     健康科学部理学療法学科1回生 滝 壱聖   【関連記事】 カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.7~ビクトリア最後の日! カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.6~ラストウィークに突入! カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.5~念願の留学生活! カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.4~いよいよ授業スタート! カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.3~学校が始まるまで! カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.2~ホームステイ開始! カナダ短期語学留学2023 現地リポートvol.1~出発編(オリエンテーション~到着まで) 短期語学留学の記事はコチラへ 現代教育学科英語教育コース セメスター留学の記事はコチラへ

2023.03.05

森岡 周教授のコメント論文が「Physics of Life Reviews誌」に掲載されました~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

この度、Physics of Life Reviews誌に掲載されたレビュー論文 “Doricchi F, Lasaponara S, Pazzaglia M, Silvetti M. Left and right temporal-parietal junctions (TPJs) as "match/mismatch" hedonic machines: A unifying account of TPJ function. Phys Life Rev. 2022 Sep;42:56-92. https://doi.org/10.1016/j.plrev.2022.07.001”に対する森岡周教授(本学理学療法学科・健康科学研究科教授、ニューロリハビリテーション研究センター長)のコメント論文が掲載されました。       Doricchiらのこのレビュー論文は、側頭-頭頂接合部(以下、TPJ)の役割に焦点を当て、既存のエビデンスに基いて、左TPJが予測と現実の一致/不一致のコード化を、右TPJが不一致のコード化を担っていると提案しています。   この提案に対して、神経科学界を代表するリーダーたちがコメント論文を出しています。 上肢運動制御や失行症に関わる前頭-頭頂ネットワークの研究で著名なFerdinand Binkofski博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2022.11.004) 注意および半側空間無視研究の偉大な先導者であるPaolo Bartolomeo博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2022.12.004) 痛み、触覚、身体表象、身体意識などに関するユニークな実験手法により様々な新しい発見を見出し続けているMatthew R. Longo博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2022.12.009) ヨーロッパ神経心理学会連合の元会長で、現在は失語症や認知症に関する研究に注力している神経科医であり認知神経科学者のStefano F. Cappa博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2022.11.013) 多感覚ニューロンが身体近位空間をエンコードする方法と運動皮質が複雑な運動レパートリーをマッピングする方法に関する先駆的な電気生理学研究を行い、近年では意識の脳内基盤に関する研究で神経科学に貢献し続けているMichael S.A. Graziano博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2022.12.023) 言わずと知れた行動と知覚・能動的推論の「自由エネルギー原理」を提唱し、Statistical Parametric Mapping(SPM)、Voxel-Based Morphometry(VBM)、Dynamic Causal Modelling(DCM)を発明した理論神経科学と脳イメージング研究の権威Karl Friston博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2023.01.004) 半側空間無視の治療的トレーニングとして現時点で最もエビデンスレベルの高いプリズム順応の開発者として著名なYves Rossetti博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2023.01.003) NatureやScienceを含む数多くの原著論文を公表してきており、脳構造、脳機能イメージング、脳卒中、パーキンソン病、神経変性疾患、認知神経科学、そして非侵襲的脳刺激や薬剤治療を含む新たな神経学的治療法の開発と幅広い研究領域を有しているGereon R. Fink博士(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2023.01.016) 錚々たる研究者にならんで、本学の森岡 周教授(https://doi.org/10.1016/j.plrev.2023.02.001)のコメント論文も掲載されています。   TPJは運動制御における単純な予測と結果の一致/不一致のみならず、注意や言語、模倣や道具使用、情動や感情、ワーキングメモリ、デフォルトモードやサリエンシーネットワーク、心の理論などの社会的認知、自己意識、そして半側空間無視や身体・病態失認、あるいは失行といった高次脳機能障害にも関わる重要なノードとして認識されており、森岡教授もこれらに関する自らの数多くの研究成果と考えに基づいてコメント論文を書かれています。   神経科学領域に関心がある方々にとっては著者名を見るだけでワクワクするビッグネームばかりですが、全て短いコメント論文ですので、超一流の研究者らの考察を一度読んでみられてはいかがでしょうか??   健康科学研究科・ニューロリハビリテーション研究センター 准教授 信迫 悟志     【関連記事】 ニューロリハビリテーション研究センター関連記事 ニューロリハビリテーション研究センターHP

2023.03.04

多くの理学療法士が購読する「理学療法ジャーナル」の特集を本学教員が企画!~理学療法学科・健康科学研究科

健康科学部理学療法学科、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡 周教授が理学療法ジャーナルVol.57 No.3 2023年3月号(医学書院)において特集「システムとしての姿勢制御 メカニズムの解明から臨床応用まで」を企画・編集しました。本雑誌は、理学療法士ならば誰もが必ず読んだことのある雑誌になります。       本特集は畿央大学関係者も執筆しており、今回、本特集の執筆に関わった、卒業生である植田 耕造さん(本学理学療法学科3期生、博士後期課程修了、JCHO滋賀病院 リハビリテーション部主任、本学大学院客員准教授)に、本特集ならびに畿央大学の特徴を聞きました。   植田 耕造さん コメント 私は本特集の中の「注意操作を用いた姿勢制御アプローチ」を執筆しました。 私は畿央大学大学院在籍中に「姿勢制御への注意機能の影響を調べた研究」を行っております。 この研究では、立位中の姿勢動揺に注意を向け随意的に動揺を制御する時(随意的制御)と、立位中に計算などの認知課題を行い姿勢動揺から注意を逸らした時(自動的制御)では、動揺の振幅は同程度だが、随意的制御の方が動揺速度が速く揺れの質が異なることを示しました。     本特集では、先の研究のような注意の操作により姿勢動揺が増減することや、高い所に立つことで起こる恐怖心により自分の身体に注意が向いてしまい意識的に姿勢制御を行ってしまうことなどを説明しました。また、立位中に計算など認知課題を行う、いわゆる二重課題法を用いたアプローチの効果などを解説しました。 私が注意機能へ興味を持ったのは、実は畿央大学在学時の卒業研究の時になります。その時は、障害物跨ぎ動作の時に携帯電話の操作を行うことの影響を研究しました。畿央大学の特徴の1つとして、卒業後に大学院への進学や研究を行う方が多いことが挙げられますが、これは各分野の第一線で活躍されている教員の先生から卒業研究を通して研究の重要性や面白みを伝えていただけることが大きく影響していると思います。   また、本特集には本学4期生の石垣智也さん(名古屋学院大学講師)も「接触操作を用いた姿勢制御アプローチ」を執筆しています。 石垣さんとは、大学、大学院と切磋琢磨した間柄です。特に大学院では同じ姿勢制御グループとして多くの時間を共にしました。卒業してからも世代関係なく先輩後輩の仲が良く、活躍してる人が多いのも畿央大学の特徴です。   本特集の著者の多くは、畿央大学のニューロリハビリテーション研究センター主催研究会「リハビリテーションのための姿勢運動制御研究(第1回、第2回)」で講師をしていただいています。それを発端に日本前庭理学療法研究会(塩崎智之 理事長/耳鼻咽喉・頭頸部外科教室 助教、理学療法士、本学大学院修士課程修了)も発足しました。こうした背景からも、姿勢制御研究において畿央大学が重要な位置を担っていることが伺えますし、学部教育や研究を行うだけでなく臨床家と研究者の架け橋という役割も畿央大学の特徴だと思います。   関連リンク 固定物とヒトへの軽い接触による立位姿勢制御の特徴 軽く触れることで得られる立位姿勢の安定化に直接影響を与える大脳皮質領域 軽く触れることで得られる立位姿勢の安定化に関係する脳活動

2023.03.01

本学教員の編集した「エビデンスから身につける物理療法」第2版が発行!

理学療法学科の庄本康治学科長が編集した「エビデンスから身につける物理療法」第2版が2月17日、羊土社から発行されました。発行にあたり、庄本学科長からコメントをいただきました。   左から中村潤二さん(理学療法学科1期生)、大住倫弘准教授(同3期生)、庄本康治学科長、瀧口述弘助教(同5期生) 理学療法学科 庄本康治学科長 コメント 2017年8月に第1版を出版してから5年経過しましたが、物理療法においても日進月歩の進化が起こっています。中でも、超音波や電気刺激による迷走神経刺激に代表されるbioelectric medicine、電気刺激療法、体外衝撃波療法などの基礎・臨床研究が顕著に増加しています。さらに、国際疼痛学会による疼痛の定義が改変され、新たな疼痛評価方法なども数多く報告されています。 そこで、第2版では、新たな物理療法として体外衝撃波療法を追加し、その中でもセラピストが実施可能な拡散型圧力波療法について、最新の理論はもちろん、技術的解説も含めて、中村 潤二先生(畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員/西大和リハビリテ−ション病院)に論述して頂きました。拡散型圧力波療法は、様々な疾患や障害に対する効果が報告されていて、新たな物理療法として学修、臨床実践して欲しいと考えています。 国際疼痛学会が2020年に新たな疼痛の定義を発表していますが、第2版でもこれを反映させ、さらに、「リハビリテ−ション現場における痛みの評価」を加え、単なる痛みの強弱のみならず、多次元的評価を学修可能にしています。痛みの専門家として高名な大住 倫弘先生(畿央大学ニューロリハビリテ−ション研究センター)に最先端の情報も含めて解説頂きました。 第1版から論述している物理療法については、新たな研究報告や最新情報を追加しています。さらに、臨床場面や健常人によるデモンストレーションなどの新たな画像、動画を加え、学習効果を上げやすいように工夫しています。 本書によって、エビデンスに基づいて物理療法を適切に実施可能な臨床家や物理療法の研究者が増加し、機器開発メーカーを含めた協働活動がさかんになり、結果的にさまざまなクライエントによい影響があることを祈念しています。 執筆に関わった本学関係者 庄本 康治(本学理学療法学科 教授・学科長) 大住 倫弘(本学健康科学研究科 准教授) 瀧口 述弘(本学理学療法学科 助教) 生野 公貴(本学客員准教授、博士後期課程修了) 徳田‎ 光紀(本学客員准教授、博士後期課程修了、理学療法学科1期生) 中村 潤二(本学客員准教授、博士後期課程修了、理学療法学科1期生) 吉田 陽亮(本学客員准教授、博士後期課程修了、理学療法学科1期生) 肥田 光正(本学修士課程修了) 箕島 佑太(本学理学療法学科4期生)   関連リンク 書評:理学療法学科教員陣が執筆「理学療法概論:課題・動画を使ってエッセンスを学びとる」 書評~庄本康治教授執筆「エビデンスから身につける物理療法」

2023.02.28

養成校の4割が使用!本学教員が編集する「標準理学療法学 神経理学療法学」第3版が発行されました!

健康科学部理学療法学科、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡 周教授が編集した「標準理学療法学 神経理学療法学第3版」が医学書院から出版されました。本書(第2版)は、養成校の教科書シェアが実に4割と、多くの大学・専門学校で使用され、広く認知されています。この度、第3版として大幅に内容が改訂されました。 本書は畿央大学関係者が多く執筆していますが、今回、本書の執筆に加わった、卒業生である中村潤二さん(本学1期生、西大和リハビリテーション病院主任、本学大学院客員准教授)、石垣智也さん(本学4期生、名古屋学院大学講師)に、本書ならびに畿央大学の特徴を聞きました。     中村 潤二さんコメント 私は第3版で新たに追加された章「病期別の脳卒中理学療法 回復期」を執筆しました。 回復期の脳卒中患者に対する理学療法の考え方を整理し、理学療法の中核的な役割の一つである運動障害や歩行障害に対する運動療法、物理療法、装具療法などを、エビデンスに基づいて記載しました。また回復期の理学療法士には、退院後の生活環境の調整など多くの役割が求められますので、これらに携わる者や、これから携わっていく者が知っておくべきスタンダードな情報を記しました。 畿央大学は、教員の方はもちろんですが、卒業生の様々な分野での活躍を見聞きすることができます。神経理学療法学の方向性を指し示す教科書である、この神経理学療法学 第3版の執筆にも畿央大学の関係者が多く関わっています。このような活躍の背景には、畿央大学が教育や研究の基盤が整備されていることや、各分野を牽引する教員の方から学ぶことができ、研鑽を積むことができる充実した環境があるからだと考えています。私自身、そのような環境で学生時代を過ごせたことが、今の礎となっていますし、誇りに思っています。     石垣 智也さんコメント 私は新たに追加された章「病期別の脳卒中理学療法 生活期」を執筆しました。 生活期にみられやすい脳卒中後遺症者の諸問題に触れ、直接的な理学療法とは別に、セルフマネジメントという間接的な関わりの重要性をエビデンスをもとに解説しました。また、この中で近年注目されている身体活動の有効性や社会参加の重要性も取り上げ、それらを支援する理学療法士の役割も紹介しています。 畿央大学は、学生と教員、職員の距離が近いのが特徴で、卒業して10年以上が経った今でも様々な場面で「畿央のつながり」を感じられます。また、臨床的なことはもちろん、近年、益々重要視されているEBM(根拠に基づく医療)や、その基盤となる科学的態度の形成まで教育を受けられることは大きな強みです。     執筆に関わった本学関係者 松尾 篤(本学理学療法学科 教授、健康科学研究科 教授) 森岡 周(本学理学療法学科 教授、健康科学研究科 教授・研究科主任) 岡田 洋平(本学理学療法学科 准教授、健康科学研究科 准教授) 大住 倫弘(本学健康科学研究科 准教授) 信迫 悟志(本学健康科学研究科 准教授) 生野 公貴(本学客員准教授、西大和リハビリテーション病院技師長) 佐藤 剛介(本学客員准教授、奈良県総合医療センター主査) 中村 潤二(本学客員准教授、西大和リハビリテーション病院主任) 石垣 智也(本学客員研究員、名古屋学院大学講師) 野添 匡史(本学客員研究員、甲南女子大学准教授) 高村 優作(博士後期課程修了者、国立障害者リハビリテーションセンター研究所研究員) 脇田 正徳(修士課程修了者、関西医科大学助教) 関連リンク 教育学部教員による書評~森岡周教授著「コミュニケーションを学ぶーひとと共生の生物学ー」 書評「リハビリテーションのための脳・神経科学入門 改定第2版」 書評:森岡周教授執筆「発達を学ぶ―人間発達学レクチャー―」 理学療法学の教科書シリーズ「標準理学療法学 神経理学療法学」 発刊!! 書評『リハビリテーションのための神経生物学入門』

2023.02.25

日本物理療法合同学術大会2023で大学院生が優秀賞を受賞!~健康科学研究科

この度、2023年2月19日〜20日に開催された『日本物理療法合同学術大会2023』において、畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程の立石 貴樹(東京湾岸リハビリテーション病院・理学療法士)が発表してまいりました。   本学術大会はハイブリッド開催となりましたが、約800名が参加しました。理学療法士以外の他職種も集い、基礎分野の研究者や臨床家が参加され、幅広い領域における発表内容の一般演題が報告されました。 本学術大会のテーマは『物理療法の評価と治療-測る・理解する・変える-』と題され、患者の病態を把握・理解し、物理療法の効果機序に基づいた治療選択を行うための評価と治療に焦点を置かれ、それに基づく教育講演とシンポジウムがプログラムされていました。いくつかのプログラムでは、物理療法の科学的手段の確立のために、最新の知見を基に課題と可能性を提示され、物理療法の有用性が再認識されました。   今回、私は『重度感覚鈍麻の麻痺側下肢にしびれ感を呈した脳卒中症例に対するしびれ同調TENSの効果:症例報告』というテーマで発表し、その内容が優秀賞に選出されました。その内容は、重度感覚障害の麻痺側下肢にしびれ感を呈した脳卒中症例に対して、ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員である西祐樹さん(長崎大学 助教)が開発されたしびれ同調TENSを用いた症例報告になります。重度感覚障害で電気刺激の知覚が得られにくく、パラメータ設定が難渋したことから、非麻痺側下肢でしびれ感を再現させて、麻痺側下肢に同様のパラメータ設定で電気刺激を行なったことでしびれ感が改善したことを報告しました。 多くの演題の中から、優秀賞を受賞できたことは、研究活動を行う活力、自信となり大変嬉しく思います。今後も皆様のリハビリテーション介入の意思決定の一助となるよう臨床実践および研究活動に精力したいと思います。   最後になりますが、今回の発表にあたり、客員研究員の西祐樹先生ならびに指導教員である森岡周教授をはじめとする多くの方々にご指導、ご支援をいただきました。この場を借りて深く感謝申し上げます。   発表演題 重度感覚鈍麻の麻痺側下肢にしびれ感を呈した脳卒中症例に対するしびれ同調TENSの効果:症例報告 立石 貴樹、西 祐樹、松井 菜緒、立本 将士、伊藤 惇亮、近藤 国嗣、森岡 周   健康科学研究科 修士課程 立石 貴樹   関連リンク 日本物理療法合同学術大会2023ホームページ

2023.02.21

慢性腰痛の運動時痛に対する経皮的電気刺激の効果~理学療法学科・健康科学研究科

腰痛をもつ日本人は38%程度と推定されており、社会経済に与える影響は少なくありません。腰痛治療の一つに、弱い電流を流して痛みを軽減する経皮的電気刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation: TENS)がありますが、TENSの慢性腰痛の運動時痛に対する効果を検証した報告は限られていました。そこで、畿央大学健康科学部理学療法学科の瀧口 述弘助教、庄本 康治教授と高松 昇三(健康科学研究科博士課程2年/オムロンヘルスケア株式会社)らは、腰部運動時痛に対してTENSの効果を検証し、周波数を変調したTENSによって慢性腰痛の運動時痛が軽減することを明らかにしました。この研究成果は、物理療法科学誌「慢性腰痛患者の運動時痛に対する経皮的電気刺激の効果:ランダム化比較試験」(https://doi.org/10.57337/jjeapt.21-21)に掲載されています。 研究概要 エビデンスレベルが高いといわれているランダム化比較試験という研究デザインを用いて検証しました。腰部に周波数を変調した(刺激の感覚が変わる)TENSを実施すると、プラセボTENS(電気を流していると説明しているが実際は流していない)と比較して、腰部運動時痛が低下しました。この結果から、周波数を変調したTENSを実施することで、慢性腰痛の運動時痛が軽減されることが明らかになりました。   研究のポイント ・慢性腰痛の運動時痛はTENSで軽減する。 ・周波数を変調させた方が、運動時痛が低下した。   研究内容 慢性腰痛患者80名を高周波数TENS群、変調周波数TENS群、プラセボTENS群に分類して、腰部運動時痛に対して効果を比較しました。腰部運動時痛は、腰部の運動テストでよく用いられる指床間距離を測定し、その時の痛みを運動時痛として測定しました。痛みの程度はVisual Analogue Scale (0 – 100で痛みの程度を示す。0: 全く痛くない 100: 想像できる最悪の痛み)を用いて測定しました。変調周波数TENSはプラセボ経皮的電気刺激と比較して、運動時痛が低下しました。   HF-TENS: 高周波数TENS MF-TENS: 変調周波数TENS   本研究の臨床的意義及び今後の展開 TENSは副作用がほとんどなく、近年では操作が簡単な家庭用の機械も販売されています。本研究の結果から、動作中の痛みを軽減できる可能性が示唆されました。今後は、日常生活場面で経皮的電気刺激を併用し、日常生活動作での腰痛が軽減するかを明らかにする必要があります。   論文情報 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjeapt/advpub/0/advpub_21-21/_article   問合せ先 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 助教 瀧口述弘 TEL:0745-54-1601 FAX:0745-54-1600 E-mail: n.takiguchi@kio.ac.jp

2023.02.13

第27回日本神経理学療法学会サテライトカンファレンス@畿央大学、開催レポート!

2023年2月11日(土)、本学で第27回日本神経理学療法学会サテライトカンファレンスが開催されました。       畿央大学大学院健康科学研究科 佐藤 剛介客員准教授(奈良県総合医療センターリハビリテーション部勤務)が集会長を務め、「中枢性疼痛の病態理解と理学療法」というテーマで講演と症例報告および討論が実施され、とても濃厚な1日となりました。当日は対面+WEB配信のハイブリッド形式で実施され、400名以上の方にご参加いただきました。   ▼講演:佐藤 剛介客員准教授       ▼座長:森岡 周教授   ▼講演:松原 貴子教授(神戸学院大学)   ▼症例報告   井川 祐樹さん(博士後期課程)   ▼講演:古賀 優之さん(博士後期課程)   ▼鋭い質問  :初瀬川 弘樹さん(畿央大学3期卒業生)     #JSNPT27sc でTwitter検索すると当日の様子や参加者の生の声をご覧になれますので、あわせてご確認ください!     【関連リンク】 大学院生2名が4週にわたってラジオ出演!~FM大阪「マクセルmeetsカレッジナレッジ」 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 大学院健康科学研究科

2023.02.10

【理学療法学科初の快挙!】4回生の研究成果が国際誌に掲載!~三嶋 瑞穂さんインタビュー

卒業研究として取り組んだ研究成果が国際誌「Behavioral Sciences」誌に掲載された理学療法学科17期生(2023年3月卒業予定)、森岡周ゼミの三嶋瑞穂さん。在学中に国際誌にパブリッシュされたのは理学療法学科史上初めての快挙です! もうすぐ理学療法士国家試験を控える三嶋さんに、卒業研究を進める上での苦労や大学生活、本学をめざしたきっかけなどについて伺いました! 卒業研究のテーマを決めたきっかけは? 中学生の時に脳卒中の患者さんとお話をする機会があり、自分のからだの感じかたの主観的な意識の変化について伺い、興味をもちました。その経験があって、入学後に「行為/運動主体感(日常生活で起こる行為の結果は自分自身であるという主観的な意識のこと)」という内容を知って興味を持ちました。また森岡ゼミの先輩でも運動主体感について研究している方がおられたこともあり、このテーマに決め、先行研究の検索からはじめました。   卒業研究では、東京大学の温先生が開発した実験心理的課題を用いて、感覚予測と結果を一致あるいは不一致させる群を設け、行為主体感がどのように変化するかを分析し、短期間では行為主体感は変化しないことを明らかにしました。   プレスリリースはこちら 卒業研究をする中で大変だったことは? 考察よりも大変だったのはデータ集めでした。心理を定量化するという中身についてもそうですし、サンプル数を集めることや、実験心理手法を用いたこと、試行数が多いことから、とても時間がかかって大変でした。研究内容が難しかったので卒業研究発表会では持ち時間の7分間では十分に話しきれず、本当はもっと長い時間を喋りたかったなと思っています。   卒業研究の考察や、論文の仕上げ、国際誌の掲載に関しては、ゼミの森岡先生や客員研究員の林田先生(本学理学療法学科7期生、健康科学研究科 博士後期課程修了)のご協力もいただき、良い形になりました。 畿央大学をめざしたきっかけは? 理学療法士の養成校を探しているとき、先輩の合格体験記を見ている中で、畿央大学はニューロリハビリテーション研究センターが有名であることを知りました。元々ニューロリハビリテーションには興味があったので、是非にと思い、オープンキャンパスに足を運んで雰囲気も良かったので、受験を決心しました。 4年間を振り返っていかがでしたか? 高校生の時は消極的でコミュニケーションも苦手でしたが、大学に入って実習や人前で発表する機会を通して、苦手だったことが少しずつ克服でき、自分が理学療法士として働く姿も想像できるようになったと思います。 ゼミは毎日朝から夜までずっとデータ集めや発表資料の作成をして、部活のような場所でした。同じゼミ生とはテーマも別々でしたが、研究の考察や、統計解析の仕方、発表資料やスライドの作成など、お互いに議論をたくさんできたのではないかと思います。卒業研究発表会は部活の引退試合のような感覚で、発表後には達成感を得られ、青春を過ごしたなと感じました。 今後の目標を教えてください! 就職先は脳血管疾患を主に超急性期から生活期までずっと診ることができるところに決まったので、授業やゼミで学んだことを活かしていきたいと思います。 臨床現場に出てからも、少しでもデータ集めを続けていくことの大切さは森岡先生に教えていただいたので、これからも取り組んでいきたいと思います。   ▼ゼミ担任の森岡先生と   理学療法学科 森岡教授コメント 昨年度に卒業生した、あるゼミ生同様に、三嶋さんも高校時代にニューロリハビリテーション研究センターに興味を示し、畿央大学に入学してきました。三嶋さんの学年はCOVID-19の影響をもろに受けた学年で、私の授業のほとんどはオンラインになってしまいました。幸いにもゼミの活動は対面で行うことができ、徐々に彼女のキャラクターを理解できるようになりました。本人もインタビューで語っていた通り、他者と多くコミュニケーションをとるタイプではなく、持ち前の知能を存分に表現できていないのではないかと思い、自信をつけてもらうために、彼女自身がやりたい、この難解なテーマを選択しました。研究をゼミの仲間と協力しながら進めていくことで、自分を表現するトレーニングとなったことや、難解なテーマの本研究を完遂できた経験は、確固たる自信につながったのではないかと思います。 三嶋さんには、今後も同テーマに関して臨床をしながらも考えていただき、社会に貢献していく成果をだしていただきたいです。 ニューロリハビリテーション研究センター 林田客員研究員コメント 三嶋さんと直接お会いしたのは卒業研究への取り組みが本格的にスタートする1度きりで、それ以降はオンライン上でやりとりをしました。言葉だけではなかなか伝わりづらい研究テーマのはずですが、それを簡単に理解され研究を進めることができました。また、進捗状況を逐一報告してくれたため、とてもスムーズに研究を遂行できました。かなり短期間でデータ測定を終えましたので、相当集中して頑張ったのだと思っています。その姿勢は、臨床へ出てからも患者さんに向けられるのだろうなと期待しています。また、この研究は私以外にも大学院生や学部生が多く関わって国際誌への掲載に至っており、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターがチーム一丸となってできた成果だと思っています。それに関われたことは、客員研究員として大変嬉しく思います。今後も研究活動を通して将来の患者さんに還元できるよう邁進したいと思います。 関連記事 感覚運動レベルにおける行為主体感の頑健性~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

2023.02.08

感覚運動レベルにおける行為主体感の頑健性~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

行為/運動主体感(sense of agency:SoA)とは「このボールを蹴っているのは私だ」とか「このお皿を割ったのは私だ」など、日常生活で起こる行為の結果を自分に帰属させる主観的な意識のことです。感覚・運動に障害が生じると予測と実際の感覚が一致しないことがあり、それにより行為時の快適さが失われ不快感を訴えるケースがみられます。これは後遺症によって生涯にわたって頑健(つまり「適応できない」)に継続するのかは不明でした。畿央大学健康科学部理学療法学科4回生 三嶋 瑞穂さん、森岡 周教授、ニューロリハビリテーション研究センター 林田 一輝客員研究員らは、東京大学大学院人工物研究センター 温 文特任准教授と共同で、実験的に感覚予測と結果を一致あるいは不一致させる群を設け、一定の期間それに暴露させることで行為主体感が変化するかを調べました。その結果、短期間では行為主体感は変化しない、すなわち頑健であることが明らかになりました。この研究成果はBehavioral Sciences誌(Adaptability of the Sense of Agency in Healthy Young Adults in Sensorimotor Tasks for a Short Term)に掲載されています。 研究概要 行為/運動主体感(sense of agency)とは「ある運動・出来事を引き起こしている、生み出しているのは自分自身である」という主観的な制御の感覚・意識のことです。行為主体感は感覚予測と実際の感覚結果が一致すれば起こり、それらが一致しなければ低下あるいは喪失すると考えられています。例えば、神経疾患、統合失調症、自閉症スペクトラム障害では行為主体感の低下や喪失が報告されています。こうしたケースは、行為のたびに予測と結果に不一致が生じ、自らの行為への不快感につながることが示唆されます。脳卒中後の運動障害は残りやすく、行為に対する不快感が頑健(すなわち「非適応的」)に継続する可能性が考えられます。しかしながら、一定の期間、感覚予測と実際の感覚結果の不一致に暴露されることによって、行為主体感が適応的に変化するか否かは不明でした。また、行為主体感に影響する抑うつ傾向、統合失調症傾向、感覚過敏などの心理状態の個人差がその適応性に影響するかは不明でした。そこで畿央大学健康科学部理学療法学科4年生 三嶋 瑞穂さん、森岡 周教授、ニューロリハビリテーション研究センター 林田 一輝客員研究員らは、東京大学大学院人工物研究センター 温 文特任准教授が開発した実験課題(PCカーソルの自己制御比を実験的に操作することで行為主体感の変化を検出するもの)を用いて、一定期間、感覚予測と実際の感覚結果の一致(一致群)あるいは不一致(不一致群)の暴露による行為主体感の変化を捉えました。その結果、一致群と不一致群の行為主体感の変化に有意な差はみられず、行為主体感が適応的でなく頑健である可能性を示しました。また一致群のみ、暴露前後の行為主体感の変化が抑うつ傾向と関係することがわかりました。 本研究のポイント ■ 感覚予測-結果の不一致への暴露によって行為主体感は適応的に変化するかを調べた。 ■ その結果、感覚運動水準においては、行為主体感は適応的でない(頑健)であることがわかった。 研究内容 33名の健康な実験参加者を感覚予測と実際の感覚結果の一致群(一致群)と不一致群に分けました。MATLABとPsychtoolbox (MathWorks, USA) を使用して、行為主体感を検出する課題を作成しました。参加者はタッチパッドを使用してPC画面上のドットを4秒以内に自由に操作するように指示されました。なお、ドットの動きを自分の操作0~100%の中で10%ごとにランダムに反映させました。試行数は1試行4秒間の操作を計110試行(0~100%を10%ごとに各10回)とし、「“ドットの動きに違和感があっても”自分が動かしていると感じれば Yes と答える」よう参加者に要求し、個人の行為主体感の閾値を算出しました。図1は実験課題の例ですが、タッチパッドを使用して画面上のドットを操作した際、そのドットが自分によってコントロールできていると感じているかどうかが評価されました(図は100%または50%コントロールの例)。不一致群では算出した個人の閾値より10%低い値を100試行、一致群では完全に自分の動きで100試行実施させました。     図1.行為主体感を捉える実験課題 参加者はタッチパッドを使用して PC 画面上のドットを操作し、4 秒以内にドットを自由に操作するように指示されました。そのドットをコントロールできていると感じるかどうかで行為主体感が評価されました。図は100%または50%コントロールの例を示しています。   行為主体感の曖昧さの指標である傾きと50%の確率で「Yes」と回答する主観的等価点(Point of Subjective Equality:PSE)をロジスティック回帰曲線を使用して算出しました。また、参加者の抑うつ傾向、統合失調症傾向、感覚過敏を各種質問紙を用いて調べました。行為主体感を表すロジスティック回帰曲線の傾き、PSEに群間差はありませんでした(図2)。つまり感覚予測と感覚結果の不一致への非適応性が示され、感覚運動課題を用いた感覚運動レベルにおいては、不一致を受け入れることが難しいことが示唆されました。一方で、一致群のみで暴露前後の行為主体感の変化が抑うつ傾向と有意な相関関係を示しました。この結果は、抑うつ傾向の場合、感覚予測と結果の一致経験によって行為主体感を向上させる可能性が示唆されました。しかし、長期にわたる感覚予測と結果の不一致の暴露の影響は不明なままです。今後は、長期間の暴露による思考の変化といった認知レベルが感覚予測と結果の不一致といった感覚運動レベルにどのように影響するかを調べる必要があります。   図2.行為主体感の変化 行為主体感の指標であるロジスティック回帰曲線の勾配 ( A ) とPSE ( B ) の群別の結果(平均 ± 標準偏差)を表します。検定の結果、交互作用と主効果はどちらも有意ではありませんでした。Congruent group(一致群)、Incongruent group(不一致群) 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究における感覚予測と結果の不一致の暴露プロセスは、脳卒中後の片麻痺プロセスを想定しており、学習された不使用の原因に接近する可能性があると予想しています。一方、感覚予測と結果が一致する課題は抑うつ傾向を改善させる選択肢となる可能性が示唆されました。今後は、感覚運動水準の課題に文脈や思考など認知水準の手続きを加え、柔軟に適応できるかどうかを調べる必要があります。 論文情報 Mizuho Mishima, Kazuki Hayashida, Yoshiki Fukasaku, Rento Ogata, Kazuki Ohsawa, Ken Iwai, Wen Wen, Shu Morioka Adaptability of the Sense of Agency in Healthy Young Adults in Sensorimotor Tasks for a Short Term Behavioral Sciences, 2023 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

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