理学療法学科の新着情報一覧
2019.12.12
脳科学×教育の視点で「教育と支援のゴール」を考える〜現代教育学科「発達障害教育特論」
今年も教育学部の授業「発達障害教育特論」で、現代教育学科の大久保先生と理学療法学科の森岡先生との対談授業がありました。 第4回目となる今回は、「教育や支援のゴールとは」というテーマの元、森岡先生の脳科学的な視点と大久保先生の教育的な視点から意見交換がなされました。 その中でも私が気になったのは、「自由と幸福とは」という小テーマについてです。大久保先生の考えでは、幸福とは「自由の相互承認」であり、それは、すべての人が「自由」を感じられる状態のことを指します。また、「正の強化(ある行動に対して好ましい刺激を提示し、その行動を増やすこと)」は、コントロールするためのテクニックではなく、支援のゴールであるという考えを提案されました。これに対して、森岡先生は、脳科学的に言うと幸福には、神経伝達物質のドーパミン放出が適度にされている状態であること、そして、障害のある人は、どうしても他者に頼る場面が増えるため、自己決定の機会が制限されてしまう問題を提起されました。自由には、その人自身の意志が関わることから、選択肢を増やして対象者自身に意思決定をさせることが重要であること、そして、このような状況になれば自分は楽しいというのを認知させるとともに、それに基づき、自分で意思決定することで、得られるべき報酬を予測することができドーパミンが放出することを学びました。 今回の対談授業を受講して、考えたことが1つあります。 それは、臨床的な視点で捉えた自由と幸福という考えは、教育の場にも必要なのではないかということです。臨床的な視点において、ドーパミンを自分の脳の中で作り出すことによって幸福を感じることができるならば、教育の場においても、ドーパミンを児童生徒が自らの脳の中で作り出すことができるような工夫をすることが必要だと考えました。また、選択権を与え、自分で意思決定することが臨床的な視点での自由に繋がります。課題に取り組む時に「AかBのどちらがいい?」や「AかBのどっちだったら出来そう?」という選択肢を子どもに提示し、児童生徒が自分自身で意思決定できるようにすることが大切だと思いました。 このように、教育の場においても、臨床的な視点で捉えた自由と幸福は、教育方法・授業構成などに関わり、考え方の幅が広がると思います。今回の対談授業の内容を自分の中でさらに整理し、これからの学びや児童生徒への関わりに繋げていこうと決心しました。 畿央大学教育学部3回生 平岡大空 前田穂乃香 山田咲優 【関連記事】 「発達障害教育特論」で理学療法学科と現代教育学科の教員が特別対談!~現代教育学科(2016年) 脳科学×特別支援教育で教員特別対談!~現代教育学科「発達障害教育特論」(2017年) 理学療法学科×現代教育学科の教員特別対談!~現代教育学科「発達障害教育特論」(2018年)
2019.12.11
奈良県立医科大学口腔外科との顎関節症に関する共同研究が論文に~理学療法学科
奈良県立医科大学口腔外科との共同研究で実施している顎関節症患者の方にご協力いただいた研究論文が日本口腔顔面痛学会雑誌にアクセプトされました。論文のタイトルは「顎関節症用Tampa Scale for Kinesiophobia日本語版の開発」というものです。 “Kinesiophobia”とは日本語では”運動恐怖”と訳され、痛みを伴う身体各部位の受傷あるいは再受傷に対する脆弱感から生じる、身体運動や活動に対する恐怖感として定義されています。例えば顎関節症を例に考えると、顎を動かすことで顎関節症が余計に悪化するのではないかという恐怖から、顎の運動を極力避けようとするような回避的な心理状態を表します。 Tampa Scale for Kinesiophobia(TSK)は患者さんの運動恐怖の程度を評価するもので、患者さんに回答していただくタイプの質問紙です。腰痛や四肢の関節痛に対しては日本語版が使われていますが、顎関節症患者用に特化したものはこれまで英語版しかありませんでした。今回の研究では奈良県立医科大学口腔外科顎関節専門外来の川上哲司先生たちとの共同研究で顎関節症用TSKの日本語版を作成しました。 先述のように運動恐怖については腰痛や四肢の関節痛との関連は多くの研究が報告されていますが、顎関節症についてはそれらと比較するとまだまだ少ないのが現状です。一方で顎関節外来には慢性化し症状に対して非常にネガティブな考えをお持ちの顎関節症患者の方が多く来られます。 今回作成した顎関節症用TSK日本語版が慢性化した痛みが心理的に悪影響を及ぼしている顎関節症患者の方の評価の一助になればと考えています。 瓜谷 大輔, 川上 哲司, 岡澤 信之, 桐田 忠昭.顎関節症用Tampa Scale for Kinesiophobia日本語版の開発.日本口腔顔面痛学会雑誌10(1).2017.(書誌情報は2017となっていますが、発刊の遅れから今年度に出版されています。) 【関連記事】 奈良県立医科大学口腔外科との共同研究!~健康科学研究科・理学療法学科
2019.11.26
令和元年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート
2019年11月1日(金)、2日(土)に開催された理学療法学科卒業研究発表会。参加した4回生からレポートが届きました! 理学療法学科4回生、庄本ゼミの藤田大輝です。2019年11月1日(金)、2日(土)に開催された理学療法学科卒業研究発表会についてレポートを書かせていただきます。 【発表当日までの活動】 3回生前期に希望のゼミを選択しました。先生方に紹介をしていただき、なじみのある先生や興味のある分野なども含めて、それぞれが悩み、選択しました。3回生後期では必修科目である「理学療法研究法演習」として本格的なゼミ活動が始まりました。論文を読み、抄読会を行った上で研究のテーマをそれぞれ決定していきました。その後、プレ実験を通して研究計画書を練り、本実験に取り組んでいきました。 【発表当日】 今年度は16のゼミから全36演題の発表が行われました。1演題につき、7分の発表と3分の質疑応答がありました。質疑応答では4回生だけでなく3回生からも積極的な質問があり、先生方からも様々な視点からの意見をいただきました。 長期実習後の3か月という限られた時間の中で本実験から発表まで、みんなが最高の準備をし、本番でそれぞれが素晴らしい発表ができました。それぞれ分野の異なる発表で、非常に興味深いものばかりでした。何より発表を通して「患者さんにより良いものを提供したいという気持ちが詰まった発表会」となりました。 今回の発表会で得た知識やプレゼン能力を4月から始まるそれぞれの舞台で存分に発揮し、さらなる研究活動と自己研鑽に努めたいです。 これから卒業研究を始める後輩に送るアドバイスは、頼れる偉大な先生方が身近にいるので、不明点や疑問点は早めに聞くことが大事だと思います。 4回生は理学療法総合演習と国家試験が残っています。卒業、合格に向けて切磋琢磨して切り抜けたいと思います。 最後に、今回卒業研究におきまして先生方をはじめ、ご協力いただいた多くの方に厚く御礼申し上げます。 理学療法学科4回生 藤田大輝 【関連リンク】 令和元年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート ●昨年度の卒業研究発表会はコチラ!
2019.11.26
令和元年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート
今年度の理学療法学科の卒業研究発表会は2019年11月1日(金)、2日(土)の2日間で開催され、計36演題の発表が行われました。 本学の卒業研究では、学生の希望を元に3年次に各教員のゼミへ配置が決まり、そこから4年次の11月に行われる「卒業研究発表会」に向けて参考文献を探して文献抄読したり、教員と相談をしながら研究計画を立案したりと準備が進みます。研究テーマは脳科学やバイオメカニクス、呼吸器系、物理療法、動物実験による基礎研究、コミュニケーション、高齢者、ウィメンズヘルスと多岐にわたります。例年、量的なデータを元に解析を行う発表がほとんどですが、今年はアンケートを元に概念を抽出し、対象者の思いを解釈するような質的研究や統計に関する発表も見られました。 各分野の最先端で研究をしている教員も多いため、自然と学生に求めるレベルも高いものになっていると感じます。実際、発表の中にはそのまま学会に出しても遜色ないのでは?と感じるものもあり、私自身もいち研究者として興味深く聞いていました。 7分間の発表を通して、自分たちの伝えたいことをいかに分かりやすくまとめるか、ということの難しさを感じるとともに、これまで自分たちがやってきたことの集大成の発表ということで、大きな達成感も感じられたのではないでしょうか?また、発表前には長いと思っていた3分間の質疑応答も、活発な議論の中ではきっと短く感じたのではないかな、と思います。教員からの鋭い質問やコメントには少し戸惑う場面も見られましたが、どの学生も堂々と発表し、質疑応答に答えている姿が印象的でした。 今回の発表が満足のいくものだった学生も、不完全燃焼となってしまった学生もいるかもしれませんが、今回の経験を通して物事を客観的に捉える力、ある事象を深く追求していく力を身に付け、患者さんにより良い医療、理学療法を提供できるようになってもらえたらと思います。 卒業研究は終わりましたが、すぐに国家試験の対策が待ち受けています。 今年も合格100%をめざして頑張りましょう!! 理学療法学科 助教 梶原由布 【関連記事】 2019年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート
2019.11.06
大学院生がシカゴで行われた「Neuroscience 2019」で発表!~健康科学研究科
10月19日(土)~23日(水)にアメリカのシカゴで開催されたNeuroscience 2019にて、宮脇裕さん(博士後期課程)と私、塩中裕介(修士課程)がポスター発表を行ったので、ここに報告させていただきます。 Neuroscienceは主に神経科学を扱う学会で、アメリカ国内で毎年1度行われております。今年は記念すべき50回目の開催でした。学会はシカゴ市街地から少し離れたミシガン湖のほとりの会場で行われ、参加者が学会に集中しやすい環境となっておりました。 今学会は期間を通して3万人の参加者が見込まれており、会場内は常に活気で満ち溢れていました。ポスター会場では主に神経科学を取り扱った研究が、テーマごとに展示されており、私は特に社会的認知や共感等を取り扱った研究を興味深く拝見させていただきました。どのテーマにおいてもディスカッションが活発に行われており、学会に初めて参加させていただく私としてはとても刺激的であり、いつかこのような研究、ディスカッションが出来るように努力しようと強く感じる機会となりました。 私は「Influence of anti-social behavior in top-down modulation of motor resonance」という題でポスター発表をさせていたただきました。今学会において運動共鳴を扱う研究はあまり見受けられなかったのですが、ポスターを見た方々から質問を頂くことが出来、興味深いですね、写真を撮ってもよろしいですか、などと好意的な感想を頂けたことはとても光栄で、かなり印象に残る出来事となりました。今後研究を進めていく上で、より多くの方に興味を持っていただき、貢献できるような研究を進めていきたいと感じました。 以下発表演題です。 宮脇 裕(博士後期課程) 「Top-down modulation of motor resonance through affective attitude toward a non-biological object」 塩中 裕介(修士課程) 「Influence of anti-social behavior in top-down modulation of motor resonance」 【健康科学研究科 学会発表】 教員・大学院生が第6回日本予防理学療法学会学術大会で発表!~健康科学研究科 大学院生がスペインのテネリフェで開催された21st ESCOPで発表!~健康科学研究科 第17回日本神経理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました~健康科学研究科 第24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で院生6名が発表!~健康科学研究科
2019.10.30
2019年度運動器リハビリテーションセミナー「評価編」を開講しました。
2019年10月27日(日)、畿央大学運動器リハビリテーションセミナー「評価編」が開催されました。 今回の講習は、福本貴彦准教授、瓜谷大輔准教授に加え、本学大学院健康科学研究科を修了し臨床および研究機関で従事しているメンバーを加えた講師陣によるオムニバス形式の講義をおこないました。テーマは以下の6つです。 福本貴彦准教授(畿央大学理学療法学科)「医学画像を用いた評価と理学療法への活かし方」 幸田仁志先生(関西福祉科学大学リハビリテーション学科)「肩関節」 粕淵賢志先生(大阪行岡医療大学医療学部理学療法学科)「肘関節」 久保峰鳴先生(香芝旭ヶ丘病院リハビリテーション科)「股関節」 瓜谷大輔准教授(畿央大学理学療法学科)「膝関節」 唄大輔先生(平成記念病院リハビリテーション課)「足関節・足部」 医師の診断や検査に基づいた関節の評価は臨床現場では必須で、その知識や技術は臨床に直結するものです。臨床現場と研究どちらも経験している講師による今回の講義は、経験に基づくものに文献的知見を交えた内容で、現職者の方々には非常に有益な情報を提供できたかと思います。 今後も運動器リハビリテーションに対する幅広い知識を情報提供したいと考えています。 次回は2020年1月26日に「臨床応用編」が、また来年度もさらにブラッシュアップした講義を開催予定です。 参加者の方も募集しておりますので、ぜひお越しください! ●2019年度運動器リハビリテーションセミナー詳細・申込 理学療法学科 准教授 福本貴彦 【関連記事】 2019年度 運動器リハビリテーションセミナー「基礎実習編」を開催しました。 2019年度 運動器リハビリテーションセミナー「基礎編」を開講しました。
2019.10.29
ヒトの過剰な疼痛回避行動を捉える実験~ニューロリハビリテーション研究センター
ヒトは痛みをともなう運動に対して、「全く動かない(=過剰な回避)」、「痛みを避けながらも行動する(=疼痛抑制行動)」、あるいは「避けずに動き続ける」などの行動をとりますが、各行動特性の詳細やどのような性格がそれぞれの行動をとらせるのかは明らかになっていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の西 祐樹 氏と森岡 周 教授らは、痛みをともなう運動を過剰に避ける人(=全く動かなくなる人)は、痛みがなくなっても恐怖が残存しやすいことと、その行動には性格特性が関わっていることを明らかにしました。この研究成果はFrontier Behavioral Neuroscience誌(The avoidance behavioral difference in acquisition and extinction of pain-related fear)に掲載されています。 研究概要 痛みに対する回避行動は、身体を損傷から保護する短期的な利益がありますが、傷が癒えた後でもそれを続けてしまうと、痛みを長引かせる要因になることが知られています。博士後期課程の西 祐樹 氏は、「運動をすると痛みが与えられる」実験タスクをオリジナルに作成して、「自らの意志で痛みに対する行動を選択できる」実験環境で行動計測をしました。その結果、過剰な回避行動をとりやすい人は、運動開始に時間がかかりやすい(=躊躇しやすい)行動特性が明らかになりました。また、この過剰な回避行動をとるグループは、痛み刺激を止めても運動の躊躇や恐怖反応が消えないことも明らかになりました。加えて、このグループは、「特性不安」や「リスクに対して過剰に反応する損害回避気質」が高いという性格を有していました。 本研究のポイント ■ 過剰な回避行動をとる人は、運動の開始時に「運動の躊躇」が認められました。 ■ そして、過剰な回避行動をとる人は、痛み刺激がなくなっても「運動の躊躇」と「恐怖反応」が残存していました。 それとは対照的に、痛みを避けながらでも行動し、痛みを避けることなく行動する人たちは、痛み刺激がなくなると同時に恐怖反応も消失しました。 ■ 過剰な回避行動を示す人は、「特性不安」や「リスクに対して過剰に反応する損害回避気質」を有していました。 研究内容 健常者を対象に、タッチパネルを用いた運動課題を行いました(図1)。 この運動課題では、被験者がタッチパネルを塗りつぶしている間は痛み刺激が与えられます。痛みを恐がらない被験者は塗りつぶす行動を続けられますが(=疼痛行動)、痛みを過度に恐がってしまう被験者は塗りつぶし行動を止めます(=過剰な回避行動)。加えて、この実験では、特定の運動方向(下図 水色部分)に特定の速度で塗りつぶすと、痛み刺激が弱くなる仕掛けにしていました(=疼痛抑制行動)。この仕掛けをすることで、被験者を「過剰な回避行動をとる人」、「疼痛抑制行動をとる人」、「疼痛行動をとる人」に分けることができます。 図1:疼痛回避行動パターンを捉える実験手続き この運動課題は、以下の4つの段階で行われました。 1. 練習段階:単なる塗りつぶし行動をしてもらう。 2. 獲得段階:塗りつぶし行動をしている間は痛みが与えられる。 3. テスト段階:被験者に「特定の運動方向に特定の速度で塗りつぶすと痛み刺激が弱くなる仕掛けになっている」ことを説明した後に、獲得段階と同じように運動に痛みがともなう状況で塗りつぶしをしてもらう。 4. 消去段階:塗りつぶし行動をしても痛みが与えられない。 実験の結果、行動パターンから被験者を3つのグループ「過剰な回避行動をとるグループ」、「疼痛抑制行動をとるグループ」、「疼痛行動をとるグループ」に分けることができました。 過剰な回避行動をとる人は、運動の開始に時間がかかる、すなわち「運動の躊躇」がみられました。また、興味深いことに、痛み刺激を止めても、運動の躊躇と恐怖反応が、痛みがなくなった消去段階にも残存しており、生理学的データで定量化された恐怖反応も同様に消去段階で残存していました(図2)。これは、過剰な回避行動をとる人は、“動くことが恐い(=運動恐怖)” を学習しやすいことを意味します。 図2:それぞれの行動パターンをとるグループの運動躊躇と恐怖反応 痛みをともなう行動についての価値観は、それぞれのグループ間に差はありませんでしたが、過剰な回避行動をとるグループは、損害回避気質や特性不安が高いことが明らかになりました(図3)。この結果から、過剰な回避行動はその人の性格特性によって決定づけられる可能性が示唆されました。つまり、不安になりやすい慎重タイプの性格が、過剰な回避行動をとりやすい要因であることが分かりました。 図3:それぞれの行動パターンをとるグループの性格特性 本研究の意義および今後の展開 この研究結果は、回避行動を詳細に評価することの重要性を示唆しました。また、臨床場面で個人の痛みを評価するときには、個人の気質や過去の経験、思考の側面を配慮することも重要であることが分かりました。今後は、痛み患者における回避行動を定量的に評価し、痛みの慢性化に寄与するのか調査する予定です。 論文情報 Nishi Y, Osumi M, Nobusako S, Takeda K, Morioka S. Avoidance Behavioral Difference in Acquisition and Extinction of Pain-Related fear. Frontiers in Behavioral Neuroscience 2019. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) 博士後期課程 西祐樹(ニシ ユウキ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2019.10.25
令和元年度「理学療法特別講演会」を開催しました。
2019年10月19日(土)に畿央大学にて畿桜会(同窓会)主催の「理学療法特別講演会」が開催されました。理学療法特別講演会は、畿桜会が主催し、年に1度、理学療法学科卒業生に向けてリカレント教育(卒業後も幅広い知識を養う)のために行い、受講料1000円にて卒業生以外の医療関係者にも公開しているものです。 今回は広島大学病院より平田和彦先生をお招きし、「スポーツを通じた共生社会の実現~障がい者スポーツへの関わりを通して~」というテーマでご講演いただきました。 平田先生は、広島県において、障がい者スポーツをされている方々のメディカルチェックに加えて、プロスポーツの世界でご活躍されているアスリートのサポートの他に、研究事業もなされています。今回の講演会には約40名が受講して、障がい者スポーツについての概論や、先生が実際に行われているサポート内容、研究の内容、そして2020年に開催される東京パラリンピックに向けて、これからの障がい者スポーツの展望についてお話ししていただきました。 広島県では、平田先生が勤務されている広島大学病院スポーツ医科学センターが中核となり、県や市など地方公共団体とも協力して障がい者スポーツの支援事業を行っています。病院だけでなく、社会全体で障がい者スポーツを支えていく取り組みについて、関西地方ではどのようなことが行われているのか知らなかったので、今回お話しを聞くことができ、とても良い機会になりました。 また講義中、とても心に残った言葉があります。それは「障がい者問題は自分事」という言葉です。 私たちが現在関わっている「障がい者」(ここでは、身体障がい者の他に精神・知的障がいを持った方も含みます)というと全くの他人事と思われますが、将来自分が何かの病気や怪我を負った場合にも、「障がい者」となり得るのです。そうなった場合、現在関わっている「障がい者」は将来の自分を支援しているのと同じことであり、他人事ではなく“自分事”と捉えることが大切だ、という説明でした。 私たち理学療法士はもちろん、現在の日本にとって、多くの方々が知っておくべき考えです。そうして障がい者支援・障がい者スポーツともにさらに理解が深まることが好ましいのではないかと思います。 2020年には東京オリンピックに続き東京パラリンピックも行われます。今回の講義を受けて障がい者スポーツへの興味も沸き、パラアスリートの動向に関しても今まで以上に注目していこうと思いました。 来年度も理学療法講演会は開催予定ですので、たくさんの方々のご参加をお待ちしております。 畿央大学理学療法学科10期生代表幹事 石川 奈穂
2019.10.23
教員・大学院生が第6回日本予防理学療法学会学術大会で発表!~健康科学研究科
2019年10月19日(土)~20日(日)に広島国際会議場で開催された第6回日本予防理学療法学会学術大会(第2回産業理学療法部門研究会、第2回栄養・嚥下理学療法部門研究会)に参加してきました。 高取研究室からは高取教授、私(武田広道)が発表を行いました。 演題名は以下の通りです。 <ポスター発表> 武田広道「円背の有無が高齢者の随意的咳嗽力および呼吸機能に与える影響」 本研究は修士課程での研究を発展させたもので、これまで健常者を中心にデータ分析を進めてきたものを実際の地域高齢者で評価を実施したものです。 <口述発表> 高取克彦・松本大輔「地域在住の後期高齢者における2年間の要介護リスク要因の検討」 高取先生は後期高齢者5000名のデータを2年間前向きに追跡調査し、新規要介護認定リスク因子を明らかにするという内容でした。研究には松本大輔先生も関わっておられます。 ▲全国から多くの参加者が集まりました。 学会期間中は快晴でやや汗ばむほどの気温でした。 本学会のテーマは「健康増進と理学療法」というテーマで開催されました。演題内容はフレイル・転倒・認知症・スポーツ障害予防、栄養管理、地域実践活動など多岐に渡る発表がされていました。介護予防事業に関しては、それぞれの病院や施設で勤務をしながら事業に参加する中で、(患者、利用者ではない)地域住民の方に対してどのような関わりをして効果を出していくかということや、通いの場に出て来られない高齢者に対して、どのように働きかけるべきかなどが議論されていました。 また、教育講演の中ではただ運動を促すだけでは実践してもらうことは難しいため、社会的な役割を持って活動的に過ごしてもらうことの重要性を強調されていました。今回、様々な発表や講演を聴講する中で、改めて地域社会の役に立つ研究を発表できるよう、研鑽を積んでいきたいと感じました。 健康科学研究科 博士後期課程1年 武田広道 【健康科学研究科 学会発表】 大学院生がスペインのテネリフェで開催された21st ESCOPで発表!~健康科学研究科 第17回日本神経理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました~健康科学研究科 第24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で院生6名が発表!~健康科学研究科
2019.10.17
TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.73~9月の勉強会は「健康チェック 測定結果の説明」!
こんにちは、健康支援学生チームTASK※の理学療法学科2回生の福田友紀です ! 先日、TASKの10月(9月分)の活動として勉強会を行いました。 ※TASKは、Think、Action、Support、for Health by Kio Universityの略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら、地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。 テーマは「健康チェック 測定結果の説明」でした。 2019年10月20日(日)に畿央祭にてTASKの活動として健康チェックが行われます。そこに向けて、少しでも来ていただいた方に測定を楽しんで頂ければと考え、測定結果を説明できるようになるという目標で勉強会を開催しました。今回の勉強会では体組成計・骨密度・ヘモグロビン・足趾力の結果説明について考えました。 最後には簡単な具体例をあげ、来ていただいた方にどのように結果を伝えるかというディスカッションを行いました。実際に、今回学んだことを踏まえて考えてみました。 ▼結果説明の仕方をパワーポイントにて説明中 ▼ディスカッションの様子 最初はディスカッションという言葉で難しいと考えていた学生も、想像を膨らませ意見交換をしていく中でとても楽しそうにディスカッションをしていました!最後には各グループで出た案を発表し合いました。面白い案が沢山あり、とても良いディスカッションになったと思います。 ▼最後にTASKのTで記念撮影!! 最後はみんなでTポーズ! 理学療法学科2回生 福田友紀 ●TASK関連の情報はTASK(健康支援学生チーム)活動レポートで、詳しくご覧になれます。