健康科学専攻(博士後期課程)の新着情報一覧
2026.03.30
令和7年度卒業証書・学位記・修了証書授与式を行いました。
2026年3月19日(木)、「令和7年度卒業証書・学位記・修了証書授与式」が冬木記念ホールで挙行されました。 健康科学部318名(理学療法学科75名・看護医療学科96名・健康栄養学科83名、人間環境デザイン学科64名)、教育学部現代教育学科181名、大学院24名(健康科学研究科修士課程19名、健康科学研究科博士後期課程5名)、助産学専攻科9名、臨床細胞学別科8名の合計540名が門出の日を迎えました。 冬木記念ホールに卒業生・修了生が一堂に会し、保護者の皆さまには別会場より中継を通じて授与式の様子を見守っていただきました。キャンパスには華やかな袴姿や笑顔があふれ、共に学び高め合った学友たちと手を取り合い写真撮影する様子が見られました。 午前10時に開式し、国歌斉唱の後、壇上で学科・大学院・専攻科・別科ごとの代表者に卒業証書・学位記・修了証書が授与されました。引き続いての学長表彰では、特に優秀な成績を修めた各学科学生1名が表彰を受けました。 冬木正彦学長による式辞、広陵町副町長 中川 保 様、畿央大学後援会長村井 篤史 様、畿桜会(同窓会)副会長 川口 忠輝様より祝辞をいただきました。 その後、在校生を代表して看護医療学科3回生の黒田 瑞姫さんが送辞を、卒業生を代表して健康栄養学科4回生の有馬 実優さんが答辞を述べました。学歌斉唱の後、厳かな雰囲気でおこなわれた式典は、幕を閉じました。 式典終了後は学科・院・別科・専攻科ごとにわかれ、卒業生・修了生一人ひとりに卒業証書・修了証書が手渡され、時間をともに過ごしてきた教員陣から祝辞として今後の社会での活躍に向けてエールが送られました。 朝方雨交じりだった天候も回復し、学科やゼミ、クラブ、サークル等学生生活を共に過ごした仲間たちと時間の許す限り写真撮影をする姿がありました。 各学科での午後からは帝国ホテル大阪に会場を移し、学科をこえて教員・卒業生・修了生が卒業パーティーに参加。 全員で集まる最後の時間を惜しみながら、学生生活を振り返り、交流を深めました。卒業生・修了生の皆さん、本当におめでとうございます。皆さんのこれからの歩みが、希望に満ちた素晴らしいものとなりますように。新しい日々が、どうか輝きであふれますように。 皆さんの新天地でのご活躍を教職員一同、心から祈っています。
2026.03.19
第15回日本リハビリテーション栄養学会学術集会において大学院生が最優秀YIA賞を受賞 ~ 健康科学研究科
2026年3月14日(土)に石川県の金沢市文化ホールで開催されました第15回日本リハビリテーション栄養学会学術集会において、演題名「骨格筋量評価における浮腫の影響を補正した新指標『標準化骨格筋量』の検討」を発表し、最優秀YIA(Young Investigator Award)賞を受賞しました。 発表内容の紹介 入院心不全の患者さんでは「低栄養」や「サルコペニア」を高率に合併し、再入院率や身体機能・QOLなどの臨床的アウトカムに悪影響を及ぼすことが知られています。これらの診断には骨格筋量の評価が必須ですが、推奨されているBIA法は体水分量の影響を受けやすく、浮腫を呈する心不全患者では骨格筋量を過大評価してしまうという弱点がありました。 そこで今回、生体内の細胞内外の水分比率を用いて浮腫の影響を補正した「標準化骨格筋量」を新指標として提案し、その指標が解剖学的実態を反映しているか、また低骨格筋量の判定に影響するかを検証しました。 その結果、標準化骨格筋量はCTやエコーなどの画像評価指標と関連し、従来の指標よりも多くの対象を低骨格筋量として検出できることが明らかとなり、これまでの栄養評価における見逃しを改善できる可能性を報告しました。 今後への展望 今後は、本研究成果を論文化し、より多くの方に発信していけるよう努めてまいります。また、本研究は健康科学研究科の田平 一行 教授のご指導のもと進められました。この場を借りて深く感謝申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程2年 関根 敏生 関連記事 第35回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会で2年連続となる「医療の質特別賞」を受賞! ~ 健康科学研究科 第15回呼吸・循環リハビリテーション研究大会を開催しました!~健康科学研究科 田平研究室 第65回日本呼吸器学会学術講演会で『トラベルアワード』を受賞 ~ 健康科学研究科
2026.03.17
日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st International Conferenceが開催されました!
フランス・ボジョレーにて日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st International Conference “(Re)Integrating Selves” が開催されました。本研究会は、日仏共同研究プロジェクト NARRABODY(CREST-ANR) の一環として開催されました。NARRABODYは、身体化された自己(embodied self)と物語的自己(narrative self) の関係を「ナラティブ・エンボディメント(narrative embodiment)」という概念から探究し、特にリハビリテーションへの応用可能性を検討する研究プロジェクトです。今回の会議では、このナラティブとエンボディメントの関係をより広い視点から捉え、自己統合(self-integration)というテーマのもとで議論が行われました。 CREST:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による戦略的創造研究推進事業 ANR:フランス国立研究機構(The French National Research Agency:ANR) NARRABODY:Narrative embodiment: neurocognitive mechanisms and its application to VR intervention techniques(ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用) CRESTは国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、本学 森岡 周 教授らの日仏合同研究チームが2.74億円(5年6ヵ月/3研究室合同)の研究費を取得しています。 【プレスリリース】森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 主な論点は以下の4つです。 自己の理論的統合:embodied self,narrative self,minimal self など,多様な自己概念をどう統合的に理解できるか 自己と他者の関係(間主観性):自己は孤立した存在ではなく,他者との関係の中で構成されるという視点 病理における自己の回復:脳卒中などの疾患によって分断された自己を,どのように回復・再統合するか 環境との相互作用:自己は環境に適応すると同時に,環境を取り込みながら拡張していくという視点 本会議には日仏を中心に多くの研究者が参加しました。特にゲストスピーカーとして、Shaun Gallagher 教授(University of Memphis)、Pier Francesco Ferrari 教授(CNRS)、Anne Giersch 研究主任(INSERM)、Somogy Varga 教授(Aarhus University)、入來 篤史 特任教授(帝京大学)、牛場 潤一 教授(慶應義塾大学)らが招かれ、哲学、神経科学、リハビリテーション科学の観点から「自己統合(self integration)」に関する講演が行われました。 本会議を主催するNARRABODYプロジェクトのメンバーとして、日本側からは嶋田 総太郎 教授(明治大学)、森岡 周 教授(畿央大学)、田中 彰吾 教授(東海大学)をはじめ、多くの共同研究者や大学院生が参加しました。また、畿央大学からは森岡 周 教授に加え、大住 倫弘 准教授、高村 優作 研究員(Paris Brain Institute)、林田 一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)、三枝 信吾 博士後期課程(東海大学CREST特任研究員)、大西 空 CREST特任研究員が参加しました。フランス側からは、Yves Rossetti 教授(Lyon Neuroscience Research Center)、Jean-Michel Roy 教授(ENS Lyon)、Gilles Rode 教授(Université Claude Bernard Lyon 1)など、多くの研究者および大学院生が参加しました。 1日目 THURSDAY 5 Welcome Session Sotaro Shimada,Yves Rossetti Opening remarks Osamu Ogata Consul of Japan SESSION 1 Self Integration as Narrative Embodiment Part 1: Narrabody – Recent Developments Embodiment-Based Rehabilitation for Phantom Limb Pain Michihiro Osumi Effects of the Modulation of the Optical Flow During Walking on Self-Efficacy: Preliminary Report of a Series of Experiments (FLY Study) Sébastien Matteo, Yuanliang Zhu Embodiment and Narrativity in Post-Stroke Walking – A Longitudinal Qualitative Study – Shingo Mitsue Part 2: Narrabody – Theoretical Framework Toward a Conceptual Framework of Narrative Embodiment Sotaro Shimada Response: Narrative Embodiment and the Logic of Self Fragmentation Jean-Michel Roy Collective Discussion ▼ 大住 倫弘 准教授(畿央大学) ▼ 三枝 信吾氏(東海大学CREST特任研究員) ▼Jean-Michel Roy 教授(ENS Lyon) 初日は「Self Integration as Narrative Embodiment」をテーマとしたセッションが開催されました。本セッションでは、大住 倫弘准教授が幻肢痛に対する身体化に基づくリハビリテーション研究を紹介し、三枝 信吾氏が脳卒中患者の歩行経験を対象とした現象学的研究など、身体経験とナラティブの関係を多角的に検討する研究が報告されました。 休憩後には、NARRABODYプロジェクトの理論的枠組みに関する講演が行われました。嶋田 総太郎 教授はナラティブ・エンボディメントの概念的枠組みを提示し、続いて Jean-Michel Roy 教授 がナラティブ自己と身体自己の関係について哲学的観点から応答を行いました。 2日目 FRIDAY 6 SESSION 2 Self Integration as Unification of Self Theory Part 1: The General Issue The Hermeneutics of Disordered Self-Narratives Shaun Gallagher The Self as “Aida” (Betweenness): Toward a Non-Reductive Framework of Self-Integration Shogo Tanaka Part 2: Focus Integrating Levels of Selfhood: Ontological Lessons from Narrative Embodiment Camille Lepingle Anosognosia: A Multifaceted Phenomenon Probing the Unity and Plurality of Self-Consciousness Hugo Ardaillon SESSION 3 Self Integration as Intersubjectivity Impersonal Memories and the Phenomenology of Quasi-Remembering Pierre‑Jean Renaudie From Action to Intersubjectivity: The Neural Roots of Self-Other Integration Pier Francesco Ferrari Ritualizing Intersubjectivity: A Xunzian-Enactive Account of Social Understanding Jing He ▼ Shaun Gallagher 教授(University of Memphis) ▼ Pier Francesco Ferrari 教授(CNRS) 2日目は、自己統合を自己理論および間主観性の観点から検討するセッションが行われました。午前のセッションでは、Shaun Gallagher 教授が精神疾患などにおける自己ナラティブの変容について解釈学的観点から講演しました。また田中 彰吾 教授は、日本哲学の「間(Aida)」の概念を手がかりに、自己を関係性の中で捉える理論的枠組みを提示し、自己統合をめぐる理論的議論が展開されました。午後のセッションでは、記憶の現象学に関する研究や、ミラーニューロン研究に基づく自己と他者理解の神経基盤についての講演が行われました。特に Pier Francesco Ferrari 教授は、感覚運動システムの共有が自己と他者理解の基盤となる可能性について神経科学的観点から議論しました。 3日目 SATURDAY 7 SESSION 4 Self Integration as Self Restoration The Self-Portrait as an Interaction between the Narrative Self and the Embodied Self Gilles Rode Beyond Restoration: Temporal Self-Reconstruction and Motor Ecology After Stroke Shu Morioka Time Experience and Sense of Self in Schizophrenia: New Therapeutic Pathways? Anne Giersch Self-Integration: Narrative Identity, Core Commitments and Epistemic Agency Somogy Varga SESSION 5 Self Integration as Environment Adaptation and Absorption Restoration of Embodiment: Insights from Brain-Computer Interface Research Junichi Ushiba Adaptation and the Dialogue Between Bodily- and Narrative-Selves Yves Rossetti, Yuanliang Zhu Embodying Tools and (Rubber) Hands: What Does That Mean? Alessandro Farnè Many Plausible Paths: Beyond Optimality in Complex Systems Atsushi Iriki ▼ Gilles Rode 教授(Université Claude Bernard Lyon 1) ▼ 森岡 周 教授(畿央大学) ▼Yves Rossetti 教授(Lyon Neuroscience Research Center) 3日目の午前は「Self-Integration as Self Restoration」をテーマとしたセッションが開催されました。Gilles Rode 教授は神経心理学的症例における自己肖像画の分析を通して身体表象の障害と自己認識の関係を紹介しました。さらに、森岡 周 教授は脳卒中後の回復過程を時間的自己の再構成として捉える枠組みを提示し、Anne Giersch 研究主任は統合失調症における時間知覚と主体感の関係について講演しました。午後のセッションでは、身体と環境の相互作用に焦点を当てた研究が紹介されました。牛場 潤一 教授はブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)研究の成果を報告し、Yves Rossetti 教授らは身体自己とナラティブ自己の相互作用について議論しました。またAlessandro Farnè 教授は道具使用に伴う身体表象の拡張について講演し、最後に入來 篤史 教授が複雑系における因果関係の新しい枠組みとしてPath-Integral Causality を提案しました。 総括 本ワークショップでは、ナラティブと身体性の関係を基盤とした「自己統合(self-integration)」というテーマのもと、哲学、認知神経科学、神経心理学、リハビリテーション科学など多様な分野の研究者による学際的な議論が行われました。特に、身体経験とナラティブの相互作用を通じて自己がどのように形成・変容するのかという問題について、理論的・実証的な観点から多くの新しい視点が提示されました。その中でも、リハビリテーション科学の観点から身体経験と自己の再構成を探究する研究は国際的にも高い関心を集め、畿央大学の研究グループによる取り組みは、本テーマの発展に重要な示唆を与えるものとなりました。今後は、国際的な概念や定義の作成に向けて研究を重ね、国際共著として出版する予定です。 これまでのミーティングを通して議論が重ねられてきましたが、本カンファレンスではナラティブとエンボディメントの関係を「ナラティブ・エンボディメント」として捉える概念的枠組みについて、研究者間で一定の共有が形成されたことが大きな成果の一つとなりました。 本カンファレンスは,NARRABODYプロジェクトを通じた日仏研究交流をさらに深化させるとともに、自己研究と神経リハビリテーション研究を結びつける学際的研究の発展に向けた重要な一歩となりました。 関連記事 JST CREST領域内研究交流報告 ― 内受容・予測的処理とNarrabody理論の接点 ― ~ ニューロリハビリテーション研究センター|KIO Smile Blog 森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 3rd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター フランス・リヨン神経科学研究センターのHugo ARDAILLON 氏が畿央大学を訪問されました!~ ニューロリハビリテーション研究センター CREST「マルチセンシング」研究領域の領域会議が開催されました!~ ニューロリハビリテーション研究センター
2026.02.27
JST CREST領域内研究交流報告 ― 内受容・予測的処理とNarrabody理論の接点 ― ~ ニューロリハビリテーション研究センター
2026年2月17日(火)、JST CREST「生体マルチセンシングシステムの究明と活用技術の創出」領域における研究交流の一環として、名古屋大学・大平 英樹教授の研究室を訪問し、理論的および実証的討議を行いました。 大平教授らは「多様な迷走神経情報から創発する内受容感覚の脳統合」プロジェクト(代表・佐々木拓哉 東北大学教授)を推進しており、内受容感覚および予測的処理を基盤とした脳―身体―情動統合の神経機構を明らかにすることを目的としています。本交流は、我々が推進するNarrabodyプロジェクト(身体を媒介とした時間的自己再構築の理論化・実証化)との理論的接続可能性を検討する重要な機会となりました。 今回は、森岡グループから、森岡 周、大住 倫弘、佐々木 遼(JSPS特別研究員)、大西 空(CREST特任研究員)、産屋敷 真大(修士課程)が参加しました。 CRESTは国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、本学 森岡 周教授らの日仏合同研究チームが2.74億円(5年6ヵ月/3研究室合同)の研究費を取得しています。 【プレスリリース】森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 当日の発表テーマについて 当日は、以下のテーマについて発表を行い、活発な議論が交わされました。 脳卒中回復過程におけるナラティブ変容 森岡(大西)は、脳卒中患者における運動機能回復過程とナラティブ変容の関連について話題提供しました。 本発表では、機能回復と主観的回復の乖離に着目し、運動機能の改善が単なるパフォーマンス向上にとどまらず、「時間的自己モデル」の再構築過程に関与する可能性を提示しました。また、内受容感覚の変化が自己物語の再編とどのように同期するかについて、意見交換しました。 サーマルグリル錯覚と予測誤差モデル 佐々木研究員は、サーマルグリル錯覚を用いた痛みの質的評価と予測誤差との関連について報告しました。 特に、内受容予測モデルの不整合が主観的痛み経験の質を規定し得ることが示唆されました。議論では、内受容予測誤差の再重み付けが重要論点となりました。これは、予測誤差を単に最小化する対象としてではなく、「意味生成過程の一部」として再解釈するNarrabodyの理論的立場と接続するものです。 脳卒中患者における身体感情の評価枠組み 産屋敷(修士課程)は、脳卒中患者が自身の身体に抱く感情の構造について報告しました。身体への否定的感情は、単なる情動反応ではなく、身体所有感や行為主体感の回復過程でもあり、それは時間的自己連続性の再構築と密接に関連する可能性があります。今後は、内受容指標・行動指標・ナラティブ評価を統合した多層的評価枠組みの構築が課題であり、その方向性を意見交換しました。 慢性疼痛における脳内ネットワーク再編 大住准教授は、慢性疼痛患者における脳内機能ネットワークの異常結合について報告しました。異種ネットワーク間の機能的過結合が、症状の持続や多様性に関与する可能性が示されました。Narrabodyの視点からは、これを「神経ネットワークの異常」ではなく「時間的自己モデルの固定化」として再解釈する理論的展開の可能性が議論されました。 本領域横断的対話は、神経科学・リハビリテーション科学・現象学的自己理論を統合するための基盤をさらに強化するものとなりました。 今後は、マルチセンシング指標とナラティブ評価を統合した実証研究へと展開する予定です。 関連記事 森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 3rd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター フランス・リヨン神経科学研究センターのHugo ARDAILLON 氏が畿央大学を訪問されました!~ ニューロリハビリテーション研究センター CREST「マルチセンシング」研究領域の領域会議が開催されました!~ ニューロリハビリテーション研究センター
2026.02.27
入院中の脳卒中者はなぜ歩行を重要と認識しているか-歩行に関する語りから重要性を探索~ ニューロリハビリテーション研究センター
脳卒中を発症すると、多くの人が歩行能力の低下を経験し、日常生活や社会参加にさまざまな影響を受けます。しかし、入院中の脳卒中者が、どのような理由で歩行を重要と捉えているのかについては、これまで十分に明らかにされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の三枝 信吾氏と森岡 周教授らは、回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者19名を対象にインタビュー調査を行い、歩行の重要性に関する認識を質的に分析しました。この研究成果は Frontiers in Neurology誌(Perceived importance of walking among hospitalized patients with stroke: A thematic analysis)に掲載されています。 本研究のポイント 回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者を対象に、歩行の重要性について半構造化インタビューを行い、質的に分析した。 歩行は、日常生活の再開や健康の促進および機能低下の予防に加え、歩行に伴う不安、他者との関係性、歩行能力低下のラベリング、さらに社会環境とも深く結びついていることが明らかとなった。 研究概要 脳卒中を発症すると、多くの人が歩行能力の低下を経験します。歩行は移動手段としてだけでなく、日常生活の自立や社会参加、健康維持にも深く関わる重要な活動です。しかし、入院中の脳卒中者が、どのような理由で歩行を重要と捉えているのかについては、これまで十分に明らかにされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の三枝 信吾氏と森岡 周教授らの研究チームは、回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者19名を対象に、歩行の重要性について半構造化インタビューを実施し、質的分析を行いました。その結果、歩行は発症前の生活を再開するための重要な要素として強調されていました。一方で、歩行は健康を維持するために重要ではあるが、環境への適応に対する不安も示されました。そして、参加者は歩行能力低下が他者との関係性に悪影響を及ぼすことを懸念していることや、他者からの視線を通じて脳卒中者として捉えられることを避けたいという思いも示されました。さらに、歩行の重要性は経済的負担や交通手段、外部支援の必要性といった、より広範な社会的課題にまで及んでいました。本研究は、入院中の脳卒中者が歩行を重要と捉える理由を質的に明らかにした初めての研究です。 研究内容 本研究では、回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者19名を対象に、歩行の重要性に関する対面での半構造化インタビューを実施しました。インタビューに先立ち、Community Integration Questionnairを用いて、発症前の生活状況や社会参加の背景を把握しました。次に、歩行の自立性、バランス、質、距離、速さの5つの歩行要素の中から、参加者が最も重要と認識している要素を選択してもらい、その理由について詳しく語ってもらいました。インタビューはすべて音声録音され、逐語録として文字起こしされた後、体系的にコーディングされてテーマを生成するための分析が行われました(図1)。 図1.インタビューの手順と内容 結果、6つの主要なテーマが抽出されました。 (1) 日常生活の再開:歩行は、発症前に行っていた活動や生活習慣に戻るために不可欠な要素として認識されていました。 (2) 健康の維持および機能低下の予防:参加者は、歩行は健康を維持し、身体機能の低下を防ぐために重要であると捉えていました。 (3) 歩行に伴う不安:参加者は、歩行時に生じる身体的および環境的な困難について語っていました。 (4) 他者との関係性:歩行の困難さが、家族や周囲の人々との関係性に影響を及ぼす可能性について懸念が示されていました。 (5) 歩行能力低下のラベリング:参加者は、自身の歩き方が他者からどのように見られているかを強く意識していました。 (6) 社会環境:歩行は、仕事や交通手段といった、より広範な社会的要因と結びついていました。 研究グループは、これらの結果から、入院中の脳卒中者にとって歩行は、発症前の生活の再構築や健康の維持、人間関係および社会環境への再適応と深く関わる行為であると考えています。一方で、歩行は他者からの視線をはじめとする周囲との関係性といった心理社会的側面からもその重要性が形づくられており、今後の歩行リハビリテーションでは、身体機能や移動能力といった視点に加えて、個々人が認識する歩行観を踏まえた包括的な支援が必要であると考察しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究の臨床的意義は、理学療法士等が歩行リハビリテーションを行う際に、脳卒中者自身が歩行に見出している意味や価値に着目する必要性を示しています。今後は縦断データを使用し、時間の経過に伴歩行の捉え方の変化を検討する必要があります。なお、本研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST研究領域「生体マルチセンシングシステムの究明と活用技術の創出」における研究課題「ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用」の支援を受けて実施しました。 論文情報 Mitsue S, Ogawa T, Minamikawa Y, Shimada S and Morioka S (2026) Perceived importance of walking among hospitalized patients with stroke: a thematic analysis. Front. Neurol. 17:1742132. 関連記事 本研究の出版報告は、NARRATIVE EMBODIMENT PROJECT(NARRA BODY)のウェブサイトにも掲載されています。 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 三枝 信吾 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2026.02.27
歩行中の“身体軽量感”錯覚 ー偶然発見された新たな錯覚現象~ニューロリハビリテーション研究センター
身体が重たいと感じることにより身体活動量が低下してしまい、心身の健康に悪影響を及ぼすことがしばしばあります。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らは、偶然発見された特殊な視覚フィードバックを利用することによって、健常若年者において歩行中に身体軽量感の錯覚を誘発できる可能性について報告しました。 この成果は、CREST(ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用)の一環として行われ、Frontiers in Psychology誌(The illusion of a “sense of body lightness” while walking: A preliminary exploratory study)に掲載されています。 本研究のポイント 歩行中の身体軽量感錯覚を誘発できる可能性について視覚遅延フィードバック課題を用いて行った。 身体軽量感錯覚は、主観的先行フィードバックによって誘発できる。 身体重量感などの不快な主観的経験に対する手立てになる可能性を秘めている。 研究概要 錯覚現象は歴史的に知覚過程に関する情報を明らかにするために用いられてきました。最近の研究では、予測される体性感覚フィードバックと比較してわずかに遅れた視覚フィードバックを与えられた実験参加者が身体の重さを感じたと報告されています。これはフィードバック間のわずかな誤差が身体知覚にネガティブな影響を与えるということがいえます。 身体重量感というネガティブな身体知覚は、心身への悪影響を及ぼすことが知られていますが、その解決策はわかっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らの研究チームは、歩行中に身体の軽さを感じるという新たな錯覚現象について報告しました。 30名の実験参加者がトレッドミル歩行中に「主観的に先行するフィードバック」を経験した際、9名が身体軽量感の錯覚が誘発されたと報告されています。この報告では、主観的に先行するフィードバックの生成方法、身体軽量感錯覚を誘発するメカニズム、およびこの錯覚の応用可能性について記載しています。 フィードバック間のわずかな誤差の知覚は、ポジティブな効果も生む可能性について論じています。この研究は予備的・探索的研究な段階ではありますが、この新たな錯覚は医療・リハビリテーション分野だけでなく、拡張現実技術やその他の学際分野にも貢献する可能性を秘めています。 研究内容 身体が重たいと感じるその原因に感覚運動不一致が挙げられています。感覚運動不一致とは、脳内で予測されたフィードバックと実際のフィードバック間のわずかなズレ(不一致)の認識を指します。感覚運動不一致を実験的に扱う方法に視覚遅延フィードバックを用いた研究があります。以前に畿央大学の林田 一輝客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡 周教授らの研究チームは、視覚遅延フィードバックによって歩行中にも身体重量感を実験的に誘発できることを報告していました。しかし中には身体軽量感を報告する者が一定数存在することがわかっていましたが、その理由は不明なままでした。 ある日、研究チームが実験終了後に実験参加者の内省を聴取していると「遅れが大きくなりすぎると少し未来の自分を見ている状態になる。その時に身体が軽く感じる」という内容が報告され、研究チームが意図していなかった偶発的に作りだされた実験状況が身体軽量感錯覚に寄与する可能性が発覚しました。つまり身体軽量感の錯覚は、「主観的に先行するフィードバック」と予測されたフィードバック間の不一致によって誘発される可能性があると研究チームは提案しています。 歩行は周期運動であるため、1歩分に近い遅延を導入すると、先行する視覚フィードバックが生じ得ます。図1に示すように、ある実験参加者の1歩分の時間が約1000ミリ秒で、例えばリアルタイム(遅延時間:0ミリ秒)が立脚後期の場合、1000ミリ秒の遅延フィードバックは、前の歩行周期の立脚後期を見ている状況になります。また、わずかな遅延フィードバック(図1では立脚中期)によって身体重量感が誘発されることは以前の研究から明らかになっていました(例:200ミリ秒;現在の周期、青色)。一方で、ほぼ1歩分の遅延(例:800ミリ秒;前の周期、オレンジ)により前遊脚期をフィードバックすると、実際は遅延フィードバックであるにも関わらず、わずかに先行する状況を主観的に経験することができます。この特殊な状況を「主観的先行フィードバック」と研究チームは呼んでいます。主観的先行フィードバックは、身体軽量感錯覚を引き起こす可能性があり、本研究の目的はこれを体系的に調査することでした。 図1.主観的先行フィードバックの誘発条件 ある実験参加者の1歩分の時間が約1000ミリ秒で、例えばリアルタイムが立脚後期の場合、遅延時間0ミリ秒および1000ミリ秒のフィードバックは、どちらも立脚後期に対応します。わずかな遅延フィードバック(ここでは立脚中期)では、身体重量感が誘発されます(例:200ミリ秒;現在の周期、青色)。ほぼ1歩分の遅延(例:800ミリ秒;前の周期、オレンジ)により前遊脚期のフィードバックを提示すると、実際には遅延フィードバックであるにも関わらず、わずかに先行する段階を主観的に経験することができます。 実験により、30名中9名で先行フィードバック時に明確な身体軽量感の錯覚が誘発したという結果が報告されています。本報告は予備的・探索的な性質のものですが、このシンプルなアイデアは、感覚運動不一致によって引き起こされる不快な主観的体験への介入手段として役立つ可能性が秘められています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 新たな錯覚現象の発見によって、身体知覚生起のメカニズムおよび発展可能性を展望することができました。今後の研究では、身体軽量感を頑健に惹起する方法のさらなる探索をする必要があります。 論文情報 Hayashida K, Nishi Y, Osawa K, Inui Y and Morioka S (2026) The illusion of a “sense of body lightness” while walking: a preliminary exploratory study. Front. Psychol. 17:1741215. 関連する先行研究 Hayashida, K., Nishi, Y., Inui, Y., & Morioka, S. (2025). Sensorimotor incongruence during walking using delayed visual feedback. Psychological research, 89(5), 139. https://doi.org/10.1007/s00426-025-02170-9 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田 一輝 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2026.02.18
平地の歩きから不整地の不安定さを予測 -ウェアラブルセンサーと機械学習で解析- ~ニューロリハビリテーションセンター
脳卒中者は、不整地を含む屋外の地域社会での歩行で安定性が低下し、転倒リスクが上昇します。ただし、脳卒中者の不整地での安定性に関する知見は不足しており、臨床的には平地歩行パラメータから予測できることは重要です。畿央大学大学院 博士後期課程の乾 康浩氏と森岡 周教授らは、脳卒中者の不整地歩行に特徴的な安定性指標を腰部に取り付けたウェアラブルセンサーから特定し、さらにそれらを平地歩行パラメータから予測できるかについて機械学習を用いて検証しました。 脳卒中者は不整地歩行中に、上下の動揺、前後の規則性、前後のリズムに課題を抱えることが明らかとなりました。また、平地歩行速度0.8m/s未満になると不整地での上下の動揺が大きく、平地歩行での足関節の動きが不整地歩行での前後の規則性に影響を与え、平地歩行でのリズムが不整地歩行でのリズムに影響を与えることが示されました。 この研究成果はScientific Reports誌(Identifying and predicting gait stability metrics in people with stroke in uneven-surface walking using machine learning)に掲載されています。 本研究のポイント 腰部に取り付けたウェアラブルセンサーから脳卒中者の不整地歩行に特徴的な安定性指標を抽出した。 脳卒中者は、健常者と比較して不整地歩行で上下の動揺の増加、前後の不規則性の増加、前後のリズムの低下を示すことが明らかとなった。 平地歩行速度0.8m/s未満になると不整地歩行での上下の動揺が大きく、平地歩行での足関節の動きが不整地歩行での前後の不規則性に影響を与え、平地歩行でのリズムが不整地歩行でのリズムに影響を与えることが示された。 研究概要 脳卒中者は、不整地を含む屋外の地域社会での歩行で安定性が低下し、転倒リスクが上昇します。ただし、脳卒中者の不整地での安定性に関する知見は不足しており、臨床的には平地歩行パラメータから予測できることは重要です。 畿央大学大学院博士後期課程の乾 康浩氏と森岡 周教授らの研究チームは、自作の予測困難な摂動が生じる不整地路を用いて脳卒中者の不整地歩行に特徴的な安定性指標を腰部に取り付けたウェアラブルセンサーから特定し、さらにそれらを平地歩行パラメータから予測できるかについて機械学習を用いて検証しました。脳卒中者は不整地歩行中に、上下の動揺、前後の規則性、前後のリズムに課題を抱えることが明らかとなり、平地歩行速度0.8m/s未満になると不整地での上下の動揺が大きく、平地歩行での足関節の動きが不整地歩行での前後の規則性に影響を与え、平地歩行でのリズムが不整地歩行でのリズムに影響を与えることが示されました。 本研究は、脳卒中者の不整地歩行に特徴的な安定性指標を特定し、平地歩行パラメータから予測した初めての研究です。 研究内容 脳卒中者は、不整地を含む屋外の地域社会での歩行で安定性が低下し、転倒リスクが上昇します。ただし、脳卒中者の不整地での安定性に関する知見は不足しており、臨床的には平地歩行パラメータから予測できることは重要です。 本研究では、腰部にウェアラブルセンサーを装着して自作の不整地路を歩行し(図1)、得られた加速度データから線形・非線形指標19項目を算出した。これらの指標を入力として複数の機械学習分類モデルを構築し、脳卒中者と健常者の分類を行った。さらに、SHAP(SHapley Additive ExPlanations)分析により、分類に寄与する指標を特定した。さらに特定された安定性指標を平地歩行パラメータか予測できるかについて機械学習回帰モデルを用いて検証しました。 図1.不整地路とウェアラブルセンサー 機械学習分類モデルの結果からは、複数のモデルで95%以上の識別精度があり(図2)、SHAP分析の結果、脳卒中者は不整地歩行中に、垂直方向の動揺を示すRoot Mean Squareの高さ、前後の不規則性を示すSample Entropyの高さ、前後のリズムを示すHarmonic Ratioの低さの寄与度が高いことが明らかとなりました(図3)。 図2.不整地歩行における脳卒中者と健常者の分類性能(ROC曲線) GAN1000: Generative Adversarial Network(GAN)を用いてデータ数を 1000 に拡張したモデル;ctGAN200: Conditional Tabular GANを用いてデータ数を200に拡張したモデル;ctGAN1000: Conditional Tabular GANを用いてデータ数を10000に拡張したモデル 図3.機械学習分類モデルにおける特徴量の寄与(SHAP分析) 各安定性指標が脳卒中者と健常者の分類にどれだけ貢献しているかを示すSHAP値をプロットしており、横軸がSHAP value(寄与度)を表しています。 また、機械学習回帰モデルの結果からは、平地歩行速度0.8m/s未満になると不整地歩行での垂直方向のRoot Mean Squareが大きく、平地歩行での足関節の動きが不整地歩行での前後のSample Entropyに影響を与え、平地歩行でのHarmonic Ratioが不整地歩行でのHarmonic Ratioに影響を与えることが示されました(図4)。 図4.機械学習回帰モデルにおける特徴量の寄与(SHAP分析) 不整地歩行における各安定性指標の予測に対して平地歩行パラメータがどれだけ貢献しているかを示すSHAP値をプロットしており、横軸がSHAP value(寄与度)を表しています。 RMS: Root Mean Square; EMG: Electromyography; BF: Biceps Femoris; HR: Harmonic Ratio; SampEn: Sample Entropy;BBS: Berg Balance Scale: IC: Initial Contact;RQA: Recurrence Quantification Analysis;sLE: short-time Lyapunov Exponent 研究グループは、これらの結果から、機械学習を用いて、 ウェアラブルセンサーの計測結果から不整地歩行の安定性を多面的に評価できる可能性を示唆しています。また、平地歩行パラメータから不整地歩行での安定性を予測できる可能性があることは、屋外歩行獲得に向けた個別化されたリハビリテーションの開発に貢献すると考察しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、予測困難な摂動が生じる不整地を歩く際の脳卒中者の安定性低下について、健常者との違いを明らかにしており、リハビリテーション専門家が屋外歩行での安定性を捉える際に着目すべき点を示しています。さらに、不整地を安定して歩行するための平地歩行パラメータを明らかにしたことで、屋外歩行獲得のための個別化支援に貢献します。今後は、より高精度なモデルの構築や縦断研究へと発展する必要があります。 論文情報 Yasuhiro Inui, Yusaku Takamura, Yuki Nishi, Shu Morioka Identifying and predicting gait stability metrics in people with stroke in uneven-surface walking using machine learning. Scientific Reports. 2026 関連する先行研究 Inui Y, Mizuta N, Hayashida K, Nishi Y, Yamaguchi Y, Morioka S. Characteristics of uneven surface walking in stroke patients: Modification in biomechanical parameters and muscle activity. Gait Posture. 2023 Jun;103:203-209. Inui Y, Mizuta N, Fujii S, Terasawa Y, Tanaka T, Hasui N, Hayashida K, Nishi Y, Morioka S. Differences in uneven-surface walking characteristics: high-functioning vs low-functioning people with stroke. Top Stroke Rehabil. 2025 Dec;32(8):789-799. Inui Y, Mizuta N, Terasawa Y, Tanaka T, Hasui N, Hayashida K, Nishi Y, Morioka S. Distance-related changes in gait parameters during uneven-surface walking in people with stroke versus healthy controls: A cross-sectional analysis. Clin Biomech (Bristol). 2026 Jan 9;133:106747. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 乾 康浩 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2026.02.18
脳卒中後の体幹機能の構造を解明:4つの因子と難易度階層に基づく新しい評価モデル ~ ニューロリハビリテーション研究センター
脳卒中者において、体幹機能の低下は座位保持や歩行、日常生活動作(ADL)の自立を妨げる主要な要因となります。これまで多くの体幹機能検査が開発されてきましたが、それぞれが評価する要素や難易度が異なり、統合的な解釈が困難でした。畿央大学大学院博士後期課程の田上 友希 氏と森岡 周 教授らは、既存の4つの体幹機能検査を統合的に分析し、脳卒中後の体幹機能が「静的座位」「基本動作」「動的座位(より挑戦的な課題)」「動的座位(挑戦的ではない課題)」の4つの因子で構成され、明確な難易度階層構造を持つことを明らかにしました。 この研究成果はArchives of Physical Medicine and Rehabilitation誌(Integrated Structural Analysis of Trunk Function Assessment After Stroke – New Evaluation Model Based on Multiscale Factor Analysis and Rasch Analysis)に掲載されています。 本研究のポイント 急性期脳卒中者200名を対象に、既存の4つの体幹機能検査(TIS-V、 TIS-F、 FACT、 TCT)を用いて、体幹機能の構成要素を検証しました。 探索的因子分析とRasch分析を用いた結果、体幹機能は「静的座位」「基本動作」「動的座位(より挑戦的な課題)」「動的座位(挑戦的ではない課題)」の4つの因子に分類され、それぞれの難易度が段階的に高くなる階層構造を持つことが明らかになりました。 研究概要 脳卒中後の体幹機能障害は、ADLや歩行の予後を予測する重要な因子ですが、臨床現場では複数の評価尺度が混在しており、「どの検査がどの能力を測っているのか」が不明確なままでした。畿央大学大学院 博士後期課程 田上 友希 氏、森岡 周 教授らの研究チームは、発症早期の脳卒中患者200名を対象に、代表的な4つの体幹機能検査(計38項目)を実施し、得られたデータを高度な統計手法(探索的因子分析およRasch分析)を用いて解析しました。その結果、脳卒中後の体幹機能は単一の構造ではなく、明確に異なる4つの因子から構成されていることを突き止めました。さらに、これらの因子間には難易度の順序性(静的座位<基本動作<動的座位[挑戦的ではない]<動的座位[より挑戦的])が存在することを証明しました。本研究は、脳卒中後の体幹機能の構造と階層性を初めて統計的に明らかにしたものであり、より個別化されたリハビリテーション介入への道を開くものです。 研究内容 本研究では、脳卒中後の体幹機能評価の構造を解明し、新しい統合的な評価モデルを構築することを目的としました。発症から48時間以内に離床が可能となった脳卒中患者200名を対象に、Trunk Impairment Scale (TIS-V、 TIS-F)、Functional Assessment for Control of Trunk (FACT)、Trunk Control Test (TCT) の4つの評価尺度を用いて評価を行いました。 図1. 本研究で統合解析した体幹機能評価 収集したデータに対し、探索的因子分析(EFA)を行った結果、体幹機能は以下の4つの因子に分類されることがわかりました。 静的座位(Static sitting):座位姿勢の保持能力 基本動作(Basic movement):寝返りや起き上がりなど、支持基底面内での基本的な体動 動的座位・難易度低(Dynamic sitting – Less Challenging):支持基底面内での重心移動を伴う動作 動的座位・難易度高(Dynamic sitting – More Challenging):支持基底面外へのリーチや体幹回旋を伴う高度な制御 さらに、ラッシュ分析を用いて各因子の難易度を検証したところ、これらは並列な関係ではなく、静的座位や基本動作が容易で、動的座位(特に回旋や大きな重心移動を伴うもの)が最も困難であるという階層性を持つことが示されました。 図2.体幹機能の4因子と難易度階層 研究グループは、従来の評価法ではこれらの異なる要素が混在してスコアリングされていたため、患者の特異的な課題(例:静的保持はできるが、回旋を含む動的動作だけができない等)が見過ごされていた可能性があると考察しています。本研究で示された4因子モデルを用いることで、患者が「どの段階の」「どの因子」に問題を抱えているかを正確に把握することが可能になります。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、脳卒中後の体幹機能を「静的」「基本動作」「動的(低難度・高難度)」という4つの視点から整理し、その難易度順序を明確にした点にあります。これにより、リハビリテーション専門家は、単なる合計点での評価ではなく、患者の回復段階に応じた適切な目標設定(例:静的座位が確立したら、次は支持基底面内での動的課題へ進むなど)が可能になります。今後は、このモデルに基づいた短縮版の評価票(Keyform)の臨床応用や、各因子にターゲットを絞った介入プログラムの効果検証を進める必要があります。 論文情報 Tagami Y, Fujii S, Inui Y, Takamura Y, Nakao S, Takase K, Tomotake A, Shinbori N, Kitahara R, Morioka S. Integrated Structural Analysis of Trunk Function Assessment After Stroke- New Evaluation Model Based on Multiscale Factor Analysis and Rasch Analysis. Arch Phys Med Rehabil. 2026 Feb 5 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 田上 友希 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2026.02.03
人工膝関節全置換術後早期には疼痛強度と運動が相互に関連し合う ~ ニューロリハビリテーション研究センター
急性疼痛を経験した後、疼痛、運動恐怖、運動機能は互いに影響し合い、たとえ創傷や外傷といった痛みの原因が治癒した後であっても、これらの要素がネットワークを形成することで疼痛や運動機能低下が慢性化すると考えられています。畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程の古賀 優之氏(川西市立総合医療センター)と森岡 周教授らは、人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty:TKA)を受けた患者を対象に、術前・術後1週・術後2週の縦断データを用いて、疼痛、運動恐怖、運動機能の時間的関係を交差遅延効果モデル(Cross Lagged Panel Model:CLPM)により分析しました。その結果、術後1週における運動の狭小化が術後2週の安静時痛強度を予測し、同様に術後1週における安静時痛強度が術後2週の運動の不規則さを予測するという双方向の関係が明らかになりました。本研究成果はEuropean Journal of Pain誌(Temporal relationship between pain/fear and knee movement disorder after total knee arthroplasty)に掲載されています。 本研究のポイント TKA患者を対象に術前、術後1週、術後2週の3時点で、「痛み」や「動かすことへの恐怖心」、「膝関節の動かしにくさ」が測定されました。 解析の結果、術後1週時点における膝の曲がる角度(屈曲角度)が小さいほど、2週時点の安静時の痛みが強くなることや、術後1週時点での安静時の痛みが強いほど、2週時点の膝の動きが不規則でぎこちない(滑らかでない)ものになることが明らかになりました。 TKA術後1〜2週という極めて早い段階において、痛みと運動機能がそれぞれ異なる経路で互いに影響し合っていることが科学的に裏付けられました。この「悪循環」を断ち切るためには、術後1週から痛みを適切に管理しつつ、運動機能の改善を図る具体的な介入が不可欠です。 研究概要 人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty:TKA)は、膝の痛みを軽減し、生活の質を向上させる有効な治療法です。しかし、手術を受けた患者の約20%では、術後も痛みが長引いたり、運動機能の回復が十分に得られなかったりするという課題が残されています。「痛み」「動くことへの恐怖心」「運動機能(膝の動き)」といった要素は互いに関連しており、疼痛が遷延化する要因となります。しかし、術後早期において、「動かないから痛くなるのか」、「痛いから動かなくなるのか」といった時間的な順序や関係性については、十分に明らかにされていませんでした。畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程の古賀 優之氏(川西市立総合医療センター)と森岡 周教授らの研究グループは、TKAを受けた患者を対象に、手術前、術後1週、術後2週の時点で、痛み、動くことへの恐怖心、そして膝の運動機能を縦断的に調査しました。研究では、ベッド上で膝を曲げ伸ばしするシンプルな運動課題を実施し、膝の曲がる角度や動作の速度、動きの滑らかさといった運動の量と質の両面を詳細に分析しました。 解析の結果、術後1週時点で膝の曲がる角度が小さい(十分に動かせていない)ほど、術後2週の安静時の痛みが強くなることが予測されました。また、術後1週時点で安静時の痛みが強いほど、術後2週の膝の動きが不規則でぎこちないものになることが示されました。一方で、術後早期における「動くことへの恐怖心」は、術後2週の運動機能には直接影響していませんでした。この結果は、恐怖心が重要であるとされてきた従来の知見を踏まえつつも、術後早期においては「痛み」と「実際の動き」がより強く相互に影響し合っていることを示しています。多くの先行研究が、術後数ヶ月から数年といった長期的な経過に注目してきましたが、本研究は手術直後のわずか1週間の変化が、その後の回復過程に影響を及ぼす可能性を示しました。また、単に動きの速さや大きさだけでなく、「動きの滑らかさ(不規則性)」という目に見えにくい運動の質を数値化して評価に取り入れた点も、これまでにない新しいアプローチです。 これらの知見は、術後早期から痛みに配慮しつつ、適切に膝を動かすことが、その後の痛みの悪化を防ぎ、よりスムーズな動作の獲得につながる可能性を示唆しており、リハビリテーション戦略の改善に貢献することが期待されます。 研究内容 本研究は、術後早期における「疼痛強度」「動くことへの恐怖心」「運動機能(膝の動きの質)」といった要素が、時間の経過とともにどのように影響し合っているのかを明らかにすることを目的に行われました。評価は術前、術後1週、術後2週の3つの時点で行われました。運動機能については、ベッド上で膝を最大限速く大きく曲げ伸ばしする運動課題を動画撮影しました。この映像を解析し、膝が曲がる角度や動かす速度、動きの滑らかさ(ぎこちなさ)といった指標を数値化しました(図1)。また、課題直後に疼痛強度(運動時痛、安静時痛)と運動恐怖がVisual Analog Scaleにて評価されました。 図1. 運動学的データの抽出と解析手順 下肢にマーカーを貼付して撮影された動画データをトラッキングし、角度変化の時系列データから速度、加速度が算出されました。経過良好例では速度変化で滑らかな曲線を示し、加速度変化でもほぼ乱れがありませんでした。一方、経過不良例では速度変化が不規則になり、加速度変化では細かなノイズが観察されました。 統計的な解析(Cross-Lagged Panel Model:CLPM)の結果、術後1週時点で膝の屈曲角度が小さい(十分に曲げられていない)ほど、術後2週の安静時の痛みが強くなることが予測されました。また術後1週時点での安静時の痛みが強いほど、術後2週の膝の動きが不規則でぎこちないものになることが示されました。一方で、今回の研究の範囲内(術後2週間まで)では、動くことへの恐怖心がその後の運動機能の低下に直接つながるという因果関係は見つかりませんでした(図2)。 図2. 疼痛、恐怖、運動学的データの時間的関連性 交差遅延効果モデル(CLPM)の解析結果から、術後1週の角度が術後2週の安静時痛を予測し、術後1週の安静時痛が術後2週のエントロピー(円滑さ)を予測していることがわかりました。 これらの結果から、手術直後の極めて早い段階において、「動きの制限」と「痛み」が互いを悪化させ合う特有の経路が存在するということが明らかとなりました。この知見は、リハビリテーションにおいて術後1週という「超早期」から、痛みを適切にコントロールしつつ、膝を動かす範囲をしっかりと確保する介入を行う重要性を示唆しています。単に歩けるようになることだけでなく、早期に「質の高いスムーズな動き」を取り戻すことが、痛みの慢性化を防ぐ鍵になるかもしれません。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究では、術後1週という「超早期」の運動制限がその後の痛みを予測し、逆に痛みが動きの質(不規則性)を悪化させるという具体的な相互作用の経路を特定しました。この知見は、遷延化リスクがある患者の早期特定や標的を絞った早期介入の検討につながるものであると考えられます。今後はより大規模なサンプルを長期間追跡することにより、慢性疼痛へ移行しやすい患者の特徴を明らかにし、「精密なリハビリテーション(Precision Rehabilitation)」戦略の策定につなげていく予定です。 論文情報 Koga M, Fujii S, Nishi Y, Koyama K, Maeda A, Fujikawa K, Morioka S. Temporal Relationship Among Pain, Fear, and Motor Function After Total Knee Arthroplasty: An Exploratory Study. Eur J Pain. 2026 Jan;30(1):e70210. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 古賀 優之 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2026.02.03
脳卒中者が不整地を歩きつづけたときの歩き方の変化~ニューロリハビリテーション研究センター
脳卒中者は、歩行障害を有することで、不整地を含む屋外の地域社会での歩行が困難となる場合があり、結果として社会参加を妨げ、生活の質に不利益をもたらします。さらに、脳卒中者は不整地上で長い距離を歩いた場合に課題を抱える可能性があります。畿央大学大学院博士後期課程の乾 康浩氏と森岡 周教授らは、脳卒中者と健常者が80mの不整地を歩行した際の距離に応じた変化の違いを検証しました。この研究成果はClinical Biomechanics誌(Distance-related changes in gait parameters during uneven-surface walking in people with stroke versus healthy controls: A cross-sectional analysis)に掲載されています。 本研究のポイント 健常者と脳卒中者の不整地歩行中の距離に応じた変化の特徴の違いを自作の不整地路を用いて評価しました。 脳卒中者は、不整地歩行中に歩行速度、安定性、股関節および膝関節の角度は維持する一方で、健常者とは異なり踵接地の際に前脛骨筋の筋電図振幅が増大せずに足関節背屈角度が低下し、立脚終期には中殿筋の周波数が低下することが明らかとなりました。 研究概要 脳卒中者は、中枢神経系の損傷により歩行障害を有し、不整地を含めた屋外の地域社会での歩行が困難になります。これは、社会参加を妨げ、生活の質の低下にもつながります。また、脳卒中者は不整地上で長い距離を歩いた場合に課題を抱える可能性があります。畿央大学大学院 博士後期課程 乾 康浩氏、森岡 周教授らの研究チームは、自作の予測困難な摂動が生じる不整地路を用いて、脳卒中者が80mの不整地行中の歩行速度、体幹の加速度、麻痺側の関節運動、および下肢筋電図振幅と周波数を計測し、脳卒中者と健常者で歩行距離に応じた変化の特徴の違いを分析しました。その結果、脳卒中者は、不整地歩行中に歩行速度、安定性、股関節および膝関節の角度は維持する一方で、健常者とは異なり踵接地の際に前脛骨筋の筋電図振幅が増大せずに足関節背屈角度が低下し、立脚終期には中殿筋の周波数が低下することを明らかにしました。本研究は、健常者と脳卒中者の不整地歩行中の距離に応じた変化の違いを明らかにした初めての研究です。 研究内容 本研究では、脳卒中者が予測困難な摂動が生じる不整地80mを歩行する際の距離に応じた歩行パラメータ変化を健常者と比較することを目的とし、自作の不整地路(図1)を用いて検証しました。 図1. 不整地路と実験環境 実験で得られたデータから、歩行速度、歩行安定性を評価するための3軸の体幹の加速度のRoot Mean Square、麻痺側下肢の最大関節角度、麻痺側下肢の筋電図振幅と瞬間平均周波数を算出しました。その結果、脳卒中者は、 不整地歩行中に歩行速度、安定性、股関節および膝関節の角度は維持する一方で、健常者とは異なり踵接地時に前脛骨筋の筋電図振幅が増大せずに足関節背屈角度が低下し、立脚終期には中殿筋の周波数低下がみられました(図2)。 図2. 不整地歩行中の脳卒中者と健常者の歩行パラメータの変化の違い 研究グループは、この結果のうち、脳卒中者が不整地歩行中に歩行速度、安定性、股関節および膝関節角度を維持したことは不整地への適応と考えています。一方で、前脛骨筋の筋電図振幅を増大せずに足関節背屈角度が低下したことは皮質脊髄路損傷による神経駆動の低下に起因し、中殿筋の周波数が低下したことは疲労の可能性があると考察しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、予測困難な摂動が生じる不整地を歩く際の距離に応じた変化について、脳卒中者と健常者の違いを明らかにしており、リハビリテーション専門家が脳卒中者の屋外歩行の適応や疲労を考える際に着目すべき点を示しています。今後は、より長い距離での歩行パラメータの変化や非麻痺側を含めた戦略の特徴を調査する必要があります。 論文情報 Yasuhiro Inui, Naomichi Mizuta, Yuta Terasawa, Tomoya Tanaka, Naruhito Hasui, Kazuki Hayashida, Yuki Nishi, Shu Morioka. Distance-related changes in gait parameters during uneven-surface walking in people with stroke versus healthy controls: A cross-sectional analysis. Clinical Biomechanics, Volume 133, 2026, 106747. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 乾 康浩 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600


