理学療法学科の新着情報一覧
2020.04.02
令和2年度入学生に学生証を交付しました。
2020年4月2日(木)、令和2年度の入学生に対して学生証等が交付されました。健康科学部349名(理学療法学科76名、看護医療学科99名、健康栄養学科101名、人間環境デザイン学科73名)、教育学部197名、健康科学研究科38名(修士課程35名、博士後期課程3名)、教育学研究科修士課程2名、助産学専攻科10名、臨床細胞学別科5名、あわせて601名の新しい畿央生が誕生しました。 新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、今年度は残念ながら式典を見合わせ、学科等の単位で講義室に分かれ、開講に向けて必要な手続きを短時間でおこないました。新入生と教職員だけのこじんまりとした雰囲気の中でしたが、キャンパス周辺の桜とともに、新たな門出を祝う一日となりました。 保護者の皆様、ご親戚の皆様にはお子様の晴れの姿を見届けていただけず、大変申し訳ございませんでした。心よりお詫び申し上げます。 本日、人生の新たな一歩を踏み出すことになった皆さま、おめでとうございます。このような形になりましたが、教職員一同心より歓迎の意を表するとともに、皆さまが入学当初の目標を達成することができるよう、全力を尽くしてまいります。厳しいスタートとなりましたが、夢を力に変えて、ともにがんばりましょう。
2020.03.23
理学療法士、5年連続100%を達成!~2020年3月卒業生
第55回理学療法士国家試験(2020年2月23日実施)の合格発表が3月23日(月)に行われました。関西の私立4年制大学では最も多い14回目の卒業生となる健康科学部理学療法学科では、今春卒業した76名が受験し、全員が合格しました。全国平均は93.2%(新卒のみ)でした。 <理学療法士国家試験合格率の推移> 2016年卒2017年卒2018年卒2019年卒2020年卒 受験者 62名 67名 72名 64名 76名 合格者 62名 67名 72名 64名 76名 現役合格率 100% 100% 100% 100% 100% 全国平均(新卒) 82.0% 96.3% 87.7% 92.8% 93.2% 5年連続の全員合格を達成したのは関西の私立大学で唯一、受験者50名以上での5年連続全員合格は全養成校279校の中で本学のみとなっています。 試験の合格率(新卒者全国平均)は年により変動しますが、本学の学生はいつも通りのがんばりで、5年連続となる全員合格をはたしました。どのような問題にも対応するためには、普段からのたゆまぬ努力が大切です。来年にむけても気をゆるめることなく、一層の努力を期待したいと思います。 理学療法学科 学科長 庄本康治
2020.03.19
脳卒中後に自他帰属のエラーが生じることを上肢運動タスクで解明~ニューロリハビリテーション研究センター
私たちが動作の中で得ている感覚は、自分自身の運動により生じた「自己由来感覚」と、他者や外界から生じた「外界由来感覚」に大別できることが知られています。そして、これらの感覚を適切に区別する自他帰属のプロセスは、正確な運動を達成するために不可欠であることが明らかにされています。畿央大学大学院博士後期課程の宮脇裕氏と森岡周教授は、仁寿会石川病院リハビリテーション部の大谷武史室長と共同し、感覚運動障害を有する脳卒中患者が、運動に対する感覚フィードバックを適切に自他帰属できているのかを検証しました。この研究成果は、PLOS ONE誌(Agency judgments in post-stroke patients with sensorimotor deficits)に掲載されています。 研究概要 私たちは、日常生活において常に何らかの感覚刺激を得ながら動作を遂行しています。得られた感覚は、自分自身の運動によって生み出された感覚なのか、または自分が関与していない他者や外界から生じた感覚なのか、脳内で区別されると言われています。この区別は「自他帰属」と呼ばれており、これが上手くいかなくなると、「自分が運動を制御している感じ」である運動主体感が損なわれたり、不必要な感覚に基づいて運動を遂行してしまったりすることが明らかにされています。自他帰属の障害を招く疾患の一つとして脳卒中が疑われていますが、運動麻痺などの感覚運動障害が自他帰属に及ぼす影響は十分に明らかになっていません。 宮脇裕氏(畿央大学大学院博士後期課程、慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)と森岡周教授は、大谷武史室長(仁寿会石川病院リハビリテーション部)と共同し、上肢運動課題を用いて、感覚運動障害を有する脳卒中患者の自他帰属について検証しました。その結果、健常高齢者に比べ脳卒中患者では、他者運動を自分の運動と判断してしまう誤った自他帰属をすることが示されました。また、興味深いことに、この誤帰属は非麻痺肢における運動でも同様に観察されました。 本研究のポイント ・脳卒中患者は、たとえ高次脳機能障害を有していなくとも、感覚フィードバックの誤帰属を起こしうる ・誤帰属は、非麻痺肢の運動でも起こりうる 研究内容 参加者は、モニタ上に水平に表示されたターゲットラインをなぞるように、ペンタブレット上で水平運動を遂行しました(図1)。この際、視覚フィードバックとしてカーソルが表示されました。カーソルの動きに、自分のリアルタイムの運動が反映されている場合(自己運動条件)と、事前に記録した他者運動が反映されている場合(他者運動条件)がありました。参加者は、自分の実際のペン運動とカーソル運動の時空間的な一致性に基づいて、カーソルが自己運動と他者運動のどちらを反映しているか判断することを求められました。 図1:実験装置 結果として、健常高齢者に比べ脳卒中患者では、他者運動条件において有意に誤帰属(他者運動のカーソルを自分の運動と判断)したことが示されました(図2)。また、この誤帰属は非麻痺肢で運動を遂行したときでさえ観察されました(図3)。 図2:脳卒中患者と健常高齢者間の比較 図3:麻痺肢と非麻痺肢間の比較 本研究の意義および今後の展開 正確な運動制御を達成するためには、適切な感覚の自他帰属が不可欠です。脳卒中患者の誤帰属がなぜ起こっているのか、またその影響はどのようなものなのかさらに精査することで、脳卒中リハビリテーションの新たな可能性を今後も探求していく必要があります。 論文情報 Yu Miyawaki, Takeshi Otani, Shu Morioka: Agency judgments in post-stroke patients with sensorimotor deficits. PLoS One, 2020. 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 宮脇裕(みやわき ゆう) E-mail: yu.miyawaki.reha1@gmail.com Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600
2020.03.10
カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.9~WEEK2編2
畿央大学の短期語学留学プログラムは、毎年春休みと夏休み中に行われます。春期実施分では、英語学習はもちろんのこと、カナダの文化に触れることができ、博物館見学や美術館での美術鑑賞、アイスホッケー観戦、コンサートなど課外アクティビティを自分で計画して、カナダでの生活を満喫することもできます。 【畿央大学春期短期語学留学プログラム2020概要】 場 所:カナダのビクトリア(バンクーバーの西、フェリーで1時間半程の場所にあります) 研修場所:グローバルビレッジ イングリッシュセンター ビクトリア 期 間:2020年2月22日から20日間 内 容:2週間英語学習(ホームステイ滞在)、その後5日間のバンクーバーでの文化体験、観光等 参加学生からのレポート、第9弾をお届けします! こんにちは、理学療法学科1回生の田中隆登です。現在3週間の短期留学のため、カナダに滞在中です。今回は2週間目の生活についてレポートしていきます。 カナダ留学も2週目を迎えてここでの生活に慣れてきたところです。最初は不安や緊張、楽しみなどさまざまな気持ちがありましたが、今は毎日の新しい発見や、さまざまな国の人とのコミュニケーションなど、毎日がワクワクする事ばかりでとても楽しく生活しています。 ここでは1日の流れについて書いていきます。毎朝6時半ごろに起きて、朝ごはんを食べます。朝ごはんはシリアルやマフィン、コーヒーなどでホストファミリーはまだ起きていないので、自分の食べたい分だけ取っていくシステムです。そして8時に登校して、バスに乗り、ダウンタウンにある学校に向かいます。 8時45分から学校が始まり、授業がスタート。イングリッシュオンリーなので、日本人同士で話す時も基本的に英語のみの会話になります。そして、午前の授業を受けてランチ(サンドウィッチ)を食べ午後の授業を50分受けたら、放課後になります。放課後はこの学校で知り合った人や、畿央大学生などと夜ご飯に行ったり、観光などをしたりしました。 カナダには日本料理がたくさんありますが、あたりハズレが激しく、ハズレのところに行くと高額かつ日本料理に程遠いものが出されます。そこで紹介してもらったのは、千鮨というお店で、そこは日本人の店員の方が多く日本語でも注文が頼め、沢山の日本料理を食べることができます。 2週間という短い間なので、毎日どこかへ観光に行ったり、散策をしたり、美味しい店を紹介してもらってカナダのことなどを教えてもらいました。その後家に帰り、ホストファミリーと一緒にご飯を食べて、お風呂に入り、課題をしたり、ホストファミリーと話をしたり、映画を一緒に見ている人もいました。大体これが1日の流れです。いつもと違う経験ができるのですごく充実した生活を送れています。もっと長くこの学校に通いたい気持ちです。 次からはバンクーバーに移り観光中心になります。残りの数日も楽しんでいきたいと思います。 理学療法学科 1回生 田中隆登 【関連記事】 カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.8~WEEK2編 カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.7~WEEK1編2 カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.6~WEEK1編 カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.5~ホームステイがスタート カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.4~ホームステイ先に到着 カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.3~出発編(羽田からビクトリアまで) カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.2~出発編(羽田からバンクーバーへ) カナダ短期語学留学2020 現地リポートvol.1~出発編(事前準備)
2020.03.07
【学生・保護者の皆さまへ】卒業証書等授与式に関するご案内(3/11・12追記)
既にお知らせいたしました通り、新型コロナウイルスによる感染症の拡大を受けて、今年度は卒業生、修了生全体での卒業式典および卒業パーティの実施を見送ることといたしました。 充実した学生生活の最後を飾る皆さんが楽しみにしてくださっている行事を見送ることは、本学といたしましてもまことに残念でなりませんが、現状では何よりも皆様の安全を守ることこそ第一と考え、このような結論に至りました。ご理解を賜れましたら幸甚に存じます。 なお、3月13日(金)には、各学科・専攻科・別科・研究科単位で卒業証書等授与式を、以下の通り実施することにいたしました。いずれも卒業生、修了生、教職員のみの場としますので、保護者等の付き添いの方の登学は控えていただきますようにお願いいたします。 【3月12日追記】 感染拡大防止を鑑み、下記に該当される方は出席をとりやめてください。 ・発熱等の風邪や咳などの呼吸器症状がみられる方 ・中国、韓国、イラン、イタリア、サンマリノなど新型コロナウイルスの感染が確認されている国から帰国して2週間以内の方 ◆3/13(金)卒業証書等授与式 会場◆ 【学部】 健康科学部 理学療法学科 10:00より P301講義室 看護医療学科 10:00より P201講義室 健康栄養学科 10:00より L101講義室 人間環境デザイン学科 10:00より R201講義室 教育学部 現代教育学科 10:00より KB04講義室 【大学院】 健康科学研究科 11:00より P302講義室 【専攻科】 助産学専攻科 11:00より P202講義室 【3月11日追記】 上記、本学会場で実施される卒業証書等授与式にお越しになる方は、遅くとも13:00までに学外へ退出、交通機関が空いている間に帰宅してください。 【別科】 臨床細胞学別科 16:00より 於:CTC梅田 ※本学各講義室は30分前より入室可能です。 ※出席を必須とする式典ではありません。ご自身の判断でお越しください。欠席された場合でも後日、学生支援センター窓口へお越しいただければ、卒業証書等は個別にお渡しいたします。 ※風邪の症状や発熱等がある場合は出席をお控えください。なお、マスク等のご用意もいたしかねますので、ご了承ください。 ※式の終了後は速やかに帰宅し、以後不要不急の外出は控えるようにしてください。 ※本学周辺の道路や、商業施設駐車場への駐停車は、短時間であっても地域住民の皆さまのご迷惑になりますので、厳にお慎みください。 ※在学生も登学の自粛期間ですので、残念ではありますが改めて登学自粛をお願いします。 ※今後、政府の方針を含めた情勢の変化によっては上記の予定の変更が生じる可能性はございます。その際にはホームページ等でお知らせをいたします。 新型コロナウイルスの動向はいまだ予断を許さぬものがあります。皆様くれぐれも体調管理にはお気を付けください。
2020.03.02
就活レポート~就職活動の現場から~No.581(病院)
就職活動を終了したばかりの学生のリアルな声を紹介する「就活レポート」、第581弾! 理学療法学科14期生(20卒)K.K さん 病院 (理学療法士) 勤務 【その病院に決めた理由】 私は、小学校教師の両親を見ていたことや、障害を持った子供が身近にいたため、障害をもった子供を支えたいと考え、小児分野の理学療法士を目指しました。実習では小児を担当したことがありませんでしたが、見学させていただきより一層小児リハビリをしてみたいという気持ちが強くなりました。そこで関西で小児を専門としている病院を探していた時、当院を見つけました。そこは関西でも有数の小児病院で有名な先生がおられたため、小児リハビリの知識と経験を積み、自分を高めたいと思い志望しました。また、見学時に、他職種と意見交換するなど、より充実した医療の提供を心掛けていることが随所で見られたことから、ぜひ一員として貢献したいと感じました。 【就職活動を振り返って】 キャリアセンターのいろいろなアドバイスのおかげで試験当日も適度な緊張で臨むことができました。面接の練習も何度もしてもらったことで、自分の力を十分に出せたと思い、とても助かりました。また、当院は実技の試験もありましたが、実習でしたことを思い出しながらする事で、いい結果につながりました。 【就職活動でPRしたポイント】 私には計画性があることを具体的にPRしました。また、自分の得意な事を病院でどのように生かしていくのかを伝えました。何より、この病院で働きたいという強い気持ちを伝えました。 【キャリアセンターと就職サポートについて】 キャリアセンターの方々は皆さん親切で、自分のために時間を割いてくれる人ばかりでした。私は就職先を決めることに1番困りましたが、先生方やキャリアセンターにある資料や先輩方の就活体験記を見て決めることができました。キャリアセンターにある全てを有効に活用することで、私の求めていた病院を見つけることができました。 【後輩へのアドバイス・メッセージ】 畿央大学や実習先で学んだことを試験で発揮することができればいい結果が待っています。困ったことがあれば先生方やキャリアセンターの方に頼ってみるといいです。自分の知らないことを教えてくれる貴重な存在です。大学生活を楽しみながらいろんなことを頑張ってください。
2020.02.27
冬のスポーツ実習2020(in 白馬村)レポート vol.3
2020年2月18日(火)~21日(金)まで、長野県北安曇郡白馬村の白馬五竜スキー場にて、学生137人、助力(支援学生)26人、教員12人の合計175人で、「スポーツ実習B・Ⅱ」が開講されました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2月19日(水)の様子 スポーツ実習2日目。天気にも恵まれた中でついに始まったスポーツ実習!高まる気持ちとともにウェアに着替えてゲレンデへ、まずは開講式です! ほとんどの班が未経験者ばかりの中、インストラクターの方々が道具の使い方から基本的な動きまで分かりやすく教えて下さり、昼休憩の頃にはコツを掴んで滑ることができるようになりました。 フリー滑走では今日教わったことを意識しながら友達と一緒に滑り、充実した時間を過ごすことができました。 宿泊先のお風呂と夕食が疲れ切った体と心に沁みました。食後には太田旅館の下川さんから講習を受けたり、全員でストレッチをしたり、先輩方にマッサージもして頂きました。これで明日の筋肉痛もコワくない!?(笑) そして夜には部屋のみんなでいろいろな話をしました。 明日も怪我に気をつけて、さらに上達できるように頑張りたいと思います!! 理学療法学科 1回生 大澤一輝 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2月21日(金)の様子 スポーツ実習がおわって。 オリエンテーションの時、班に知ってる子が少なく他学部もいたので仲良く出来るか不安でした。しかし助力の方が企画してくださったレクリエーションや、自己紹介などでみんなと打ち解けることができ、楽しい4日間を過ごすことができました。 スノーボードでも班の人たちと協力しながら練習し、上達することができました。今回の色々な人との出会い、技術の上達など全て良い経験になりました。 現代教育学科 1回生 藤田健人 【関連記事】 冬のスポーツ実習2020(in 白馬村)レポートvol.2~助力が見たスポーツ実習 冬のスポーツ実習2020(in 白馬村)レポート vol.1
2020.02.26
子どものメディア視聴は知覚バイアスと微細運動機能に悪影響を与えるわけではない~ニューロリハビリテーション研究センター
TV、DVD、インターネット、ゲームなどのメディア視聴は、子どもたちの認知発達(注意、言語、記憶、学習、実行機能)や運動発達に良い影響と悪い影響を与えることが知られています。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、中井昭夫 教授(武庫川女子大学)、前田貴記 講師(慶應義塾大学)らと共同で、メディア視聴が子どもにおける知覚バイアスと微細運動機能に与える影響を調査しました。この研究成果は、Brain Sciences誌(Manual dexterity is not related to media viewing but is related to perceptual bias in school-age children)に掲載されています。 研究概要 メディア視聴は、子どもにおいて、肥満や睡眠障害など健康状態の悪化を引き起こすだけでなく、注意力の低下、言語発達の遅れなど認知機能にも悪影響があることが知られています。一方で、メディア視聴であっても、子供の年齢、親の養育態度、メディア・デバイス/コンテンツの種類、親との共同視聴などの要因によっては、認知機能や運動機能に良い影響をもたらすことも明らかになっています。しかしながら、メディア視聴が子どもの知覚バイアスや微細運動機能に与える影響は不明でした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らの研究チームは、学童期の子どもにおけるメディア視聴時間、メディア嗜好度、知覚バイアス、微細運動機能との関係を調査しました。その結果、年齢の増加に伴いメディア視聴時間が増加し、メディア視聴時間が増加するほどメディア嗜好度が増加することが確認されましたが、メディア視聴時間/メディア嗜好度は知覚バイアスや微細運動機能とは関連していないことが明らかにされました。一方で、知覚バイアスと微細運動機能との間には重要な関係性があることが示されました。※ ちなみに、ここでいう“知覚バイアス”とは、「身体からの情報(体性感覚)と目からの情報(視覚)のどちらを偏って知覚しやすいか?」についての指標です。 本研究のポイント ■ 学童期の子どもにおいて、メディア視聴は知覚バイアスや微細運動機能とは関連していない。 ■学童期の子どもにおいて、触覚情報と視覚情報がほぼ同時に提示されるときに、視覚情報を優先してしまう特性 (視覚バイアス)は、微細運動機能の低下と関連しているが、それとメディア視聴時間などは関係なかった。 研究内容 6~12歳の学童期の定型発達児100名を対象に、メディア視聴時間、メディア嗜好度、知覚バイアス、微細運動機能を測定しました。メディア視聴時間は、1日あたりの平均視聴時間を抽出し、メディア嗜好度は“とても好き”から“とても嫌い”までの7件法で抽出されました。知覚バイアスは「視覚-触覚時間順序判断課題*(下図左)」用いて測定されました。この課題では、様々な時間間隔で視覚刺激(緑色LEDの点滅)と触覚刺激(振動)が呈示され、子どもたちは視覚と触覚のどちらの刺激が早く(先に)呈示されたのかを回答します。例えば、実際には触覚刺激が先に呈示されたのに、「視覚刺激の方が早かった」と回答すれば、それは視覚バイアスが強いというように、視覚と触覚のどちらに偏り(バイアス)があるかを定量的に表す課題です。微細運動機能は、国際標準評価バッテリー(M-ABC-2)の手先の器用さテストが使用されました。 *Keio Method: Maeda T. Method and device for diagnosing schizophrenia. International Application No.PCT/JP2016/087182. Japanese Patent No.6560765, 2019. 左図:視覚-触覚時間順序判断課題 右図:知覚バイアスと微細運動機能との相関関係 結果として、年齢の増加とメディア視聴時間の増加、メディア視聴時間の増加とメディア嗜好度の増加には、相関関係がありました。しかしながら、メディア視聴時間/メディア嗜好度と知覚バイアス/微細運動機能との間には相関関係は認められませんでした。一方で、相関分析と階層的重回帰分析の結果、視覚への偏り(視覚バイアス)が強くなるほど、微細運動機能が低下するという関係性が認められ、微細運動機能が比較的低い子どもでは、視覚バイアスが強いことが示されました(図右)。 本研究の意義および今後の展開 一般的にも、メディア視聴は、子どもの発達に悪影響を与えると考えられており、実際に肥満、睡眠障害、摂食障害などの健康への影響をはじめ、様々な認知機能・運動機能への負の影響が示されています。しかしながら、本研究では、メディア視聴が子どもの知覚バイアスや微細運動機能に与える悪影響は認められませんでした。興味深いことに、本研究では、メディア嗜好度の7件法において、メディアについて少しでも嫌いと答えた児は皆無であり、子どもにおけるメディア嗜好の高さが窺えました。近年では、アクティブビデオゲームを用いた介入が、脳性麻痺や発達性協調運動障害といった運動障害に効果的であることも報告されています。これらのことは、メディア自体ではなく、メディアの使い方が重要であることを示唆しており、どのような要因が交絡因子となるのかについての更なる研究が求められます。 本研究では、視覚バイアスの増加が微細運動機能の低下と関連していることが示されました。しかしながら、図右の散布図を見ても分かるように、決して触覚バイアスの増加が微細運動機能の向上につながるわけではなく、知覚バイアスがどちらにも偏っていないことが、微細運動機能の向上につながる可能性が示唆されました。 論文情報 Nobusako S, Tsujimoto T, Sakai A, Shuto T, Furukawa E, Osumi M, Nakai A, Maeda T, Morioka S. Manual Dexterity is not Related to Media Viewing but is Related to Perceptual Bias in School-Age Children. Brain Sci. 2020, 10(2), 100. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター准教授 信迫悟志Tel: 0745-54-1601Fax: 0745-54-1600E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2020.02.25
冬のスポーツ実習2020(in 白馬村)レポートvol.2~助力が見たスポーツ実習
2020年2月18日(火)~21日(金)まで、長野県北安曇郡白馬村の白馬五竜スキー場にて、学生137人、助力(支援学生)26人、教員12人の合計175人で、「スポーツ実習B・Ⅱ」が開講されました。 今回は健康助力(アシスタント)として参加した学生からのレポートをお伝えします。 【健康支援担当】 私たち理学療法学科2回生9名は健康助力として、スポーツ実習に参加しました。 主な役割は、実習生の健康状態のチェック、ストレッチ指導、テーピング処置など体調面のサポートです。 事前に健康栄養学科の前原先生による勉強会に参加して、スキー・スノーボードで起こりやすい疾患について学習しました。テーピング処置では、ほとんどの健康助力がテーピングを巻くのが初めてだったので、甲子園メディカルトレーナーでもある理学療法学科の福本先生に1から指導していただき、事前に何度も練習して実習に臨みました。 スキー・スノーボードを初めて体験する実習生の多くは筋肉痛を訴えていたので、どのストレッチを行えば筋肉痛が改善するかを考えて実施しました。また、足首の捻挫などに対してテーピング処置を行いました。 みんなが楽しんでストレッチをしてくれていたため、私たちも楽しみながら指導することができました。 毎朝回収する健康チェックシートには「助力さんのおかげで体の痛みがマシになりました」や「テーピングを巻いてくれたおかげで痛みはなかった」などを書いてくれていて、すごく嬉しくやりがいを感じました。 この実習に参加して、 ・相手の痛み・つらさを感じ取ることの困難さ ・テーピングなどの技術の大切さや難しさ ・教育助力や先生たちとのチーム連携の大切さ を学ぶことができ、とても貴重な体験をさせていただきました。 健康助力の全員が実習後「助力になってよかった!」と思いました。この実習で学んだことを活かしていきたいと思います。ありがとうございました。 理学療法学科2回生 宇野流弥、江田朱里、川端一穂、木本茉佑、 小林美翔、鶴岡美玖、徳田篤人、藤田亜美、吉田昇弘 【関連記事】 冬のスポーツ実習2020(in 白馬村)レポート vol.1 ●昨年の冬のスポーツ実習の様子はコチラから!
2020.02.17
海外インターンシップ先の中国医薬大学(CMU)の教員・学生5名が来学!~理学療法学科
2020年2月12日(水)、理学療法学科の学生が「海外インターンシップ」でお世話になった中國医薬大学(China Medical University: CMU)の学生5名が畿央大学を訪問してくれました! まずは、インターンシップのメンバーである松本・学生たちで出迎え、キャンパス内の健康支援センターで体組成・骨密度チェックを行いました。それぞれの機器を見たことはあっても、実際に測定したことがなかったようで、結果に興味津々で、お互いに比較し合っていました。 学内を案内後、9月に台湾へ行った本学の学生が全員集まって、ランチタイム!久しぶりの国際交流で、なかなか英語が出てこない部分はありましたが、みんなで机を囲みピザやチキンを食べながら、「まいど」「なんでやねん」などの関西弁をレクチャーしたりして、楽しく話すことができました。 私たちが台湾に行った時に一度会っている学生さんだったので懐かしい話題もあがりました。また、日本での病院実習(CMUの学生は日本の病院で3週間の実習中)や観光のことなどを話しました。来年お世話になるかもしれない理学療法学科2回生も少し交流させていただきました。 交流した後、ニューロリハビリテーション研究センターへ移動し、本学理学療法学科の福本先生が関わっている企業との共同研究の実験を見学、一部体験(歩行や姿勢)もさせていただきました。 次にCMU学生から、台湾と日本との理学療法・病院実習の違いについてのプレゼンテーションをしてもらいました。 「一対一の治療時間が長く、患者さんとの距離が近い」「他職種とのコミュニケーションが多く、チーム医療の一員として関わっている」など、まだ2週間しか経験していない実習の中でたくさんの気づきがあったことを伝えてくれました。このような意見から、それぞれの国の医療制度、文化の違いについて考える良い機会となりました。 最後は私たちからCMU学生たちへ、大学のパンフレットやメモ帳などの畿央グッズをプレゼントしました。 私たちが台湾で台中の街を案内してもらったお礼を込めて、今回は私たちが大阪の街を案内し、自分で焼くことができるたこ焼き屋さんに行きました。台湾の学生も楽しんで、たこ焼きを焼いてくれました。みんなでおしぼりを使ってひよこを作ったりもしました。最後はお土産屋さんに寄り、大阪駅にて解散しました。 久しぶりの英語での会話で緊張していましたが、英語が苦手な人も必死に伝えれば、しっかり聞いてくれたので楽しく会話をすることができ、とても充実した1日となりました。 学生同士は9月の海外インターンシップが終わった後も、SNSなどで繋がっていたようで、そこまでは違和感はなかったかもしれませんが、大学間提携があることで、実際に再会することができ、さらにお互いのことを知り、考えることができたのではないかと思います。 CMUの学生からのメッセージです。 Hsing Shenさん: Thanks for this excellent afternoon! All the activities are very good、 and we enjoyed a lot、 people are so nice、 cute and humorous. I am looking forward to meeting you in September in Taiwan! Chen、Rui-Xinさん Thank you for your reception and accompanying us on last Sunday. I appreciate that I can have this precious chance to visit KIO university、 which guided me to broaden my horizons as well as have wonderful memories. また別日には(今回は本学には来られませんでしたが)和歌山の白浜はまゆう病院で実習中のCMUの学生たちの実習のサポートに行ってきました。はまゆう病院の先生方(学生指導には本学OBも関わってくれています)は基本的には英語を使って指導されており、伝わりにくい部分は翻訳アプリや漢字を使ってコミュニケーションをとっています。また、患者さんの中には英語が堪能な方もおられ、症状などを直接英語で説明くれていました。 訪問時には、“Physical Therapy in Taiwan”と題し、リハビリテーション部の方々に台湾の理学療法を紹介してくれました。 今の実習の感想として、 台湾にはリハビリテーション病院というものがほとんどないので、はまゆう病院では個別で患者さんと関わる時間が長く、良いことだと思う。作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の治療を初めて見学することができて、リハビリテーションとして、それぞれの専門職の違いがわかり、貴重な経験ができている、と述べられました。 このように大学間の関係性を深め、より良いものにできるように、試行錯誤しながら、海外インターンシップのプログラム準備を進めています。現在2回生に対し参加者を募集しているところですので、次回で5回目の海外インターンシップも有意義な授業にできるようにしたいと思います。 理学療法学科3回生 原口愛美 理学療法学科 准教授 松本大輔 【関連記事】 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾~現地レポートVol.2 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾~現地レポートVol.1 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾に向けて!その2 理学療法学科 海外インターンシップ2019 in 台湾に向けて!その1 海外インターンシップ先の中国医薬大学(CMU)の教員と施設見学へ!~理学療法学科 海外インターンシップ先の中国医薬大学(CMU)の教員・学生が来学!~理学療法学科