健康科学専攻(博士後期課程)の新着情報一覧
2025.06.06
人工膝関節置換術術後患者における術後QOLに関連する複合的因子を調査~運動器リハビリテーション学分野 瓜谷研究室~
近年、人工膝関節置換術術後患者の術後Quality of Life(QOL)に関連する術前要因として性別、Body Mass Index(BMI)、学歴、膝関節の痛み、合併症の数、心理社会的問題が報告されています。また、システマティックレビューでは女性、合併症が少ない事、高いBMIが人工膝関節置換術術後QOL低下の要因として挙げられていますが、術後QOLへの影響度は弱いことが報告されています。関連が弱い要因でも組み合わさることで、術後QOLへの影響が変化する可能性が考えられますが、これらの関係については十分に明らかになっていませんでした。 畿央大学大学院客員研究員の山藤滉己氏、山野宏章氏(宝塚医療大学)、重藤隼人氏(京都橘大学)、鳥澤幸太郎氏(山内ホスピタル)、高﨑博司氏(埼玉県立大学)、瓜谷大輔教授らは、アメリカの変形性膝関節症データベース(Osteoarthritis Initiative;OAI)を用いて、人工膝関節置換術術後患者を対象に術後QOLに関する研究を行いました。その結果、単独で術後QOLに影響を与える弱い術前因子は、他の関連因子と複合的に組み合わさることで単独因子の影響よりも強くなるという関連性をアソシエーションルール分析で明らかにしました。この研究成果は、PLoS One誌(Exploration of combined factors related to quality of life after knee replacement surgery)に掲載されています。 研究概要 変形性膝関節症は、膝のこわばり・不安定性・疼痛を主訴とする代表的な変性疾患です。60歳以上では、画像上80%以上に変形性変化がみられ、約40%が症状を訴え、約10%が日常生活に支障を来すと報告されています。変形性膝関節症に伴う痛みと機能障害は QOLの低下と強く関連します。痛みや機能を改善する治療として人工膝関節置換術が広く行われ、術後QOLの改善が期待されますが、約30%では術後1年経過しても十分なQOL回復が得られません。 近年、人工膝関節置換術術後患者の術後 QOLを左右する術前要因として、性別、Body Mass Index(BMI)、学歴、膝痛の強さ、合併症の数、心理社会的問題などが報告されています。しかし、これら要因はいずれも単独ではQOLへの影響度が弱いとされ、システマティックレビューでも一貫した結論は得られていません。実際には「単独で弱い要因」同士が複合的に組み合わさることで、術後QOLに強い影響を及ぼす可能性が示唆されますが、その組み合わせや影響度の変化は明らかになっていません。本研究の結果、単独で術後QOLに影響を与える弱い術前因子は、他の関連因子と複合的に組み合わさる事で単独因子の影響よりも強くなるという関連性をアソシエーションルール分析で明らかにしました。 本研究のポイント 人工膝関節置換術術後患者の術後QOLに関わる術前因子の複合的な関連性をアソシエーションルール分析で検討した。 単独因子として、術前の合併症の存在が術後2年の身体的側面のQOLに最も関連する因子として抽出された。 複合的な関連性として、術前の身体的側面のQOLが低値、術前の疼痛高値、術前の身体機能低下、立ち上がり能力低下、高齢は他要因と組み合わさる事で単独因子よりも術後QOLへの影響度が高くなりました。 研究内容 本研究の対象は米国のKOA患者のデータベースであるOAIに登録されている4796人の内、KR術前から術後2年間追跡可能であった44名を解析対象者としました。 使用した評価項目は、性別、年齢、BMI、立ち上がりテスト、人工膝関節置換術が片側・両側の情報、合併症(Charlson Comorbidity Index;CCI)、抑うつ症状(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale;CES-D)、関節症状(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index version LK 3.1;WOMAC)の疼痛、こわばり、身体機能、QOL尺度(Short Form12;SF12)の身体的側面(Physical Component Score;PCS)および精神的側面(Mental Component Score;MCS)を使用しました。 各変数は等頻度区間法で「高値」・「低値」の2群に分類し、アソシエーションルール分析を用いて、術前因子と術後QOLに対する影響度および術前因子が組み合わさると術後QOLに対する影響度が変化するかといった複合的な関連性を検証しました。アソシエーションルール分析では信頼度:ルールの正確性、支持度:ルールの出現率、リフト値:ルールの有用性、の3つの指標に基づいてルールを抽出しました。複合的な関連ルールの抽出は、ルールの正確性の指標である信頼度が80%以上、リフト値1.1以上であることを条件に抽出しました。 アソシエーションルール分析の抽出条件を満たしたルールについては、ルールの条件に該当した群を「該当群」、該当しない群を非該当群として分類し、条件変数の該当群と非該当群の比率が統計学的に有意であるかを判断する為に、Fisherの正確確率検定またはχ²検定を実施しました。複合的ルールでは、単独ルールで設定した抽出条件を満たし、分割表の検定で関連を認めた要因が別の要因と組み合わさる事で単独ルールと比較して信頼度、リフト値が高値を示すのかを検討しました。 単独ルール 抽出されたルールは合併症(1つ以上)、術前 WOMAC身体機能高値、術前 WOMAC疼痛高値、術前PCS低値、術前立ち上がり動作不良、高齢、術前 WOMACこわばり高値がリフト値の降順に抽出されました(表1)。分割表の検定において条件変数の該当群と非該当群の比率に有意差を認めた項目は合併症、術前WOMAC身体機能低下、術前WOMAC疼痛高値、術前PCS低値、立ち上がり能力低下、高齢であった。信頼度とリフト値が最上位かつ分割表の検定結果において有意差を認めたルールは合併症(信頼度100%、リフト値1。38)でした。一方、術後1年と2年MCS低値の単独ルール、術後1年PCS低値の単独ルールは抽出されませんでした。 複合的ルール 後2年PCS低値単独ルールで関連を認めたルールが含まれているルールを(表2)と(表3)に示しています。術前PCS低値、術前WOMAC疼痛高値、術前WOMAC身体機能低下、立ち上がり能力低下、高齢は他要因と組み合わさる事で信頼度・リフト値が単独ルールよりも高値を示しました。これらのルールは分割表の検定において条件変数の該当群と非該当群の比率に有意差を認めました。 本研究の臨床定義および今後の展開 本研究の結果は人工膝関節置換術術後患者の術後QOLを評価する際には、術前の単独因子のみを考慮するだけでなく、影響を与える要因は組み合わせによって影響度が変化することを示唆する結果です。本研究は後ろ向き研究であり、他の関連因子(心理社会的側面の問題や社会的因子)を考慮できていません。今後は、日本人を対象に前向き研究を実施し、他の交絡因子を含めた場合の影響について調査研究を進めていく予定です。 論文情報 Santoh K, Shigetoh H, Yamano H, Torizawa K, Takasaki H, Uritani D. Exploration of combined factors related to quality of life after knee replacement surgery. PLoS One. 2025 May 7;20(5):e0323007. doi: 10. 1371/journal. pone. 0323007. PMID: 40333812; PMCID: PMC12057852. 問い合わせ先 社会医療法人杏嶺会 一宮西病院 リハビリテーション技術部 畿央大学 大学院 健康科学研究科 客員研究員 山藤 滉己 E-mail:k.santo725725@gmail.com 畿央大学 健康科学部 理学療法学科/大学院 健康科学研究科 教授瓜谷 大輔 E-mail:d.uritani@kio.ac.jp
2025.06.06
神経リハビリテーション学研究室の学生・教員が World Physiotherapy Congress 2025 で発表 ~ 健康科学研究科
2025年5月29日(木)~31日(土)に東京国際フォーラムで開催されたWorld Physiotherapy Congress 2025に、神経リハビリテーション学研究室(森岡周研究室)から、博士後期課程2年の三枝 信吾、博士後期課程1年の田上 友希が参加し、それぞれ発表をしてきました。 今回の学会は、規模・熱量ともに圧巻で、世界中から理学療法士や研究者が集まり、会場全体に活気が溢れていました。各国の参加者が一堂に会し、それぞれの臨床や研究の実践を語り合う光景に、理学療法という専門分野が持つ広がりと深みを実感しました。 演題名(発表形式)のご紹介 三枝 信吾氏(東海大学文明研究所、森岡周研究室) 演題名:The meaning of independence in walking for patients with subacute stroke: An interpretative phenomenological analysis (Printed Poster) 田上 友希氏(徳島赤十字病院、森岡周研究室) 演題名:Exploratory study of Functional Factors from Multiple Trunk Function Assessments in Early-Stage Stroke patients (Printed Poster) 両名ともにポスターセッションで研究発表を行いました。英語での発表ということもあり、研究内容をうまく伝えられたかどうか自信はありませんが、それでも少しずつでも自分の考えが相手に伝わったと感じられた瞬間は、大きな励みとなりました。 また、今回の学会で自分が取り組んでいる研究や臨床の意味を、改めて問い直す機会を得ました。そして、何よりも、多くの人が支え合い、繋がりながら専門性を深めているという実感を得たことが最大の収穫です。 今後は、自分の実践や研究をより国際的な視点から捉え直し、世界の理学療法の潮流の中で、自分が何を発信できるのかを模索していきたいと感じています。 最後になりますが、この貴重な機会を得るにあたり、日々の研究を支えてくださった神経リハビリテーション学研究室の皆さま、そして発表に向けて親身にご指導くださった森岡 周教授に、心より感謝申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程2年 三枝 信吾 関連記事 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 地域リハビリテーション研究室の学生・教員が World Physiotherapy Congress 2025 で発表 ~ 健康科学研究科 人工膝関節置換術術後患者における術後QOLに関連する複合的因子を調査 ~ 畿央大学運動器リハビリテーション学分野 瓜谷研究室 ~ 第65回日本呼吸器学会学術講演会で『トラベルアワード』を受賞 ~ 健康科学研究科|KIO Smile Blog 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 3rd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 変形性関節症に関する世界最大級の国際会議「OARSI 2025」参加レポート!~健康科学研究科瓜谷研究室 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 第40回日本栄養治療学会学術集会でYoung Investigator Award 2025を受賞 ~ 健康科学研究科
2025.06.04
地域リハビリテーション研究室の学生・教員が World Physiotherapy Congress 2025 で発表 ~ 健康科学研究科
2025年5月29日(木)~31日(土)に東京国際フォーラムで開催されたWorld Physiotherapy Congress 2025に、地域リハビリテーション研究室から高取 克彦教授、松本 大輔准教授、そして私 健康科学研究科 博士課程1年の池本 大輝が参加し、それぞれ発表をしてきました。 World Physiotherapy Congressが日本で開催されるのは1999年の横浜以来で、4半世紀ぶりの世界学会でした。日本で開催されることを知ってから、絶対に行きたいと思っていたので、参加することができて貴重な財産となりました。 今回の学会には5,000人以上の参加者、演題応募が3,355件、メインセッション145件、ePoster 700件近く、印刷ポスター1,400件以上と、今まで参加した学会よりも大規模で圧倒される学会でした。 演題名(発表形式)のご紹介 高取 克彦 教授 Impact of having higher-level life function on “youthful mind” in community-dwelling older adults: A cross-lagged and synchronous effects model(Printed Poster) 松本 大輔 准教授(2演題) Association Among Neighborhood Walkability, Social Participation, and Disability Incidence in Community-Dwelling Older Adults: A 3-Year Prospective Cohort of KAGUYA Study(ePoster)→ Outstanding ePoster Award Association Between Fatigue and Intrinsic Capacity Among People Aged 20 to Over 100 Years Old from the INSPIRE-T Cohort(ePoster:フランスでの研究) 池本 大輝(博士課程1年) Impact of sarcopenia on gait independence in musculoskeletal disorders: A comparison of two diagnostic algorithms(ePoster) 私は、目標の一つであった国際学会に初めて参加して発表することができました。当日は、楽しみな気持ちがありつつも、不安や緊張といった様々な感情を持ちつつ参加しました。特に、発表は人生で最も緊張したといっても過言ではないぐらいに緊張し、朝食がのどを通りませんでした。いざ発表する時には松本准教授、高取教授、瀧口助教、職場の先輩が見守ってくださっていたので、無事発表することができました。 発表を終えて、研究活動を実施していくには自分一人では限界があり、周りの方々に支えられて実施できていることを改めて実感しました。 ePoster形式の発表は、座長により様々なスタイルであり、私のセッションでは5分間にプレゼンテーションと質疑応答が含まれておりました。発表時間がぎりぎりになってしまいましたが、セッション終了後に海外の方からご質問をいただきました。その際にも松本准教授にフォローをしてもらいながらの対応になってしまいましたが、海外の理学療法士にも興味を持っていただき、今後の研究を進めるモチベーションとなりました。 私の関心領域における発表は、今回は、南米の理学療法士に多く、複数の方々に質問をさせていただきました。苦手な英語でしっかりと質問できているかもわからない中、丁寧に回答していただける海外の理学療法士の優しさに感動したと同時に、自分の伝えたい内容を英語で伝えられるようになりたいと強く感じました。 シンポジウムやレクチャーでは、各国で異なる医療・介護システムで理学療法が提供されていることから、日本とは異なる問題点があり、様々な視点から理学療法を考えることができました。これは国際学会ならではの視点だと思います。同じ理学療法士として理学療法を発展していくためには国際学会へ参加し、刺激をもらうことでよりよい研究を行い、臨床実践していくことが重要だと感じました。 また指導教員である松本准教授は、Outstanding ePoster Awardを受賞され、Closing sessionで海外の理学療法士とともに壇上で表彰される姿はとてもかっこよく、素晴らしい先生にご指導いただけていることを再認識しました。私も将来、このような舞台で表彰されるような発表ができるように博士課程での学習と研究に励みたいと思います。 最後に、今回の国際学会参加・発表にあたり、多大なるご指導をいただいた松本准教授をはじめ、地域リハビリテーション研究室の皆さま、そして日々支えてくださっている職場の皆さまに心より感謝申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 博士課程1年 池本 大輝 関連記事 畿央大学 地域リハビリテーション研究室 人工膝関節置換術術後患者における術後QOLに関連する複合的因子を調査 ~ 畿央大学運動器リハビリテーション学分野 瓜谷研究室 ~ 第65回日本呼吸器学会学術講演会で『トラベルアワード』を受賞 ~ 健康科学研究科|KIO Smile Blog 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 3rd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 変形性関節症に関する世界最大級の国際会議「OARSI 2025」参加レポート!~健康科学研究科瓜谷研究室 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 第40回日本栄養治療学会学術集会でYoung Investigator Award 2025を受賞 ~ 健康科学研究科
2025.06.03
6-7歳児における運動イメージの使用は未熟:2つの運動イメージ課題からの証拠~ニューロリハビリテーション研究センター
運動イメージ(motor imagery: MI)とは、実際に身体を動かすことなく、頭の中でその運動を想像する動的な認知プロセスです。MIは「運動の計画と実行に関わる行為表象」とされており、意図形成、運動の計画、運動プログラムの構築という点で、実際の身体運動と機能的に同等であると考えられています。このMIの使用は、成人では十分に発達していることが知られていますが、小児における発達過程は十分に明らかにされていませんでした。畿央大学大学院健康科学研究科の信迫悟志 教授らの研究チームは、6〜13歳の定型発達児を対象に、2種類のMI課題(手の左右識別課題と両手結合課題)を用いて、年齢によるMI能力の発達変化を詳細に検討しました。この研究成果は、Human Movement Science誌(The use of motor imagery in 6–7-year-old children is not robust: Evidence from two motor imagery tasks)に掲載されています。 研究概要 本研究では、6〜13歳の定型発達児50名を対象に、子どもたちがどれだけ正確に手のMIを想起できるかを評価するため、2種類のMI課題を実施しました。1つ目は最も代表的なMI課題である手の左右識別(hand laterality recognition: HLR)課題(図1)で、モニター上に提示されるさまざまな角度・向きの手の画像を見て、それが左手か右手かをMIを用いて判断するものです。この課題では、正答率や正反応時間(RT)に加えて、生体力学的制約(身体の動きにくさ)効果や手の姿勢の効果の有無を指標とし、子どもたちのMIの使用の程度を測定しました。2つ目はニッチなMI課題である両手結合(bimanual coupling: BC)課題(図2)で、次の3条件が含まれます。片手条件:利き手でまっすぐな線を繰り返し描く。両手条件:利き手でまっすぐな線を描きながら、他方の手で同時に円を描く。MI条件:利き手でまっすぐな線を描きながら、非利き手で円を描いているのを頭の中でイメージする(実際には動かさない)。BC課題では、利き手で描いた反復直線を計測し、各条件で描かれた線の歪みの程度を楕円化指数(ovalization index: OI)として算出し、特にMI条件のOIから片手条件のOIを減算した値(イメージ干渉効果: Imagery Coupling Effect: ICE)は、MIが適切に想起できていることの定量指標となります。さらに、微細運動技能も測定し、MIとの関連性も検討しました。 本研究のポイント 6〜7歳児では、どちらの課題においてもMI使用の証拠が明確には見られなかった。 HLR課題では、年齢が上がるにつれてRTの短縮と正答率の向上が認められ、MI能力が発達的に向上することが示された。 一方で、BC課題では、6〜13歳の間でICEに明確な年齢差は見られず、年齢とICEとの間の相関関係も示されなかった。 どちらのMI能力も微細運動技能と有意に関連していた。 研究内容 HLR課題 6〜13歳の子ども50名を対象に、HLR課題とBC課題、および微細運動技能検査を実施しました。得られたデータは、年齢群(6–7歳、8–9歳、10–11歳、12–13歳)間の比較および相関分析を通じて、MIの発達的変化と、MIと微細運動技能との関連を検討するために用いられました。6〜7歳児では、生体力学的制約効果(身体で取りやすい姿勢の手画像でRTが短くなる効果)が見られず、MIの使用が不十分である可能性が示されました(図3)。一方、8歳以上の群では生体力学的制約効果が明確に観察され、年齢に伴ってMI能力が向上することが示されました(図3)。また、正答率やRTにおいても、年齢とともに有意な改善が確認されました(図4)。 BC課題 ICE(片手で線を描きながら他方の手の円描きをイメージすることで線が歪む効果)は、8歳以上では見られたものの、6〜7歳児では観察されませんでした(図5)。ただしICEは、全体的に年齢差が小さく、HLR課題ほど明確な発達的変化は観察されませんでした(図6)。 これらの結果から、子どものMIの発達変化を捉える上で、HLR課題の方がBC課題よりも感度が高い可能性が示唆されました。実際、HLR課題によって測定されたMI指標は、年齢の増加に伴って指数関数的に向上していました。一方でBC課題は、実際の運動遂行に加えて、実行機能やワーキングメモリといった高次認知機能も求められる二重課題です。そのため、年齢とともにMI能力が向上する一方で、運動機能や認知機能の発達により干渉効果が弱まることで、両者がトレードオフの関係となり、結果として年齢による変化が見えにくくなっていた可能性があります。 さらに、微細運動技能とHLR課題におけるRT、およびBC課題のMI条件におけるOIとの間に有意な相関が見られ、MI能力と微細運動技能が関連していることも明らかになりました(図7、図8)。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、MI能力が6〜7歳児においてはまだ十分に発達しておらず、年齢とともにその能力が向上することを、2種類のMI課題を用いて明らかにしました。特に、HLR課題は、MIの発達的変化を鋭敏に捉えることができる評価手法であり、MI能力の成熟過程を把握するうえで有用であると考えられます。一方で、BC課題もMIと実際の運動や認知機能との統合的な発達を評価できる手法として有用です。特に、干渉効果の変化は、運動制御や実行機能の成熟を反映する指標となり得ます。MI能力単体の評価にはHLR課題が適していますが、BC課題は、より複合的な認知−運動機能の発達過程を捉えるのに適した課題といえます。 また、MI能力は微細運動技能とも関連していることが示されており、MI評価は運動技能の発達指標としても臨床的意義があることが示唆されました。今後、発達性協調運動障害(DCD)や自閉スペクトラム症(ASD)など、神経発達症の子どもたちに対してMI課題を応用することで、運動障害の特性理解や介入効果の評価、さらにはリハビリテーションや運動学習支援への応用が期待されます。 論文情報 Nobusako S, Tsujimoto T, Sakai A, Yokomoto T, Nagakura Y, Sakagami N, Fukunishi T, Takata E, Mouri H, Osumi M, Nakai A, Morioka S. The use of motor imagery in 6–7-year-old children is not robust: Evidence from two motor imagery tasks Hum Mov Sci. 2025;101: 103362. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 信迫悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2025.06.03
行為主体感(Sense of Agency)の時間的許容幅は若年成人期に最大となる~ニューロリハビリテーション研究センター
人は自分の行動とその結果を結びつけ、「自分が動かした」「自分が行なった」という感覚――すなわち行為主体感(Sense of Agency: SoA)を日常的に経験しています。このSoAは、実際の動作とその結果の間にどの程度の時間的ズレがあっても「自分の行為の結果」と感じられるかという「時間的許容幅」によって支えられており、この幅が広いほど柔軟で適応的な行動が可能になると考えられます。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授と慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の前田貴記 専任講師らの研究チームは、6歳から83歳までの189名を対象に、このSoAの時間的許容幅が生涯発達の中でどのように変化するかを明らかにしました。その結果、若年成人(20〜25歳)において最も時間的許容幅が広がることが示され、この時期がSoAの発達における重要な転換点である可能性が示唆されました。この研究成果は、Cognitive Development誌(Developmental changes in the time window for the explicit sense of agency experienced across the lifespan)に掲載されています。 本研究のポイント ■若年成人(20〜25歳)では、SoAの時間的許容幅(PSE)が他の年齢群(学齢期児童、青年期、成人、高齢者)よりも有意に長かった。 ■PSEは非線形的な発達パターンを示し、若年成人期にピークを迎える「逆U字型」の軌跡を描くことが示唆された。 ■SoA判断の「明確さ」(傾き)は、高齢者群において若年成人よりも有意に低下しており、加齢に伴う判断精度の低下も確認された。 研究概要 SoAとは「自分がこの行動を起こし、その結果を生んだ」という主観的な感覚を指し、人の自己認識や運動制御において基盤的な役割を果たします。SoAの発生には、行為と結果の時間的・空間的一致や予測とのズレの有無が重要であり、これまでの研究では発達や老化にともなって変化することが示唆されていましたが、SoAの「時間的許容幅(time window)」の生涯発達的な変化を詳細に検討した研究はありませんでした。本研究では、行為と結果の間に導入された時間遅延に対して「自分が動かした」と感じるかどうかを尋ねるエージェンシー判断課題(agency attribution task)を用いて、SoAの時間的許容幅(PSE)を測定し、各年齢群間で比較しました。 研究内容 6歳から83歳までの189名を対象に、SoAの時間的許容幅を測定するためのエージェンシー判断課題(agency attribution task)(図1)を実施しました。この課題では、参加者がビープ音に合わせてボタンを押すと、画面上の四角い図形が一定の遅延時間の後に跳ね上がる視覚刺激が提示され、「自分の操作によって図形が跳ねた」と感じるかを「はい/いいえ」で回答します。遅延時間は0~1000 msまで11段階で設定されており、行為と結果の間に導入された時間的ずれに対する感受性が評価されます。この「自己の行為によって結果が生じた」と感じられる時間の幅(PSE: Point of Subjective Equality)をSoAの時間的許容幅として定量化しました。 その結果、若年成人(20〜25歳)においてPSEが最も長く、他の年齢群と比較して有意に広い時間的許容幅を示したことが明らかになりました(図2)。また年齢とPSEの関係を非線形回帰モデルで解析した結果、SoAの時間的許容幅は加齢に伴って増加したのち再び短縮し、さらに高齢期にかけて再び緩やかに上昇するという逆U字型の発達パターンを描くことが示されました。この結果から、若年成人期がSoAの柔軟性・適応性の発達における転換点である可能性が示唆されました。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、SoAの時間的許容幅が発達により変化することを実証的に示した初めての研究であり、特に若年成人期がSoAの柔軟性や適応性の発達において重要な時期である可能性を示しています。この背景には、前頭頭頂ネットワークの神経成熟、自律性の発達、および遂行機能の向上といった要因が関与していると考えられます。今後は、SoAの時間的許容幅と脳の構造的成熟、自律性の発達、実行機能との関係を縦断的に検討し、より包括的な理解を深めていくことが期待されます。また、SoAの障害がみられる発達障害や高齢期の認知症などにおける早期発見・介入指標としての応用可能性も視野に入れた研究展開が望まれます。 論文情報 Nobusako S, Takamura Y, Koge K, Osumi M, Maeda T, Morioka S. Developmental changes in the time window for the explicit sense of agency experienced across the lifespan. Cognitive Development. 2024 October–December 72, 101503. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 信迫悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2025.05.28
第65回日本呼吸器学会学術講演会で『トラベルアワード』を受賞 ~ 健康科学研究科
畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程3年の守川恵助です。2025年4月11日から13日にかけて東京国際フォーラムで開催された「第65回 日本呼吸器学会学術講演会(JRS2025)」において、「慢性閉塞性肺疾患患者の体重あたりの安静時エネルギー消費量の関連因子とその特徴」というテーマで発表を行い、『トラベルアワード』を受賞しました。この賞は、コメディカル分野における優れた演題発表に対して授与されるものです。 発表の概要 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は低栄養のリスクが高く、正確な安静時エネルギー消費量(REE)の算出を含む栄養評価が重要となります。REEは間接熱量測定によって正確に算出されますが、高価な機器が必要であり、実際に測定できる施設は限られています。そのため、臨床現場では簡易式(体重あたりの必要エネルギー量)が用いられることが多いのが現状です。本研究では、COPD患者の体重あたりの安静時エネルギー消費量に関連する因子を検討し、BMI値によって体重あたりのREEが異なることを示唆する結果を得ました。この成果は、COPD患者のエネルギー代謝の理解を深め、今後の栄養療法の指針となることが期待されます。 今後は、本研究の成果を論文化し、より多くの専門家に情報を発信できるよう努めてまいります。また、臨床現場での栄養管理の質向上に貢献できるよう、さらなる研究を進めていく所存です。 本研究は、健康科学研究科の田平一行教授のご指導のもとで進められました。この場を借りて、深く感謝申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程3年 守川 恵助 関連記事 第40回日本栄養治療学会学術集会でYoung Investigator Award 2025を受賞 ~ 健康科学研究科|KIO Smile Blog 変形性関節症に関する世界最大級の国際会議「OARSI 2025」参加レポート!~健康科学研究科瓜谷研究室 第11回日本地域理学療法学会学術集会で大学院生と修了生(客員研究員)が発表~健康科学研究科 日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました!
2025.05.14
日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 3rd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター
2025年4月25日に、フランス・リヨンで日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 3rd Meetingが開催されました。 ▼ 前回の様子はこちら ▼ 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター CREST:国立研究開発法人科学技術振興機構による戦略的創造研究推進事業 ANR:The French National Research Agency (ANR) NARRABODY:Narrative embodiment: neurocognitive mechanisms and its application to VR intervention techniques (ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用) CRESTは国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、本学森岡周教授らの日仏合同研究チームが2.74億円(5年6ヵ月/3研究室合同)の研究費を取得しています。 【プレスリリース】森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 スケジュール <Research Progress Reports> □Eric Chabanat: Introduction □Osumi Michihiro: Rehabilitation for phantom limb pain □Yvan Sonjon: Social influences on chronic pain: investigating cognitive mechanisms of pain perception □Yuki Nishi: Quantifying real-world upper limb activity using accelerometers □Anaëlle LEBATTEUX: Presentation of self-efficacy questionnaire in pain management Online Session (Shotaro Tachibana, Chair) □ Discussion on Interview Reports □ General Discussion Extra Session □Yuki Nishi: How to measure real-world upper limb activity using accelerometers 日本側は森岡 周 教授(畿央大学)、大住 倫弘 准教授(畿央大学)、大松 聡子 客員准教授(畿央大学)、西 祐樹(長崎大学)が現地参加し、嶋田 総太郎 教授(明治大学)、田中 彰吾 教授(東海大学)がWebで参加されました。フランス側からはJean-Michel Roy 教授(ENS-Lyon)、Eric CHABANA 助教授(リヨン神経科学研究センター,INSERM)、Shotaro Tachibana 研究員(リヨン大学病院)、Hugo ARDAILLON(リヨン神経科学研究センター)をはじめ、多くの共同研究者、大学院生らが参加されました。 今回のミーティングでは、疼痛分野におけるナラティブ・エンボディメントの枠組みで、自己効力感や脳波のネットワーク解析、上肢運動など、各研究に関する進捗報告が行われました。方法論に関する助言や革新的なアイデアの提案がなされ、活発な議論が交わされました。また、議論の中で国際共同研究が創発され、貴重な機会となりました。 フランス側の研究者のおもてなしや心配りに感銘を受けるともに、信頼関係を深める契機にもなりました。本ミーティングは国際的かつ学際的な研究展開にとって、極めて意義深く、今後の研究の深化と連携の発展に向けた確かな基盤が築かれたといえます。 関連記事 森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター
2025.04.28
変形性関節症に関する世界最大級の国際会議「OARSI 2025」参加レポート!~健康科学研究科瓜谷研究室
2025年4月23日(水)から26日(土)まで、韓国・仁川で開催されたOARSI 2025(Osteoarthritis Research Society International)に参加してきました! この学会は、変形性関節症(OA)に関する世界最大級の国際会議の一つであり、日頃から私が研究の参考にしている論文の著者や、よく引用させていただく著名な研究者たちが、直接最新の知見を発表される場です。実際にそうした研究者たちの講演を間近で聞くことができ、とても刺激的な時間となりました。 今回、私は 「Patients with knee osteoarthritis exhibit a reduced autonomic response to task performance compared to healthy older adults」 というテーマでポスター発表も行いました。 発表中には、さまざまな国の研究者から多角的な視点で質問やアドバイスをいただき、今後の研究をさらに深めるための多くのヒントを得ることができました。 特に印象に残ったのは、**「OA Management and Epidemiology in Asia」**というセッションです。アジア各国における変形性関節症の管理や疫学的課題について議論され、日本とは異なる医療システムや社会背景の中での取り組みを知ることができました。 自分の研究を国際的な文脈で位置付けて考えるきっかけにもなり、大変貴重な学びとなりました。 また、学会場では海外の研究者とも交流し、研究以外にも韓国ならではの美味しい食事や街並みに触れることができ、異文化を体感する楽しさも味わいました。 こうした機会を通じて、 「最先端の“本物”の研究に直接触れること」 「異国の文化を知り、自分自身の立ち位置を再認識すること」 の大切さを改めて実感しました。 この貴重な経験を糧に、今後も社会に有益な研究を推進できるよう努力していきます! 健康科学研究科 瓜谷研究室 山野 宏章 関連記事 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 11回日本地域理学療法学会学術集会で大学院生と修了生(客員研究員)が発表~健康科学研究科 日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました!
2025.04.15
大阪市西成区における地域在住高齢者の銭湯利用と個人レベルのソーシャル・キャピタルとの関係:介護予防に資する通いの場としての役割の検討~健康科学研究科~
地域在住高齢者の健康に関連する指標としてソーシャル・キャピタル(社会関係資本、以下SCと する)が注目されています。SCは、「人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることができる、『信頼』『規範』『ネットワーク』といった社会組織の特徴」と定義されており、地域在住高齢者の介護予防に資する通いの場においても重要視されています。 しかし、様々な問題から通いの場に参加できない地域在住高齢者も多い現状にあります。そこで本研究は地域に古くから存在し、浴室の家庭化が進む現代までは情報共有の場として社会的機能を担っていたとされる「銭湯」に着目しました。日常的に使用する銭湯が介護予防に資する地域在住高齢者の交流の場の一端を担い、地域在住高齢者における個人レベルのSC強度と関連するかを、本学大学院健康科学研究科客員研究員の仲村渠亮、健康科学研究科の高取克彦教授・松本大輔准教授らは、社会的理由から「銭湯」と繋がりの多い西成区を対象に調査をしました。その結果、日常的に銭湯を多く利用することがSCの構成要素である地域への信頼の高さ、近隣住民との交流の多さと独立して関連していることが明らかとなりました。これらのことから、高齢者サロンなどへの社会参加活動が難しい高齢者に対しては、銭湯が介護予防に資する通いの場となる可能性があることが示唆され、その内容が日本地域理学療法学雑誌に掲載されました。 研究概要 大阪市西成区における高齢者の健康行動と地域資源の活用実態に着目し、特に地域コミュニティの場としての銭湯利用が高齢者の健康維持・増進に関係するSCと関係するかを明らかにすることを目的とした。対面式調査(インタビュー)および定量的調査(体組成測定等)を組み合わせた混合研究法を用いて、銭湯利用者の健康状態、生活行動、社会的交流の特徴を分析した。 研究のポイント 高齢化率・要介護認定率が大阪市内でも最も高い西成区を対象地域として選定。 銭湯利用高齢者を対象に、入浴頻度・利用目的・SC(交流状況等)に関する対面式インタビューを実施。 銭湯は単なる入浴施設としてだけでなく、社会的交流や地域コミュニティ形成の場として機能している実態を確認。 銭湯利用が高齢者の心理的ウェルビーイングや地域参加意識の向上に寄与している可能性を示唆。 本研究の臨床的意義及び今後の展開 地域在住高齢者の健康支援においては、個別的な医療的介入のみならず、日常生活に根差した地域資源の活用が重要な戦略となります。本研究は、銭湯という地域固有の生活資源が、高齢者のSCの維持に寄与しうる可能性を示しました。今後は、他地域への適用可能性の検討や、銭湯をはじめとする地域資源を介した介護予防プログラムの開発、地域包括ケアシステムとの連携強化を視野に入れた実装研究が求められると思います。 謝辞 研究にご協力いただきました対象者の皆様、共同研究者の方々に感謝申し上げます。 論文情報 仲村渠亮,高取克彦,松本大輔:大阪市西成区における地域在住高齢者の銭湯利用と個人レベルのソーシャル・キャピタルとの関係:介護予防に資する通いの場としての役割の検討. 地域理学療法学2024;4(2):79-87. 問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員 仲村渠 亮 教授 高取 克彦 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: k.takatori@kio.ac.jp
2025.04.11
令和7年度入学式を行いました。
2025(令和6)年4月2日(水)、健康科学部314名、教育学部178名、健康科学研究科33名(修士課程19名、博士後期課程12名)、教育学研究科修士課程2名、助産学専攻科10名、臨床細胞学別科8名、あわせて555名の新しい畿央生が誕生しました。 学部は午前10時から、大学院・専攻科・別科は午後3時からと2部にわけて入学式を行いました。 午前の学部生入学式は冬木記念ホールに全5学科の新入生が集まり、保護者の皆様はその様子を中継会場から視聴・参加する形で行われました。 冬木正彦学長が学科ごとに入学許可を行い、つづく学長式辞では、”建学の精神である「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」を大切にしながら充実した4年間を過ごしてほしい”という激励のメッセージがありました。 新入学生代表として現代教育学科1回生 高橋愛未さんから入学生宣誓が、在学生代表として健康栄養学科3回生有馬実優さんから歓迎のことばがありました。 続いて畿央大学の学歌をアカペラ部「#ADVANCE」の学生が紹介し、閉式となりました。 式典後は、冬木記念ホールで新入生へオリエンテーションを、また保護者に対しては、各教室にて各学科の教員から挨拶をさせていただきました。 当日は桜も開花し、晴天に恵まれ、あたたかい一日となりました。オリエンテーション後は、恒例の記念撮影、続いてクラブ・サークル紹介ブースに多くの新入生と保護者が訪れていました。 午後3時からは大学院健康科学研究科、教育学研究科、助産学専攻科および臨床細胞学別科の入学式が冬木記念ホールにて行なわれました。入学許可の後、学長、研究科長・専攻科長・別科長から祝辞をいただきました。 新入生の皆さん、入学おめでとうございます! 畿央大学で充実した時間が過ごせるよう、教職員一同全力でサポートしていきます。