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健康科学専攻(博士後期課程)の新着情報一覧

健康科学専攻(博士後期課程)の新着情報一覧

2024.07.31

大阪経済大学との合同研究発表会を実施!~地域リハビリテーション研究室

2024年7月23日(火)に大阪経済大学 人間科学部 高井教授の研究室と合同研究発表会を実施しました。高井先生は社会ライフデザインコースにて社会健康学を中心に学部生および大学院生指導を行なわれており、特に地域リハビリテーションの予防分野においては我々地域リハビリテーション研究室と近い視点で研究をされています。   本学からは私(高取)と松本准教授、D3の山本氏、M2の池本氏他、客員研究員の中北氏、仲村渠氏の9名の参加でした。 今回は我々が大阪経済大学に訪問し、まず、本研究室M1院生(鳥居、置田)、M2院生(久保田)の研究計画、進捗の発表と意見交換を行い、続いて高井先生が指導されているM2院生の研究進捗やM1院生の方々と意見交換させていただきました。     本学からはM1の鳥居氏が「回復期リハビリテーション病棟入院患者の転倒恐怖感と身体活動量の関係について」、置田氏が「介護老人保健施設における認知症入所者の身体認識誤差と転倒との関係」という現在計画中の研究についてプレゼンテーションを行いました。M2の久保田氏からは修士中間発表会を控えた進捗報告として「介護老人保健施設における笑いヨガが身体活動量に及ぼす影響」のプレゼンを行いました。   高井研究室の大学院生は中国籍の留学生がおり、看護師、介護福祉士の資格を有しておられるため、我々リハビリテーション専門職とはまた違った視点でのご意見をいただくことができました。高井先生の研究室では現在、在日中国人専門のデイサービスの現状と課題についての質的研究を進めておられ、在日中国人高齢者がデイサービスに求めているものや価値観、健康感が日本人高齢者とは大きく異なることをデータと共に示していただき、私自身非常に刺激となりまた勉強となりました!   特に日本ではデイサービスのプログラムとしてリハビリテーションや体操が取り入れられているところが多く、いわゆるリハ特化型デイサービスも数多く存在していますが、在日中国人高齢者のデイサービスでは運動の要素は全く必要とされていないところが多いということに、今後外国人高齢者が増えていく現状にあって、日本のデイサービスの多様性についても考えさせられる内容でした。   ▼高井研究室のM2 張氏のプレゼンテーション     発表会のブレイクタイムでは高井先生にご用意いただいたサンドイッチや軽食を食べながら雑談タイムもあり、会話の中において院生の皆さまの意識の高さと日本語力の高さには驚かされました(私は英語もろくに話せないので・・)。M2久保田氏の「笑いヨガ」については中国人専用のデイサービスで使えるのではないかと興味を持っていただきました。   ▼最後に記念撮影!     やや院生教育がマンネリ化しつつあり、新たな刺激を取り入れたいということから皆で話し合った結果、実現した今回の合同研究発表会でしたが、院生の方々や指導教員である我々にとって非常に刺激をいただき、今後の研究活動へのモチベーションが高まりました! 今後もまた我々と近い研究領域を持つ他大学との交流を積極的に行っていきたいと思います。   畿央大学 大学院 健康科学研究科 教授 高取 克彦   関連記事・リンク 地域リハビリテーション研究室 【快挙】本学の研究グループがパーキンソン病の姿勢障害の5因子を抽出することができました 7/28(日)、畿央大学で「第33回奈良県理学療法士学会」が開催されます(学生無料) 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 第66回日本老年医学会学術集会で修了生と教員が発表しました!~健康科学研究科|KIO Smile Blog チームKIOによる快挙!第28回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でポスター演題最優秀賞を受賞!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 OARSI2024(世界関節症会議学術大会)で教員が研究成果を発表しました~理学療法学科  

2024.07.31

高所などの怖い場所でのバランス制御メカニズムを調査~ニューロリハビリテーション研究センター

高所などpostural threat (姿勢脅威) を生じる環境では静止立位時の足圧中心(center of pressure: COP)の周波数が高く、振幅が小さくなることが知られています。このメカニズムとして、postural threatにより身体内部に注意が向くためと考えられていました。畿央大学大学院 客員准教授の植田耕造氏、森岡周教授らは、身体内部に注意を向ける課題(意識的なバランス処理課題)と比べて、できる限り動揺しないように随意的に制御する課題(随意的制御課題)の方がCOP動揺の平均パワー周波数が高く、postural threat下の姿勢制御と類似することを明らかにしました。この研究成果はNeuroscience Letters誌 に掲載されています。 本研究はpostural threatが姿勢制御を変調するメカニズム解明の一助となる研究です。 研究概要 過去の姿勢制御の基礎研究において、postural threat(姿勢脅威)が姿勢制御を変調することが報告されてきました。Postural threatとは、直立姿勢の制御に影響を与える要因のひとつであり、具体的には自分の身の安全に対し認識された脅威(threat)のことです。Postural threat(姿勢脅威)は高所で床面の端に立つなどの状況で生じ、静止立位時の足圧中心(center of pressure: COP)動揺の平均パワー周波数が高く、振幅が小さくなることが知られています。このメカニズムとして、postural threatにより身体内部に注意が向くためと考えられていました。しかし近年、身体内部(自己の足圧の移動)へ注意を向けておく課題(意識的なバランス処理課題)は簡単な認知課題を行う課題と比べ静止立位時の平均パワー周波数は高くなく、postural threatにより平均パワー周波数が高くなるメカニズムとなり得ないことが示されました。一方、植田 耕造 客員准教授 らは、できる限り動揺しないように随意的に制御する課題(随意的制御)において、リラックスした課題や難しい認知課題を行う課題と比べ静止立位時のCOP動揺の平均パワー周波数が高く、振幅が小さいことを報告しています(当リリースはこちら)。 そこで、畿央大学大学院客員准教授/JCHO滋賀病院の植田 耕造氏(責任著者)、森岡 周教授、畿央大学大学院の修了生である菅沼惇一氏(筆頭著者:中部学院大学)、中西康二氏(京丹後市立弥栄病院)らの研究グループは、健常若年者に対し、静止立位時の随意的制御課題と意識的なバランス処理課題を比較し、随意的制御課題の方がpostural threat下と類似した姿勢制御になるかを検証しました。その結果、意識的なバランス処理課題と比べ随意的制御課題の方が静止立位時のCOP動揺の平均パワー周波数が高く、postural threat下とより類似していることを明らかにしました。 本研究のポイント 静止立位時に身体内部に注意を向けるよりも、できる限り動揺しないように随意的に制御する方がCOP動揺の平均パワー周波数が高くなることが判明しました。 研究内容 本研究では健常若年者27名を対象に、下記の3条件で各30秒間の静止立位時のCOP動揺を2回ずつ測定しました。 ①リラックス条件:リラックスして立つよう指示 ②意識的なバランス処理条件:立位中の足圧の移動に注意を向けるよう指示 ③随意的制御条件:できる限り動揺を小さく制御するように指示 その結果、左右方向の平均パワー周波数や高周波帯域において、随意的制御条件で意識的なバランス処理条件よりも高値を示しました。一方で、RMS(root mean square)で表されるCOP動揺の平均振幅に差はありませんでした。 高所条件でpostural threatを引き起こしている過去の研究では、全ての研究で平均パワー周波数の増加を認めており、本研究の結果から、意識的なバランス処理条件よりも随意的制御条件の方がpostural threat下の姿勢制御と類似していることが示されました。このことから、postural threat下では注意が身体内部へ向くだけでなく、随意的な動揺の制御が行われていると考えられます。そのため本研究結果は、postural threatが姿勢制御を変調するメカニズムの概念的枠組みの一部の修正が必要であることを提案します。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究では、動揺を随意的に制御しようとした時にpostural threat下と類似した姿勢制御となることが示されました。臨床において、立つことが不安定で恐怖心を感じている症例の中には、随意的制御により姿勢制御が変調している対象者も存在する可能性があります。今後は随意的制御の方法の違いによる姿勢制御への影響を検証する必要があります。 論文情報 Suganuma J, Ueta K, Nakanishi K, Ikeda Y, Morioka S. Difference between voluntary control and conscious balance processing during quiet standing. Neurosci Lett. 2024 Jul 15;837:137900. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 客員准教授    植田耕造 教授・センター長 森岡 周 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2024.07.24

基本チェックリストを用いた新たな認知症スクリーニングモデルの検討~地域リハビリテーション研究室

認知症は世界的な課題であり、今後、わが国でも認知症高齢者が増加すると推計されています。各地方自治体において、要介護状態のリスクが高い高齢者を抽出するために基本チェックリスト*が用いられています。基本チェックリストの認知機能項目への該当状況は、認知症の発症に有用であることが報告されています。しかし、認知症の初期症状は記憶障害だけでなく、日常生活のあらゆる場面に問題が生じることが多く、基本チェックリストの認知機能項目だけでは、ハイリスク者を十分に抽出できていない可能性があります。 本学大学院健康科学研究科客員研究員の中北智士、健康科学研究科の松本大輔 准教授、高取克彦 教授は、基本チェックリストの全25項目のうち、5項目が1年間の新規認知症発症に関連し、5項目の合計スコアが、基本チェックリストの認知機能項目や総得点よりも予測精度が優れていることを明らかにしました。 この研究成果は、Geriatrics & Gerontology International誌に掲載されています。認知症に対する早期発見・治療の可能性を高め、認知症に対する予防的介入の一助になることが期待されます。 *基本チェックリスト:二次予防事業対象者の選定のために厚生労働省が作成した。全25項目7つのドメイン(生活機能、運動機能、栄養状態、口腔機能、閉じこもり、認知機能、抑うつ)で構成されている。 研究概要 A市在住の要介護認定を受けていない65~80歳の高齢者を1年間追跡し、死亡者を除外した6,476名を対象に、新規認知症発症(認知症高齢者のに日常生活自立度Ⅱa以上)に関連する基本チェックリストの個別項目を検討しました。 本研究のポイント • 1年間の認知症発症は40名(0.6%)でした。年齢、性別、家族構成、主観的健康感、ウォーカビリティ、身体活動、近所づきあい、社会参加を調整しても、基本チェックリストの#2買い物、#5相談、#6階段昇降、#18物忘れ、#20時間的方向性の5項目が新規認知症発症に関連することが明らかとなりました(図1)。 図1:基本チェックリストの個別項目と認知症発症との関連   また、5項目の合計スコアは、感度55.0%、特異度84.1%、AUC 0.76(カットオフ値 2点)と認知機能項目や基本チェックリスト合計スコアよりも有意に精度が高いことが示されました(図2)。 図2:5項目の合計スコア、認知機能項目、基本チェックリスト合計スコアの認知症発症の予測精度の比較   本研究の結論および意義 本研究は基本チェックリストの個別項目と認知症発症との関連性を示した数少ない研究です。基本チェックリストの認知機能項目以外の項目であっても1年間の認知症発症の予測に有用であることが示唆されました。本研究で示した5項目の合計スコアは、介護予防に関わる地域包括支援センター、保健師等の専門職、介護事業所等においても簡便で一般臨床で活用しやすく、効果的なハイリスク者の抽出や認知症に対する予防的介入の一助となると考えられます。今後は、このスクリーニングモデルが長期的な認知症発症の予測にも有用であるかを検証していく予定です。 謝辞 研究にご協力いただきました住民の皆様,役場の方々に感謝申し上げます。 論文情報 Nakakita S, Matsumoto D, Takatori K. Development of a new screening model for predicting dementia using individual items of the Kihon Checklist in community-dwelling older adults. Geriatr Gerontol Int. 2024. First published:17 July 2024. 問合せ先 畿央大学健康科学部理学療法学科 准教授 松本 大輔 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: d.matsumoto@kio.ac.jp 地域リハビリテーション研究室ホームページ

2024.07.12

人工膝関節全置換術後の長引く痛みと関連する疼痛の性質~ニューロリハビリテーション研究センター

人工膝関節全置換術(TKA)の施行によって歩行や階段動作といった日常生活の問題が改善される一方で、およそ2割の患者は長引く痛みを経験しています。畿央大学大学院 博士後期課程の 古賀 優之 氏、森岡 周 教授らは、TKA術前・術後において患者が訴える疼痛の性質において、とりわけ術後2週の「ひきつるような」という疼痛の性質が、術後3ヵ月・6ヵ月まで長引く痛みの存在に関連していることを明らかにしました。この研究成果は、Scientific Reports誌(Description of pain associated with persistent postoperative pain after total knee arthroplasty)に掲載されています。疼痛の性質は痛みの病態を反映しており、術後遷延痛に対して、より具体的なリハビリテーション介入選択の一助になることが期待されます。 研究概要 TKA術前・術後の疼痛強度は長引く痛みの関連因子ですが、その要因は様々です。疼痛の性質は痛みの病態を理解するために重要な情報を提供するため、本研究では、術前・術後に患者が訴える疼痛の性質に着目し、術後3ヵ月・6ヵ月の疼痛強度との関連性を分析しました。 本研究のポイント ■「ずきんずきん」や「鋭い」、「うずくような」といった関節炎に由来するような疼痛の性質は、術前から術後2週で(すなわちTKAの施行によって)改善されていることがわかりました。 ■ 術前の「ビーンと走る」、「うずく」、「軽く触れるだけで痛い」、「しびれ」、術後2週の「ひきつるような」といった疼痛の性質は術後3ヵ月の疼痛強度と関連しましたが、とりわけ「ひきつるような」は、術後3ヵ月・6ヵ月の遷延痛の存在(NRS≧3)と関連していることが分かりました。 研究内容 TKA患者52名を対象に、術前と術後2週の疼痛強度(Numerical Rating Scale: NRS)と様々な疼痛の性質(Short Form McGill Pain Questionnaire – 2: SFMPQ2)を評価し、それぞれが比較されました。その結果、関節炎に由来するような「ずきんずきん」や「鋭い」、「うずくような」といった疼痛の性質はTKAの施行後に改善されていることが分かりました(図1)。     図1:術前と術後2週における疼痛の性質   「ずきんずきん」や「鋭い」、「うずくような」、「疲れてくたくたになるような」といった疼痛の性質は、術前と比べて術後2週で有意に改善しました。また、「さわると痛い」や「むずがゆい」といった疼痛の性質はわずかに悪化しました。   続いて、マルコフ連鎖モンテカルロ法による事後分布推定を用いたベイズアプローチによって、術前・術後2週における疼痛の性質と、術後3ヵ月・6ヵ月時点における疼痛強度の関連性を分析した結果、いくつかの術前(「ビーンと走る」、「うずくような」、「軽く触れると痛い」、「しびれ」)と、術後2週(「ひきつるような」)の性質が、術後3ヵ月の疼痛強度と関連していることがわかりました。また、これらの性質と術後3ヵ月および6ヵ月における遷延痛の存在(NRS≧3)の関連性を分析したところ、術後2週における「ひきつるような」のみが関連していることがわかりました(図2)。     図2:疼痛の性質と術後遷延痛の関連性   いくつかの疼痛の性質(術前:「ビーンと走る」、「うずく」、「軽く触れるだけで痛い」、「しびれ」、術後2週:「ひきつるような」)は、術後3ヵ月の疼痛強度と関連していました。さらに、術後2週の「ひきつるような」といった疼痛の性質のみが術後3ヵ月、6ヵ月における遷延痛(NRS≧3)の存在と関連していました。 本研究の臨床的意義および今後の展開 TKA術後遷延痛の予防において、周術期の疼痛管理で特に焦点を当てるべき疼痛の性質が明らかとなり、痛みの病態に基づいた介入戦略選択の一助になると考えられます。今後はこのような疼痛の性質の背景にある運動障害や末梢/中枢神経制御のメカニズムを検証していく予定です。 論文情報 Koga M, Maeda A, Morioka S. Description of pain associated with persistent postoperative pain after total knee arthroplasty. Sci Rep. 2024 Jul 2;14(1):15217. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 古賀優之 教授・センター長 森岡 周 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2024.07.08

【快挙】本学の研究グループがパーキンソン病の姿勢障害の5因子を抽出することができました

本学大学院研究生/西大和リハビリテーション病院の藤井 慎太郎氏らの研究グループによる成果が、Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation誌に掲載されています。     パーキンソン病には、臨床徴候や疾患進行速度などの違いから異なるサブタイプが存在し、姿勢障害の特徴にも様々なサブタイプの存在が想定されています。 パーキンソン病患者が姿勢障害における特徴分類を目的に、健常者とパーキンソン病患者に対して静止立位時の重心動揺を計測し、様々な特徴量を持つ変数に「因子分析」を行いました。その結果、姿勢障害の構成要素(因子)とした、揺れの大きさ、前後・左右・高周波(揺れの頻度)、閉ループ制御(揺れに基づく修正能力)の5つの因子を特定することができました。またそれらの因子を用いた「クラスター分析」を試みることにより、6つのサブタイプに分類可能であることを世界ではじめて見出しました。 興味深いことに、疾患重症度が同じであっても、異なるクラスターに分類されるケースが多く見られました。このことは、疾患重症度だけで姿勢制御の問題を評価するのではなく、姿勢制御を包括的に理解し、その観点から病態を捉える必要があることを示しています。   今回の研究成果は、姿勢障害のタイプに基づいた適切なリハビリテーション介入に貢献することが期待できます。今後はパーキンソン病患者で生じる体幹の前屈や側弯といった姿勢異常や筋活動特性を包含した姿勢障害の特徴分類への展開を予定しています。 関連記事 パーキンソン病患者における静止立位時の足圧中心の包括的多変量解析~ニューロリハビリテーション研究センター

2024.07.05

7/28(日)、畿央大学で「第33回奈良県理学療法士学会」が開催されます(学生無料)

  2024年7月28日(日)に第33回奈良県理学療法士学会が本学で開催されます。 大会長は本学理学療法学科の岡田洋平准教授が務めるほか、学会では本学教員、修了生、院生が多数講演を行い、一般演題においても本学の卒業生、大学院生も発表する予定です。   「挑戦する理学療法:やさしさを力に未来を拓く」というテーマのもと、本学キャンパスで各分野最前線で活躍する先生方の講演を直接聞くことができる貴重な機会です。   学生は無料で参加できますので、臨床・研究に挑戦している理学療法士の姿にぜひ触れてみてください。 なお、学会参加には事前登録が必要になります(2024年7月18日まで)   参加登録     主な登壇者(本学関係者)は以下の通りです。     特別講演 9:40~10:20 子どもの運動の不器用さ(発達性協調運動障害DCD)に挑戦する 信迫 悟志氏 畿央大学健康科学研究科 准教授 健康科学研究科 修士課程修了   15:35~16:20 内部障害領域における物理療法の活用 吉田 陽亮氏 奈良県西和医療センター勤務 健康科学研究科 博士後期課程修了 理学療法学科1期生   教育講演 10:30~11:10 めまい・ふらつきに対するリハビリテーション~前庭理学療法という新たな領域~ 塩崎 智之氏 奈良県立医科大学勤務 健康科学研究科 修士課程修了   13:00~13:40 患者の想いを考慮した理学療法の実践~Shared Decision Makingという新しい同意の取り方~ 尾川 達也氏 西大和リハビリテーション病院 勤務 健康科学研究科 博士後期課程修了 理学療法学科3期生   関連リンク 学会 ホームページ   大会プログラム 関連記事 本学教員の編集した「エビデンスから身につける物理療法」第2版が発行! (尾川さん登壇)卒業生に学ぶチーム医療のリアル~理学療法学科 第3回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」

2024.06.30

第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科

畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程3年の古賀 優之です。2024年6月8日(土)、9日(日)に長崎で開催された第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会 において、私たちは「人工膝関節全置換術患者における疼痛/運動恐怖と膝の運動学的データの関連性」というテーマで発表し、一般口述演題奨励賞を受賞しました! 学会発表内容のご紹介 人工膝関節全置換術は、膝の痛みや歩行・階段昇降動作の困難さを改善するのに有効ですが、比較的大きな手術侵襲が伴うことから術後のリハビリテーションにおいて膝周囲に過度な力が入り、膝の曲げ伸ばし運動が不規則な動きになる症例を経験することがあります。そこで私たちは、骨指標にマーカーを貼り付け、ベッド上でシンプルな膝の屈伸運動を撮影した動画データをトラッキングして、その角度変化から運動学的データ(速さ、大きさ、躊躇、円滑さ)を算出しました。運動学的データと痛みや恐怖心の強さとの関連を分析したところ、術後1週の安静時痛が術後2週の円滑さ低下の要因となっていることや、術後1週の運動の小ささが術後2週の安静時痛の要因となっていることが示唆されました。       本研究は、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡 周教授による指導のもと、同大学院研究生の藤井 慎太郎氏、客員研究員/長崎大学生命医科学域(保健学系)西 祐樹氏と共同で進められた研究であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。   また、本学会では客員准教授の生野 公貴先生がポスター演題最優秀賞、修士課程を畿央大学大学院で修了されている田中 創氏が一般口述演題最優秀賞を受賞されている他、各種講演・セミナーの講師や座長、シンポジスト、一般口述・ポスター演題発表など、大学院生や修了生が幅広く活躍されており、ペインリハビリテーション領域における畿央大学の貢献をあらためて感じる機会となりました。   ▶生野 公貴 先生 ポスター演題最優秀賞のブログ記事はこちら         本学会で感じた熱量を次の研究に繋ぎ、ペインリハビリテーションのさらなる発展の一助となれるよう、引き続き研鑽に努めていきたいと思います。   健康科学研究科 博士後期課程3年 古賀 優之   関連記事 チームKIOによる快挙!第28回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でポスター演題最優秀賞を受賞!~健康科学研究科 第66回日本老年医学会学術集会で修了生と教員が発表しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 OARSI2024(世界関節症会議学術大会)で教員が研究成果を発表しました~理学療法学科 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん  

2024.06.27

令和6年度「大学・高専機能強化支援事業」に本学が採択されました。

  2024年6月26日(水)、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の助成事業「大学・高専機能強化支援事業」の「学部再編等による特定成長分野への転換等に係る支援(支援1)」に採択されました。   「大学・高専機能強化支援事業」は、デジタル・グリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて、意欲ある大学や高等学校が成長分野への学部転換等の改革に予見可能性をもって踏み切れるよう、機動的かつ継続的に行なわれる国による支援です。   心身の健康を支えるアメニティ・オブ・ライフ(Amenity of Life)の実現を目指す「健康工学部」の設置 ~事業概要~ 現代社会における多様なニーズに応え、格差や制約を有する全ての市民が豊かな生活を享受できる社会を構築することで、地域住民におけるAmenity of Life( AOL)の実現を⽬指す「健康工学部」の開設を令和8年度に計画している(入学定員90名、収容定員360名)。 「建築・まちづくり」「室内環境」「衣環境」「ヘルステック」「ウェルネスデザイン」といった幅広い分野にわたる教育課程において、データサイエンスを統合し、心身の健康を支えるAOLを実現するための革新的な知識と技術を持つ人材を育成することを⽬的としている。 健康工学部は、産官学連携拠点「(仮)KIOウェルネスヒル」を併設し、社会における教育研究の成果の実装を⽬指す重要なプロジェクトを推進する。地域住民が豊かな人生をデザインするための支援や、PBL課題解決型学修等を通した連携・協働を積極的に展開する。   なお、7月中旬には新学部紹介ページを公開し、順次情報を更新していく予定です。   ▼クリックでPDFが開きます。   関連リンク 「大学・高専機能強化支援事業」の第2回公募選定結果(文部科学省) 令和6年度選定分 | 助成事業 | 独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構   

2024.06.20

第66回日本老年医学会学術集会で修了生と教員が発表しました!~健康科学研究科

2024年6月13日(木)~15日(土)にかけて第66回 日本老年医学会学術集会が愛知県名古屋市(ウィンクあいち)で開催されました。畿央大学 大学院健康科学研究科 地域リハビリテーション研究室からは一般演題として、高取 克彦教授と私 中北 智士(客員研究員/紀の川市役所・貴志川リハビリテーション病院)が口述発表を行いました。       学会発表内容のご紹介 高取 克彦教授:「運動を中心とした地域在住高齢者の『通いの場』における参加者の状態像から見た類型化の試み」     地域リハビリテーション活動支援事業で関わっている奈良県生駒市の運動主体の通いの場の新たな類型化を試みたもので、同じような体操を実施している運動拠点間でも、比較的年齢が若く元気なグループから参加者全員が高齢で心身機能の危険性が高いグループまで、状態像が異なることを明らかにしたものです。 これまでの通い場に対する支援は、体操指導や体力測定など画一的なプログラムであることが多く、本研究はリハビリテーション専門職種の強みを生かし、各運動拠点に応じた支援の必要性を示唆しました。   中北 智士:「COVID-19パンデミック前後における地域在住高齢者のフレイルステータスの変化:過疎・非過疎地域での比較」   和歌山県紀の川市におけるCOVID-19パンデミックの影響を、同一自治体内の過疎地域と非過疎地域で調査したもので、過疎地域でよりパンデミックの影響を受けていることが明らかとなりました。フレイル対策推進のためには、このような地域内格差を把握し、地域特性に応じた介入の重要性を示唆しました。   第66回日本老年医学会学術集会は「4つの愛(I :Integration, Innovation, Interdisciplinarity, Artificial Intelligence)で拓く老年医学の展望」というテーマで開催されました。日本の大きな課題の一つである認知症関連や自動車運転、ICT活用など時代を反映した発表が増えている印象でした。また、大規模データを活用した研究発表が多い一方で、地域課題の解決につながる研究や研究成果の社会実装の重要性を感じました。 老年医学会は多職種の方々が参加されているため、様々な視点から意見交換がなされています。これからも偏った知識とならないよう、新たな知見に触れ、地域社会に還元できるように取り組んでいきたいと思います。   畿央大学 大学院健康科学研究科 修士課程修了生 客員研究員 紀の川市役所/貴志川リハビリテーション病院 中北 智士 【参考記事】 チームKIOによる快挙!第28回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でポスター演題最優秀賞を受賞!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 OARSI2024(世界関節症会議学術大会)で教員が研究成果を発表しました~理学療法学科 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん

2024.06.18

パーキンソン病患者における静止立位時の足圧中心の包括的多変量解析~ニューロリハビリテーション研究センター

パーキンソン病患者は、病気の進行とともに姿勢の不安定性や転倒リスクの増加といった姿勢障害を呈しますが、その特徴には様々なサブタイプが存在することが想定されています。畿央大学大学院健康科学研究科 研究生/西大和リハビリテーション病院の藤井 慎太郎 氏、森岡 周 教授、国立障害者リハビリテーションセンター研究所・神経筋機能研究室の河島 則天室長(畿央大学客員教授)らの研究グループは、パーキンソン病患者の姿勢障害を構成する5つの因子を抽出し、抽出された姿勢障害の因子より6つのサブタイプに分類できることを明らかにしました。この研究成果はJournal of NeuroEngineering and Rehabilitation誌に掲載されています。このようなサブタイプ分類により、パーキンソン病患者の姿勢障害のタイプに基づいた適切なリハビリテーション介入の一助となることが期待されます。 研究概要 パーキンソン病患者は、病気の進行とともに姿勢反射応答の低下や体幹の前屈姿勢などが顕著となり、立位姿勢の不安定性や転倒リスクの増加といった姿勢障害を呈することが知られています。ヒトの立位時の姿勢の揺れは、重心動揺計を用いた足圧中心により評価され、揺れの大きさや速さなどから姿勢障害の特徴づけがされています。しかし、姿勢不安定性があるパーキンソン病患者では、単に重心動揺計での揺れが増大しているのみでなく、むしろ揺れが過少となっている症例も存在することが指摘されています。パーキンソン病には、臨床徴候や病歴、発症年齢、疾患進行速度などの違いから異なるサブタイプが存在することが広く知られており、姿勢障害の特徴についても様々なサブタイプが存在することが想定されています。そこで畿央大学大学院研究生/西大和リハビリテーション病院の藤井 慎太郎氏、森岡 周教授、国立障害者リハビリテーションセンター研究所・神経筋機能研究室の河島 則天室長(畿央大学客員教授)らの研究グループは、健常者およびパーキンソン病患者に対して静止立位時の重心動揺を計測し、様々な特徴量を持つ変数に「因子分析」を施すことで姿勢障害の構成要素(因子)の抽出を試みました。その結果、揺れの大きさ、前後・左右・高周波(揺れの頻度)、閉ループ制御(揺れに基づく修正能力)といった5つの因子が特定されました。次いで、抽出された因子を用いた「クラスター分析」を試みることにより、6つのタイプに分類可能であることを見出しました。パーキンソン病の重症度での比較では、姿勢障害を構成する因子に有意差がみられませんでしたが、サブタイプ間においては明確に異なる値を示していました。またパーキンソン病の発症からの期間の長さや症状の重症度についても有意な違いを示しており、この分類はパーキンソン病患者における姿勢障害のサブタイプとみなせることを明らかにしました。 本研究のポイント ■ パーキンソン病患者における静止立位時の重心動揺変数を用いた因子分析およびクラスター分析により、姿勢障害の特徴分類を試みた。 ■ 姿勢障害の構成要素とみなし得る5つの因子が抽出され、因子得点を用いたクラスター分析を行うことによりパーキンソン病患者の姿勢障害が6つのサブタイプに分類できることを明らかにした。 研究内容 パーキンソン病患者は、病気の進行とともに姿勢の不安定性や転倒リスクの増加といった姿勢障害を呈します。ヒトの静止立位時の姿勢の揺れは、重心動揺計を用いた足圧中心(center of pressure: CoP)の評価によって定量化され、揺れの範囲や速度などの時空間変数から姿勢障害の特徴づけが試みられています。しかし、パーキンソン病患者では、単に重心動揺計での揺れが増大しているのみでなく、むしろ揺れが過少となっている症例も存在することが指摘されており、その特徴には様々なサブタイプが存在することが想定されています。そこで本研究では、静止立位時の足圧中心(CoP)時系列データを用いてPD患者における姿勢障害の特徴分類を行うことを目的としました。   対象はパーキンソン病患者127名、健常若年者71名、健常高齢者47名でした。対象者は重心動揺計の上で30秒間の静止立位のCoPを計測しました。計測されたCoP時系列データから、95%楕円信頼面積などの空間変数、平均移動速度などの時間変数、パワースペクトル分析を用いた周波数特性およびフラクタル解析の手法であるStabilogram Diffusion Analysis(SDA)により、短時間領域(Ds)/長時間領域の傾き(Dl)、短時間/長時間領域の切り替え時間(CP)など計23変数を算出しました(図1左)。その後、パーキンソン病患者における姿勢不安定性の特徴を抽出するために、各変数について因子分析を実施しました。その結果、95%楕円信頼面積や平均移動速度などの関連が強い動揺振幅因子や、左右周波数因子、前後周波数因子、高周波因子、SDAの変数であるDlやCPの関連が強い動揺拡散因子といった5因子が抽出されました(図1右)。     図1:計測方法の概要および因子分析の結果 (高解像度の図はこちらをクリック) 左:計測方法およびCoPより算出された変数一覧。重心動揺計の上で30秒間の静止立位のCoPを計測し、計測されたCoP時系列データから30変数を算出した(うち7変数は除外)。 右:算出された23変数を用いた因子分析により、5つの因子が抽出された。   臨床分類として、健常高齢者およびパーキンソン病患者は、健常若年者と比較し動揺範囲因子および高周波因子において有意に高値を示しましたが、PD重症度間では有意差を認めませんでした(図2左)。次にパーキンソン病患者における姿勢不安定性の特徴の違いに基づいてサブタイプを分類するために、抽出された因子を用いたガウス混合モデルによるクラスター分析を行いました。健常若年者を除く174名での5因子を用いたクラスター分析の結果、6つのクラスターに分類されました。これらのクラスター間において、因子得点は明確に異なる値を示しており、この分類はパーキンソン病患者における姿勢障害のサブタイプとみなせると考えられました(図2右)。     図2:臨床分類とクラスター分類間での因子得点の比較(高解像度の図はこちらをクリック) 臨床分類において、PD重症度間(左)では因子得点に有意な違いを示さなかったが、クラスター分類(右)では、各因子得点に明確な違いを示した。   図3は代表的な4症例を提示しています。この4症例は疾患重症度が同程度であるにもかかわらず、因子得点は明確に異なる結果を示しており、それぞれ異なるクラスターに分類されました。このことからも、単に疾患重症度から姿勢制御の問題を捉えるのではなく、それぞれのサブタイプに応じた姿勢制御の病態を捉える必要があると考えられます。     図3:各クラスターの代表4症例(高解像度の図はこちらをクリック) 各クラスターの代表4症例を示す。疾患重症度は同程度であるが、各因子得点は明確に異なっており、それぞれが異なる姿勢制御を示していることが示唆された。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究により、パーキンソン病患者の姿勢障害のタイプに基づいた適切なリハビリテーション介入の一助となることが期待されます。今後はパーキンソン病患者で生じる体幹の前屈や側弯といった姿勢異常や筋活動特性を包含した姿勢障害の特徴分類を予定しています。 論文情報 Shintaro Fujii, Yusaku Takamura, Koki Ikuno, Shu Morioka, Noritaka Kawashima A comprehensive multivariate analysis of the center of pressure during quiet standing in patients with Parkinson’s disease. Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation, 2024 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 研究生 藤井 慎太郎 教授・センター長 森岡 周 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

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