2017年の健康科学専攻(博士後期課程)の新着情報一覧
2017.02.07
大学院生の研究成果がJournal of Rehabilitation Medicine誌に掲載!~健康科学研究科
運動が脊髄損傷後の神経障害性疼痛を軽減させることを明らかに -安静時脳波解析による検証- 脊髄を損傷すると神経障害性疼痛が生じることがあります。脊髄損傷後の神経障害性疼痛は高い確率で出現し、心理的な苦痛や生活の質の低下を引き起こします。畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の佐藤剛介らは、有酸素運動(車椅子駆動)により脊髄損傷後の神経障害性疼痛の緩和や負の気分状態が改善し、運動野周囲のα帯域の活性を変化させることを明らかにしました。この研究成果は、Journal of Rehabilitation Medicine誌(Effects of wheelchair propulsion on neuropathic pain and resting electroencephalography after spinal cord injury)に掲載されています。 【研究概要】 脊髄損傷後には運動麻痺・知覚麻痺・自律神経障害が生じ、神経障害性疼痛を始めとした様々な二次的障害を引き起こします。脊髄損傷後の神経障害性疼痛は様々な健康指標を低下させ、治療が難しいことが知られています。この脊髄損傷後の神経障害疼痛は、脊髄が損傷することにより脳と手足の神経を中継する視床と呼ばれる部位の機能異常を引き起こすことが原因の一つと考えられています。この視床の機能異常は脳波を測定した際にα波の変化で表され、具体的にはα波のピークを示す周波数であるPeak alpha frequency(PAF)が低下します。こうした脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対して、有酸素運動を行うことで痛みを緩和させることが報告されており、有酸素運動による鎮痛効果は新たな視点として注目されています。さらに、健常者の実験では有酸素運動により負の気分状態が改善することやPAFが増加することが明らかにされています。しかし,これまで脊髄損傷の患者において運動による鎮痛効果と安静時脳波活動(PAFの変化)との関係は明らかにされていませんでした。 今回、研究グループでは脊髄損傷の患者さんが日常生活で使用する車椅子を駆動する運動を行うことでPAFを増加させ、神経障害性疼痛と負の気分状態への効果を検証しました。主観的運動強度で「ややきつい」~「きつい」程度の15分間の車椅子駆動の結果、足や背中の神経障害性疼痛の主観的疼痛強度の減少と負の気分状態が改善し、中心領域(運動野に相当する領域周囲)におけるPAFの増加が認められました。 この研究成果は、有酸素運動が脊髄損傷後の神経障害性疼痛や負の気分状態に対して有効であるとともに、脳波測定のような神経生理学的指標を用いて運動により視床の機能異常が一時的に軽減することを明らかにしたことになります。 研究内容の詳細については畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページでご覧になれます。
2017.02.07
平成28年度神経リハビリテーション研究大会が開催されました!
1月28日(土)~29日(日)、信貴山観光ホテルにて、神経リハビリテーション研究大会が開催されました。この研究大会は、毎年恒例の合宿形式となっており、今年で11年目を迎えました。 本年度は、ニューロリハビリテーション研究センターの教員と大学院博士後期課程・修士課程のメンバー総勢31名が参加しました。また初めての試みとして、大学院修了生の中野英樹さん(1期生)と河村章史さん(2期生)をお招きし、それぞれ現在進めている研究について紹介して頂きました。 初日は信貴山観光ホテルにて、森岡教授の開会の挨拶から始まり、修士課程2年の最終審査に向けた予演会と上記修了生の研究紹介が行われ、様々な視点から質問応答や意見交換が繰り広げられていました。 どの発表にも明確な研究目的や臨床意義がある中、特に修了生の研究紹介では、研究の質や精度を上げるために、厳密な研究方法を検討されており、研究手続きの一つ一つに根拠を持って取り組んでおられました。また自身の研究を紹介することに対して、楽しみながら話されている点も印象的な光景でした。 夕方には3グループに分かれて、修士課程1年の研究計画に対するディスカッションが行われました。各グループのメンバー全員から、意見やアドバイスを頂くことで研究計画が洗練されていくのを感じる中、議論が白熱し過ぎて時間が超過する場面もありました。 1日目終了後の懇親会でも、白熱したディスカッションは続き、日が変わるまで議論が続きました。 2日目の合宿終了後、畿央大学に戻ってからも、ディスカッションが引き続き行われ、最後に森岡教授による閉会の挨拶で無事に全日程を終えました。 森岡教授からは、これまでの大学院修了生が残してきた研究成果を振り返り、社会の役に立つ研究成果を世の中に出していくためにも、研究を絶えず継続していくことが必要であるとのお言葉を頂きました。 社会人として臨床で働く我々の対象者を通じ、最終的には社会に貢献できるような研究成果が出せるように、今後も研究室一同精進していきたいと考えております。 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった森岡教授をはじめとする研究センターの皆様、神経リハビリテーション研究大会の開催にご尽力頂きました関係者の方々に深く感謝を申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程1年 平田康介 【関連サイト】 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 【関連記事】 ●「平成27年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成26年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成25年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成24年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成23年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成21年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成20年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」
2017.02.07
科研費採択件数、学生数5,000人以下の私立大学で関西1位に
学生数5,000人以下の私立大学で関西1位に、関西全体でも16位にランクイン 文部科学省から科学研究費助成事業(通称「科研費」)の配分結果が公表され、平成28年度は本学から39件1)の研究課題が採択されました。学部生在籍数5,000人以下の大学では関西1位となり、関西私立大学全体でも16番目に位置しています。 1)平成28年度に新たに採択された研究課題と平成28年度以前に採択された研究課題のうち、研究期間中にあるものを合算した件数 ※科学研究費助成事業は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、あらゆる「学術研究」を格段に発展させる独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。科研費は国の最大の研究支援であり、大学の研究力を表す指標の一つと言えます。例えばノーベル賞受賞者の東京工業大学 大隅良典栄誉教授や京都大学 山中伸弥教授も科研費による助成を得て研究をされてこられました。 科研費保有率は全教員の29.3%で、教員約3人に1人が科研費に採択されていることになります。本学の研究力の高さが証明された結果となりました。「教育」「研究」「社会貢献」がコラボしながら高いレベルで展開されていることが、本学の大きな特色と言えます。 関西私立大学 科研費採択件数ランキング(医科大・歯科大を除く) 順位機関名採択件数学部生数 1 立命館大学 527 32,580 2 近畿大学 410 32,325 3 同志社大学 366 27,053 4 関西大学 261 28,569 5 関西学院大学 256 23,498 6 龍谷大学 142 19,233 7 京都産業大学 121 12,806 8 甲南大学 83 9,256 9 大阪工業大学 82 6,745 10 摂南大学 78 8,083 10 武庫川女子大学 78 8,439 12 神戸学院大学 68 10,792 13 佛教大学 55 6,859 14 同志社女子大学 53 6,456 15 京都女子大学 40 6,102 16 畿央大学 39 2,116 16 追手門学院大学 39 6,500 ※採択件数は文部科学省ホームページから、学部生数は大学ポートレート(私学版)より抜粋 【その他のランキング記事】 週間東洋経済「本当に強い大学」 関西の私立大学で10位 2016年3月卒の就職率 関西3位~AERAムック「親子で探す 就職力で選ぶ大学2017」